このページでは様々な時宜に即した「今日の宇宙(Space of the Day)」をご紹介しています。掲載期間は概ね一か月。
土曜日・日曜日・祝日は「肩の凝らない」記事を選んでいます。

12月2日(火)
真に大きな黒点警報:
(Space Weather News)

昨日、我々は大きな黒点警報を発令したが真に大きい。NASAの太陽ダイナミクス観測所(SDO)からのこのイメージは、11月30日に太陽の南東に現れた巨大なそれを示している。

先週、NASAの火星探査車、パーサビアランスは、ジェゼロクレータの砂塵の雲を通して、この巨大な黒点を見た。それは、地球に向かうまであと数日だった。そして、今、ここにある。
-----昨日の記事参照。

黒点群の全長は端から端まで約130,000キロメートル、黒点の主要な暗い核のうち少なくとも4つは地球よりも大きい。これらの寸法によって、安全にフィルターされた家庭の望遠鏡の標的となり得る。

11月29日、アマチュア天文学者のアンディ・デヴィーはスペインのモハカル近郊の天文台から黒点の接近を観察した。

これは太陽の東側を中心に回る活動領域をほぼ3時間にわたって見たものでありCクラスの太陽フレアで熱されていた。11月28日、黒点はM6クラスの太陽フレアを発生させた。しかし、爆風の地点は太陽の端に部分的に覆われていた。フレアの真の強度はXクラスだったのかもしれない。

太陽黒点が地球に向かって向きを変えつつある今、今後のフレアは地球に向かうかも知れない。

その他のイメージ:スコットランド・インヴァネスの デイビッド・ウィルソン から、クアラルンプール(マレーシア)の シャーリン・アフマド から、オーストリアの アストロ・ターフェルベルク から、イスラエル・エルサレム出身の シルヴァン・ヴァイラー から。

<追記>: Space Weather誌の新しい研究によれば、太陽の南半球は30年間以上にわたって太陽フレアの活動を支配してきた。研究者達は、北半球が太陽周期17から21の間に主要なフレアの大部分を発生させていることを発見したが、太陽周期22からは状況が逆転した。以来、南側は太陽のより活発な側となっている。非対称性はフレア指数の記録で明確に見て取れるが、その物理的な原因は依然として不明である。

<ひとこと>: 記事は要約しています。

<出典>: Space Weather News

12月1日(月)
火星からの黒点報告
(Space Weather News)

今後2か月間、NASAのパーサビアランス・ローバーは追加の仕事として太陽天文学者となる。いま、火星は太陽の背後を通過しており、これによってローバーは太陽の裏側を観察でき、地球からは見えない黒点を監視できる。これは11月25日にジェゼロクレーターで撮影された最新のイメージである。

パーサビアランスは約1日に1回、Mastcam-Z(ステレオマスト搭載カメラ)を使って太陽を観測している。これは大気中のダストの量を評価するためであり、これは火星の気象予報において重要な要素である。黒点を見るのはボーナスである。

Mastcam-Zは太陽観測用に設計されてはおらず、太陽円盤全体に90ピクセルしか配置できない。つまり、黒点が大きくなければ現れることはない。

今週は確かに大きな黒点がある。パーサビアランスのイメージは、地球の直径の約15倍の巨大な物体を映し出している。この黒点は来週地球に向きを変え、太陽活動が増加する可能性がある。

火星は2025年12月と2026年1月に太陽の向こう側を通過する。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>:  Space Weather News

11月30日(日)
回転する月

地球上の誰も、月がこのように自転しているのを見ていない。 それは、月が同期自転で潮汐的にロックされているからである。月は、我々の美しい惑星の住人には片側だけを見せている。 しかし、現代のデジタル技術では、月面探査によって送り返された多くの詳細な画像と組み合わせて、高解像度の仮想の月自転動画を構成できる。

実際には、このコマ落としビデオでは、見慣れた月面の近傍の映像から始まり、すぐに地球からは見え難い、暗い中心を持つ大きなクレータ「メア・オリエンターレ(Mare Orientale)」が赤道のすぐ下に回転して姿を現わす。

24秒に凝縮されたこの完全な月の自転では、映像は、月の地球に近い側に暗い月の海(maria)が多く存在し、月の裏側は明るい月の高地が支配的であることを明確に示している。

国際月観測観測の夜に、月の近く側の太陽に照らされた部分をチェックして見よう。

<ひとこと>: イメージのリンク先は動画 Youtube です。これは、10月の、NASAの活動休止の再開後に掲載されたものです。記事の内容は一部要約しています。

<出典>:  Astronomy Picture of the Day

11月29日(土)
パンドラの銀河集団

この深視野の合成イメージは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のNIRCamによって記録された、銀河集団Abell 2744の素晴らしい景色を示している。パンドラ星団とも呼ばれる Abell 2744 自身は、 3つの異なる大質量銀河集団の重厚な合併のようである。 それは、ちょうこくしつ座(constellation Sculptor)に向かった約35億光年にある。

暗黒物質によって支配されたこのメガ集団は、さらに遠くの物体を重力によってレンズ化し、時空の構造を歪めている。

パンドラ銀河団よりも赤いレンズ状の光源の多くは初期宇宙の非常に遠い銀河であり、レンズによる像が弧状に伸び歪んでいる。

ミルキウェイ銀河の前景の星には特徴的な回折スパイクが現れている。

パンドラ星団の推定の距離では、この宇宙の箱は約600万光年にわたって広がっている。この魅力的な地域は 2分間のビデオツアー で探検できる。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>:  Astronomy Picture of the Day

11月28日(金)
NASAとNOAA、オゾンホールが1992年以来
5番目に小さいことを示す。

2025年の南極上空のオゾンホールは過去数年と比べて小さく、NASAと米国海洋大気庁(NOAA)は、今世紀の後半には回復が見込まれていると報告している。今年のホールは、1992年以来5番目に小さかった。その年はオゾン層破壊化学物質の段階的廃止に関する画期的な国際協定が発効し始めた年である。

今年の最小のピークである9月7日から10月13日の時点で、オゾンホールの平均範囲は約1871万平方キロメートルであり、これはアメリカ本土の面積の2倍にあたる。2025年のオゾンホールはすでに崩壊し始めており、過去10年間で例年よりほぼ3週間早く起きている。

この図は、2025年の最大範囲が到達した日の南極点の上空のオゾンホールの大きさと形状を示している。より強力なオゾンの損失(赤)の中には、中程度のオゾンの損失(オレンジ)が見られる。科学者達はオゾンの「穴」を、オゾン濃度が歴史的な閾値である220ドブソンユニットを下回る地域と説明している。

この穴は9月9日に年間最大の1日規模となり、2286万平方キロメートルに達した。この穴は、2006年に観測された最大の穴より約30%小さく、平均面積は2,660万平方キロメートルだった。「予想通り、オゾンホールの面積は2000年代初頭よりも小さくなっている」と、ゴダード宇宙飛行センターのオゾン研究チームリーダー、ポール・ニューマンは述べている。

NASAとNOAAの科学者達は、今年のモニタリングでモントリオール議定書およびその後の改正によって定められたオゾン層破壊化学物質の規制が成層圏のオゾン層の徐々の回復を促進しており、成層圏は今世紀後半に完全に回復する見込みであることが示されたと言っている。

オゾン層は惑星の日焼け止めのように働き、太陽からの有害な紫外線(UV)から生命を守る役割を果たす。これは成層圏に位置し、地表から7マイルから31マイルの高さにある。オゾンの減少によって多くの紫外線が地表に届き、作物の被害や皮膚がんや白内障の増加など、健康に悪影響が及ぶ。

オゾン層破壊の過程は、塩素や臭素を含む人為的な化合物が地球表面から何マイルも上空の成層圏に上昇することから始まる。より強力な紫外線によって分子結合から解き放たれた塩素や臭素を含む分子がオゾン分子を破壊する反応に加わる。クロロフルオロカーボンやその他のオゾン破壊化合物は、かつて、エアロゾルスプレー、フォーム、エアコン、冷蔵庫に広く使われていた。これらの化合物から発生する塩素や臭素は、大気中に数十年から何世紀も残ることがある。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>:  Sally Younger (著者名です)

11月27日(木)
エイリアン結露
(ヨーロッパ宇宙機関)

このグレースケールの映像は、地上(左)と国際宇宙ステーション(右)で蒸気がどのように凝縮するかを示している。映像は5倍に高速化され、クリップ全体はリアルタイムで約1分かかっている。

地球上では液体はヒレ(fin)の基部に堆積するが、微小重力では、液体は薄い膜として表面全体に広がる。

ヒレの表面の黒い層は水分の層の厚さを示している。地球上では液の膜は非常に薄いが、宇宙では、重力による引力がなければこの膜は厚くなる。

ヨーロッパの実験では、初めて、国際宇宙ステーションの冷却された表面で液体の膜がどのような形状をとるかを調べている。ヒレ状の金属は、科学者達が結露、液体の排出、蒸気の対流をよりよく観察するために関心が持たれている。

このヒレの結露実験は、重力に邪魔されることなく、毛細管圧---ペーパータオルを登る水のように小さな空間に液体を引っ張る力---と結露の役割を研究するための、軌道上での熱伝達試験の先駆者である。

<ひとこと>: イメージのリンク先は動画 .gif です。ヨーロッパ宇宙機関の今週のイメージ(Week in images)は、複数の記事が同時に掲載されます。リンク先から該当する記事を追ってください。

<出典>:  Week in images (ESA)

11月26日(水)
ベピコロンボ、水星に到達するまであと1年を刻む
(ヨーロッパ宇宙機関)

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)と日本宇宙航空開発機構(JAXA)とのベピコロンボミッションは、2018年10月から水星に向かって巡航している。目的地到着まであと1年しかないが、これまでにミッションは何を成し遂げただろう? また、太陽系で最も小さく、最も未踏査の岩石惑星の軌道に入ったこの2機の探査機から何が期待できるのだろうか?

過去7年間で、ベピコロンボは地球を1回、金星を2回、水星を6回通過している。これらの惑星の調査に加え、ミッションは、太陽の活動を監視し、太陽の重力が時空自体を曲げることで電波信号にどのように影響するかを調査した。

ミッションの主な「科学フェーズ」は、ESAのマーキュリー惑星軌道探査機(MPO)と、JAXAのマーキュリー磁気圏軌道探査機(MMO、通称ミオ)が水星の軌道に入った後に始まるが、科学者や技術者達は、ミッションの曲がりくねった旅路を最大限に活用している。

トップのビデオはこれまでのミッションの成果を振り返っている。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。トップのイメージのリンク先は動画 .mp4 です。

<出典>:  BepiColombo

11月25日(火)
星間彗星 3I/ATLAS (最近の記事のまとめ)

<前書き>: 昨日に続いて彗星 3I/ATLAS に関する記事のまとめ。この彗星は、太陽系外から飛来した彗星とされ、記録上は3番目に検出された系外天体である。このコーナーでも、これまでにも幾度となく取り上げているが、NASA、ヨーロッパ宇宙機関などを始めその観測が多数発表されている。
この彗星は、太陽系の惑星では火星に最も接近し、その後太陽系を抜ける軌道をとっている。火星では、NASA、ヨーロッパ宇宙機関を始め、多くの探査機が近づく彗星の調査に当たっているが、残念ながら遠すぎて際立った成果は上げていない。
右上は彗星のルートを示し、10月9日に掲載した Space Weather News からの図の再掲である。

 

以下は最近の各種記事のまとめである。多数の記事が対象なので、掲載期日、内容、順序、などは不同である。

1) 11月22日  Space Weather News から、

地球上の家庭の望遠鏡を使って、二人のアマチュア天文学者達が、星間宇宙の訪問者3I/ATLASの、これまでで最高のカラー画像を捉えた。

彗星の長い尾は太陽からまっすぐ流れ、太陽風によって形作られている。その青色は、ほぼすべての太陽系彗星に存在する一酸化炭素イオン、CO+に由来する。彗星の頭部が緑色な理由は、氷の彗星核が太陽に近づくと放出する二原子炭素(C2)によるものである。

例外: 右下のイメージでは、3I/ATLASの頭から太陽に向かってジェットが突き出ている。11月20日に撮影したこの白黒写真では際立っている。太陽系の彗星にはこのような「反対の尾」はほとんどない。

これには自然な説明もある。3I/ATLASは非常に長い間恒星間空間に滞在してきた。数十億年にわたる宇宙線の爆撃によって表面が変化し、水素原子が破壊され、重い分子は残った可能性がある。3I/ATLASが太陽系に入ったことで、太陽光がその地殻を温め、比較的大きく重いダストの粒を放出させている。これらの粒子は放射線圧や太陽風によって素早く押し回されるほど質量が大きい。これによって、通常の尾のように後ろに曲がらない太陽方向のジェットを作り出す。

 

2) 11月15日 NASAの火星探査機、彗星3I/ATLASを撮る(ジェット推進研究所)

2機の軌道船とローバーが、宇宙船が入手できる最も近い位置からの星間天体のイメージを撮影し、新たな詳細を明らかにする可能性がある。

10月初旬、NASAの火星探査機3機が最前列で3I/ATLASを観測した。これは、これまでに我々の太陽系で発見された3番目の恒星間天体である。火星偵察軌道船(MRO)は彗星のクローズアップを撮影し、メイブン(MAVEN)は紫外線イメージを撮影し、パーサビアランス探査車もかすかにその光を捉えた。

MROのイメージは彗星の大きさをより正確に推定する助けとなり、MAVENのイメージは今年の観測の中でも唯一無二のものであり、彗星の化学組成や太陽が彗星を温める際に放出される水蒸気の量を明らかにしている。これらの詳細は、科学者達がこの天体の過去、現在、未来をよりよく理解するのに役立つ。

火星探査軌道船(MRO)HIRSE
この彗星は12月19日金曜日に地球への最も近い接近を迎える。10月2日、火星探査軌道船(MRO)は3I/ATLASを、3,000万キロメートルから観測し、NASAの宇宙船や地球ベースの望遠鏡が得られる最も近い視点の一つとなった。このイメージは彗星の核からの水素原子を表している。

メイブン(MAVEN)
MAVENは、9月27日から10日間にわたって、イメージング紫外線分光器(IUVS)カメラを使って、2つの独自の方法で3I/ATLASを捉えた。まず、IUVSは複数の波長で彗星の複数のイメージを撮影した。これはカメラのフィルターを使うのと似ている。その後、3I/ATLASから来る水素を特定するために高解像度のUVイメージを撮影した。これらのイメージを組み合わせて研究することで、科学者達は、さまざまな分子を識別し、彗星の組成をより深く理解することができる。

IUVSデータはまた、重水素(水素の重い同位体)と通常の水素の比率の推定上限を示しており、彗星の起源と進化を示すトレーサーとなっている。彗星が火星に最も近づいた際、チームは、より感度の高いIUVチャネルを使って、水素やヒドロキシルなど彗星のコマ内の異なる原子や分子をマッピングした。彗星の化学組成をさらに調査することで、その起源や進化についてさらに明らかになるかも知れない。

パーサビアランス(探査車)
軌道機の遥か下、火星地表面では、NASAのパーサビアランス探査車も3I/ATLASを捉えた。10月4日、彗星はローバーのMastcam-Zカメラにかすかな滲みとして現れた。このようなかすかな天体を検出するには、非常に長い露光時間が必要だった。天体の動きを追尾する望遠鏡とは異なり、Mastcam-Zは長時間露光中は固定される。この技術によって、星の軌跡が空に走る筋として現れるが、彗星自体はほとんど見えない。

3)11月20日 ヨーロッパ宇宙機関

太陽観測所(SOHO)
NASAとヨーロッパ宇宙機関の太陽・ヘリオ圏観測所(SOHO)は、2026年10月15日から26日にかけて、恒星間彗星3I/ATLASの一瞬を捉えた。この期間中、宇宙船の大角・分光コロナグラフ(LASCO)機器群は、約3億5,800万キロメートル離れた所から彗星が視界を横切るのを観測した。これは地球から太陽から2倍以上の距離である。

<参考>: その他、火星を探査している各国の、多数の軌道船からの観測が発表されていますが省略します。
なお、彗星3I/ATLASは12月上旬に地球に最も接近しますが、火星を周回している軌道船、NASAの MRO、MAVEN、ヨーロッパ宇宙機関の EXO-MARS、MARS-EXPRESS などでさえ「点」としてしか捉えられない(左図)ので、地球から通常の方法では見ることは難しい。

11月24日(月)
3I/アトラス:地球からの眺め

10月29日に近日点、すなわち太陽への最接近を終えて現在太陽系外に向っている彗星3I/ATLASは、我々の美しい太陽系を通過する3番目の恒星間天体として知られている。

11月14日に地球から小型の望遠鏡で記録されたこの写真では、緑がかったコマと淡い尾が、乙女座の星々を背景に見られる。

しかしながら、この恒星間侵入者は、地球軌道から火星の地表またそれ以遠まで、宇宙船や宇宙望遠鏡を対象とした太陽系全体での、前例のない継続的な観測キャンペーンの対象となっている。

一方、他の星のシステムからのこの彗星は最近明るくなったが、地球から3I/ATLASを観測するには望遠鏡が必要となる。

今、11月の朝の空の地平線の上にあり、12月19日頃に地球に最も近づく予定である。最適な距離は2億7千万キロメートルである。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

11月23日(日)
レモン彗星の二つの尾

レモン彗星には明るい尾がいくつあるだろう、二つ?。 この珍しいイメージでは3つあるように見えるが何故だろう?

その理由は、ジグザグに描かれた茶色のフィラメントは、運良く遠くの彗星C/2025 A6(レモン)の前に現れた、持続的な流星の列である。この流星の列は、地球の大気中に残り、明るい流星が通り過ぎた後に数秒で散る高温のガスと微細なダストである。

二つの明るい尾が、イメージ全体に伸びる青いイオンの尾と、左上の緑色のコマに近づく白いダストの尾がある。これらのすべての実際の彗星の尾は、コマの中の彗星の核に由来している。

このイメージは数日前にイタリアのマンチアーノ(Manciano)から撮影されたものである。 今週、レモン彗星は、中北部から、日没後の北西の空にかすかに見えるだろう。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>:  Astronomy Picture of the Day

11月22日(土)
夜の冥王星

冥王星の夜の側がこの影の多い光景を覆っている。

この驚くような宇宙ベースの視点では、太陽は、薄暗く遠い世界から、49億キロメートル(ほぼ4.5光時)離れている。

このイメージは、2015年7月、遠く離れたニュー・ホライズンズによって、最接近から約19分後の、探査機が冥王星から約21,000キロメートルの距離にあったときに捕らえられた。

カイパーベルトの生息者のこの劇的なシルエットでは、冥王星の不安定で驚くほど複雑な霞んだ大気の層も明らかにしている。フレームの上部付近には、今ではスプートニク平原(Sputnik Planitia)と呼ばれている南の窒素の氷の平原と、ノルガイ山塊(Norgay Montes)の険しい水の氷の山々が含まれている。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>:  Astronomy Picture of the Day

11月21日(金)
激しい地上レベルの出来事
(Space Weather News)

太陽嵐から1週間後、イギリスの研究者達は嵐の強力な放射線の最初の測定値を発表した。サリー宇宙センターと英国気象庁の分析によると、航空高度での放射線量は20年ぶりの最高レベルに跳ね上がった。

左図: 2025年11月11日に発生したX5級太陽フレア、これが地上レベルの出来事を引き起こした。

「これは2006年12月13日以来の最も強い地上レベルイベント(GLE)だった。世界中の中性子モニターが検知した。」とサリー宇宙センターのクライブ・ダイアー教授は言う。

この出来事は11月11日のX5級太陽フレアで始まった。彼らは、英国上空での、放射線センサーを用いた気球打ち上げを迅速に組織した。彼らは40,000フィートでの55μSv/時を超える有効線量率を発見し、一部の飛行経路は80μSv/時に達する可能性を示唆した。特定の高緯度大西洋横断飛行は通常の2倍の宇宙線被ばくを受けた可能性がある。

これは乗客に健康上の緊急事態を引き起こすほどの放射線量ではないが、航空電子機器にとっては懸念材料だった。嵐のピーク時には、一つの出来事で、コンピュータメモリのビットフリップ(1ギガバイトあたり1時間約60件の誤り)が発生していた可能性があると研究者達は推測している。

顕著なGLEは、太陽周期ごとに1回か2回発生する。現代最大の事件は1956年2月23日に起こった。そのGLE期間中、航空旅行者達は、通常の100倍以上の量を吸収した可能性がある。当時は宇宙ベースの太陽天文台が存在しなかったために、研究者達は、その原因をまだ確信していない。

先週のGLEは1956年の巨大モデルの僅か2%の規模だった。つまり、はるかに大きな出来事が起きる可能性があるということである。実際に、年輪や氷床のコアから、近年数千年で何千倍も激しいGLEが発生したことが示されている。これらはミヤケイベント(Miyake Events)として知られている。現代社会はまだそのような現象を経験していない。

「更に大きな出来事がやってくる」とダイヤーは言う。「そして、我々は準備をしなければならない。」

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Space Weather News

11月20日(木)
南極の海氷、3番目に低い量を記録

最南端の大陸周辺の海氷は、衛星記録開始以来の最低の季節記録の一つを記録した。

<ひとこと>: 「今日の地球観測イメージ(下記)」から。大判はイメージのリンク先から。

<出典>: Earth Observatory Image of the Day

11月19日(水)
センチネル6B:海面上昇記録を更新するために打上げられる

センチネル6Bの打ち上げは、NASAと欧州のパートナーによる海面監視の共同ミッションの継続となる。この衛星は世界の海面上昇や海洋循環の測定に加え、大気の温度と湿度の垂直プロファイルも記録する。これらのデータは、科学者達が、海岸線の後退を予測し、天気予報、ハリケーン予測を改善し、エルニーニョ、ラニーニャなど潮汐や現象の研究に役立つ。

センチネル6Bは、2020年11月に打ち上げられた双子のセンチネル6衛星や、1992年に初打上げられたジェイソンシリーズ衛星ミッションの遺産を基盤に、ゴールドスタンダードの海面記録をほぼ40年にわたって延長する。ジェイソン-3ミッションは引き続き運用中である。

センチネル6Bはレーダー高度計を用いて海面に信号を反射させ、海洋地形の連続性測定を提供する。この衛星は10日ごとに地球の氷のない海洋の約90%をマッピングする。また、地球の大気の温度変化を評価し、天気予報モデルの改善を目的とした高解像度の垂直温度プロファイルも収集する。

Sentinel-6Bの海面高測定は、沿岸計画の改善に重要な情報を提供し、地方および州政府が沿岸インフラ、不動産、エネルギーサイトの保護に関する情報に基づいた意思決定を可能にする。

このミッションは、NASA、欧州連合、欧州宇宙機関(ESA)、欧州気象衛星利用機構(EUMETSAT)、米国海洋大気庁(NOAA)の協力によるものである。欧州委員会が資金援助を行い、フランスの宇宙機関が技術支援を提供した。

<ひとこと>: 以上は、NASA、ヨーロッパ宇宙機関の、複数の記事からの要約です。センチネル6Bは、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から、米国東部標準時11月12日月曜日に打上げられました。

<出典>:  Elyna Niles-Carnes(著者名です)ほか。

11月18日(火)
林床と林冠
(ヨーロッパ宇宙機関)

ブラジルでCOP30気候会議が開催される中、地球上で最大かつ最も重要な熱帯雨林であるアマゾンの窮状に再び世界の注目が集まっている。

地球探査機バイオマス衛星が軌道上に入ったことで、ヨーロッパ宇宙機関は、ブラジルが、この新しいミッションの画期的なデータでを熱帯雨林を保護し、気候変動に立ち向かうための実用的な知識に変換する準備を支援している。

バイオマスミッションはまだ未就であるが、これら2つの並べたイメージでは、アマゾンの熱帯雨林の一部を明らかにしている。上のイメージは林床、右のイメージは地上約30メートルの樹冠を捉えている。


<ひとこと>: 右上の比較図で大きく見るには下のリンクから。

<出典>:  Week in images (ESA)

11月17日(月)
センチネル4:大気汚染物質を初めて垣間見る
(ヨーロッパ宇宙機関)

新しいコペルニクス・センチネル4号(Copernicus Sentinel-4)ミッションは、大気中の二酸化窒素、二酸化硫黄、オゾンの濃度を強調する最初のイメージを配信した。これらのイメージは暫定的ではあるが、地球の上空36,000キロメートルの静止軌道から大気質を監視する、ヨーロッパの能力の大きなマイルストーンを示している。

2025年7月に打ち上げられたSentinel-4紫外可視近赤外分光計は、最初のMeteosat第3世代サウンダー衛星に搭載されている。このデュアルミッションアーキテクチャによって、気象と大気の組成監視機能を単一のプラットフォームに組み合わせて、衛星の効率的な使用が可能になる。

Sentinel-4分光計はまだ試運転中であり、以下に紹介するこれらの最初のイメージは、今後の展開の初期の一端に過ぎない。

Sentinel-4 は、地球の表面と大気によって反射された太陽光を測定し、大気中に存在する微量ガスやエアロゾルのスペクトル指標または「フィンガープリント」を解読する。

地球を極から極へ低い高度で周回する他の衛星のセンサーとは異なって、Sentinel-4 は静止軌道上で動作し、同じ地域 (ヨーロッパと北アフリカ) を固定位置から継続的に観測する。

この有利な地点から、Sentinel-4は同じ領域を1時間ごとにスキャンし、主要な大気成分に関するほぼリアルタイムの最新情報を提供する。
--- 右の比較のイメージを見るには図のリンク先から。

ヨーロッパ宇宙機関のセンチネル4ミッションの機器は、二酸化窒素、二酸化硫黄、オゾン、ホルムアルデヒド、グリオキサール、エアロゾルの濃度を定期的にマッピングする。これらのデータは、コペルニクス大気モニタリングサービスに供給される。

ミッションはすでにいくつかの難問を提供しており、そのすべては10月8日に取得された最初の測定値に基づいている。

<ひとこと>: 以上要点のみ抽出。大判はイメージのリンクから。

<出典>:  Sentinel-4 (ESA)

11月16日(日)
もう一つの大きな太陽フレア:
(Space Weather News)

黒点4274(左図の右上)は今日国際時間11月14日0830(日本時間11月14日午後5時30分)再び噴火し、X4クラスの太陽フレアを発生させた。フレアからの極紫外線によって、インド洋上空で短波電波が停止した。さらに重要なことは、爆発によってCMEが宇宙に投げ出されたことである。

この動きの速いCMEのほとんどは地球からは外れるだろう。しかし、NASAのモデルは、11月16日遅くに地球の磁場に一瞥の打撃を与える可能性があることを示唆している。もしそうなれば、その影響は軽度から中程度(G1/G2)の地磁気の嵐を引き起こす可能性がある。
それは11月11日と12日の激しい嵐とはまったく異なるが、それでも高緯度のオーロラの素晴らしい表示になる可能性がある。

<ひとこと>: 今回の地磁気の嵐については11月11日・14日の記事参照。
Space Weather Newsの「オーロラギャラリー」は こちら がら。---世界中からの多数のオーロラの写真が投稿されています。

<出典>: Space Weather News

11月15日(土)
離陸!NASAの冒険、火星への旅を開始

<前書き>: 米国議会の予算不成立に伴って停止されてきたNASAの活動は、ようやく一部回復が見えてきたようです。この記事は再開を示す一つですが、これ以外の掲載された記事全体を見ると、未だ統制されていないように見受けられます。ひと月を超える、かってない長期の停滞を与儀されていましたので、一部の技術者達の離職もあり、回復にはかなり期間を要するかも知れません。
この打上げは、民間会社ブルー・オリジンとの契約があったために特別に実行されたものと推測されます。

NASAの双子のESCAPADE宇宙船(エスケープ&プラズマ加速・ダイナミクス探査機)を搭載したブルー・オリジンのニュー・グレン・ロケットは、東部標準時2025年11月13日木曜日午後3時55分に、フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地の第36宇宙発射施設から打ち上げられた。

NASAのESCAPADEはブルー・オリジン・ニュー・グレン第2段から展開され、2026年11月中の火星横断噴射エンジンの燃焼を開始までの約1年間、インゲン豆型の地球近接段階に入る予定である。燃焼前に得られた速度によって、宇宙船は、ロケットエンジンが高速で発射されたときにより効率的になる現象、オーバース効果(Oberth Effect)を利用して、宇宙船を火星に送り込むことができる。
<注> オーバース効果の詳細は不明です。

ESCAPADE宇宙船は2027年9月に火星に到着し、大型捕獲軌道(large capture orbit)に配置される予定である。その後、ミッションチームは、2028年春に開始される科学ミッションに先立って、宇宙船の軌道を縮小にして同期させる予定である。

ESCAPADEミッションは、赤い惑星への最初の調整された複数宇宙船軌道科学ミッションである。その双子の軌道船は、火星周辺のさまざまな場所から同時に観測を行う。この観測によって、火星の磁場が火星の周囲の粒子の流れをどのように導くのか、太陽風から磁気圏を介してどのように運ばれるか、火星の大気に出入りするエネルギーと物質の流れを制御するプロセスが分析され、宇宙の気象に対する火星のリアルタイムの反応と火星の磁気圏がどのように変化するかが明らかになる。ESCAPADE宇宙船から得られる情報によって、NASAは、火星への将来の人間とロボットのミッションをより適切に保護できるようになる。

ESCAPADE ミッションは NASA の SIMPLEx (惑星探査のための小型革新的ミッション) プログラムの一部であり、NASA の太陽物理学部門から資金提供を受けている。このミッションはカリフォルニア大学バークレー校宇宙科学研究所が主導し、ロケット研究所が宇宙船を設計した。ケネディ宇宙センターに拠点を置く同機関の打上サービスプログラムは、VADR(専用およびライドシェアのベンチャークラス買収)契約に基づいて打上げサービスを確保した。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Jason Costa (著者名です)

11月14日(金)
ダブルCMEの衝突が激しい嵐を生む
(Space Weather News)

予想よりも早く到着した2つのCMEが11月11日に地球に衝突した。間隔が狭い一連の衝突によって、激しい地磁気の嵐(G4)が発生した。

オーロラは米国のほぼすべての州に広がり、南はフロリダ、カリフォルニア、テキサス、アリゾナ、アラバマまで目撃された。

写真家のルネ・サーデは「北緯13度のオーロラは、世界記録に違いない」と言う(左上の写真)。

エルサルバドルのウスルタンではオーロラは驚くほど広範囲に広がった。前回このような嵐があったとき(2024年5月)には、嵐に関連したGPSエラーの結果として、トラクターが「悪魔に取り憑かれた」かのように振る舞った。

アメリカ大陸各地から写真が殺到し続けている。

<追記>: 3番目のCMEが到着: 待望の第3回のコロナ質量排出(CME)が到来した。国際時間11月12日1917(日本時間11月13日午前4時17分)ごろに地球の磁場に衝突した。衝撃の第一印象は、前夜の極端なオーロラの表示を繰り返すほど強くはなかった。

<ひとこと>: 以上要点のみ、順不同。今回の地磁気の嵐については11月11日の記事参照。
Space Weather Newsの「オーロラギャラリー」は こちら がら。---11月12日13日の、世界中からの多数のオーロラの写真が投稿されています。

<出典>: Space Weather News

11月13日(木)
スウォーム、地球の磁場の弱い場所を明らかにする
(ヨーロッパ宇宙機関)

科学者達は、ヨーロッパ宇宙機関のスウォーム(Swarm)衛星編隊からの11年間の磁場の測定を使って、2014年以降、南大西洋異常として知られている南大西洋上の地球の磁場の弱い領域が、ヨーロッパ大陸のほぼ半分の面積まで拡大していることを発見した。

地球の磁場は、宇宙放射線や太陽からの荷電粒子から私たちを守る複雑でダイナミックな力であり、地球上の生命にとって不可欠である。

それは、主に、我々の足元約3000kmの外核を構成する、融けて渦巻く液体の鉄の世界的な海によって生成される。自転車のダイナモの回転する導体のように働き、電流を生み出し、絶えず変化する電磁場を生成するが、実際には、電磁場を生成するプロセスは、はるかに複雑である。

ヨーロッパ宇宙機関の地球観測未来EO計画の下で開発された地球探査機ミッションSwarmは、地球の核、マントル、地殻、海洋、電離層、磁気圏などから発生する磁気信号を正確に測定する3つの同一の衛星の編隊で構成されている。

この例外的なミッションのおかげで、科学者達は、さまざまな磁気の源についてより多くの洞察を得ており、磁場がある場所では弱まり、他の場所では、どのようにまたなぜ強まっているのかを理解するのに役立っている。

南大西洋の磁場の弱化の異常は、19世紀に南アメリカの南東で最初に確認された。

今日、南大西洋の異常は、この地域を通過する衛星が高い線量の入射放射線に直面しているために、宇宙の安全にとって特に興味深いものである。これによって、重要なハードウェアの誤動作や損傷、さらには停電につながる可能性がある。

--- 以下略。

<ひとこと>: 右下の「2014年からの変化図」は、下記本文へのリンクからご覧ください。

<出典>:  Week in images (ESA)

11月12日(水)
軌道利用の安全に係るレポート Volume3
(JAXA 2025年10月)

近年の宇宙開発の活発化により、軌道上物体数は増加の一途をたどっており、観測可能な物体数だけでも30,000個を超える物体がある。特に破壊実験、破砕事故、大規模コンステレーション衛星や小型衛星の増加により、軌道上環境の悪化は深刻になっており、衝突確率の増大等の影響により衛星運用に与える影響は無視できない状況である。また、利用価値の高い軌道(主に地球低軌道、静止軌道)は国際的に保護領域として設定されており、運用終了後のロケット上段や衛星、それらから生じた破片などの、いわゆるスペースデブリを低減するための対策が重要視されている。

持続可能な宇宙開発のため、軌道上環境の維持は不可欠である。ロケットおよび衛星による宇宙活動に参入する事業者、設計者、運用者、衛星サービスの利用者など全ての関係者は軌道環境の現状及び今後の変化を把握しておくことが重要である。

本レポートは、主として米国CSpOC(1)及び英国Slingshot Aerospace社 Seradata(2)の提供するデータベース から2025年9月1日時点の情報に基づき、軌道上物体の分布、破砕事象の発生状況、国内外のデブリ対策の動向等の情報を提供するものである。2項では軌道上物体の分布に係る情報を示す。3 項ではスペースデブリ対策に関する国内外の動向を示す。JAXAでは「JAXAスペースデブリ発生防止標準(4)」(JMR-003E)にて基本的設計・運用対策を要求している。

--- 以下略。

<ひとこと>: これは、一昨日掲載のヨーロッパ宇宙機関の記事と直接関連するものではありませんが、たまたま同時期に発表されましたので引き続き掲載しました。

<出典>:  JAXA

11月11日(火)
地球指向Xフレアと コロナ質量放出(CME)
(Space Weather News)

活動的な黒点4274は、国際時間11月9日 0735 (日本時間11月9日日曜日午後4時35分)に再び爆発し、X1.8クラスの太陽フレアと完全なハローCMEをつくり出した。フレアの間、インド洋の短波無線は大気のイオン化により一時的に動作を停止した。

NASAのモデルは、このCMEが、国際時間11月11日から12日の真夜中頃(日本時間11月11日から12日朝)に地球に達すると予測している。

この衝突によって、G2クラスの地磁気の嵐が発生する可能性がある。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Space Weather News

11月10日(月)
警鐘を鳴らす:宇宙環境の「健全性指数」を導入
(ヨーロッパ宇宙機関)

地球軌道の混雑と汚染は急速に悪化している。我々の行動が将来の軌道の環境にどのような影響を与えるかを定量化できる必要がある。この目的を達成するために、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は、年次宇宙環境報告書に、時間の経過に伴う宇宙環境の状態を1つの数字で要約した新しい健康指数を追加している。
<イメージの説明>: 地球周辺のスペースデブリ(宇宙ごみ)分布モデル

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物差しの必要性

宇宙環境を安全かつ持続可能な状態に保つには、宇宙環境全体の健全性を測定し、それぞれの新しいミッションが与える影響を定量化する方法が必要である。

気象科学者達が地球温暖化の重要な指標として温度を使用するのと同様に、宇宙コミュニティは、軌道の持続可能性に対する物体やミッションの影響を評価するための明確で定量化可能な指標を必要としている。

宇宙環境の健全性指数はそのような指標を提供する。これは、軌道環境がどれほど健全であるか、またはストレスがかかっているか、また 200 年後にどのような影響が起こるかを反映する一つのスコアである。

地球周辺のスペースデブリの分布の印象

たとえ 1 つの数字ですべての複雑さを説明できないとしても、宇宙環境の健全性について有益な印象を与え、ハイレベルの会話をスピードアップする。また、個々のミッションが全体にどのような影響を与えるかを評価するための枠組みも提供される。

ヘルス・インデックスは、2030 年までにヨーロッパ宇宙機関のミッションによるデブリの発生をなくすことを目的としたヨーロッパ宇宙機関独自のゼロ・デブリ・アプローチを含む、世界的な持続可能性への取り組みをサポートしている。

新しい指標の構成要素

ヨーロッパ宇宙機関とヨーロッパの学界は、10年近くにわたって、宇宙交通、オペレータの行動、軌道ダイナミクスの間の関連性を、複合システムとして理解するように取り組んできた。宇宙環境健康指数は、複雑な要因を 1 つの理解可能なスコアに抽出するように設計されている。

各オブジェクトまたは新しいミッションには、インデックスにプラスまたはマイナスの影響に変換できる次のような特定の性質がある。

 ・サイズ:どのくらいの大きさで、どんな形をしているか?
 ・軌道上の寿命:その物体はどのくらいの時間で自然に再突入するか、または取り除かれるか?
 ・衝突回避機能:その物体は衝突を防ぐためにコントロールできるか?
 ・不動態化対策:ミッション終了後、物体は爆発から安全になっているか?
 ・断片化リスク:物体がバラバラになって破片ができる可能性はどのくらいか?

これらの要素を組み合わせることによって、ミッションがスペースデブリを生成する可能性のリスク、そのデブリが隣人との衝突リスクをどのように増加させるか、200年後に宇宙環境に統計的にどのような影響を与えるかを捉えている。

スコアが高いほど環境への悪影響が大きいことを示し、スコアが低いほど、より持続可能な行動を反映している。それによって家電製品のエネルギー効率評価のように働き、将来的には、ミッションが持続可能性に関して「A」と評価され、事業者達や規制当局に明確なベンチマークを与えることができる。全てのオブジェクトのスコアを合わせることによって、基準ベースラインと比較した軌道環境の全体的な状態を示すグローバル・ヘルス・インデックスが得られる。

現在のスコア: アラームが鳴っている。

宇宙環境健康指数は、地球の軌道環境がどの程度持続可能であるかを測定する。値 1 は、長期的な持続可能性の提案されたしきい値を表す。それ以上であれば、時間の経過とともに宇宙環境が運用に望ましくなくなり、最終的には不安定になる可能性があることを意味している。

この健康指数のベンチマークは、大型編隊ブーム以前である2014年と同様に、省庁間スペースデブリ(宇宙ゴミ)調整委員会(IADC)のガイドラインに基づいている。これらのガイドラインは、宇宙事業者達が当時確立されたスペースデブリ軽減規則に従うと仮定すると、200年後の「健全な」宇宙環境がどのようなものになるべきかを概説している。

--- 以下略。


<ひとこと>: 以上、要点のみ。

<出典>:  Space Safety / Space Debris

11月9日(日)
運命の星イータ・カリーナ

イータ・カリーナは爆発しようとしているのかもしれない。しかし、それが来年か、今から百万年後か誰も知らない。イータ・カリーナの質量は、それを完全なふくれた超新星の優れた候補にする、我々の太陽より約100倍の大きさである。

歴史の記録は、約150年前に、イータ・カリーナが、南の空で最も明るい星の一つになった、変わった爆発を起こしたことを示している。

鍵穴星雲のイータ・カリーナは、現在自然のレーザー光を発していると考えられる唯一の星である。1996年にとられたこのイメージは、この危険な星を囲む変わった星雲における、新しい詳細をもたらした。

今、この鮮明な視界には、二つの明白なローブ、熱い中心領域と奇妙な放射状の筋が見えている。このローブは、中央近くで発せられる青と紫の光を吸収する、ガスとダストのレーンで満たされている。この筋はまだ説明できていない。

<ひとこと>: 記事にある通り、おおよそ30年前に撮られたこれらのイメージは、新しい有意な観測とは言えまだ非常に精緻さに欠けるものであった。大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

11月8日(土)
周惑星円盤(アーティストのコンセプト)

地球から625光年離れた若い系外惑星CT Cha bを取り囲む塵とガスの円盤の芸術的なレンダリング。

NASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡からの分光データは、円盤にジアセチレン、シアン化水素、プロピン、アセチレン、エタン、二酸化炭素、ベンゼンなどの月形成の原料が含まれていることを示唆している。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Jameswebb Telescope

11月7日(金)
強い地磁気嵐が予測される
(Space Weather News)

今日、太陽は、 コロナ質量放出(CME) を地球に向かって投げつけたが、これは直撃になるようである。黒点4274(左図の左上)からのM7.5級の爆発には、明確な地球指向の要素がある。合計で、今後数日間に3つのCMEが地球に衝突する。その結果、11月6日から8日にかけて、強いG3クラスの地磁気の嵐が発生する可能性がある。

一昨日、地球周回衛星は、2つの強力なXクラスの太陽フレアを検出した。NASAの太陽力学天文台(SDO)からのこの興味深い圧縮ムービーは、その両方を示している。

北のフレア(X1.8)は活発な黒点4274から来る。南のフレア(X1.1)は太陽の輪郭の後ろに隠された黒点から来る。フレアが太陽の円盤の端によって部分的に覆われていたために、おそらく公称の分類よりも強力であった。

この活動が沈静化すると考える理由はない。これらの黒点は数週間にわたって燃え上がり、10月下旬に複数の裏側のCMEを生んだ。今、それらは地球に向かっている。

<ひとこと>: Space Weather News では毎日の太陽活動を掲載しています。

<出典>: Space Weather News

11月6日(木)
若い惑星環境を揺るがす巨⼤フレアからの多温度のガス噴出
ハッブル宇宙望遠鏡と⽇韓地上望遠鏡で同時検出
(国立天文台)

<イメージの説明>: りゅう座EK星のフレアに伴うガス噴出の想像図。高温で速い噴出が青く、低温でゆっくりした噴出が赤く描かれている。

太陽と同程度の質量を持つ若い恒星での表面爆発において、高温で速いガスの噴出と、低温でゆっくりしたガスの噴出が起こっているところが捉えられました。高温ガスは、この恒星を周回する惑星における生命の誕生や進化に対して、より大きな影響を及ぼすと考えられます。

太陽の表面では、フレアと呼ばれる爆発が起き、ガスが噴出する現象が観測されています。太陽に似た恒星でも多数のフレアが捉えられており、特に生まれてから数億年の若い恒星では、フレアが大規模かつ高頻度で起こっていることが分かってきています。しかし従来の恒星フレアの観測は単一の波長にとどまり、フレアから噴出するガスの温度や速度の構造については解明されていませんでした。

京都大学や国立天文台の研究者が主導する国際研究チームは、太陽と同程度の質量を持つ年齢約1億歳の若い恒星「りゅう座EK星」を、ハッブル宇宙望遠鏡と日本・韓国の地上の望遠鏡で同時に観測しました。ハッブル宇宙望遠鏡は紫外線を、地上の望遠鏡では可視光線を捉えることができ、温度が違うガスの運動を測定することができます。

--- 以下略。

<ひとこと>: 詳細は下記リンク先から。大判はイメージのリンクから。

<出典>:  国立天文台

11月5日(水)
すばる望遠鏡の新装置、かってない高精細な宇宙像を実現
(すばる望遠鏡)

革新的な新装置の搭載によって、すばる望遠鏡がこれまでにない鮮明さで宇宙を観測できるようになります。国際研究チームは「フォトニック・ランタン」と呼ばれるデバイスを利用して、恒星を取り巻くガス円盤を観測し、単一の望遠鏡としては史上最も高精細な画像を実現しました。この成果は、様々な天体の微細構造の研究に新たな道を開くものです。

ハワイ大学、パリ天文台、国立天文台等の研究者からなる国際研究チームは、特別に設計された光ファイバー「フォトニック・ランタン」を用いて、望遠鏡で集めた光をより効率的に利用し、従来の限界を超える高精細な画像を再構成することに成功しました。

フォトニック・ランタンは新しい分光装置「FIRST-PL」(ファースト・ピーエル)の一部で、ハワイ大学とパリ天文台が中心となって開発し、すばる望遠鏡の極限補償光学装置 SCExAO(スケックス・エーオー)に組み込まれています。フォトニック・ランタン自体はシドニー大学とセントラルフロリダ大学によって設計・製作されました。

フォトニック・ランタンは、星の光を複数のチャンネルに分けるデバイスで、たとえるなら音楽の和音を個々の音に分けるようなものです。分けた光をコンピュータで再構成することで、きわめて鮮明な像が得られます。さらに、FIRST-PL の分光ユニットで光を色ごとに分けるため、空間方向と波長方向の情報が同時に得られます(面分光)。

--- 以上冒頭部分のみ。詳細は下記リンクから。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>:  すばる望遠鏡

11月4日(火)
新型宇宙ステーション補給機1号機(HTV-X1)に搭載した生鮮食品
(JAXA)

10月26日に種子島宇宙センターから打ち上げ、30日に国際宇宙ステーション(ISS)に到着した新型宇宙ステーション補給機1号機(HTV-X1)によって、以下の生鮮食品をISSに長期滞在中の宇宙飛行士へ届けましたので、お知らせいたします。
 ISSに到着した模様を収めた動画・写真につきましては、後日公開を予定しております。

 生鮮食品は、2020年までISSへの物資補給を行ってきた「こうのとり」(HTV)と同じく、打上げ直前の物資搭載(レイトアクセス)によりHTV-X1に搭載しました。HTV-Xでは、「こうのとり」に比べて、レイトアクセスがより打上げ直前となるため、より新鮮な食品を搭載することが可能となりました。  また、今回の生鮮食品搭載においては、将来の地球低軌道ビジネス等を見据えて、JAXAからの契約に基づき、請け負った団体が自らの責任において生鮮食品の調達(調達先の選定を含む)を行い、搭載に向けた準備を行うという、新たな取り組みを行いました。選ばれた生鮮食品は、当該団体によって除菌・梱包・輸送等の一連の業務が行われた後、種子島宇宙センターにてJAXAに引き渡されました。

・・・中間略・・・

生鮮食品は、JAXAからの請負契約に基づき生鮮食品取扱業者(公益財団法人流通経済研究所)が、保存性や安全性等の技術的要件を満たした品目・品種・調達先の中から調達可能時期や打上げ時期に合わせて選定して搭載されました。

<参考>: 搭載する生鮮食品の技術的要件
調理性---生食が可能なこと。
保存性---加工工場への集荷時点から種子島宇宙センターへの輸送、保管、HTV-X与圧モジュールの温度環境を模擬した環境において、4週間以上の保存が可能なこと。
衛生性---除菌後、一般生菌数が10,000CFU/g以下、かつ、真菌数(酵母・カビ数)が1,000CFU/g以下であること。
安全性---種子を食べる食品でないこと。喫食の際著しい果汁の飛散が無いこと。アレルギー等の表示対象食品でないこと。
食品残渣---喫食後の食品残渣が極力少ないこと。
搭載量の制約---規定のスペースに搭載可能であること。
調達時期---保存試験の実施を考慮し打上げ時期に調達が可能な食品であること。

<ひとこと>: 記事の一部を抽出。詳細は下記リンクから。

<出典>:  JAXA

11月3日(月)
珍しい黄金の彗星
(Space Weather News)

ほとんどの彗星は緑であり時には青である。カリフォルニア州のアマチュア天文学者のダン・バートレットが珍しい金色の彗星、アトラス彗星 (C/2025 K1) を追っている。

「この彗星は10月8日の近日点(0.33天文単位)を生き残るはずはなかった」とバートレット氏は言う。「しかし、それは生き残り、今では彗星ではめったに見られない赤/茶色/金色を示している。」

この彗星の化学的性質は奇妙である。ローウェル天文台のデビッド・シュライヒャーによる分光法によると、彗星に通常見られる炭素化合物が欠けている。すべての炭素含有が異常に低い。

太陽光の下では、彗星のガスは二原子炭素(C2)によって緑色に変わり、イオン化した一酸化炭素(CO+)によって青色に変わる。これらの色を差し引くと、明らかに金色が残る。その理由は正確にはわからないし、最近太陽と密接に出会ったことと関係があるのかどうかもわからない。

この彗星は9等星、家庭の望遠鏡にとって比較的簡単に標的になる。日の出直前に東の空にある乙女座と獅子座の境界にある。スカイマップは 11月4日11月5日11月6日 から。

<ひとこと>: 以上要点のみ。

<出典>: Space Weather News

11月2日(日)
宇宙からの地球:幽霊の湖
(ヨーロッパ宇宙機関)

<前書き>:この記事は10月31日付で掲載されたものです。

ハロウィーンを祝うために、コペルニクスセンチネル2号が宇宙から撮影したオーストラリアのカーネギー湖の不気味な光景をお届けする。

カーネギー湖は、州都パースの北東約900km、西オーストラリア州ウィルナシャイアのギブソン砂漠の南西境界にある。

大きな儚い湖であるために、カーネギーは大雨が降った後にのみ水で満たされるが、これは、この地域では通常稀である。満水になると、総面積は約5700平方キロメートルで、オーストラリア最大の湖の1つになる。乾燥した時期には、泥だらけの湿地に縮小する。これらのイメージは、西オーストラリア州で異常に多い降雨後に撮影されたものであり、湖の幽霊のような「顔」が宇宙から容易に見えるようになる。

幽霊のような意味合いはそれだけではなく、カーネギー湖は、コペルニクス・センチネル2号のマルチスペクトル画像装置によって、さまざまなスペクトル帯を通して観測された。左側のイメージは、人間の目で見るような自然な色で湖を示しており、右側の疑似の色のイメージは、3つの特定のスペクトル帯を使って処理され、不吉な外観の効果を生み出している。

このバンドの組み合わせは水を濃い青色で強調し、湖の輪郭をより明確にし、その地域の氾濫のパターンを検出するために使用できる。特に、湖の南東端では、沼地や水路に取って代わられ、自然色の画像ではなく疑似の色でより明確に区別できる。

カーネギー湖周辺に住んでいるのはわずか十数人であると報告されているが、この湖は鳥の大群にとって重要な生息地と繁殖地となっている。また、100年間絶滅したと考えられていた、とらえどころのない絶滅の危機に瀕している夜のオウムの生息地であると考えられている。

この地域全体は、この地域の重要な生物多様性とアボリジニの文化遺産を保護することを目的としたマトゥワ・クララ(Matuwa Kurrara)クララ国立公園とカーネギー湖(Lake Carnegie)自然保護区の一部である。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>:  Week in images (ESA)

11月1日(土)
渦巻銀河 NGC 5301
(すばる望遠鏡)

NGC 5301 は、りょうけん座の方向にある渦巻銀河です。円盤を真横(エッジオン)から見た姿で、銀河円盤全体に広がるダストレーン(暗黒帯)が際立っています。赤みを帯びた中心部と青く輝く渦状腕の色の対比が美しい銀河です。正面から見た渦巻銀河 NGC 5211 と比べると、同じ種類の銀河でも見た目の印象が大きく異なります。1つの銀河を異なる角度から見ることはできないため、様々な向きの銀河を観測し比べることが、銀河の構造を理解する上で重要です。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>:  すばる望遠鏡


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