このページでは様々な時宜に即した「今日の宇宙(Space of the Day)」をご紹介しています。
掲載期間は約一か月。土曜日・日曜日・祝日は「肩の凝らない」記事を選んでいます。

 7月12日(土)
ロゼット星雲ディープフィールド

ロゼット(薔薇)星雲を見つけることができるだろうか?

イメージの中心のすぐ上にある赤い花のような星雲が良い選択に思えるかもしれないが、それだけではない。

有名なロゼット星雲は、実際には右下にあり、ここでは青と白に着色されており、金色のフィラメントで他の星雲に接続されている。

ロゼットのフィールドの注目のイメージは非常に広く、深紅の露出のために、他の花が含まれているように見える。

NGC 2237と命名されたロゼット星雲の中心は、散開星団NGC 2244の明るく青い星が占めており、その風とエネルギーの光が星雲の中心から退避している。

ロゼット星雲は約5,000光年にあり、満月の直径の約3倍に及んでいる。

この花の咲くフィールドは、星座ユニコーン(Monoceros)に向かって見ることができる。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 7月11日(金)
居住可能性への傾斜

地球は文字通り居住可能に傾いている。NASAの資金提供を受けた研究者達は、93回のシミュレーションを行った結果、地球のような惑星の軌道が、陸上の生命体が繁栄するのに適したパラメータに関して、より明確な理解を得ることができた。

我々の惑星の日の長さ、その軸の傾き、その他の軌道のパラメータによって、表面全体の季節、太陽光、および温度が、我々が知っているような生命に適した範囲内で変化する。軌道が大きくなったり小さくなったり、回転が速くなったり遅くなったり、また傾きが大きく異なると、陸上に出現する生命にとって条件が難しくなる可能性がある。科学者達は、今、地球の軌道のパラメータに注目し、太陽系外に住む惑星の探索を絞り込んでいる。

研究者達は、主星から来るエネルギーが氷を溶かすほど強力であるが、水を沸騰させるほど強くない、「特別に閉ざされた領域(Goldilocks zone)」内を周回する以上の居住可能性があることを発見した。自転が遅く、日が地球の20日を超える惑星の場合、恒星が惑星の頭上にない長いストレッチから生じる可能性のある陸地の温度が低くなるため、居住可能性は大幅に低下する。より急速に回転する惑星の場合、その軸上の惑星の傾きは居住可能性にとって重要になる。

この研究は、NASAの宇宙および地球科学研究機会プログラムを通じて、ハビタブル・ワールド(Habitable Worlds)の助成金の下で資金提供された。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: James Riordon(著者名です)

 7月10日(木)
南極周辺の海面の塩分

ヨーロッパ宇宙機関のSMOS衛星からのデータを使用して、科学者達は、南極海の驚くべき変化を明らかにした。海氷が急速に減少しているにもかかわらず、南極大陸周辺の表層の水はより塩分化している。この発見は、氷が溶けると、通常、海面水が新鮮になるので標準に反している。この遠隔地での変化は、全球の海流を混乱させ、気象のパターンに影響を与え、南極をはるかに超えた生態系を変化させる可能性があり、その影響は広範囲に及ぶ。

このイメージは、PNASの論文「Rising surface salinity and declining sea ice: a new Southern Ocean state revealed by satellites」から抜粋した、2011年と2023年の海面の塩分濃度の変化を示している。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。下記リンク先は詳しい記事のリンク先(英語)を示しています。

<出典>: Week in images (ESA)

 7月9日(水)
星間彗星3I/ATLAS彗星

<参考>: 7月6日の記事参照。

それは宇宙から来た。我々の太陽系の外からの天体が、今高速で通過している。

ガス状のコマから彗星に分類される3I/ATLASは、巨視的な天体の中では異星として特定された3番目の天体に過ぎない。

この注目の図では、彗星の軌道は白で表示され、木星、火星、地球の軌道は金色、赤色、青色で示されている。

現在、彗星3I/ATLASは太陽から木星までの距離にあるが、10月下旬に火星の軌道内に最も接近すると予想され、太陽に最も接近すると予想されている。

火星と木星の両方の近くを通過すると予想されているが、3I/ATLASは、地球の近くを通過するとは予想されてはいない。

彗星3I/ATLASの起源は不明である。初期の活動は比較的通常の彗星を示しているが、3I/ATLASの組成と性質に関する今後の観測は確実に続く。

<参考>: 地球上では、白亜紀末、恐竜、アンモナイト、ベレムナイト(矢石、箭石(やいし))、イノセラムス、厚歯二枚貝などがいっせいに絶滅して大きな生態系の変革が生じた。この大量絶滅の原因については、現在では、メキシコのユカタン半島への大隕石の衝突による、全球的な地球表層環境の激変と考えられている。この隕石はユカタン半島に現存する海中のクレータ跡から、直径10キロメートルほどとされている。今回の隕石は最大20キロメートルとされており(7月6日の記事参照)、もし、地球と衝突する経路にあったなら、最悪、人類が絶滅することもあり得ないことではない。この図は、今回の彗星が、太陽系外からの隕石と考えられる珍しさのほかに、地球と火星の間を通ると予想されていることからこの記事を優先的に取り上げた。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 7月8日(火)
NASAの技術、月光を利用して宇宙からの計測を強化

<イメージの説明>: この視覚化は、Arcstoneが、軌道上で月の反射率を測定しながらどのように動作し、将来の地球観測リモートセンサーの新しい較正基準をどのように確立するかを示している。

NASAは、軌道上の地球観測センサーからのデータの品質を向上させるために、Arcstoneと呼ばれる独自の機器を打上げる。この技術実証では、月較正と呼ばれる技術、月から反射された太陽光を測定する。このような月面スペクトル反射率の測定は、最終的には、国際的な科学コミュニティや商業宇宙産業全体で使用するための高精度で普遍的な基準を設定するために使用できる。

衛星センサーと航空機搭載センサーが適切に機能していることを確認するために、研究者達は、センサーの測定値を既知の標準測定値と比較してそれらを校正する。Arcstoneは、地球を観測する軌道上の機器によって収集された科学データを較正および改善する方法として、宇宙からの月反射率の測定に特化した最初のミッションとなる。

宇宙からのリモートセンシングにおける最も困難な作業のひとつは、軌道上で必要な機器のキャリブレーション精度を達成することである。月は、地球の大気圏外にある優れた利用可能な校正源である。月から反射される光は非常に安定しており、非常に高い詳細レベルで測定可能である。Arcstoneの目標は、月面キャリブレーションの精度を向上させ、今後、何世代にもわたって、宇宙搭載型リモートセンシングデータの品質を向上させることにある。

計画されている6か月のミッションを通じて、Arcstoneは、分光計を使って月のスペクトル反射率を測定する。小型のキューブサットのライドシェアとして6月下旬に打上げられるArcstoneは、軌道に到達してから約3週間後に、ファーストライトと呼ばれるマイルストーンであるデータの収集を開始する。

<ひとこと>: 以上要点のみ。これは6月20日付の記事です。イメージのリンク先は動画 .mp4 です。

<出典>: Charles G. Hatfield(著者名です)

 7月7日(月)
すばる望遠鏡25周年記念画像集とGALAXY CRUISE

<前書き>: 暑い日が続いていますが、今日は「七夕」ですね! 夜空の観測では世界的に知られた日本の「すばる望遠鏡」を振り返ってみましょう。

2025年3月にすばる望遠鏡25周年記念画像集が出版されました。超広視野主焦点カメラHSCが捉えた銀河満載の画像集とGALAXY CRUISEの関連性を見てみましょう。

GALAXY CRUISEにご乗船の皆様、こんにちは。操舵手(プロジェクトコーディネーター)で臼田-佐藤功美子です。国立天文台ハワイ観測所の広報普及を担当していますが、昨年度はすばる望遠鏡が初観測(ファーストライト)から25周年を迎えた数々の記念事業を行い、2024年10月1日NEWS記事にて、GALAXY CRUISEメインクルーの活躍をご紹介いたしました。そして、2025年3月下旬、すばる望遠鏡25周年記念画像集「すばる望遠鏡 宇宙の神秘を探る」を株式会社クレヴィス(以下、クレヴィス社)の協力を得て出版いたしました。今回は画像集とGALAXY CRUISEのつながりについて触れたいと思います。

すばる望遠鏡天体画像集はファーストライトから10周年を迎えた2009年に出版されたきりでした。GALAXY CRUISEでも使われている、2014年から約7年にわたってHSCで大規模に観測されたすばる戦略枠プログラム(HSC-SSP)で取得された高品質かつ広大な宇宙画像で、2冊目の画像集が出版できないかと考え、HSC-SSPをリードされていた田中賢幸船長に話を持ちかけたのです。そして、「画像集の出版は私の夢です」という強大な後押しが得られたことにより、すぐに渡部潤一 国立天文台教授にお願いして、写真集「ハッブル宇宙望遠鏡 探究と発見のまなざし EYES OF HUBBLE」を出版されたクレヴィス社をご紹介いただきました。田中船長主導で企画書をクレヴィス社に提出し、画像集出版の検討が始まりました。しばらくして、広報で数々のすばる望遠鏡25周年事業を始めた頃、HSCに加えて他の観測装置で撮られた画像も含めた、すばる望遠鏡25周年記念画像集として出版の準備が始まりました。

天体画像集は通常、天体をほぼ距離順、太陽系天体から遠方宇宙まで並べる(またはその逆の)章立てが多いように思われますが、本書籍最大の売りは、2009年画像集には含まれていない、市民天文学者の皆様もよくご存知のHSC-SSPに写りこんでいる多様な銀河です。そこで、画像数のバランスも考慮して、画像紹介の章「II すばる望遠鏡 宇宙の神秘を探る」は「1. 銀河の世界」「2. 躍動する銀河」「3. 銀河団と遠方宇宙」「4. 天の川銀河 星の一生(輪廻)」「5. 惑星系の誕生と太陽系天体」というセクション(節)に決まりました。最初の2節で、GALAXY CRUISEでお馴染みのHSCが捉えた数々の銀河(他の装置で撮られた画像も含まれています)をご紹介していますが、II章158ページ中でこの2節が83ページと半数以上を占めます。このページ数は、HSCが捉えた銀河がいかに多く多様性であるかを物語っています。

画像集はあくまで、すばる望遠鏡が捉えた美しい天体画像をお楽しみいただくのが第一目的ですが、画像をよりお楽しみいただくための解説ページやコラムを随時挿入しています。その中で、田中船長が執筆した「銀河の多様性」は、どこかで読んだことのある内容、見たことのある図だとお気づきになられたかもしれません。そうです!2020年5月1日NEWS記事「GALAXY CRUISEとハッブル分類」がもとになった解説記事です。安藤誠航海士によるコラム記事「ポツンと存在する渦巻銀河」は、2023年4月1日NEWS記事「銀河の大都市と不思議な形の銀河たち」の「銀河の形と環境」がもとになっていることにお気づきになるでしょう。それから、該当NEWS記事はありませんが、コラム記事「銀河に見られる赤い光」は、主に渦巻銀河の渦状腕に沿って見られる大質量星形成領域(HII領域)と、オリオン大星雲など私たちの天の川銀河(銀河系)内で見られる個々のHII領域をつなげたくて、書かせていただきました。実は、画像を見る際に役立つ豆知識を伝えるコラムを随時挿入したい、と私の方から出版社にご提案したのは、このHII領域の解説がきっかけでした。

--- 以下、下記の国立天文台のサイトから。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: 国立天文台

 7月6日(日)
ヨーロッパ宇宙機関、星間彗星3I/ATLASを観測

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の惑星防衛局の一部である地球近傍天体調整センター(NEOCC:Near-Earth Object Coordination Centre)の天文学者達は、2025年7月2日に新たに発見された星間彗星(interstellar comet)3I/ATLASの観測を行った。

この彗星は、2017年の有名な1I/オウムアムア彗星、2019年の2I/ボリソフ彗星に続く、これまでに観測された3番目の星間彗星である。2025年7月1日、チリのリオ・ウルタドにある小惑星地球衝突ラストアラートシステム(ATLAS)望遠鏡によって初めて発見された。

その異常な軌道は、すぐに、それが星間空間から来たという疑惑を引き起こした。これは後に世界中の天文学者達によって確認され、この天体は正式な名称である3I/ATLASと命名され、3番目に知られている星間天体としての地位を示した。

7月3日現在、3I/ATLASは、太陽から約6億7000万キロメートル離れており、2025年10月下旬に火星の軌道のすぐ内側を通過して最接近する。幅は最大20キロメートルと考えられており、太陽に対して約60キロメートル/秒で移動している。地球に危険を及ぼすことはなく、地球と太陽の間の距離の1.5倍以上である2億4000万キロメートル以上に近づくことはない。

この観測は、ヨーロッパ宇宙機関の天文学者達が専用の観測時間を割り当てる望遠鏡の1つである、ハワイのラスカンブレス天文台望遠鏡を使用して行われた。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。

<出典>: Comet Interceptor

 7月5日(土)
天王星とその4つの大きな衛星

天文学者達は、NASAとヨーロッパ宇宙機関のハッブル宇宙望遠鏡を使って、天王星の4つの大きな衛星を調査した。地球から32億キロメートルの距離にある氷の衛星、アリエル(Ariel)、ウンブリエル(Umbriel)、タイタニア(Titania)、オベロン(Oberon)が、小さな光の点で表れている。しかし、ハッブル宇宙望遠鏡の紫外線機能を利用することで、天文学者達は、ハッブル宇宙望遠鏡の表面の特性を推測することができた。

科学者達は、惑星の磁場によって衛星がツートンカラーになり、各月の後側が先頭の側(天王星の周りを回る半球)よりも暗くなると予測した。しかし、驚くべきことに、彼らは外側の2つの大きな衛星、タイタニアとオベロンで反対のことを発見した。これらの衛星は、軌道に沿って移動するときにフロントガラスの上の虫のようにダストを掃くために、先頭の側が暗く見える。

これらはまた、2つの内側の月、アリエルとウンブリエルを暗いダストから守っているように見える。内側の月は左右の明るさに違いはない。

[画像の説明: 4 つの小さな白い点が、右上から左下へ広く間隔を空けて表示されている。これらの白い点は黒一色の背景に表示されている。5 番目の小さな白い点は、黒い背景にあるはるかに大きな青い球体に重ねられている。このミディアムブルーの球体には、ピンク、ホワイト、および明るいブルーの斜めの縞模様がある。また、この縞模様の球体には、白い点のすぐ右側、僅かに下にある小さな黒い点が重なっている。白い点や縞模様と同じ急な対角線上の角度で青い球体を取り囲むのは、薄く、幽霊のような、白い、土星のようなリングである。4 つの白い点には、右上から左下に "Titania"、"Oberon"、"Umbriel"、"Miranda" というラベルが付けられている。白い点とそれに付随する黒い点は、どちらも青い球体に重ねられており、「アリエルと影(Ariel and shadow)」とラベル付けされている。青い球体を囲むかすかな土星のようなリングは、単に「リング(rings)」とラベル付けされている。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Hubble(ESA)

 7月4日(金)
「行方不明」の物質の広大なフィラメントを発見

天文学者達は、4つの銀河団をつなぐ高温ガスの巨大なフィラメントを発見した。我々の銀河系の10倍の質量を持つこの筋には、宇宙の「行方不明」の物質の一部が含まれている可能性があり、数十年にわたる謎を解き明かしている。

天文学者達は、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)のXMM-NewtonとJAXAのすざくX線宇宙望遠鏡を使ってこれを発見した。局所宇宙の「通常」物質の3分の1以上が欠けている。まだ見つかっていないが、宇宙のモデルを適切に機能させるためには必要である。

このモデルは、このとらえどころのない物質が、最も密度の高い空間を橋渡しする長いガスの列、またはフィラメントに存在する可能性があることを示唆している。以前にフィラメントを見つけたことがあるが、その特性を理解するのは難しい。それらは、一般的にかすかであり、近くにある銀河、ブラックホール、その他の物体の光からその光を分離するのが困難である。

この新しい調査は、まさにこれを行った初めての研究の1つであり、天文学者達は、ヨーロッパ宇宙機関のXMM-NewtonとJAXAの朱雀(すざく)X線宇宙望遠鏡を使って、近くの宇宙の4つの銀河団の間に伸びる高温ガスの単一のフィラメントを見つけて正確に特徴付けた。

左上のイメージでは、一方の端に2つ、もう一方の端に2つの4つの銀河団をつなぐ新しいフィラメントを示している。これらの集団は、色で囲まれた4つの白い点、フィラメントの下部と上部の明るいスポットとして表れている。紫のまだら模様の帯がこれらの明るい点の間に伸び、周囲の黒い空に対して明るく際立っている。これは、これまで見られなかったX線を放出する高温ガスのフィラメントであり、「欠落している」物質の塊が含まれている。

紫色の帯は朱雀のデータである。天文学者達は、XMM-Newtonを使って、フィラメントからX線の「汚染」源を特定して除去することができ、「欠落している」物質の純粋な糸を残すことができた。これらの発生源は、ここでは、フィラメントの放出によってちりばめられた明るい点と、フィラメントの放出から取り除かれた点として見ることができる。(注:左右の比較の図を動かして見るにはイメージのリンク先から)

ヨーロッパ宇宙機関のXMM-Newtonの例では、このフィラメントは、ミルキーウェイ銀河の約10倍の質量を含み、一方の端に2つ、もう一方の端に2つの、計4つの銀河団を接続している。すべては、近くの宇宙で最も巨大な構造の1つを形成する8000以上の銀河の集まりであるシャープレイ超銀河団の一部である。

これらのフィラメントは、超銀河団を通って対角線上に2300万光年に伸びており、これはミルキーウェイ銀河の端から端までの約230倍に相当する。

<下のイメージの説明>: このフィラメントは、天文学者達が見つけるのが非常に難しいことが証明されている「通常物質」の一種、まだらの黒黄色で表された高温の銀河間ガスで構成されている。

--- 以下略。

<ひとこと>: 記事は独自に編集しています。大判はイメージのリンクから。左上の比較イメージは下記リンク(原典)から。

<出典>: XMM-Newton

 7月3日(木)
南ヨーロッパの陸と海は焼けるように暑い

強力な熱波が南ヨーロッパと北アフリカの大部分を襲い、季節的な基準を超えて気温が押し上げられ、広範囲にわたる健康と山火事の警報が発令されている。最も大きな打撃を受けている国は、スペイン、フランス、イタリア、ギリシャ、キプロス、アルジェリアである。

このイメージは、2025年6月29日の朝の、重なり合う五つの軌道通過からの合成であり、コペルニクス・センチネル3号ミッションの海面および陸面温度放射計によって撮影された。装置の名前が示すように、このイメージは、気温ではなく地表の温度を明らかにしている。気温の測定とは異なり、この衛星の機器は、通常は気温よりも高い、地球の表面から放出される実際の熱エネルギーを測定している。イメージのリンク先は高解像度の注釈付きイメージを表示している。

暑いのは陸地の表面だけでなく、地中海の海面も暑い。---このイメージではコペルニクス海洋サービスからの情報を使用して示している。

地表温度の監視は、天候や気象パターンの理解と予測、山火事のリスクの追跡、灌漑計画による農家の支援、暑さを軽減するための都市設計の指針として非常に重要である。

現在の熱波は、一般に「ヒートドーム(heat dome)」と呼ばれる西ヨーロッパ上空で停滞している高気圧によって引き起こされている。このシステムは蓋のように機能し、高温で乾燥した空気を閉じ込め、時間の経過とともに温度を増幅する。東に移動すると、北アフリカからさらに熱風が引き込まれ、地域全体の極端な暑さがさらに悪化する。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。

<出典>:  Observing the Earth (ESA)

 7月2日(水)
ヨーロッパ宇宙機関の新たな重力ミッション、
弱まりつつある海洋コンベヤーを検出する

リビング・プラネット・シンポジウム(Living Planet Symposium)の参加者達は、ヨーロッパ宇宙機関の次世代重力ミッションが、地球を温暖化させる重要な海洋循環システムを直接追跡する最初の機会を提供する可能性があると聞いている。

問題の海洋循環システムは、大西洋南北逆転循環(AMOC:Atlantic Meridional Overturning Circulation)と呼ばれ、メキシコ湾流を含む海流の複雑なネットワークであり、地球の気象を調節する上で重要な役割を果たしている。

AMOCは、上層部の暖かい水を、熱帯地方から大西洋へ北へ運んでいる。水が北大西洋に到達すると、熱が大気中に放出されて冷え密度が増し、表の層が沈む。この冷たく深い水は、その後南に流れ、最終的には南の海における風による湧昇と混合のプロセスを通じて表面に戻る。

AMOCは、暖かい水を北に、冷たい水を南に移動させることによって、地球の気象システムにおける重要なエンジンとなり、地球のエネルギーバランスを維持するのに役立っている。その核心は、北欧の海とラブラドール海での北大西洋深層水の形成であるが、現在脅威にさらされているのはこのプロセスである。氷の融解による急速な温暖化と淡水流出の増加により、このプロセスが混乱し、AMOCが深刻なリスクにさらされている。

最近の分析では、AMOCが重大な転換点に近づいている可能性があることを示唆している。この崩壊は、突然の地球規模の気候変動を引き起こし、逆説的にヨーロッパの一部に極端な寒さをもたらす可能性がある。例えば、ロンドンでは気温が7°Cも急降下し、インフラ、経済、社会の安定に壊滅的な影響を与える可能性がある。

2004年以来、RAPIDプロジェクトは、モロッコからフロリダまで、北緯26度で大西洋を横断する一連の機器を維持し、表面から海底まで、温度、塩分、流速を継続的に測定してきた。

これらのin-situ測定によって、2010年以降、AMOCは強度を失っていることが明らかになった。

しかし、RAPIDアレイの維持には費用がかかり、労働集約的であり、単一の緯度に限定されているため、科学者達は、AMOCの、より広範で継続的な監視のために衛星に頼ることが増えている。

海洋の理論と数値モデルによると、AMOCの衛星測定可能な重要な特徴は、北大西洋西部の海底圧力への影響である。AMOCは宇宙から監視することができる。しかし、信号は狭く、検出が難しいため、ヨーロッパ宇宙機関の次世代重力ミッション(NGGM)への期待がかかる。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Observing the Earth (ESA)

 7月1日(火)
我々のダイナミックな太陽を探検しよう!

<イメージの説明>: NASAのソーラーダイナミクス天文台(SDO)からの太陽のイメージは、可視光スペクトルの黒点を含む、太陽のさまざまな特徴を示している。
フィラメントとプロミネンスが、水素アルファ、X線でのコロナ質量放出、紫外線で詳細に見ることができる。バナーの右側には、国際宇宙ステーションが地球で観測したオーロラと、ハッブル宇宙望遠鏡やジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した他の惑星のオーロラが描かれている。---拡大版とそのリンクは下部参照。

NASAの太陽圏教育活性化チーム(Heliophysics Education Activation Team)と太平洋天文社会(Astronomical Society of the Pacific)のプログラムの協働であるこのリソースは、非公式の教育者、アマチュア天文学者、天文学愛好家向けに開発され、最も近い星についてもっと学びたいと思っているすべての人に魅力的なアクティビティを提供している。

このツールキットは、好奇心を刺激するように設計された使いやすい素材を提供している。セットの各カードは、NASAのイメージと各トピックの明確な説明を組み合わせている。

・「太陽は何色?」---ヒント:黄色ではない!
・「太陽は地球上の我々にどのような影響を与えている!」
・「太陽はいつ死ぬの?」

これらのカードは、一般の人々が抱く一般的な質問に答えるだけでなく、NASA の太陽研究が、宇宙の気象、太陽嵐、およびそれらが私たちの日常生活に与える影響を理解するのにどのように役立つかを強調している。

太陽の物語をあなたのコミュニティに伝え、次世代の探検家達にインスピレーションを与えよう。この無料の「我々のダイナミックな太陽(Our Dynamic Sun)」ツールキットは、 こちら からダウンロードできる。

<ひとこと>: イメージは幅約5000ピクセルの非常に大型なので、下のイメージのリンク先は約半分に縮小しています。左上のイメージのリンク先は元サイズです。

大雑把な概要:

  1. 中央:太陽と比較した地球の大きさ
  2. 右側:太陽風による太陽系惑星のそれぞれのオーロラ
  3. 左側、真上:太陽表面の素材を表すX線イメージ(赤)
  4. 以下時計周りに:コロナ質量放出を示すX線イメージ(緑)
  5. 太陽表面最大の磁気活動(灰色)
  6. 可視光線望遠鏡のやや冷たい黒点(黄)
  7. 水素アルファの示す、黒点の周囲にみられる太陽面の光輝域(plage)、フィラメント、プロミネンス(赤)
  8. 太陽風の高速(濃い領域)と低速を示す極紫外線(青)

<出典>: Kat Troche(著者名です)

 6月30日(月)
太陽軌道船が太陽の南極にズームイン

地球から見ると、我々は常に太陽の赤道を見つめている。今年、ヨーロッパ宇宙機関主導の太陽軌道船(Solar Orbiter)ミッションは、軌道を17°に傾けることによって、この「標準的な」視点から脱却した。これは、地球や他のすべての太陽観測宇宙船が存在する黄道面から外れている。今、我々は、初めて、太陽の未踏の極をはっきりと見ることができる。

このビデオは、地球から見た太陽から始まる。灰色のイメージは、ヨーロッパ宇宙機関のProba-2宇宙船のSWAP極紫外線望遠鏡によって撮影された。赤緑の破線は太陽の緯度と経度(ストーニーハーストグリッド:Stonyhurst grid)を示し、黄色の実線は地球の視野の中心を示している。

次に、軌道船の傾いた視界(黄色で示されている)に回転し、太陽の南極にズームインする。軌道船は、極紫外線画像(EUI)装置を使って、これらのイメージを撮影した。

ここに見ているのは、太陽の外側の大気、コロナの中を移動している100万度の荷電したガスである。時々、明るいジェットやプルーム(噴煙)がこのガスを照らす。

2025年3月23日、軌道船は太陽の赤道から17°の角度から太陽を見ていた。太陽の周りを周回するたびに、この探査機は太陽緯度-17°から+17°の間を揺れ動くことによって、太陽の南極と北極の両方、そしてその間のすべてを調査することができる。

太陽軌道船は、ヨーロッパ宇宙機関とNASAの国際協力による宇宙ミッションである。極紫外線画像(EUI)装置は、ベルギー王立天文台(ROB)が主導している。ヨーロッパ宇宙機関のProba-2は、革新的な技術の実証に特化した宇宙ミッションである。その極紫外線望遠鏡(SWAP)は、ベルギー王立天文台が主導している。

<ひとこと>: イメージのリンク先は動画 .mp4 です。

<出典>: Space Science(ESA)

 6月29日(日)
アンドロメダ銀河(その2)
(スパークするアンドロメダ)

2025年6月25日に公開されたこのイメージでは、メシエ31(M31)としても知られるアンドロメダ銀河が、天文学者ベラ・ルービン博士の画期的な遺産に敬意を表して、きらびやかに輝いている。

1960年代、ルービンと彼女の同僚はM31を研究し、銀河とその渦巻の腕の回転の仕方に影響を与えている、目に見えない物質が銀河にあることを突き止めた。

この未知の物質は「ダークマター」と名付けられた。

M31は、ミルキーウェイ銀河と約250万光年の距離にある渦巻銀河である。

天文学者達は、我々自身の渦巻きの構造と進化を理解するためにアンドロメダを使っているが、地球はミルキーウェイ銀河の中に埋め込まれているために、その構造を理解することが難しい。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Lee Mohon(著者名です)

 6月28日(土)
アンドロメダ銀河(その1)
(フライ・アイから見たアンドロメダ銀河)

ヨーロッパ宇宙機関のフライ・アイ(Flyeye)望遠鏡を使用して行われた、隣接する銀河、アンドロメダの観測。

アンドロメダは地球の空に非常に大きく見えるために、大きさでは満月の直径の6倍にもなり、暗い空でも肉眼で見ることができる。

NASAとヨーロッパ宇宙機関のハッブル宇宙望遠鏡のような専用の天体望遠鏡の場合、アンドロメダ銀河全体を見るには、何百もの個々の観測をつなぎ合わせる必要がある。例えば、このハッブル宇宙望遠鏡のアンドロメダのイメージは、10年以上の歳月と600枚のスナップショットを撮った。

一方、フライ・アイは、一度にできるだけ多くの空を見て、新しい地球近傍天体を迅速にスキャンするように設計された調査望遠鏡である。このアンドロメダのイメージは、望遠鏡の全視野の16分の1しか占めていない。

このイメージは、望遠鏡の「ファーストライト」キャンペーン中で、それぞれ30秒の、16回の露出を組み合わせて取得された。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Flyeye telescopes

 6月27日(金)
NASAの科学者達、地球の酸素と磁場の関係を発見

<イメージの説明>: 太陽風は地球の磁場の周りを流れる。NASAの新しい研究は、大気中の酸素の量と磁場の強さが、5億年以上にわたって相関していることを示唆している。

NASAの科学者達の分析によれば、5億4000万年の間、地球の磁場の強さの増減が大気中の酸素の変動と相関してきたことが新たに発表された。この研究は、地球の深部にあるプロセスが、地球の表面の居住可能性に影響を与える可能性があることを示唆している。

地球の磁場は、惑星の溶融内部の物質の流れから発生し、巨大な電磁石のように機能する。流れは完全には安定していないので、磁場は時間とともに変化する。多くの科学者達は、太陽から来る高エネルギー粒子によって大気が侵食されるのを防ぐためには磁場が重要である、と主張している。しかし、Science Advances誌に掲載された研究の著者は、大気の保存における磁場の役割は活発な研究分野であると指摘している。この研究の著者達は、磁場と酸素レベルとの間の因果関係の複雑さに取り組む前に、地球の磁場と大気が、関連性を示す方法で、変動しているかどうかを確認することを決めた。

地球の磁場の歴史は磁化された鉱物に記録されている。マグマとともに上昇する高温の鉱物は、広がる構造プレート(tectonic plate)の隙間で冷えると、周囲の磁場を記録することがある。鉱物は、再加熱が厳しすぎない限り、フィールドの記録を保持する。科学者達は、酸素の化学的含有量は、それらが形成されたときに利用可能な量に依存することから、古代の岩石や鉱物から歴史的な酸素レベルを推測することができる。地球の磁場と酸素の二つのデータは、無数の地球物理学者達や地球化学者達がまとめたデータベースで、同等の範囲に広がっている。この新しい研究の著者達は、これまでに、これらの記録の詳細な比較を行った科学者がいなかったと述べている。

--- 以下略。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: James Riordon(著者名です)

 6月26日(木)
遠い外へ

Pismis 24は、地球から約8,000光年にあるNGC 6357と呼ばれるはるかに大きな放射星雲の中にある。

写真の中で最も明るい天体は、かつては200〜300太陽質量という信じられないほど大きな質量を持つ単一の星であると考えられていた。それは、この銀河システムで知られている星の中で群を抜いて最も重い星となり、現在個々の恒星に関して考えられている質量の上限である約150太陽質量を大幅に超えるものになっていた。

しかし、NASAのハッブル宇宙望遠鏡による測定では、Pismis 24-1 は、実際には、二つの別々の星であり、そうすることで、それらの質量がそれぞれ約100〜150太陽質量に「半分」であったことがわかった。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Monika Luabeya(著者名です)

 6月25日(水)
Ready-to-Use データ、北米全体の陸地の動きを詳細に示す

ひとつのオンラインツールが測定値をマッピングし、専門家でなくても地震、地盤沈下、地滑り、その他の種類の地動を理解できる。

NASAは、フェアバンクスのアラスカ衛星施設と協力して、北米全体の陸地の動きを1インチ未満まで表示する強力なWebベースのツールを作成している。オンラインポータルとその基盤となるデータセットは、地震、火山、地滑り、地下水などの地下自然資源の抽出など、足元の土地がどこでどれだけ移動しているかを誰もが特定するのに役立つ衛星レーダー測定の宝庫を解く。

ジェット推進研究所の OPERA (Remote Sensing Analysis) プロジェクトから Observational Products for End-Users が主導するこの取り組みは、他の方法では作成に何年ものトレーニングが必要な情報をユーザーに提供できる。このプロジェクトは、衛星搭載の合成開口レーダー(SAR)からの測定に基づいて構築されており、地球の表面がどのように動いているかについての高解像度データを生成する。

正式には北米地表変位製品スイートと呼ばれているこの新しいデータセットは、2016年までの測定値ですぐに使用でき、ポータルでは、ユーザーがこれらの測定値を、ローカル、州、および地域のスケールで数秒で表示できる。データセットや Web サイトを使用していない人は、同様の分析を行うのに数日以上かかる可能性がある。

オンラインツールは測定値をマッピングし、専門家でなくても地震、地盤沈下、地滑り、およびその他の種類の地動を理解できる。

--- 以下略。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Jet Propulsion Laboratory

 6月24日(火)
NASAのCODEX、太陽の外部大気のユニークな景色を捉える

<イメージの説明>: NASAのCODEX装置によって導入された新技術のおかげで、科学者達は、初めて、太陽の外部大気の温度変化を観察できるようになった。このアニメーション化された色分けされたヒートマップは数日間の気温の変化を示しており、赤は暑い地域、紫は寒い地域を示している。

キーポイント:

  1.  NASAのCODEX調査では、太陽の外側の大気であるコロナのイメージが撮影され、その突風で不均一な流れの新たな側面が明らかになった。  
  2.  国際宇宙ステーションに設置されたCODEX機器は、コロナグラフ(物理ディスクで人工日食を作り出す科学ツール)で、特殊なフィルターを使用して太陽風の速度と温度を測定する。  
  3.  これらの世界初の測定は、科学者が宇宙天気のモデルを改善し、太陽が地球に与える影響をよりよく理解するのに役立つ。

NASAのCODEX(コロナ診断実験)調査(NASA’s CODEX ー Coronal Diagnostic Experiment ー investigation)のデータを分析している科学者達は、この装置の初めてのイメージの評価に成功し、太陽から流出する物質の速度と温度を明らかにした。火曜日にアラスカ州アンカレッジで開催されたアメリカ天文学会の記者会見で共有されたこれらのイメージは、太陽の外側の大気(またはコロナ)が、物質の均質で安定した流れではなく、高温のプラズマのスパッタリング突風のある領域であることを示している。これらのイメージは、科学者達が、太陽が地球や宇宙の技術にどのような影響を与えるかについての理解を深めるのに役立つ。

<左のイメージの説明>: 太陽は太陽風の形で物質を絶えず放射している。太陽の磁場がこの物質を形作り、時にはコロナルストリーマーと呼ばれる流れる光線のような形成物を作り出す。NASAのCODEX機器からのこの視界では、大きな暗いスポットが太陽からの明るい光の多くを遮っています。この光の遮断で、その敏感な装置は、太陽の外側の大気のかすかな光を捉えることができる。

  

<右下のイメージの説明>: NASAのミッションでは、コロナグラフを使用してさまざまな方法で太陽を調査しているが、全てが同じものを見ているわけではない。NASAとESAの太陽天文台と太陽圏天文台(SOHO)の共同ミッションのコロナグラフは、太陽コロナからの可視光を広い視野と小さな視野の両方で見ている。CODEX機器の視野は中間のどこかにあるが、背景の太陽風の温度と速度の変化を理解するために青色光を見ている。

この重なり合う太陽観測の合成イメージでは、中央と左のパネルは、オーバーレイで異なるコロナグラフの視野範囲を示し、太陽半径の観測範囲でラベル付けされている。3 番目のパネルは、大きな CODEX イメージのズームインされ色分けされた部分を示している。これは、CODEX 405.0および393.5nmフィルターを使用して、太陽コロナのその部分の温度比を強調している。

これらの新しい測定によって、科学者達は、太陽風の源のエネルギーをより適切に特徴付けることができる。

CODEX装置は、4つの狭帯域フィルタ(温度用に2つ、速度用に2つ)を使って太陽風のデータを取得する。これらの各フィルターの画像の明るさを比較することで、コロナ太陽風の温度と速度を知ることができる。

太陽風の速度と温度を理解することは、科学者達が、太陽の振る舞いをモデル化および予測するために必要な、より正確な太陽のイメージを作るのに役立つ。

<ひとこと>: 一部省略。大判はイメージのリンクから。

<出典>: NASA Science Editorial Team

 6月23日(月)
強いフレアが太陽から噴出

太陽は強い太陽フレアを放出し、東部標準時6月19日午後7時50分(日本時間6月20日曜日午前9時50分)にピークに達した。太陽を常に監視しているNASAのソーラーダイナミクス天文台(SDO)は、この出来事のイメージを撮った。

このフレアはX1.9フレアに分類される。Xクラスは最も強いフレアを示し、数字はその強度についてより多くの情報を提供する。

このような宇宙の気象が地球にどのような影響を与えるかについては、米国政府の公式ソースである NOAAのSpace Weather Prediction Center の(宇宙天気予報、監視、警告、警報)を参照。

<ひとこと>: 以上、要点のみ。前回の爆発は6月19日の記事参照。

<出典>: Sarah Frazier(著者名です)

 6月22日(日)
月偵察軌道船、アイスペースのハクト2月面着陸船の衝突現場を視る

<左のイメージの説明>: 2025年6月11日、NASAの月面偵察軌道船のカメラ(LROC)で撮影されたレジリエンスの月着陸船の衝突地点。着陸船は、微妙な明るいハローに囲まれた暗い汚れをつくり出した。

 

6月11日、NASAの月偵察軌道船(LRO:Lunar Reconnaissance Orbiter)は、2025年6月5日(UTC)に月着陸船「ispace Mission 2 SMBC x HAKUTO-R Venture Moon(RESILIENCE)」がハードランディングを行った場所を撮影した。

レジリエンスは、1月15日に、(注:日本が主体の)民間資金による宇宙船で打上げられた。

軌道船の右の狭角カメラは、しわの尾根( wrinkle ridges)として知られる大規模な断層が点在する火山地域であるメア・フリゴリス(Mare Frigoris)の表面から約50マイル上空からこのイメージを捉えた。

写真の矢印の上に見える暗い汚れは、その着陸船が表面に衝突し、月の「土壌」を構成する岩石とダスト、レゴリスを蹴り上げたときに形成された。この部分を囲むかすかな明るいハローは、繊細な表面を洗い流す低角度のレゴリス粒子に起因している。

 

<右のイメージの説明>: このアニメーションは、レジリエンスの衝突前・後のサイトを示している。イメージは北が上。西から東、または左から右を見る写真のエリアは2マイル(3.2キロメートル)をカバーしている。

 

<ひとこと>: それぞれの大判はイメージをクリック(タップ)。

月偵察軌道船(ルナ・リコネッサンス・オービター)は、2009年6月18日に打上げられた、NASAの、現在も活躍中の軌道船です。

<出典>: Goddard Digital Team

 6月21日(土)
パーサビアランス、インジェニュイティと自画像を撮る

火星日46(2021年4月6日)、火星探査ローバーパーサビアランスは、火星で初めての自撮りをするためにロボットアームを差し出した。

そのアームの先端にあるワトソン(WATSON)カメラは、火星の岩石やその表面のディテールをクローズアップするように設計された。

最終的には、チームワークと火星時間での数週間、パーサビアランスとその周辺を含む複雑な一連の露出とカメラの動きを計画する必要があった。

その結果、62のフレームが詳細な合成に構成され、これまでに撮影された火星探査車の自画像の中で最も複雑なものの1つとなった。

このバージョンの自画像では、ローバーのマストカメラZおよびスーパーカメラ(SuperCam)装置が、ワトソンとローバーの、伸ばした腕の先を見えている。

パーサビアランスから約4メートルのところに、このロボットの仲間であるマーズ・インジェニュイティ・ヘリコプターがある。

パーサヴィアランスは、これまでに、火星日1,500日以上を費やして火星の地表を探索してきた。

インジェニュイティは、地球の日付である2024年1月18日に、火星の薄い大気中を72回目かつ最後の飛行を行った。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 6月20日(金)
「今日の天文写真」、30年目を迎える

今日(2025年6月16日)、「今日の天文写真」(APOD:Astronomy Picture of the Day)は、30年目を迎えた。

今日の写真(左)は、過去のAPODをタイルとして配置し、地球の夜空を最もよく知らしめ、心を揺さぶる描写の一つを思い出させるような、一つのピクセル化された画像を作り出している。実際に、この星月夜は、過去5年間にAPODに投稿された1,836枚の個々の画像が、32,232枚のタイルのモザイクで構成されている。

今日、APODは、寄稿者、ボランティア、読者の皆様に心から感謝申し上げる。

過去30年間、皆様の継続的な努力により、我々は宇宙の発見を楽しみ、刺激し、共有することができた。

<ひとこと>: 「今日の天文写真」(APOD)は、このコーナーでもしばしば引用しているサイトです。(ただし、著作権保護の指定のある記事及びその疑いにある記事は避けています。)

解説にはありませんが、このイメージは、ゴッホの「星の夜:Starry Night」(右図)を模倣して描かれたものです。それぞれの大判はイメージのリンク先からご覧ください。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 6月19日(木)
太陽、強いフレアを放出

太陽は強い火炎を放出し、東部標準時2025年6月17日(火)午後5時49分(日本時間6月18日水曜日午前7時49分)にピークに達した。太陽を常に監視しているNASAのソーラーダイナミクス天文台(SDO)はこの出来事のイメージを撮った。

太陽フレアは、強力なエネルギーの爆発である。無線通信、電力網、航法信号に影響を与え、宇宙船や宇宙飛行士にリスクをもたらす可能性がある。

このフレアは X1.2 に分類される。Xクラスは最も強いフレアを示し、数字はその強度についてより多くの情報を提供する。

このような宇宙の気象が地球にどのような影響を与えるかについては、米国政府の公式のソース、NOAAの 宇宙気象予報センタ(Space Weather Prediction Center) から。NASAは、米国の宇宙天気への取り組みの研究部門として活動している。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。

<出典>: Miles Hatfield(著者名です)

 6月18日(水)
NASAのPACE、植物の健康に関する年間の地上データを明らかに

<イメージの説明>: 研究者達は、葉の色のわずかな変化を検出することによって、陸生植物の健康状態に関する年間のデータを収集している。これまでのミッションでは、植物に緑色を与え、光合成を可能にする色素であるクロロフィルの広範な変化を観察することができた。しかし、PACEによって、科学者達は、植物中の3つの異なる色素、クロロフィル、アントシアニン、カロテノイドを見ることができるようになった。これら3つの色素の組み合わせによって、科学者達は、植物の健康について、更に多くの情報を特定することができる。

 

春や雨季には新たな成長がもたらされる一方で、気温の低下や乾燥した天候では緑色が枯れてしまうために、地球の森林や植生は1年で多くの変化を遂げる。今、NASAの新しいタイプの視覚化が、宇宙から見た色の完全な補完物でこれらの変化を示している。

NASAのプランクトン、エアロゾル、雲、海洋生態系(PACE)衛星は、地球の微細な海洋植物を新しいレンズで見るように設計されているが、研究者達は、陸上でも高度なスペクトルの使用を証明している。

これまでのミッションでは、植物に緑色を与え、光合成を可能にする色素であるクロロフィルの広範な変化が測定された。今回、PACEの測定によって、NASAの科学者達や視覚研究者達は、クロロフィル、アントシアニン、カロテノイドの3つの色素を使って、全球の植生データを1年間表示することが初めて可能になった。このマルチカラー画像は、葉の色の最小の変動を検出することで、陸生植物の健康状態についてより明確なストーリーを伝えている。

--- 以下略。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。右のイメージのリンク先は動画 Youtube です。

<出典>: Erica McNamee(著者名です)

 6月17日(火)

<前書き>:溜まっている記事のいくつかをまとめて掲載します。今日は「銀河」に関する記事を取り上げます。それぞれ独立した別の記事であることをお含みおきください。

<その1>:美しいピンク

メシエ81(M81)として知られる渦巻銀河が、NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡、ハッブル宇宙望遠鏡、およびNASAの銀河進化探査機(Galaxy Evolution Explorer)からのデータを組み込んだこの2007年6月1日の合成画像で、バラ色に染まっている。

1774年にドイツの天文学者ヨハン・エラート・ボーデによって発見されたこのM81は、夜空で最も明るい銀河の1つである。地球から1160万光年のおおぐま座に位置している。

銀河の渦巻の腕は、その核まで曲がりくねっており、過去数百万年の間に形成された若い青みがかった熱い星で構成されている。それらはまた、約6億年前に始まった星形成のエピソードで形成された星の集団を宿している。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Monika Luabeya(著者名です)

 

<その2>:メシェ101

この大きく美しい渦巻銀河M101は、シャルル・メシエの有名なカタログの最後のエントリの1つであるが、間違いなく最も小さいものではない。

直径約17万光年のこの銀河は巨大であり、ミルキウェイ銀河の約2倍の大きさである。

M101は、ローズ卿の19世紀の大型望遠鏡であるパーソン・タウンのリヴァイアサンによって観測された最初の渦巻星雲の1つでもあった。

地上の望遠鏡からの追加のデータとともに、20世紀と21世紀にハッブル宇宙望遠鏡によって記録された51回の露出から組み立てられたこの合成は、これまでにハッブルから公表された最高解像度の渦巻銀河の肖像画の1つであり、M101の中央領域を横断して約40,000光年に及んでいる。

この鮮明なイメージでは、銀河の星とダストのフェース・オンのディスクの見事な特徴と背景の銀河を示しており、一部はM101自体を通して見える。

かざぐるま銀河としても知られるM101はおおぐま座の北の方角にあり、約2500万光年離れている。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

  

<その3>:NGC 3344 に面する

ミルキーウェイ銀河の見晴らしの良い場所からは、NGC 3344 が正面から見える。直径約40,000光年、大きくて美しい渦巻銀河は、しし座から僅か2,000万光年離れた場所にある。

NGC 3344のこのマルチカラーのハッブル宇宙望遠鏡のクローズアップには、近赤外線から紫外線までの驚くべき詳細が含まれている。

このフレームは、螺旋の中央領域を横切って約15,000光年に伸びている。銀河の色は、中心にある古い星の黄色がかった光から、ゆるく断片化された渦巻の腕に沿って若く青い星団や赤みがかった星形成領域に変化する。

NGC 3344の前にある尖った外観の明るい星は、もちろん我々のミルキーウェイ銀河の中に横たわっている。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 6月16日(月)

<前書き>:溜まっている記事のいくつかをまとめて掲載します。今日は「ブラックホール」に関する記事を取り上げます。それぞれが独立した別の記事であることをお含みおきください。

<その1>:超大質量ブラックホールのスピンアップ

ブラックホールはどのくらいの速さで回転できるのだろう? 通常の物質でできた物体が速く回転し過ぎると、それ自体がバラバラになる。

しかし、ブラックホールはバラバラにできないかも知れないし、その最大回転速度は分かっていない。

理論家達は、通常、アインシュタインの一般相対性理論に対する解を使って、急速に回転するブラックホールをモデル化し、いくつかの驚くべきことと珍しいことを予測する。

しかし、最も簡単に検証できる予測は、最大回転するブラックホールに入る物質は、恐らく、遠くから見た光速に近い速度で公転しているのが最後に見られるはずだということである。

この予測は、NASAのNuSTAR衛星とESAのXMM衛星によって、渦巻銀河NGC 1365の中心にある超大質量ブラックホールを観測することによってテストされた。

光速限界に近いことは、周囲の降着円盤の内側の端での、放出物の加熱とスペクトル線の広がりを測定することによって確認された。

ここに描かれているのは、ブラックホールの周りを渦巻く通常の物質の降着円盤を描いたアーティストのイラストであり、上部からジェットが発せられている。

ブラックホールにランダムに落下する物質は、ブラックホールをこれほど回転させるはずがないため、NuSTARとXMMの測定は、周囲の降着円盤の存在をも検証している。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 

<その2>:連ったブラックホールの二重に歪んだ世界

ひとつのブラックホールが奇妙に見えるなら、二つのブラックホールはどうだろう?

この詳細なコンピュータの視覚化では、軌道を周回する一対の超大質量ブラックホールの周りの降着円盤からの光が、極端な重力によって生成された歪んだ時空を通り抜ける。

シミュレートされた降着円盤には、2億の太陽質量のブラックホールを囲む円盤を赤、1億の太陽質量のブラックホールを囲む円盤を青とする、異なる偽色の配色が与えられている。しかし、これらの質量の場合、両方の降着円盤は実際にはほとんどの光を紫外線で放出する。

このビデオでは、各ブラックホールの両側を同時に見ることができる。両方のブラックホールから発生する赤と青の光は、事象の地平線近くの光球と呼ばれる最も内側の光の輪に見ることができる。

過去10年間で、ブラックホールの衝突による重力波は実際に検出されているが、超大質量ブラックホールの合体はまだ発見されていない。

<ひとこと>: イメージのリンク先は動画 Youtube です。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

  

<その3>:ウェッブの渦巻銀河NGC 2566

渦巻銀河NGC 2566の中心では何が起こっているのだろう? 

最初に、注目の赤外線画像の中心から出ているように見える8本の光線は本物ではなく、ウェッブ宇宙望遠鏡自体の機械的構造によって引き起こされた回折スパイクである。

NGC 2566の中心部は、珍しいとは考えられない程度に明るいが、現在はあまり活動していないものの超大質量のブラックホールが含まれている可能性がある。

僅か7600万光年しか離れていない今日、NGC 2566から見える光は、恐竜が地球を歩き回っていたときに残された。

絵のように美しいこの銀河は、ウェッブやハッブルなどの地球の望遠鏡が、星が形成される可能性のあるガスとダストの乱流の雲を解読でき、星の進化の研究を可能にするほど近くにある。

NGC 2566は、ミルキウェイ銀河とサイズが似ており、中央の明るい棒と目立つ外側の渦巻きの腕が特徴である。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 6月15日(日)
ハービック・ハロー24

これは双刃のライトセーバーのように見えるかもしれないが、実際には、この2つの宇宙のジェットは、近くの銀河の生まれたばかりの星から外に向かって放射されている。

ハッブル宇宙望遠鏡の画像データから構築されたこの見事なシーンは、約1,300光年または400パーセク離れたオリオンB分子雲複合体の恒星の苗床にあるハービック・ハロー24(Herbig-Haro 24:HH 24)を横断する約半光年にわたって広がっている。このHH 24の中心の原始星は、直視できないように隠されており、冷たいダストとガスが平らになって回転する降着円盤になっている。

円盤からの物質が若い恒星の天体に向かって落下すると熱くなる。対向するジェットがシステムの回転軸に沿って吹き出される。狭いエネルギーの強いジェットが、この域の星間物質を切り裂くように、その経路に沿って一連の輝く衝撃面をつくり出す。

<ひとこと>: “ハービック・ハロー(Herbig-Haro)”は こちら を参照。大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 6月14日(土)
真の色のエンケラドウス

土星の衛星エンケラドゥスの氷の下の海には生命がいるだろうか?  そう考える理由は、月の氷の内部から宇宙に氷を噴出していることが知られている長い亀裂 ---タイガー・ストライプ(トラの縞)と呼ばれる---に関係している。

これらの表面の亀裂は、月の南極に細かい氷の粒子の雲を作り、土星の神秘的なEリングを作り出している。

その証拠は、2004年から2017年にかけて土星を周回した、ロボット「カッシーニ」宇宙船によってもたらされた。

この写真では、エンケラドゥスの高解像度のイメージが、フライバイからのトルー・カラー(人間の目で見た色)で示されている。

深いクレバスが部分的に影になっている。

エンケラドゥスが何故活動しているのかは謎のままであり、隣の衛星ミマスはほぼ同じ大きさであるにも関わらず死んでいるように見える。
放出された氷の粒の分析によって、エンケラドゥスの内部に複雑な有機分子が存在するという証拠が得られている。

これらの大きな炭素に富んだ分子は、エンケラドゥスの表面の下の海に生命が生息している可能性があることを補強しているが、証明はしていない。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 6月13日(金)
NASAのIXPE、初めてマグネター爆発のX線偏光測定を得る

<動画の説明>: 磁力線を示すマグネターの図解。マグネターは孤立した中性子星の一種。その磁場は、冷蔵庫の磁石の10兆倍、一般的な中性子星の1000倍も強力である。図は、天文学者達がマグネターの爆発を動力源としていると考えている巨大なエネルギーの貯蔵庫を表している。

宇宙で最も魅力的な物体が、太陽1,000個分の力でほんの数秒で輝くとどうなるだろう? NASAのIXPE(Imaging X-ray Polarimetry Explorer)は、イタリア宇宙機関と共同で行われたミッションのおかげで、科学者達はこの極端な現象の理解に一歩近づいた。

マグネター は若い中性子星の一種であり、大質量の星が寿命を迎えて崩壊し、太陽とほぼ同じ質量の密集した核のみが都市の大きさにまで押しつぶされたときに形成される恒星の残骸である。中性子星は、観測可能な宇宙で最も極端ないくつかの物理を示しており、地球上の実験室では再現できない条件を研究するユニークな機会を提供している。

マグネター1E 1841-045は、地球から約28,000光年離れた超新星爆発(SNR Kes 73)の残骸に位置し、2024年8月21日にNASAのスウィフト望遠鏡、フェルミ望遠鏡、NICER望遠鏡によって爆発状態にあることが観測された。

マグネターは、多くの中性子星よりも数千倍強い磁場を持ち、宇宙の既知の物体の中で最も強い磁場を持っている。その極端な磁場の乱れによって、マグネターは、数週間にわたって通常の最大1000倍のX線エネルギーを放出する可能性がある。この強化された状態はアウトバーストと呼ばれるが、その背後にあるメカニズムはまだよくわかっていない。

IXPEのX線偏光測定を通じて、科学者達は、これらの出来事の謎の解明に近づくことができるかも知れない。偏光は、放出されたX線光の波の向きと位置合わせに関する情報を運ぶ。偏光度が高ければ高いほど、X線波は同期して伝わる。マグネターの偏光特性を調べると、観測された光子を生成するエネルギープロセスや、マグネター磁場の方向と形状についての手がかりが明らかになる。

NASAのNuSTAR望遠鏡とNICER望遠鏡からの観測に支えられたIXPEの結果は、1E 1841-045からのX線放射が、同じ伝搬方向を維持しながら、より高いエネルギーレベルでより偏光することを示している。この高い分極度への大きな貢献は、IXPEによって観測される最高の光子エネルギーを支配する高エネルギー磁気圏成分である1E 1841-045の硬X線から来ている。「硬X線」とは、「軟X線」よりも波長が短く、エネルギーが高いX線を指す。マグネターでは一般的であるが、これらの高エネルギーX線光子の生成を駆動するメカニズムはまだほとんどわかっていない。この放出を説明するためにいくつかの理論が提起されているが、現在では、これらの硬X線に関連する高偏光が、その起源に関するさらなる手がかりを提供している。

--- 以下略。

<ひとこと>: イメージのリンク先は動画 .mp4 です。

<出典>: Beth Ridgeway(著者名です)

 6月12日(木)
M1:信じられないほど拡大するカニ

M1としてカタログ化されたかに星雲は、チャールズ・メシエの有名な彗星ではないもののリストの最初である。 実際に、かに星雲 は超新星の残骸であり、現在も拡大していることが知られている。

大質量の星の死の爆発による破片の雲の、このカニの激しい誕生は、1054年に、天文学者達によって目撃された。
(参考;その爆発は、中国の記録『宋史』『天文志』や日本の藤原定家の日記『明月記』にも記録が残っている。)

直径約10光年、この星雲はまだ秒速約1,500キロメートルの速度で膨張している。ハッブル宇宙望遠鏡とジェームズウェッブ宇宙望遠鏡によるこれらの鮮明なイメージを比較すると拡大が確認できる。

カニのダイナミックな断片化されたフィラメントは、2005年にハッブル宇宙望遠鏡による可視光線、2023年にウェッブ宇宙望遠鏡による赤外線の光で目に見える形で捉えられた。この宇宙の甲殻類はおうし座の約6,500光年にある。

2005年ハッブル宇宙望遠鏡(左)2023年ウェッブ宇宙望遠鏡(右)

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 6月11日(水)

浸透する手がかり:NASA、惑星のコアを構築する新しい方法をモデル化

<イメージの説明>: NASAのパーサビアランス・ローバーは、古代の川、ネレトヴァ谷(Neretva Vallis)のチャネルを走行していたとき、「ブライト・エンジェル(Bright Angel)」と呼ばれる科学的関心の地域、図の右側に見える明るい色調のエリアのこの景色を捉えた。この地域には、後にチャネルを埋め尽くした古代の堆積物、または、その後川の浸食によって露出した、はるかに古い岩を表している可能性のある明るい色調の岩の露頭がある。

NASAの新しい研究は、惑星のコアが形成された可能性のある驚くべき方法を明らかにしている。これは、科学者達が、火星のような岩石惑星の初期の進化を、どのように理解するかを変える可能性がある。

ジョンソン宇宙センタの天体素材研究探査科学(ARES)部門の若手科学者と長年の研究者からなるチームによって実施されたこの研究では、金属ではなく溶融した硫化物が固体の岩石を透過してコアを形成することができるという初めての直接的な実験的および地球化学的証拠を提供している。

科学者達は、何十年もの間、コアを形成するには惑星体の大規模な融解が必要であり、その後に重金属の元素が中心に沈む必要があると考えていた。この研究は、特に太陽から遠くに形成される惑星、つまり硫黄と酸素が鉄よりも豊富に存在する惑星に関連する新しいシナリオを導入している。このような揮発性の高い環境では、硫黄は凍った道路の道路塩のように振る舞い、金属鉄と反応して硫化鉄を形成することで融点を下げ、移動してコアに結合する。これまで、科学者達は、現実的な惑星形成条件下で硫化物が固体岩石を移動できるかどうかを知らなかった。

このプロジェクトに取り組むことで、我々は創造力を発揮するようになった。二つのデータストリームが同じストーリーに収束するのを見るのはエキサイティングだった。

この研究結果によって、研究者達は、高解像度の3D画像を使ってこのプロセスを直接観察する方法を得ることができ、固体岩石の微細な亀裂を通って高密度の液体硫化物が移動するパーコレーションによってコア形成がどのように発生するかについての長年のモデルを確認した。

研究室で惑星形成条件を再現するには、実験の精度だけでなく、ARES全体の若手科学者間の緊密な協力が必要であり、結果を観察および分析する新しい方法を開発する必要があった。高温実験は、まず実験的な岩石学研究室で行われ、その後、得られたサンプル(または「実行製品」)は、NASAジョンソンのX線コンピュータ断層撮影(XCT)研究室に持ち込まれ、イメージングが行われた。

--- 以下略。

<ひとこと>: 記事の内容は専門的であり、訳文には誤りがあるかも知れません。大判イメージはリンク先から。

<出典>: Victoria Segovia(著者名です)

 6月10日(火)
ウェッブによる新しい視覚化が宇宙の崖を探査

<イメージの説明>: 2022年7月、NASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、現在「宇宙の崖(Cosmic Cliffs)」と呼ばれる地域の息を呑むような景色を明らかにし、歴史に名を残した。信じられないほど詳細に捉えられたこのきらびやかな風景は、ガスとダストの雲の中で星が生まれている、広大なカリーナ星雲複合体の小さな断片、星雲ガム31の一部である。この視覚化は、ウェッブの象徴的なイメージに命を吹き込んでいる。

 

2022年7月、NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、息を呑むような一連のイメージとともに初公開された。その中には、宇宙の崖(Cosmic Cliff)と呼ばれる優美な風景があった。このきらびやかな星誕生の領域は、ウェッブ宇宙望遠鏡のデータから導き出された新しい3次元視覚化の主題である。NASA の Universe of Learning によって作成され、「3次元で宇宙の崖を探査する(Exploring the Cosmic Cliffs in 3D)」と題されたこの視覚化は、象徴的な Webb のイメージに新たな命を吹き込んでいる。

宇宙の崖として知られる「山」と「谷」の風景は、実際にはNGC 3324と呼ばれる若い星団を含む星雲 Gum 31 の一部である。 Gum 31 とNGC 3324は、いづれも、カリーナ星雲複合体(Carina Nebula Complex)として知られる広大な星形成領域の一部である。

NGC 3324の星からの紫外線と星の風は、 Gum 31 の中に洞窟のような領域を彫っている。この巨大な泡の一部が「宇宙の崖」の上に見える。(星団自体はこの視野の外側にある)。

断崖の絶壁は、天の山々から立ち上る「蒸気」ように見える、霧のかかった外観を呈している。実際には、この小片は熱く、電離したガスとダストが、容赦ない紫外線の猛攻撃を受けて星雲から流れ出している。

鋭い観察眼を持つ視聴者達は、宇宙の崖に埋め込まれた、若くまだ形成中の星からの流出を表す特に明るい黄色の縞や弧を見つけることもできる。動画の後の部分では、イメージの右上にある目立った原始星のジェットを通り過ぎる。

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<ひとこと>: 右のイメージのリンク先は動画 Youtube です。

<出典>: NASA Webb Mission Team

 6月9日(月)
火星着陸を撮る

<前書き>: HAKUTO-Rには、予定された日本時間2025年6月6日(金)午前3時13分に、着陸シーケンスの実行を指示するコマンドを送信された。ランダーの姿勢がほぼ垂直になったことを確認されたものの、その後、テレメトリが消失し、同日午前4時17分に予定していた着陸予定時刻を過ぎても、着陸を示すデータの受信には至らなかった。
現時点で確認できていることとして、月面との距離を測距するレーザーレンジファインダーにおいて、有効な計測値の取得が遅れ、また予定されていた月面着陸に必要な速度まで十分に減速ができていなかったことが確認されている。これらの状況から、ランダーは最終的に月面へハードランディングした可能性が高いと現時点で推測されている。
以上 ispace の発表 から要約。

日本版民間月探査機ハクトR(HAKUTO-R)の月着陸の不成功は非常に残念なことでしたが、今後の更なる研究を期待しましょう。折から、ヨーロッパ宇宙機関から、火星着陸実験の記事が掲載されましたでご紹介します。宇宙探査において、技術的に最も難しいのは、打上と正確な軌道入りまたは着陸と言われています。これまでに、多くの探査機が不成功に終わり失われています。なお、この動画 .mp4 は、ヨーロッパ宇宙機関の次期火星探査車ロザリンド・フランクリンを運ぶ、エクソマーズ着陸モジュールの着陸のための実験です。

 

火星の大気圏突入時の空気力学を模倣した小型カプセルが時速4000kmで飛び立ち、超音速で壁に衝突する。

EDLM(Entry, Descent and Landing Module:軌道入り、降下、着陸モジュール)の小さなレプリカが、スピードを上げる弾丸よりも速く滑らかな口径の銃から発射される。このビデオは60倍スローダウンされており、実際の飛行はわずか30秒しか続かなかった。

この活動は、エクソマーズ着陸モジュールの縮小版を使用した一連の自由飛行実験の一部であり、ロザリンド・フランクリン・ローバーを搭載する実際の3.8メートルの宇宙船と比較して、直径はわずか8cmである。

これらのテストは、宇宙船が火星の大気圏に突入する際にどのように振る舞うかに関する重要なデータを提供する。火星への2年間の旅の後、エクソマーズ降下モジュールは、熱シールド、パラシュート、レトロロケットに頼って安全に着陸するために、時速21,000kmの速度で火星に接近する。

最初の一連のテストは、再突入カプセルのような乗り物の空気力学を調査する施設を備えた最前線の研究センタであるフランス・ドイツ研究所(ISL)で3月に行われた。

エンジニア達は、ミニExoMars着陸カプセルに内部電子機器を装備し、400メートルの飛行経路を監視した。テストモデルは、スムースパウダーガンから発射されるとカプセルから分離する特別なサボに取り付けられた。試験速度は時速1800kmから4300kmの範囲だった。

テストでは20台のモデルを使用した。各モデルには、飛行データを収集するためのいくつかのセンサーが搭載されていた。チームは、シャドウグラフイメージング、磁力計、加速度計、レーダーを使用して、カプセルの動き、軌道、安定性を分析した。

<ひとこと>: イメージのリンク先は動画 .mp4 です。

<出典>: ExoMars

 6月8日(日)
タイタン:土星を覆う月

地球の月のように、土星最大の衛星タイタンは、その惑星と同期して自転している。2012年5月にカッシーニ宇宙船によって記録されたイメージのこの合成は、そのリングのガス巨人土星の、常に反対側を向いている側の面を示している。

太陽系で唯一、大気が濃い月タイタンは、その表面に液体を持ち、液体の雨と蒸発の地球のようなサイクルを有する、地球以外で知られている唯一の太陽系の世界である。

土星のリングと雲の頂きにある直径5,000キロメートルのこの月のカッシーニの視界に、その高高度の大気のもやの層が明らかである。中央近くにはシャングリラ(Shangri-La)と呼ばれる暗い砂丘が広がる地域がある。

カッシーニが運んだホイヘンス探査機が、地球からの最も遠い宇宙船のとして着陸の後、中央の左下にある。

<ひとこと>: 土星の衛星タイタンは、太陽系で確認された、地球以外で唯一の液体を持つ世界である。ただし、その液体は水ではなくメタンであると考えられている。その地表には多数の湖があり、川が流れている。ヨーロッパ宇宙機関のホイヘンス探査機は、NASAのカッシーニ土星探査機に積まれてタイタンに向かった。着陸は確認されたが間もなく通信が途絶えた。

大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

 6月7日(土)
マウナケアの夜空に伸びるレーザーガイド星生成システム
(すばる望遠鏡)

夜、星を見上げるとチカチカと瞬いて見えます。これは温度や密度の揺らぎ(大気揺らぎ)によって大気の屈折率が変化し、星の光が乱されるためです。地上の望遠鏡では観測する星の像がこの大気揺らぎによって広がってしまうという問題があります。この影響を克服する技術が「補償光学」です。補償光学では、観測天体の近くの明るい星(ガイド星)の光の波面を観測し、大気揺らぎの影響を打ち消すように鏡の表面の形状を変えて、シャープな天体の像を得ます。

観測天体の近くに明るい星がない場合は、レーザーによって人工的なガイド星(レーザーガイド星)を作ります。この画像では、マウナケアの夜空にレーザーガイド星生成システムによる光が伸びています。レーザーで空に人工的な星をつくり、大気のゆらぎを測定することで、シャープな星の像を得ることができます。

<ひとこと>: 詳細は下記リンク先から。

<出典>: すばる望遠鏡

 6月6日(金)
ハッブル宇宙望遠鏡35周年記念

NASAのハッブル宇宙望遠鏡は、2025年に軌道上での35年を迎える。1990年4月の打上と展開以来、ハッブル宇宙望遠鏡は、我々の宇宙の強力な観測で天文学の教科書を塗り替えてきた。

ハッブル宇宙望遠鏡は、地球低軌道上の大気圏の上空の最適な位置にあることから、遮るものなく宇宙を眺めることができる。ハッブルの象徴的なイメージは、太陽系の惑星から数十億光年離れた銀河まで、全世界の科学的および文化的資産であり続けている。

宇宙飛行士のサービスミッションと地上の才能あるエンジニアのチームのおかげで、ハッブル宇宙望遠鏡は、打上げから数十年経った今でも健康に運用を続けている。紫外線、可視光線、近赤外光で観測する独自の能力を持つハッブル宇宙望遠鏡は、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡や近日公開予定のナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡などのミッションを補完する貴重なチームメイトである。

2025年、ハッブル宇宙望遠鏡の記念日を記念して、息を呑むような新しい画像、動画、教材、インタラクティブなウェッブアプリなどが登場する。イベントの日程、製品、アクティビティを継続的に発表し、Facebook、Instagram、X でフォローしたり、ハッシュタグ #Hubble35 を使用して、年間を通して確認しよう。

<ひとこと>: 打上の35周年に当たり、ハッブル宇宙望遠鏡のサイトでは記念の記事を掲載しています。下のリンクから、様々な実績をご覧ください。

6月のオブジェクトブラックホール

<出典>: Hubble Space Telescope

 6月5日(木)
嵐を呼ぶ太古の巨大棒渦巻銀河
(国立天文台)

<イメージの説明>: 「J0107a」銀河。左は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測による近赤外線画像。画面下の2つは近距離にある天体。(クレジット:NASA)右は、アルマ望遠鏡によって観測されたガスの分布。棒状構造は時計回りに回転している。大量のガスが、回転の前方の縁から中心に向かって落ち込んでいる。

棒渦巻(ぼううずまき)構造を持つモンスター銀河について、その棒状構造のガスの分布と運動を、アルマ望遠鏡が詳細に捉えました。その結果、初期の宇宙に存在したこの銀河は、現在の宇宙に存在する棒渦巻銀河とはたいへん似通った姿でありながらも、その棒状構造の中ではガスが激しく吹き荒れ、猛烈な星形成を起こしていることが明らかになりました。銀河の成長と進化の歴史に新たな知見を加える重要な研究成果です。

宇宙の誕生から数十億年の初期宇宙には、現在の宇宙に存在する銀河の数百倍もの勢いで星を形成するモンスター銀河が数多く存在していました。その激しい星形成の結果として生じる多くの塵(ちり)は可視光線を吸収してしまうため、塵の影響を受けにくいミリ波・サブミリ波での観測で検出されてきました。

モンスター銀河はやがて巨大楕円(だえん)銀河へと成長すると考えられてきました。しかし近年は、電波と同様に塵の影響を受けにくい赤外線による観測でもその姿が捉えられ、円盤構造を持つモンスター銀河も多いことが分かってきました。特に、高い解像度を誇るジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による観測から、モンスター銀河の中でも円盤構造を持つ渦巻(うずまき)銀河の姿が、次々に捉えられています。しかし、JWSTでは銀河内のガスの運動を詳しく調べることは困難で、活発な星形成が起こるメカニズムを解明するには至りませんでした。

円盤を持つモンスター銀河の星形成を詳しく調べるため、国立天文台などの研究者から成る研究チームは、「J0107a」という銀河に着目しました。JWSTによる観測で巨大な棒渦巻構造が捉えられている銀河です。研究チームは、この銀河内のガスの運動を知るために、アルマ望遠鏡を用いて星間分子から放出される電波を観測しました。その結果、この銀河と現在の宇宙に存在する棒渦巻銀河とを比べると、棒状構造のガスの分布と運動はたいへん似通っていながらも、棒状構造の中に含まれる星に対するガスの割合とガスの速度は、異なっていることが分かりました。J0107aの棒状構造の中のガスの割合は、現在の銀河の数倍にのぼり、秒速数百キロメートルという速さのガスの流れが半径2万光年という範囲で激しく吹き荒れ、そのガスの一部が銀河の中心に落ち込んで猛烈な星形成を起こしていたのです。これは、初期宇宙の銀河において棒渦巻構造が形成される過程を見ていると考えられます。このような構造や過程が観測的に捉えられたのは初めてで、理論やシミュレーションでも予測されていませんでした。

--- 以下略。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: 国立天文台

 6月4日(水)
宇宙最大級の超巨大ブラックホールの集団を発見
宇宙の物質分布に新たな謎を投げかける
(すばる望遠鏡)

<イメージの説明>: 本研究で発見された超巨大ブラックホール(クエーサー)の集団。くじら座の方向にあります。背景画像は、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラで撮影されたものです。赤色の影はクエーサーの密度を、青色の影は周囲に分布する数百個の銀河の密度を表します。小さな白枠はクエーサーの位置を、拡大枠はそれぞれのズーム画像を示しています。

国立天文台や東京大学の研究者を含む国際共同研究チームは、くじら座の方向の約 108 億年前の宇宙で 11 個の超巨大ブラックホールが一斉に輝く構造を発見しました。これほど密集した超巨大ブラックホールの集団が見つかったのは、初めてのことです。すばる望遠鏡による広視野観測と、スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)のデータを組み合わせた解析から、これらのブラックホールが、成長しつつある宇宙構造の境界に位置していることが明らかになりました。今回の発見は、初期宇宙で銀河団などの構造が形づくられていく過程で、超巨大ブラックホールがどこでどのように成長するのかという、これまでの常識に一石を投じるものです。

超巨大ブラックホールは、周囲のガスや物質を活発に取り込むことで、莫大なエネルギーを放ち、まるで宇宙の灯台のように輝いています。これらの活動的なブラックホールは「クエーサー」として知られています。クエーサーの活動が最も活発だった初期宇宙においても、クエーサー同士の間隔は通常、数億光年と非常にまばらでした。しかし、国立天文台ハワイ観測所の梁永明(リャン・ヨンミン)博士が率いる国際研究チームは、わずか 4,000 万光年という範囲に 11 個のクエーサーが密集して存在する、宇宙規模では極めてコンパクトな構造を発見しました。

--- 以下略。

<ひとこと>: 大判イメージを含む記事の詳細は、下記「すばる望遠鏡」のページをご覧ください。

<出典>: すばる望遠鏡

 6月3日(火)

6月の夜空のノート:太陽系における季節

地球では、3ヶ月ごとに季節の移り変わりがある。太陽系の他の惑星ではどうだろう? 火星の晴れた日はどんな感じだろう? 海王星の冬はどれくらいだろう? 他の惑星を巡って、そこではどんな季節が見えるのか問うてみよう。
<追記>: 恒星を回る惑星には、その軸の傾きによって季節を生じる。太陽系で地球に似た軸を持つ惑星は、火星、土星、海王星である。

火星の秋
火星と地球の軸の傾きはほぼ同じであるが、太陽からの平均距離が1億4200万マイルであるために、火星の1年は地球の687日(地球の約2年)続き、赤い惑星の晩秋になる。ゲイルクレータからの最近の天気予報では、2025年5月20日の週の最高気温は華氏-18度(参考:摂氏マイナス27度)を示していた。

 

7年間の夏
土星の傾きは27度で、火星の25度の傾きや地球の23度の傾きと非常によく似ている。しかし、類似点はそれだけである。軌道が29年の場合、このリングの惑星における1シーズンは7年間続く。土星の季節を体験することはできないが、代わりに地球でリングの平面が交差するのを観ることはできる。直近では2025年3月にプレーンの横断が行われ、土星の環が視界から「消える」のを見ることができた。
<追記>: イメージは参考までに挿入したものです。土星のリングは、実際には非常に薄く、季節の変わり目には、一時、遠い地球の視界からは消えて、見えなくなります。

海王星の季節
太陽からさらに遠く離れると、海王星の各季節は40年以上続く。変化は地球よりも遅く、劇的ではないが、科学者達は、海王星の大気の季節的な活動を観察している。これらのイメージは、1996年から2002年にかけてハッブル宇宙望遠鏡が撮影したものであり、南半球の明るさが季節の変化を示している。

<イメージの説明>: NASAのハッブル宇宙望遠鏡による2002年8月の観測では、1996年以降の海王星の明るさが大幅に増加していることが示されている。この増加は、惑星の南半球で観測される雲の量が増加したためである。これらの増加は、太陽熱の変動によって引き起こされる季節変化が原因である可能性がある。海王星の自転軸は軌道面に対して29度傾いているために、太陽の164.8年の公転軌道の間、季節的な太陽熱にさらされる。この季節変動は、海王星が太陽からはるかに遠いため、地球が経験するよりも900倍小さくなる。また、海王星が太陽の周りを回るのに165年かかるために、季節的な変化の速度もはるかに遅くなる。したがって、南半球の春は数十年続く。図は海王星が太陽からの弱い放射に反応している証拠である。これらの画像は、ハッブル宇宙望遠鏡のカメラによって可視光と近赤外光で撮影された。

<ひとこと>: 記事は一部追加・変更しています。大判はイメージのリンクから。

<出典>: Kat Troche(著者名です)

 6月2日(月)
NASAの衛星画像、初期の火山警報を提供する可能性

<イメージの説明>: チリ南部のチャイテン(Chaitén)火山は、2008年5月2日に、9000年ぶりに噴火した。火山近くの植生の変化を監視するNASAの衛星は、早期の噴火警報に役立つ可能性がある。

科学者達は、木の葉に変化があると、近くの火山が活発になり、噴火する可能性がある時期を示している可能性があることを知っている。NASAとスミソニアン協会との新たな共同研究によって、科学者達は、現在、宇宙からこれらの変化を検出できると考えている。

火山のマグマが地殻を上昇すると二酸化炭素やその他のガスが放出され、地表に上昇する。二酸化炭素を吸収する木々はより緑が豊かになる。これらの変化は、Landsat 8 などの NASA の衛星からのイメージや、AVUELO (Airborne Validation Unified Experiment: Land to Ocean) の一部としての空中計器で確認することができる。

世界の人口の10%は、火山の危険にさらされやすい地域に住んでいる。噴火から数マイル以内に住んでいるまたは働いている人々は、噴出された岩石、ほこり、高温の有毒ガスの急増などの危険に直面している。さらに遠くでは、人や財産は、火山の爆風に続く土砂崩れ、降灰、津波の影響を受けやすくなっている。火山の噴火を防ぐ方法はないので、火山活動の初期の兆しは、公共の安全にとって非常に重要である。NASA の Landsat ミッション パートナーである米国地質調査所によると、米国は世界で最も火山活動が活発な国の 1 つである。

・・・・・中間略・・・・・

衛星を使って火山周辺の樹木を監視すれば、科学者達は、より多くの火山について早期に洞察を得ることができ、将来の噴火について早期に警告を発することができる。火山からの信号には特効薬となるものは1つもない。火山性二酸化炭素が樹木に及ぼす影響を追跡することは特効薬ではない。しかし、それはゲームを変える可能性のある何かになるだろう。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: James R. Riordon(著者名です)

 6月1日(日)
メッセンジャーの水星での最後の日

内部惑星水星を周回する最初の惑星, メッセンジャー宇宙船は、2015年4月30日に、水星の表面のこの領域に静止した。

メッセンジャーのイメージとレーザー高度計データから構築・投影されたこの場面は、広い、溶岩で満たされたシェイクスピア盆地、北東の縁を見下ろしている。幅48キロメートルの大きなクレータ、ヤナーチェク(Janacek)が左上端近くにある。大地の高度は、青いところより約3キロ上が赤色の領域で色分けされている。

メッセンジャーの最終軌道は、中心付近に、秒速約4kmで終わり、直径約16メートルの新しいクレータをつくると予測された。

水星の裏側への衝突は望遠鏡では観測されなかったが、惑星の背後から現れる時間に探査機からの信号が検出されなかったことが確認された。

2004年に打ち上げられたこのメッセンジャー(MESSENGE:MErcury Surface、Space ENvironment、GEochemisty、Ranging)宇宙船は、2011年に太陽系の最深部に到達した後、4,000回以上の軌道を完了した。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day


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