このページでは様々な時宜に即した「今日の宇宙(Space of the Day)」をご紹介しています。
掲載期間は約一か月。土曜日・日曜日・祝日は「肩の凝らない」記事を選んでいます。

  

11月22日(金)
NASAのダビンチが金星旅行の準備をしているとき、
古いデータが新しい秘密を生み出す

2030年代初頭に打上げられる予定のNASAのダビンチ(DAVINCI)ミッションでは、有毒ガスの大気で包まれた金星に、かつての地球のような海や大陸があったか否かを調査する予定である。

フライバイ探査機と降下探査機で構成されるダビンチは、古代の大陸の可能性があるアルファ領域(Alpha Regio)と呼ばれる山岳地帯に焦点を当てる。1970年から1985年の間に、一握りの国際的な宇宙船が金星の大気圏を突入したが、ダヴィンチ探査機は、金星の厚く不透明な雲の下からこの興味深い地形のイメージを撮影する初めての探査機になる。
--- 追記 地球の隣の惑星でありながら、近年の金星への関心は他の惑星と比べて高くない。これは、その解析の難しさに起因しているのだろう。

ダビンチ・ミッションを主導する科学者達は、最新のデータ分析技術を使って、過去の金星ミッションの数十年前のデータを精査することから始めた。彼らの目標は、できるだけ多くの詳細で隣の惑星に到達することである。これによって、科学者達は、探査機の降下時間を最も効果的に使って、金星の進化の道筋と、なぜそれが地球から大幅に分かれたのかに関する長年の疑問に答えるのに役立つ新しい情報を収集することができる。

1990年から1994年にかけて、NASAのマゼラン宇宙船は、レーダー画像装置と高度計を使って、金星の軌道からアルファ領域の地形をマッピングした。最近、ダビンチのチームは、これらのマップからより詳細な情報を求めて、科学者達は、新しい技術を適用してマゼランのレーダー高度計データを分析した。次に、プエルトリコの旧アレシボ天文台から3回撮影されたレーダーイメージでこのデータを補足し、マシンビジョンコンピューターモデルを使用してデータを精査し、新しい縮尺(1キロメートル未満)で情報のギャップを埋めた。

その結果、科学者達はアルファ領域の地図の解像度を10倍に向上させ、地表の新たな地質パターンを予測し、これらのパターンがアルファ領域の山々でどのように形成されたのかという疑問を投げかけた。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Lonnie Shekhtman(著者名です)

11月21日(木)
ステーション科学トップニュース 2024年11月15日

1、アントシアニンは宇宙の種子を保護する

国際宇宙ステーション(ISS)の外で宇宙空間に露出した後、アントシアニンを多く含む紫色のイネの種子は、色素のない白イネ種子よりも発芽率が高かった。この結果は、植物を紫外線から守ることが知られているフラボノイドであるアントシアニンが、将来の宇宙ミッションで種子の生存能力を維持するのに役立つ可能性を示唆している。

植物は、将来の持続的な宇宙居住のために栄養素を生産し、炭素をリサイクルするように設計されたシステムの主要な構成要素であるが、宇宙は種子の生存率を低下させることが示されている。日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)の一連の調査の一部である「タンポポ3」は、種子の生存能力を維持するためのアントシアニンの役割を調査した。この実験と以前の実験の結果は、宇宙空間の太陽光が放射線よりも種子にとって有害であることを示唆している。
<図の解説>: 種子やその他のサンプルを宇宙に露出するために使用された「タンポポパネル」の飛行前の画像。

2、宇宙研究用に検証された低コストの自律技術

研究者達は、宇宙で実験を行うための、多段階の反応を持ち、溶液の自動混合を必要とする一対のデバイスを検証した。このような低コストで自律的な技術は、営利団体による研究を含む宇宙ベースの研究の可能性を広げる。

Ice Cubes #6- 日本有人宇宙システム株式会社(Japan Manned Space Systems Corporation)によって開発されたヨーロッパ宇宙機関(ESA)の調査「アイスキューブ6キララ(Ice Cubes #6- Kirara)」は、温度制御されたインキュベータ(育成器)を用いて微小重力下でタンパク質を結晶化した。また、キララの施設では、タンパク質の結晶とは異なる用途を持つ、セルロースなどのポリマーの製造も可能になる。この実験により、セルロースが合成され分解された。

3、X線連星の観測から得た知見

研究者達は、中性子星の内部組成探査装置(NICER)を使って、超小型X線連星(UCXB)星である 4U 1820-30 からの、15回のX線爆発のタイミングを観測した。X線連星は、物質を取り込む伴星を周回する中性子星である。この結果が将来の観測で確認されれば、4U 1820-30 はX線連星系で最も速く回転する中性子星となり、中性子星の物理学に関する手掛かりが得られることになる。

NICER では、中性子星---大質量の星が超新星として爆発する際に生じる超高密度の物質---などの現象を高精度に測定し、宇宙への理解を深めている。この装置は、2017年6月以来、 4U 1820-30 を監視してきた。公転周期が短いことは連星システムが比較的小さいことを示し、4U 1820-30 は低質量X線連星の中で最も公転周期が短いことが知られている。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: International Space Station Research Communications Team

11月20日(水)
月の膨張期の内部進化解明に向けて
~月線状重力異常の年代・構成物質の初めての制約~

「月はどんな膨張進化を太古に経験したのか?」

この問いは、月の進化を理解する上で最も欠かせない問いの一つであり、現在月科学において最も盛んに議論されているトピックの一つでもあります。この記事では私が博士課程を通して最も力を入れ、かつ最近出版された論文を解説しつつ、月進化の研究の最前線の一部をお伝えしたいと思います。

といっても、惑星科学者でない限り、「月の膨張」というフレーズは少し馴染みがないと思います。何ならSFチックにも聞こえるかもしれません。まずは月がどんな進化を辿ってきたのか、そこから始めたいと思います。


<右図の解説>: 月の内部進化のイメージ図。上段右図の右半分はGRAIL観測による重力偏差マップ。貫入岩体由来の線状重力異常がハイライトされています。

月の表面が形成当時にマグマに覆われた状態であったことはご存知でしょうか?太古に地球への原始惑星衝突で生じた破片が集積して月が形成されると、それに伴う熱により岩石は溶け、形成直後の月はマグマの海(マグマオーシャン)に覆われた状態となります。

このマグマオーシャンの冷却とその後の内部進化が月の膨張を語る上で非常に重要です。マグマオーシャンが冷却する過程で、現在のカンラン石や輝石、斜長石といった鉱物が晶出し、月の地殻とマントルができます。地殻とマントルの間にはマグマオーシャンの残液が存在し、液相濃集元素であるチタンを豊富に含むようになり、最終的に固化するとチタンを含む鉱物であるイルメナイトに富む層が地殻・マントル間に形成されます。このイルメナイト層で特徴的なのは、その下のマントル物質より重いことです。この上が重くて下が軽いという不安定な状態により、イルメナイト層とマントルがひっくり返る「オーバーターン」と呼ばれる現象が起きます。沈み込んだイルメナイト層にはトリウム等の放射性元素も含まれるため、オーバーターン後にはこの放射壊変熱によりマントルの深部が温められる現象が起きます。この昇温による熱膨張により、月は40億年ほど前に膨張期を経験したと考えられてきました。

では、このような大規模貫入岩体はいつ形成されたのでしょうか?そして、どのような組成をしているのでしょうか?前者は月の膨張時期を制約する情報です。また後者は当時のマグマ源の組成を反映する重要な情報です。しかし、このような貫入岩体は地表まで噴出していないので、リモートセンシングで得られる月の表面のデータだけでは解明できず、これまで理解が進んでいませんでした。

--- 以下略。

<ひとこと>: これは国立天文台の記事として発表されたものです。大判イメージを含め詳細は下記リンクからご覧ください。

<出典>: 学術振興会海外特別研究員 西山学(著者名です)

11月19日(火)
原子力発電は、60年経った今でも、
   宇宙飛行のために試みられている

初めての原子力宇宙ミッション「トランジット IV-A」の打上げから60年経ち、NASAは、有人探査と科学的発見の大胆な未来に向かって乗り出している。この未来は、宇宙での原子力ミッションの安全な打上と運用の誇り高い歴史の上に築かれる。

謙虚な始まりから:原子力発電が科学的発見の時代を生む
1961年6月29日、ジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所(Applied Physics Laboratory)はトランジット IV-A 宇宙船を打上げた。これは、 SNAP-3B 放射性同位元素発電機を搭載した米海軍の航法衛星であり、 LED 電球を点灯させるのに十分な、 2.7 ワットの電力を生成した。トランジット IV-A は、研究所のミッション期間の記録を破り、地球の赤道が楕円であることを確認した。また、人類の到達範囲を太陽系全体に拡大する画期的なミッションの舞台も整えた。

1961年以来、NASAは、電力システムとプルトニウム238燃料を提供するエネルギー省(DOE)との成功したパートナーシップを通じて、原子力発電システムを運ぶ25以上のミッションを飛行してきた。

宇宙で長期的な電力を供給する実用的な方法は、太陽光と原子力源からの熱の二つのみである。今日でも、太陽から遠く離れたミッションを遂行する技術は他に存在しない。

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太陽から遠く離れた、木星、冥王星のような暗い、過酷な環境に移動すると、原子力なしでは行動は不可能または極端に制限される。そこで、ラジオアイソトープ・パワーシステム(RPS:Radioisotope Power Systems)の出番となる。プルトニウム238燃料の崩壊によって発生する熱を電気に変換する電力システムである。これらのシステムは信頼性が高く、効率的である。それらは、太陽光、温度、荷電粒子放射線、あるいは厚い雲やダストなどの表面条件に関係なく、長期間の宇宙ミッションで継続的に動作する。この RPS は、アポロ月面実験パッケージにも搭載され、1977年以降ボイジャー1号と2号を維持しており、極寒の土星とその衛星タイタンを探査するカッシーニ・ホイヘンスの機器をも暖かく保った。

今日では、マルチミッション熱電発電機(MMRTG)が、パーサビアランス火星探査車に電力を供給し、火星での古代生命の痕跡を探し、また、打上げから15年を経て太陽系を脱出する冥王星探査機、ニュー・ホライズンズを支えている。

<図の解説>: 冥王星探査宇宙船ニューホライズンズは、七つの科学機器と放射性同位元素熱電発電機を運んだ。宇宙船の重量は 1,060 ポンド(480キログラム)である。

これから起こる素晴らしいこと。
2028年に打ち上げられる予定のドラゴンフライ(Dragonfly)はこの熱電発電を使用する予定の次のミッションである。NASAのニューフロンティア計画の一部であるドラゴンフライは、土星最大の衛星であるタイタンの、密集した霞んだ大気の海洋の世界を探索してサンプルを収集するために設計された航空機(octocopter)である。

また、月面での宇宙飛行士達は、月の長い夜を生き延び、月の南極の暗いクレータを探索するために、豊富で継続的な電力が必要になる。核分裂電力システムは、確実な運用に電力を供給するのに十分な電力を供給できる。NASAは、協力して月と火星のベースキャンプへの道を開く、将来の月面実証のための核分裂発電システムを設計する取り組みを主導している。

<ひとこと>: 以上は要約です。トップのイメージのリンク先は動画 .mp4 です。

<出典>: NASA Science Editorial Team

11月18日(月)
南極の安全性:NASAの月面救助システムの設計

過酷な月面環境下では、2人の宇宙飛行士が月の南極を探査するアルテミスIIIミッションを皮切りに、不測の事態(怪我、医療上の緊急事態、ミッション関連の事故)により宇宙飛行士のクルーが行動不能になる可能性が重大な懸念事項となっている。

月面には直径0.15メートルから20メートルの岩石や幅1メートルから30メートルのクレータが散らばっており、最適な条件下でも航行が難しい。低重力、独特の照明条件、極端な温度、そして救助を行うのに一人しかいないことが、救助活動をさらに複雑にする。

重要な懸念事項の中には、船外活動(EVA)中の宇宙飛行士の安全がある。ミッション中に宇宙飛行士が行動不能になった場合、安全かつ迅速に有人着陸システムに戻す能力が不可欠である。1人のクルーが、月面車の助けを借りずに、月面で最大2kmの距離と最大20度の傾斜を移動できる必要がある。

この差し迫った問題は、革新的な解決策への扉を開く。私たちは、質量が小さく、展開が容易な最先端の設計を探しており、1人の宇宙飛行士が、完全に無力化されたパートナーを安全に人間の着陸システムに戻すことが必要になる。このソリューションは、月の極端な南極環境で効果的に機能し、月面車とは独立して動作する必要がある。あなたの創造性と専門知識は、この重大なギャップを埋め、将来の月探査機の安全対策を強化することができる。この課題に取り組むことで、有人宇宙探査における次の「大きな飛躍」に貢献する機会が得られる。

賞金総額:賞金総額45,000ドル

オープン日: November 14, 2024

クローズ日: January 23, 2025

詳細は こちら から。

<ひとこと>: 大判イメージは省略。

<出典>: Sarah Douglas(著者名です)

11月17日(日)
M16:星創造の柱

これらの暗い柱は破壊的に見えるかも知れないが星を作っている。このわし星雲の柱を捉えた写真は、ハッブル宇宙望遠鏡で撮られた可視光線の露出と、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で撮られた赤外線画像を組み合わせて、水素分子のガスとダストの柱から現れる、蒸発するガス状の球体(EGG)を強調している。

巨大な柱の長さは光年サイズで、非常に密度が高いために、内部のガスは重力で収縮して星を形成している。それぞれの柱の端では、明るい若い星の強い放射が低密度の物質を沸騰させ、高密度の EGG の星の苗床を露出させている。散開星団 M16 に関連するわし星雲は、約 7000 光年離れた所にある。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

11月16日(土)
我々の地球観測衛星艦隊

地球全体を調査し、どのように地球が変化しているかを理解するために、NASAは、多数の地球観測ミッションを開発および支援している。これらのミッションは、地球科学の研究者達に、地球規模の気象変動に関する主要な問題に対処するために必要なデータを提供している。これらのミッションは、ミッションの主要な科学目標が特定され、宇宙船と機器の設計の調査フェーズから始まる。調査フェーズを終えた後、ミッションは開発フェーズに入り、ミッションの全ての側面が開発およびテストされ、ミッション目的を確実にする。これらのオペレーティング・ミッションは、現在活動しているミッションであり、研究者達に科学データを提供しているミッションである。これらのオペレーティング・ミッションは、主要な運用フェーズにある場合もあれば、延長された運用フェーズにある場合もある。これらのミッションは、ミッションの主要な科学目標が特定され、宇宙船と機器の設計が分析される研究フェーズから始まる。調査フェーズが成功した後、ミッションは開発フェーズに入り、ミッションのすべての側面が開発およびテストされ、ミッションの目的を確実に達成する。

<ひとこと>: 長い記事の一部です。大判はイメージのリンクから。

<出典>: Explore Earth Science

11月15日(金)
NASA、重力波観測所用望遠鏡のプロトタイプを公開

NASAは、今後10年間で、ブラックホールと他の宇宙源の合体によって引き起こされる時空のさざ波(重力波)の宇宙ベースの検出を可能にする六つの望遠鏡の実物大プロトタイプの初めての外観を明らかにした。

この LISA (Laser Interferometer Space Antenna)ミッションは、ヨーロッパ宇宙機関とNASAが協力して主導し、レーザーを使用して太陽よりも大きな広大な構成に配置された3機の宇宙船間のピコメートルまたは1兆分の1メートルまでの正確な距離を測定することによって重力波を検出する。三角形の配列の各辺は、約250万キロメートルを測定する。

各宇宙船に搭載された二つの望遠鏡は、赤外線レーザービームを送受信して仲間を追跡する。NASAは、それら六つ全てを LISA ミッションに供給している。このプロトタイプは、飛行するハードウェアの構築に向けて取り組む指針となる。

<図の解説>: プロトタイプの LISA 望遠鏡が、5月20日に、ゴダードのクリーンルームで検査を受けている。望遠鏡全体は、広い温度範囲での形状変化に耐える琥珀色のガラスセラミックでできており、鏡の表面は金でコーティングされている。

製造し組み立てられた技術開発ユニットの望遠鏡は、5月にゴダードに到着した。主鏡は金でコーティングされており、赤外線レーザーをよりよく反射し、望遠鏡が室温に近いときに最適に動作するために、冷たい空間に露出された表面からの熱損失を減らす。

プロトタイプは、ドイツの Schott 社製の琥珀色のガラスセラミックでつくられている。この素材は、広範囲の温度での形状の変化がほとんどないために、望遠鏡の鏡など、高い精度が求められる用途に広く使用されている。

この LISA ミッションは2030年代半ばに打ち上げられる予定である。

<ひとこと>: 現在の重力波観測は、アメリカ、イタリア、日本、三カ所の最大でも地球規模。宇宙規模の観測ができれば僅かな重力波の変化もとらえられるかもしれない。しかし、時刻の正確・微細な一致、相互の距離の調整など、その技術は容易なことではない。大判はイメージのリンクから。

<出典>: Francis Reddy(著者名です)

11月14日(木)
彗星に着陸してどのように歴史を作ったか?

2014年11月12日、ヨーロッパ宇宙機関のロゼッタの着陸船フィラエ(Philae)は、10年間かけて太陽系を飛行し、5億キロメートル以上離れた彗星に初めて着陸し、宇宙探査の歴史に名を刻んだ。この偉業から10周年を迎えるにあたり、ミッションのハイライトを振り返り、その記念すべき点を振り返る。

ロゼッタは、ヨーロッパ宇宙機関の加盟国とNASAからの貢献によるミッションであった。2年以上にわたって彗星67P/チュリュモフ・ゲラシメンコを調査し、着陸船フィラエを彗星の表面に送り届けた。

<ひとこと>: この記事は着陸船フィラエの一部始終をビデオで見たいただくよう取り上げています。トップのイメージのリンク先は動画YueTubeです。約9分に及ぶ長いビデオです。

フィラエ探査の詳細な記事は 「フィラエの驚くべき彗星着陸の追体験(英語)」 からご覧ください。

<出典>: Science & Exploration

11月13日(水)
遠い惑星は、木星のイオのような
火山の衛星を持っているだろうか?

太陽系の外に月(衛星)が存在することは確認されていないが、NASAが主導する新しい研究が間接的な証拠を提供するかも知れない。

NASAのジェット推進研究所で行われた新しい研究は、地球から635光年にある系外惑星を周回する、岩石質の火山の衛星の潜在的な兆候を明らかにしている。最大の手がかりはナトリウムの雲であり、この発見では、系外惑星である WASP-49 b と名付けられた土星サイズのガス惑星とほぼ同じであるが、わずかに同期していないことを示唆している。雲の振る舞いを確認するには追加の調査が必要である。太陽系内では、木星の火山衛星イオからのガス放出が同様の現象を引き起こしている。

系外衛星(太陽系外の惑星の衛星)は確認されていないが、複数の候補が特定されている。これらの惑星の伴星は、現在の望遠鏡では検出できないほど小さくて暗いために検出できなかった可能性がある。

WASP-49 b の周りのナトリウムの雲は2017年に初めて検出され、ある研究者の注目を集めた。彼は、系外衛星が火山活動を通じてどのように検出されるかを何年もかけて調査してきた。例えば、太陽系で最も火山性が高い天体であるイオは、二酸化硫黄、ナトリウム、カリウムなどのガスを絶えず噴出しており、木星の周りには巨大な惑星の半径の 1,000 倍にも及ぶ巨大な雲を形成することがある。月自体が小さすぎて見えない場合でも、別の星のシステムを見ている天文学者がイオのようなガスの雲を検出できる可能性がある。

--- 以下略。

<出典>: Jet Propulsion Laboratory

<ひとこと>: 太陽系の巨大なガス惑星木星を周る衛星イオ(Io:右図)は、木星に近い軌道を周る故に常に木星の巨大な力によって揺さぶられており、多数の火山やガスの噴出が見られ、その地表は硫黄の覆いによって黄色に見えています。木星探査機ガリレオによるイオの調査の一部は こちら から。

11月12日(火)
キャッチ!

もしロケットが発射塔に戻り、捕まったらどうなるだろう? これは、先月、スペースXのスターシップロケットが米国テキサス州ボカチカの発射台から打上げられた後に初めて起きた。

その後スターシップは計画通りに切り離され、上段は太平洋に着陸した。

この打上の大きな違いは、下段のスーパーヘビーブースター12が約7分後に発射塔に捕えられたことである。

ロケットをキャッチして再利用することは、ロケットをより容易に再利用できるようにすることで、ロケットの飛行コストを削減するための新しく革新的な方法である。スターシップ・ロケットは、将来、NASAが宇宙船を地球軌道、月、さらには他の惑星に送るために使用される可能性がある。

<ひとこと>: この記事は著作権が保護されています。動画は下記リンク先から直接ご覧ください。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

11月11日(月)
11月:ステーション科学トップニュース

  1.  バイオプリントされた片が傷の治癒を助ける可能性がある。
    研究者達は、人間の皮膚細胞を使用して宇宙で傷を治療するためのシンプルで効果的な方法を提供できるハンドヘルド・バイオプリンターの機能を成功裏に実証した。クルーは、この技術を使って、自分自身の怪我を治療し、将来のクルーの健康とミッションの成功を守ることができる。

    宇宙飛行では、傷の治癒方法に影響を与える可能性がある。このバイオプリント初期補助(Bioprint First Aid)装置は、傷口を覆い、治癒を促進するための片をバイオプリントするプロセスをテストした。将来的には、クルー自身の細胞を使って、怪我を治療するための個人の片を作成する可能性がある。バイオ・プリンティング・デバイスは使いやすく、特定のニーズに合わせて調整でき、故障率が低く、そのメカニズムは電子機器やメンテナンスフリーである。このヨーロッパ宇宙機関の調査は、ドイツ航空宇宙センター(DLR)によって調整された。

  2.  飛行後の習熟度の課題への対処
    宇宙飛行から帰還した日、宇宙飛行士達は、細かい運動制御、シミュレートされた飛行および運転の課題において、マルチタスクを行う能力に大きな障害を示している。この知見は、クルーが月や火星に安全に着陸し、早期に作戦を実施するための対策を策定するのに役立つ可能性がある。

  3.  宇宙放射線に強いガンマ線望遠鏡
    研究者達は、ステーションの Glowbug ガンマ線望遠鏡が、複数年にわたるミッションのために宇宙放射線環境で機能できることを確認した。放射線はこれらのタイプの機器に影響を与える可能性があるが、 Glowbug は1年間の運用中にガンマ線爆発(GRB)を定期的に検出した。ガンマ線爆発を研究することは、科学者達が宇宙とその起源をよりよく理解するのに役立つ。

    <ひとこと>: 大判イメージは省略しました。

    <出典>: Space station

11月10日(日)
地球を眼下に

NASAの宇宙飛行士ドン・ペティットが、2024年10月24日に撮影したこの長時間露光の写真では、地球の街の明かりが筋になって通り過ぎている。地平線には地球の大気の緑色の輝きも見える。

2000年11月にステーションが運用を開始して以降、クルー達は、クルー地球観察(Crew Earth Observations)を通じて、このような画像を何十万枚も作成してきた。彼らの地球の写真は、人間の活動や自然現象によって、地球が時間とともにどのように変化するかを記録しており、科学者達は、災害を監視し、地上での直接的な対応や現象を研究することができる。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Monika Luabeya(著者名です)

11月9日(土)
4万1千年前の地球の磁気フリップの音

約 41,000 年前、地球の磁場は、 ラシャン現象(Laschamp event) として知られる出来事で一時的に反転した。この間、地球の磁場は大幅に弱まり、現在の強度の最低5%にまで低下し、より多くの宇宙線が地球の大気に到達することができた。

デンマーク工科大学とドイツ地球科学研究センターの科学者達は、ヨーロッパ宇宙機関の Swarm ミッションからのデータと他の情報源を使用して、ラシャンの出来事の音による視覚化を作成した。彼らは、イベント中の地球の磁力線の動きをマッピングし、ビデオで聞くことができるステレオサウンドバージョンを作成した。

このサウンドスケープは、木がきしむ音や岩が落ちる音などの自然音を録音し、それらを馴染みのある奇妙な、ほとんどエイリアンのような音にブレンドしてつくられた。データを使用して音を変換するプロセスは、スコアから音楽を作曲するのと似ている。

ヨーロッパ宇宙機関の Swarm 編隊からのデータは、地球の磁場がどのように生成されるかをよりよく理解するために使用されている。これらの衛星は、コアだけでなく、マントル、地殻、海洋、さらには電離層や磁気圏までの磁気信号も測定する。これらのデータは、地磁気の逆転や地球の内部ダイナミクスなどの現象を研究するために重要である。

この地球の磁場(Earth's Magnetic Field)の音は、 Swarm のデータを使って作られた磁場の音響化の最初のバージョンで、もともとはコペンハーゲンの公共広場に設置された32のスピーカーシステムを通じて再生され、各スピーカーは過去10万年にわたる世界中のさまざまな場所での磁場の変化を表していた。

<ひとこと>: イメージのリンク先は動画 .mp4 です。

<出典>: Swarm (ESA)

11月8日(金)
空気の質って何?

健康的な生活にはきれいな空気が不可欠であるが、世界保健機関(WHO)によると、世界の人口のほぼ99%が大気汚染のガイドライン制限を超える空気を吸っている。

空気の質を構成するものって何だろう?
米国の環境保護庁(EPA)によって規制されている主な大気汚染物質は、粒子状物質(PM)、窒素酸化物、オゾン、硫黄酸化物、一酸化炭素、鉛の六つである。これらの汚染物質は、火災や砂漠の粉塵から大気中に上昇する粒子状物質などの自然源や、車両の排出ガスに反応して太陽光から生成されるオゾンなどの人間の活動から発生する。

空気の質の重要性って何だろう?
空気の質の悪さは人間の心血管および呼吸器への影響に関連している。例えば、短期間二酸化窒素(NO2)にさらされると、咳や喘鳴などの呼吸器症状を引き起こすことがあり、長期間さらされると、喘息や呼吸器感染症などの呼吸器疾患を発症するリスクが高まる。オゾンにさらされると、肺が悪化し、気道が損傷する可能性がある。PM2.5(微粒子2.5μm以下)への曝露は、肺の炎症を引き起こし、心臓や肺の病気に関連している。

人間の健康への影響に加えて、空気の質が悪いと環境に損害を与え、酸性化や富栄養化を通じて水域を汚染する可能性がある。これらのプロセスは、植物を殺し、土壌の栄養素を枯渇させ、動物に害を及ぼす。

空気質の測定:大気質指数(AQI)
空気の質は天気と似ている。それは、例え数時間であっても、急速に変化する可能性がある。環境保護庁は、大気質の測定と報告のために、米国大気質指数 (AQI) を使用している。 AQI は、六つの主要な大気汚染物質のそれぞれを「良好」から「危険」までのスケールで測定して計算され、AQI の数値0〜500が生成される。

世界中の地域では、「良好な」大気質に対して異なる閾値が使用されており、これは多くの場合、システムが測定する汚染物質によって異なる。EPA のシステムでは、AQI 値が 50 以下であれば良好とされ、51 から 100 までは中程度とされている。AQI 値が 100 から 150 の間であれば、神経質なグループにとっては不健康であると考えられ、それよりも高い値は誰にとっても不健康である。AQI が 200 に達すると、ヘルス・アラートが発行される。300 を超える値は危険と見なされ、山火事による粒子状物質汚染と関連付けられることがよくある。

NASAの大気質研究とデータ製品
空気質センサーは、地域レベルで大気質のデータをとらえるための貴重なリソースである。2022年、NASAのエイムズ研究センターのガス追跡グループ(TGGR:Trace Gas GRoup)は、さまざまな汚染物質を測定する低コストの大気質センサーの新しいネットワーク、汚染を探査するための安価なネットワーク・センサー技術(INSTEP:Inexpensive Network Sensor Technology for Exploring Pollution)を導入した。これらのセンサーは、カリフォルニア州、コロラド州、モンゴルの特定の地域の大気質データを取得し、カリフォルニア州の火災シーズン中の大気質の監視に有利であることが証明されている。
右図は、米国ニューヨーク市付近の、環境汚染の大きな要因となっている化合物 二酸化窒素レベル (注:図は一部分を切り出し)。

アジアの空気質の2024年の空と衛星調査 (ASIA-AQ:2024 Airborne and Satellite Investigation of Asian Air Quality) ミッションでは、航空機、衛星、地上プラットフォームからのセンサー データを統合して、アジアのいくつかの国の大気質を評価した。これらのフライトで複数の機器から得られたデータは、大気質モデルを改良して大気質の状態を予測および評価するために使用される。

NASAは、大気質データを取得して報告するためのさまざまな地球観測衛星やその他の技術を機関全体で保有している。2023年、NASAは、北米の大気質と汚染を測定する対流圏排出量:汚染監視(TEMPO)ミッションを開始した。そのツールは、観測から3時間内に、多数のNASA機器からまとめられた測定値を大気質予報士達に提供している。

大気質研究の応用の詳細については、NASAの応用科学プログラム健康と大気質の Health & Air Quality プログラム・エリアで、地域、地域、および国レベルでの大気質の懸念を評価し、対処するための地球観測の使用について詳しく説明している。さらに、NASA健康・大気質応用科学チーム(HAQAST:NASA Health and Air Quality Applied Sciences Team)は、NASAのデータとツールを利害関係者と結び付けて、大気質が人間の健康に及ぼす影響をよりよく共有し、理解するのに役立っている。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Milan Loiacono(著者名です)

11月7日(木)
NASAの IXPE 、研究者達がブラックホールの
コロナの形状を決めるのを助ける

NASAの IXPE(Imaging X-ray Polarimetry Explorer)ミッションのデータを使った新しい発見が、コロナと呼ばれるブラックホールにとって重要な構造の形状と性質に関する前例のない洞察を提供している。

コロナは、ブラックホールへの物質の流れの一部である移動するプラズマ領域であり、科学者達は理論的な理解しか持っていない。今回の結果は、このコロナの形態を初めて明らかにし、ブラックホールの供給と維持におけるコロナの役割について、科学者達の理解に役立つ可能性がある。

<図の解説>: ブラックホールの周りを渦巻く物質のこのイラストは、X線光で明るく輝く「コロナ」と呼ばれる特定の特徴を強調している。この描写では、コロナは下にある降着円盤の上に浮かぶ紫色の靄として見ることができ、その内側の縁のわずかに内側に伸びている。内側の降着円盤内の材料は非常に高温であり、まばゆいばかりの青白色の光で光るが、この図では明るさを下げてコロナを際立たせ、コントラストを高めている。その紫色は純粋に例示であり、可視光線では明らかではないX線の輝きを代弁している。円盤のワープは、ブラックホールの巨大な重力が光学レンズのように作用し、ブラックホールを取り囲む平らな円盤の視界を歪める様子をリアルに表現している。

多くのブラックホールは、光でさえその巨大な重力から逃れることができないことからそのように呼ばれており、降着円盤、破片が散らばったガスの渦巻きに囲まれている。一部のブラックホールには、相対するジェットもあり、ブラックホールは周囲の物質を積極的に食している。

あまり知られていないかも知れないが、食しているブラックホール(snacking black holes)は、太陽や他の星達と同じように、過熱したコロナも持っている。太陽の最も外側の大気である太陽コロナは華氏約180万度(摂氏約82万度)で燃えているが、ブラックホールのコロナの温度は数十億度と推定されている。

天体物理学者は以前、恒星質量ブラックホール(星の崩壊によって形成されたブラックホール)と、ミルキウェイ銀河の中心にあるような超大質量ブラックホールの中にコロナを特定した。

X線偏光を専門とする IXPE は、最も強力なエネルギー源の形状や構造をマッピングするのに役立つ光の特性であり、オブジェクトが小さすぎたり、明るくなったり、遠く離れていたりして直接見ることができない場合でも、その内部の仕組みを照らす。皆既日食中に太陽のコロナを安全に観察できるのと同じように、IXPE は、ブラックホールの降着形状、またはその降着円盤の形状や構造、およびコロナを含む関連の構造を明確に調査する手段を提供する。

IXPE は、コロナの性質を分極によって直接測定できる全ブラックホールの中で、コロナが降着円盤と同じ方向に伸びていることを発見したことを実証し、初めてコロナの形状の手がかりと降着円盤との関係の明確な証拠を提供した。この結果は、コロナが円盤の上に浮かぶ街灯のような形をしている可能性を排除している。

研究チームは、地球から約 7,000 光年と 37,000 光年離れた恒星質量の連星ブラックホールシステムであるはくちょう座 X-1 と、はくちょう座 X-3 、165,000光年以上離れた大マゼラン雲の恒星質量ブラックホールである LMC X-1 と LMC X-3 を含む12のブラックホールの IXPE による観測データを調査した。IXPE はまた、地球から 1300 万光年離れたサーキヌス銀河(Circinus galaxy)の中心にあるブラックホールや、それぞれ 4700万光年と約 6200 万光年離れた NGC 1068 と NGC 4151 の銀河にあるものなど、多くの超大質量ブラックホールを観測した。

恒星質量ブラックホールは通常、地球の太陽の約10〜30倍の質量を持っているが、超大質量ブラックホールは数百万倍から数百億倍の質量を持っている可能性がある。これらのスケールの大きな違いにもかかわらず、IXPE データは、両方のタイプのブラックホールが同様の形状の降着円盤をつくることを示唆している。

--- 以下略。

IXPE とは・・・
IXPE は、宇宙全体の天体に関する画期的な発見を可能にする前例のないデータを提供し続けており、NASAとイタリア宇宙機関が12か国のパートナーと科学協力者とともに共同でミッションを行っている。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Beth Ridgeway(著者名です)

11月6日(水)
何が起きるか? 2024年11月夜空観察のヒント

夜空観察のハイライト

今月を通して - 惑星観察の要点:土星は夜のほとんどを南に輝き、木星はおうし座とオリオン座とともに夕方に昇り、火星は数時間遅れて、早朝の空に高く見える。
11月 4日 – スリムな三日月が金星とペアになる。日没直後、南西の空に月と金星が出会う美しい光景を楽しもう。
11月10日 – 土星と月。リングの惑星は、今夜の月と密接にペアになる(双眼鏡に最適)。
11月27日 – スピカの月掩蔽。米国東部とカナダの早起きの人は、この朝、スピカの前を通過する月を捉え、明るい星を一時的に視界から隠すことができる。

右図:2024年後半、夜明けが近づくと、木星は頭上高くにあり、おうし座とオリオン座の明るい星が見られる。木星は右上中央にある明るい天体。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。左上のイメージのリンク先は動画 Youtube です。

<出典>: Preston Dyches(著者名です)

11月3日(日)
珍しい植物プランクトンのプルーム

新しい調査は、アフリカ南部からマダガスカルに向かって風によって運ばれた塵が、過去20年間で最大の植物プランクトンの異常発生を引き起こしたことを明らかにしている。

このアニメーションは、2019年11月から2020年1月までの、その範囲を示している。

砂漠化、ダストの排出、海洋の肥沃化の関係はまだ十分に理解されていないが、 新しい論文 は、これらの関連性を解明するための重要な一歩を示している。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Week in images (ESA)

11月2日(土)
スプライト、カメラ、アクション

国際宇宙ステーション(ISS)に搭乗した宇宙飛行士が、北米上空で撮影された一連の写真で、稲妻に関連する大気現象である赤いスプライトを捉えた。嵐の雲が、米国中西部と南部の夜の街の明かりを覆い隠している。宇宙ステーションのカナダ製 RM2 ロボットアームが、イメージのシーケンスの中央に、暗く細長く示されている。

ステーションから撮影されたこのコマ落としビデオは、長い一連の写真を、短い間隔で撮影することによって作られる。イメージは、毎秒約25フレームから29フレームを使って編集され、僅か数分で数千マイルの地球を紹介するビデオが作られている。このトリミングされたタイムラプスは19秒に及び、メキシコ北部と米国南部および中西部の州の光景を提供し、ステーションが五大湖とカナダ西部に近づくと終了する。

稲妻の閃光が嵐システムを照らし、ビデオの15秒後、カナダ製アーム2の右側に一つの大きなスプライト(Sprit)をつくる。大気圏のこの層は、雷雨と関連する積乱雲のトップよりはるかに高い、地球の表面の約50~80キロメートルである。

国際宇宙ステーションでは、雲の頂きやスプライトなど一時的な大気現象(TLE:transient luminous events)を観察できる、気象システムのユニークな見晴らしの良い場所を提供する。スプライトは、帯電した雲から地面への、稲妻のストロークと結びついているように見える。正に帯電した稲妻は、大気中の窒素と相互作用して、赤色の光の閃光をつくる電気的破壊を引き起こす。この写真のスプライトは、クラゲ・スプライト(jellyfish sprites)に関連する、赤い巻きひげを持っている。

<ひとこと>: 右上のイメージのリンク先は動画 .mp4 です。後半にスプライトの輝きが現れますが、極めて短い瞬間なので注意してご覧ください。雲の中に見える多数の白い瞬間の光は、地上に落ちる稲妻の発光を示しています。

<出典>: Earth Observatry

11月1日(金)
NASA、NOAA、2024年のオゾンホールを
回復開始以来7番目に小さいとランク付け

南極の大気圏では治癒が続き、2024年に南極のオゾン層に毎年開く穴は、他の年に比べて比較的小さかった。NASAと米国海洋大気庁(NOAA)の科学者達は、オゾン層が2066年までには完全に回復する可能性があると予測している。

9月7日から10月13日までのオゾン層破壊シーズンのピーク時には、2024年のオゾンホールの面積は、オゾン層破壊化学物質を段階的に廃止するための画期的な国際協定であるモントリオール議定書が発効した1992年に回復が始まって以来7番目に小さいとランク付けされた。

<図の解説>: 右のマップは、NASAのオゾン監視チームが計算した、年間最大範囲の日である2024年9月28日の南極点のオゾンホールのサイズと形状を示している。科学者達は、オゾンの「穴」を、オゾン濃度が220 ドブソン単位 の歴史的なしきい値を下回る領域と説明している。

約 2,000 万平方キロメートルの、今年の南極の月平均オゾン層破壊地域は、米国本土の約3倍の大きさだった。この穴は、9月28日に、 2,240 万平方キロメートルの、1日での最大に達した。

科学者達によると、この改善は、有害な クロロフルオロカーボン(CFC:chlorofluorocarbon:英語ウィキペデイアページ) 化学物質の継続的な減少と、南極北部からの気流によって運ばれるオゾンの予期せぬ注入の組み合わせによるものである。

これまでの数年間、NASAとNOAAは、科学者達が、衛星データを使って、南極のオゾンレベルを追跡し始めた1979年まで遡る時間枠を使って、オゾンホールのランキングを報告してきた。その長い記録を使うと、今年のホールは45年間の観測で20番目に面積が小さいとランク付けされた。

大気中のオゾンに富む層は、太陽からの有害な紫外線(UV)放射から我々を保護するのに役立つ日焼け止めとして機能する。また、紫外線に過度にさらされると、農業の収穫量が減少するだけでなく、重要な生態系の水生植物や動物に損害を与える可能性もある。

1970年代、科学者達は、CFC が大気中のオゾンを侵食する可能性があるという見通しに警鐘を鳴らした。1980年代半ばまでに、オゾン層は強く破壊され、毎年10月初旬までに南極の成層圏の広い範囲のオゾンが実質的になくなった。有害な CFC の発生源として、冷蔵庫やエアコンの冷却剤、ヘアスプレー、制汗剤、スプレー塗料のエアロゾルなどが含まれていた。有害な化学物質は、断熱フォームの製造や工業用の消火システムのコンポーネントとしても放出された。

モントリオール議定書は、CFC ベースの製品とプロセスを段階的に廃止するために1987年に署名された。世界中の国々が、2010年までに化学物質をより環境に優しい代替品に置き換えることに合意した。CFC 化合物の放出は、モントリオール議定書以降、劇的に減少した。しかし、すでに空気中にある CFC は、分解するのに何十年もかかる。既存の CFC レベルが徐々に低下すると、上層大気のオゾンは全球的に跳ね返り、オゾンホールは縮小する。

研究者達は、オゾン層を監視するためにシステムの組合わせに依存している。これには、NASAのオーラ衛星、NOAA-20 および NOAA-21 衛星、NASAとNOAAが共同で運用するスーオミ極軌道パートナーシップ衛星の機器が含まれている。

<ひとこと>: 記事は一部省略しています。大判はイメージのリンクから。左上のイメージのリンク先は動画 Youtube 。

<出典>: James R. Riordon(著者名です)

10月31日(木)
宇宙の小惑星を見つけて未来を覗く

今から数十億年後、太陽系には何が残っているのだろう? 我々は、いくつかの手がかりを集めるために、エクソアステロイド(Exoasteroids)プロジェクトを立ち上げている。この新しい市民科学プロジェクトに参加して、惑星システムを分解する行為で捕まえることができる奇妙な物体:可変白色矮星の探索を手伝おう。

白色矮星は、それぞれが恒星の質量を惑星の大きさの球体に詰め込んでいる。彼らはまた、我々の太陽系の未来でもある。今から数十億年後、太陽は赤色巨星に進化し、次に白色矮星に進化し、その過程で最も内側の惑星と数百万の小惑星をむさぼり食う。

エクソアステロイド・プロジェクトでは、明るくなったり暗くなったりする白色矮星を探す。このような白色矮星は、まだ活発に小惑星を食べている惑星システムの残骸である可能性があり、NASAの広視野赤外線探査機(WISE)宇宙望遠鏡からのイメージで検出可能な爆発を引き起こしている。

惑星の残骸や他の太陽系で崩壊する小惑星を見つけるのを手伝ってください!

ノートパソコンや携帯電話をお持ちの方ならどなたでもご参加いただけます。参加するためには、特定の国の市民権は必要ありません。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: NASA Science Editorial Team

10月30日(水)
NASA、アルテミスⅢの月面着陸地域に関する最新情報を提供

50年以上を経て、NASAが再び有人月面着陸に向けて準備を進めている中、NASAは、アルテミスⅢミッションのために、月の南極点付近に着陸する可能性のある九つの地域を新たに特定した。これらの地域は、科学的および工学的に更に調査される。
<参考>: アルテミス1:無人月周回--2023年、 アルテミス2:有人月周回--2025年予定、 アルテミス3:有人月着陸--時期未定。

以下、優先順位はない。

1 カベウスB近くのピーク、   2 ハワース、   3 マラパート山塊、   4 モンスムートン高原、   5 モンス・ムートン、   6 ノーブルリム1、   7 ノーブルリム2、   8 ゲルラッシュリム2、   9 スレーター・プレイン  

これらの地域には多様な地質学的特徴が含まれており、ミッションの可用性に柔軟性がある。月の南極点は、有人ミッションによって探査されたことがなく、水を含む資源を保存できる恒久的な影のある領域が含まれている。

これらの着陸地域を選択するために、科学者達とエンジニア達の学際的なチームが、NASAの月面偵察軌道船と膨大な量の月科学調査からのデータを使用して月の南極地域を分析した。選考プロセスでは、科学の可能性、打上ウィンドウの利用可能性、地形の適合性、地球との通信能力、照明条件などの要素が含まれていた。さらに、NASAのSLS(Space Launch System)ロケット、オリオン宇宙船、Starship HLS(人間着陸システム)の軌道能力を組み合わせ、安全でアクセス可能な着陸地点を確保した。

アルテミスⅢの地質学チームは、科学的な有望性について着陸地域を評価した。特定された九つの地域のそれぞれに潜むサイトは、岩石惑星、月資源、太陽系の歴史についての理解に重要な新しい洞察を提供する可能性を秘めている。

NASAは、ミッションの目標打上日を特定した後、アルテミスⅢの地域内のサイトを選択する。

<ひとこと>: 以上、要点のみ抽出。大判はイメージのリンクから。

<出典>: Jessica Taveau(著者名です)

10月29日(火)
不吉な太陽系(その2)

<前書き>: ハロウィーンに当たって、NASAがまとめた記事をベースに、2日間に亘って10のイメージを紹介する。なお、ここに挙げる記事は独自に編集している。

左のイメージは「魔女の顔星雲」。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 以下はNASAの記事の抜粋 ☆ ☆ ☆ ☆ 

我々の宇宙は神秘的な光景に満ちている。過去のハロウィーンから恐ろしい発見のいくつかを探ってみよう。


6, ルーシー宇宙船はスケルトンにちなんで名付けられた。

2021年のハロウィーンの頃、NASAはルーシーミッションを開始し、謎のトロヤ群小惑星が群がる太陽系の一部への旅を始めた。実際には、宇宙船はスケルトンにちなんで名付けられている! ルーシーは、ビートルズの曲「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」にちなんで名付けられた人類の祖先の化石化した骨格にちなんで名付けられている。

7, NASAのX線望遠鏡が幽霊のような宇宙の手の「骨」を明らかにする

1895年、ヴィルヘルム・レントゲンがX線を発見し、それを使って妻の手の骨を画像化し、医学のための革新的な診断ツールを開始した。今、NASAの二つのX線宇宙望遠鏡は、そのイメージング能力を組み合わせて、宇宙にある驚くべき手の形をした構造物の磁場「骨」を明らかにした。これらの望遠鏡は、エネルギー化された物質と反物質の粒子のプルームを通じて生き続ける、死んだ崩壊した星の振る舞いを明らかにしている。

MSH 15-52 のようなパルサーの風星雲はエネルギー粒子の雲であり、X線を生み出し、死んだ崩壊した星から遠ざけられる。

8, 我々の太陽系への謎の訪問者は、奇妙な、回転するオブジェクトだった。

2017年11月、科学者達は、NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡を、史上初めて太陽系を訪れた星間天体「オウムア・ムア」に向けた。赤外線スピッツァーは、10月に発見されて以来数週間で、オウムア・ムアを調査する多くの望遠鏡の一つになった。

9, 火星の奇妙なエイリアンの顔

NASAのバイキング1号探査機は、1976年7月25日、バイキング2号着陸船の着陸地点を探しているときに火星のこの地域を撮影した。写真は一部が人間(またはエイリアン)の顔に似ていたため有名になった。


10, 「横向き」の惑星天王星はおそらく打ちのめされた。

天王星は、赤道が軌道に対してほぼ直角にあり、傾きが 97.77 度ある、太陽系で唯一の惑星です。これは、恐らく、はるか昔に、地球サイズの物体と衝突した結果であろう。

<ひとこと>: 大判はそれぞれのイメージのリンクから。

<出典>: NASA Science Editorial Team

10月28日(月)
不吉な太陽系(その1)

<前書き>: ハロウィーンに当たって、NASAがまとめた記事をベースに、2日間に亘って10のイメージを紹介する。

左のイメージは「魔女の顔星雲」。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 以下はNASAの記事の抜粋 ☆ ☆ ☆ ☆ 

我々の宇宙は神秘的な光景に満ちている。過去のハロウィーンから恐ろしい発見のいくつかを探ってみよう。


1, NASAのポスター、ハロウィーンのための宇宙の恐怖を取上げる

ハロウィーンを目前に控え、NASAは最新のギャラクシー・オブ・ホラーズのポスターを発表した。ビンテージ・ホラー映画の広告のスタイルで提示された新しいポスターは、「死んだ」銀河、恒星の死体の衝突によって引き起こされる爆発的なガンマ線爆発、そしてとらえどころのないダークマターを特徴としている。

2, ハッブル宇宙望遠鏡が瀕死の星を輝かせてハロウィーンを祝う

催眠術をかけるような渦? 魔女の大釜を覗いてみませんか? 巨大な宇宙の蜘蛛の巣? これはハッブル宇宙望遠鏡の赤色巨星 CW レオニスのイメージである。

3, NASAのスピッツァーが見た「モンスター」星形成領域

この写真にモンスターが写っているだろうか? 画像の上部付近の明るいスポットは、ゴジラの鋭い目と細長い鼻のように見えるだろうか?

4, 死んだ彗星が地球を飛んだハロウィーン

2015年のハロウィーンには、大きな宇宙の岩が地球を通り過ぎた。それは、おそらく死んだ彗星であり、それにふさわしく、それは不気味に頭蓋骨に似ていた。

5, 地獄のような「邪悪な双子」の金星が宇宙船を焼き砕く

それは愛の女神にちなんで名付けられた雲に包まれた惑星であり、しばしば地球の双子とも呼ばれる。しかし、少し近づくと、金星は地獄のようになる。

<ひとこと>: 大判はそれぞれのイメージのリンクから。

<出典>: NASA Science Editorial Team

10月27日(日)
眩い超新星

2017年2月24日に公開されたこのイメージは、大マゼラン雲の中の、ガスとダストの劇的な赤い雲に囲まれた超新星 1987a (中央)を示している。
---左に挙げるイメージは、超新星の部分を切り出している。

1987年2月23日に初めて発見されたこの超新星は、太陽1億個分の力で燃え上がった。その最初の目撃以来、 SN 1987A はその壮大な光のショーで天文学者達を魅了し続けている。大マゼラン雲の近くにあり、この数百年で観測された最も近い超新星爆発であり、天文学者達が星の死の前、最中、後の段階を研究する最高の機会となった。

<ひとこと>: 原版はイメージのリンクから。

<出典>: Monika Luabeya(著者名です)

10月26日(土)
再び旅に出る...

2024年10月3日に撮影されたこのイメージで、NASAの移動式ロケット1号が、アルテミスⅡミッションに備えたアップグレード及びテストを経て、ケネディ宇宙センターのロケット組立棟に戻った。

アルテミスⅡは、NASAが、アルテミス計画による科学と探査のために、月に長期滞在を確立するための最初の有人ミッションである。アルテミスⅡは、4人の宇宙飛行士を月の周辺に送り込み、基本的な有人の深宇宙探査能力、SLS ロケット、オリオン宇宙船をテストする。

<ひとこと>: ハリケーンの襲来や故障を除いては、打上台から整備工場(打上船組立ビル)にロケットが戻ることはほとんどない。今回の打上は来年の予定だから間があるからだろう。大判はイメージのリンクから。

<出典>: Monika Luabeya(著者名です)

10月25日(金)
アルテミス1の放射線測定でオリオンの安全性を検証する

NASAのオリオン宇宙船は、宇宙飛行士達を深宇宙で安全に保ち、地球から遠く離れた過酷な環境から宇宙飛行士達を保護するように設計されている。先の無人のアルテミスⅠミッションでは、NASAの研究者達と数人の協力者が、宇宙飛行士への潜在的な放射線被曝を測定するために、オリオンに搭載物(注:人型)を飛行させた。
<図の解説>: 左図はアルテミスⅠミッションで撮られたオリオン居住棟(右側)。右上に月と地球が見える。

オリオンが月を周回する 25.5 日間のミッションの中で、放射線の測定は、オリオン内部で、 5,600 個のパッシブセンサーと34個のアクティブ放射線検出器によって行われ、地球のバン・アレン放射線帯内の被曝に関する重要なデータを提供した。これらの詳細な調査結果は、NASAの宇宙放射線分析グループ、ドイツ宇宙センター(DLR)、欧州宇宙機関の共同研究を通して、最近の科学論文に掲載された。この測定結果では、放射線被曝は、オリオン内の場所によって異なるが、探査機は月面ミッション中に潜在的に危険な放射線レベルから乗組員を保護できることを示している。

宇宙放射線は、長期間の有人宇宙飛行に大きなリスクをもたらす可能性があり、アルテミスⅠミッションの結果は、地球低軌道を超えて月、そして最終的には火星への将来の有人探査に向けた重要な一歩を表している。

NASAの HERA(Hybrid Electronic Radiation Assessor)と Crew Active Dosimeter は、以前に国際宇宙ステーションでテストされたほか、ヨーロッパ宇宙機関の Active Dosimeter もオリオン内部の放射線を測定するために使われた機器の一つである。 HERA の放射線センサーは、太陽フレアなどの放射線の出来事が発生した場合に、クルーが避難する必要があることを警告できる。 Crew Active Dosimeter は、宇宙飛行士の放射線量データをリアルタイムで収集し、地球に送り返して監視することができる。放射線の測定は、宇宙船のさまざまな領域で行われ、それぞれが異なるレベルの遮蔽を提供した。

<図の解説>: この高解像度画像は、アルテミスⅠミッションの初日の飛行中のオリオンクルーモジュールの内部を捉えている。左はムーニキン・カンポス司令官で、科学者達やエンジニア達が、将来のアルテミスミッションのために深宇宙の環境を理解するのに役立つデータを収集するセンサーを装備した、目的を持った乗客(人形)である。

研究者達は、オリオンの設計が月面ミッション中で潜在的に危険な放射線レベルからクルーを保護できることを確認した。宇宙船の放射線遮蔽は効果的だが、特定の環境での宇宙船の向きによっては被ばく範囲は大きく異なる。オリオンが暫定極低温推進ステージのエンジン燃焼中に向きを変えたとき、バン・アレンベルトの放射線の指向性が高いために、放射線レベルはほぼ半分に低下した。

これらの放射線測定は、オリオン宇宙船の放射線リスクを管理するための効果的な戦略を持っていることを示しているが、特に長期の宇宙飛行や宇宙遊泳中の宇宙飛行士の保護については、重要な課題が残っている。

NASAの宇宙放射線リスクを軽減するための長期的な取組みと研究は進行中であり、将来のミッションでの放射線測定は、宇宙船の遮蔽、軌道、および太陽活動に大きく依存する。アルテミスⅠで飛行したのと同じ放射線測定ハードウェアは、オリオン内部で見られる放射線被曝をよりよく理解し、月とその先への宇宙飛行士の安全を確保するために、月を周回する最初の有人アルテミスミッションであるアルテミスⅡをサポートする。

<ひとこと>: 大判はそれぞれのイメージのリンクから。

<出典>: Laura Sorto(著者名です)

10月24日(木)
ヨーロッパ宇宙機関:アポフィスミッションに向かって動く

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は、小惑星アポフィス(Apophis)に対する機関が提案するラムセス・ミッション(Ramses mission)の準備作業のために、イタリアの会社 OHB Italia SpA と 6,300 万ユーロ相当の契約を結んだ。

2029年4月13日、375メートルの小惑星アポフィスが、地球から月までの距離の10分の一未満の、地球の表面から 32,000 キロメートル内を通過する。この極めて稀な自然現象は、全世界の注目を集め、科学および惑星防衛研究にユニークな機会を提供するだろう。

フライバイ中、強い潮汐力が小惑星に負担をかけ、表面の下の新しい物質を明らかにする可能性がある。アポフィス宇宙船は、これらの変化を観測し、科学者達に、小惑星の組成と構造、および小惑星が外部の力にどのように反応するかについて多くのことを教えることができる。危険な小惑星を地球との衝突のコースから叩き落とすことができると願うなら、これらの特性を理解する必要がある。

ラムセス・ミッション・パッチ
ヨーロッパ宇宙機関は、2025年の次回閣僚理事会で、宇宙安全プログラムの次の惑星防衛ミッションとして、このようなミッションの承認と資金提供を提案する予定である。この探査機は、2024年10月7日に打ち上げられた、機関の最初の小惑星ミッションであるヘラ(Hera)の適応に基づいている。

しかし、地球安全のための急がれるアポフィス・ミッション(Ramses:Rapid Apophis Mission for Space Safety)は、地球を通過する際の研究に間に合うようにアポフィスに到着するために、2028年初頭に打上げる必要がある。そのため、2024年7月、機関の加盟国は、ミッションの統合/早期実施フェーズの準備作業を開始するために、既存の機関の資金を使用することを承認した。

この作業によって2025年にラムセス・ミッションが全面的な支援を受ける場合、この非常に厳しいタイムライン内に実現可能になることを保証する。

--- 以下略。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Planetary Defence (ESA)

10月23日(水)
ナミビア全土でゾウを追う

ナミビア北西部の広く開放的な乾燥した土地には、世界最大の陸上動物であるアフリカゾウ(Loxodonta africana)が生息している。多くの大型哺乳類と同様、これらの象徴的なゾウは絶滅の危機に瀕している、農業の拡大、都市化、人間とゾウの対立、密猟の脅威にさらされている。個体数が減少し続ける中、研究者達は、個体群の生存可能性を高めるための重要な戦略として、保全回廊(生息地間のリンク)に目を向けている。

新しい研究では、研究者達は、 GPS 追跡データと衛星画像を組み合わせて、ナミビア北西部の地形全体でゾウの動きをマッピングした。その結果、象は国立公園や隣接するクネネ地方のコミュニティ管理地など、この地域の保護地域内を自由に移動しているが、各保護地域間での移動はほとんどないことがわかった。この研究は、ランドスケープ・エコロジー誌に掲載された。

ランドスケープの接続性は、生態学的および遺伝的な観点から重要である。 22,000 平方キロメートルを超えるエトーシャ国立公園は、ニューハンプシャーとほぼ同じ大きさであるが、一つの公園で全種を維持することはできない。孤立した地形内の哺乳類の小さな集団は、近親交配のリスクが高く、単一の壊滅的な環境によって全滅するリスクが高くなり得る。

研究者達は、8年分の GPS 追跡データを使って、ゾウの居場所だけでなく、ゾウがどのくらいの時間滞在し、どれだけ速く移動したかを示す「ムーブスケープ」を作成した。

次に、研究者達は、衛星画像やその他の現地データを使って、地形の特徴がゾウの動きにどのような影響を与えたかを評価した。水の存在は、ゾウの動き方を決定する最も重要な要素だった。ナミビアの乾燥した風景の中で、象は川沿いを歩き回り、水飲み場の周りに集まった。左上の比較イメージ(左)は、2024年3月7日に取得したもので、エトーシャ国立公園と北部の地域にあるいくつかの水飲み場と川を示している。これには、アフリカ最大の塩田であるエトーシャ・パン(Etosha Pan)の一部を含む、塩の堆積物がある地面の窪み、いくつかの窪みが含まれている。

ゾウは、水飲み場を超えて、町から離れた平坦な場所に住み、食料が手に入る地域に留まる傾向がある。これらの大型草食動物の主な食料である植生の健康状態と密度を測定する。左上の疑似カラー画像の右側は、植生が特に豊富な2024年3月7日のこの地域を示している。

重要なことは、この調査の対象としたした全てのゾウが同じように動いたわけではないということである。一部の行動は性別の境界を越えて分割された。例えば、ここでは、オスのゾウの動きよりもはるかにメスのゾウの動きに影響を与えた。これは、エコロジカルには理にかなっている。メスのゾウは、子ゾウや幼体などの家族グループと一緒にいる傾向があり、全員に食事を与えるためにより多くのリソースが必要である。一般的に、オスのゾウは、家族グループよりも分散し、繁殖とフィットネスの目標を達成するために多くのリスクを冒す傾向がある。

また、個々のアフリカゾウの間にも多くのバリエーションがあった。これら行動の範囲を確認することは、土地管理者が、例えば水飲み場のある地域の保全に焦点を当てるなど、一般的な行動に合わせた努力を助けると同時に、個体群の健康にとって重要な、ゾウが地域間を移動した場所などの、稀な行動を考慮するのに役立つために重要である。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Earth Observatory

10月22日(火)
ローカル宇宙の星の流れ

これらのパネルに配列された20の銀河は、潮汐の星の流れの野心的な天文学的調査の一部である。各パネルは、近傍の大質量銀河のイメージを取り囲むフィールドの、公開されたイメージの調査から撮影された、深く反転したイメージを示している。これらの反転したイメージは、重力の乱れと局所宇宙の衛星銀河の最終的な合体から生じるかすかな宇宙の構造、数十万光年の星の流れを明らかにしている。このような、大質量銀河とその矮小衛星との間の合体や重力潮汐相互作用の調査は、現在の銀河形成モデルと宇宙論の重要な指針となる。もちろん、隣接するアンドロメダ銀河とミルキウェイ銀河の恒星の流れの検出は、我々のより局所的な銀河グループ内で進行中の衛星銀河の混乱の壮大な証拠も提供している。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

10月21日(月)
EarthCARE の相乗効果が示す雲とエアロゾルの力

ヨーロッパ宇宙機関の EarthCARE 衛星に搭載された各機器からの初期画像が手元に届いた今、四つの高度なセンサーが相乗効果を発揮して、雲とエアロゾルが大気の加熱と冷却にどのように影響するかを正確に測定する方法を明らかにする時が来た。

イタリアのミラノで開催された国際宇宙会議で発表されたこれらの新しい結果は、EarthCARE の機器が雲とエアロゾルの異なる測定を同時に行うことができることを明確に示している。これらの相乗的な測定は、地球の繊細なエネルギーバランスに関する重要な洞察をもたらすことを約束している。

エネルギーの収支は、地球が太陽から受け取るエネルギーの量と、太陽が宇宙に放出する熱放射の量を表している。雲、エアロゾル、温室効果ガスなど、さまざまな要因の影響を受け、このバランスは地球の気候を調節するために不可欠である。

雲やエアロゾルは、一般的には大気を冷やすのに役立つことが知られているが、入ってくる熱と出る熱との相互作用は非常に複雑で、まだ完全には理解されていない。

2024年5月に発足した EarthCARE は、ヨーロッパ宇宙機関と日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)の共同事業によって実現したミッションであり、雲やエアロゾルが、雲やエアロゾルが、入って来る太陽エネルギーをどのように宇宙にはねかえすか、また、それらが出て行く赤外線エネルギーをどのように捕らえるかの我々の理解を助けるための、我々の大気圏の様々な側面を測定する重要な作業を担っている。

--- 中間略 ---

JAXA によって提供される EarthCARE 雲プロファイリング・レーダー(EarthCARE cloud profiling radar)は、垂直構造に関する情報と、雲の内部の動態を示し、大気ライダー(atmospheric lidar:参考;マイクロ波の代わりにパルスレーザー光を出すレーダーに似た装置)は、雲のトップとエアロゾルと薄い雲の輪郭を送り、マルチスペクトル画像装置(multispectral imager)は複数の波長で広い範囲の場面の概要を提供し、また、広帯域放射計(broadband radiometer)は、反射された太陽輻射と地球から来る出て行く赤外線を測定する。

アニメーションは、EarthCARE の相乗効果を示す二つの主要な特徴を強調している。

マルチスペクトル画像装置は、場面全体を通した全体的な概要を提供するが、アニメーションは、最初にイタリア北部とコルシカ島北部で最近発生した雷雨に焦点を当てている。この嵐は、イタリアのエミリア・ロマーニャ州で深刻な洪水を引き起こし、中央ヨーロッパの一部を壊滅させた嵐ボリスに関連する大きな対流システムの一部だった。

アニメーションのこの段階では、雷雲内に形成される大きな粒子により、雲プロファイリングレーダーがほとんどのデータを配信する。次に、大気ライダーが、雲の最上部に1〜2キロメートルの層を検出し、雲の頂きの氷の層に関する重要な詳細を明らかにする。

<ひとこと>: 温室効果対策の一端が見つかればよいのですが・・・。左のイメージのリンク先は動画 mp4 です。

<出典>: EarthCARE

10月20日(日)
NASAのミシュー、珍しい訪問者を得る

この2024年10月13日のイメージでは、ニューオーリンズにあるNASAのミシュー組立施設を通過する紫金山・アトラス(Tsuchinshan-ATLAS)彗星 C/2023 A3 をとらえている。この彗星は、冥王星をはるかに超え、カイパーベルトの最も遠い端にあるオールトの雲から来ている。この C/2023 A3 彗星は11月上旬まで見ることができるが、観測するのに最適な時期は今から10月24日までである。

<出典>: Monika Luabeya(著者名です)

<参考>:国立天文台の解説記事--- この彗星は、発見当初、とても明るい彗星となることが期待されていました。その後彗星の状況は変化し、当初の期待のようには明るくならないものの、暗い空であれば肉眼でかすかな姿を観察できそうです。位置や予想される明るさの情報を紹介します。詳細は こちら から。

本サイトの紫金山・アトラス水星に関連する記事は こちら(すばる望遠鏡) こちら(SOHO) および こちら から。

世界中からの彗星の写真集を見るには Spaceweather.com Newsletter から。なお、Tsuchinshan-ATLAS を選んでください。

10月19日(土)
NASA、新しいNOAA環境衛星打上のプロバイダーを選択

NASAは、米国海洋大気庁(NOAA)のクイックサウンダーミッション(QuickSounder mission)の打上げサービスを提供するために、テキサス州シーダーパークのファーヤーフライ・エアロスペース社(Firefly Aerospace, Inc)を選んだ。

この選択は、専門かつ乗合わせの---ライドシェアーかつ打上専門の---挑戦クラスの会社(VADR:Venture-Class Acquisition of Dedicated and Rideshare)との、NASAの打上げサービス契約の一部である。この契約により、 VADR の5年間の注文期間中に固定価格の無期限配送/無期限数量の落札を行うことができ、すべての契約での最大合計額は3億ドルになる。

クイックサウンダーミッションは、 NOAA の将来の低軌道プログラムのための次世代衛星アーキテクチャをサポートし、NOAA の国立気象局、米国の気象業界、および世界中の他のユーザーにミッションクリティカルなデータを提供する。

クイックサウンダーは NOAA の地球近傍軌道ネットワーク(NEON)の初めての小型衛星である。 NASA と NOAA の共同作業である NEON は、天気予報、災害管理、気候監視のための地球観測機器を備えた中小規模の衛星を迅速に構築することにより、新しい地球環境衛星システムを開発するための新しいアプローチを提供する。その打上げ準備日は2026年2月である。

NASAは、NOAAの衛星の開発と打ち上げを管理している。ミッションリーダーとして、NOAAは資金と技術要件を提供し、打上後の運用を管理する。NASAとNOAAは、商業パートナーと協力して、ネットワークの宇宙船と機器を設計および製造する。

<付記>: この記事は、先にこのコーナーでも取り上げた通り、これまで探査機開発者が並行して打上ロケットを開発し管理してきたのと異なり、他の民間の打上専門の組織がロケットを開発し(例:スペースX)、かつ、今後は相乗り(ライドシェア)の形で参加者を募集する(例:この記事)、新しい動きを紹介するために取上げました。記事にある2026年ごろは、それが当たり前になっているかもしれません。本格的な“打上ビジネス”の到来です。

<出典>: Tiernan P. Doyle(著者名です)

10月18日(金)
北極圏のオゾンが過去最高を記録

北極圏のオゾンの濃度は、2024年3月にの月間平均が過去最高に達した。2023年から2024年の冬にかけて上層大気を乱した大規模な気象システムによって、北極圏の成層圏に他のどの時期よりも多くのオゾンが移動して残った。

NASAとリーズ大学の科学者達のチームは、2024年9月の論文、地球物理学調査レターで、その調査結果を次のように報告した。「1970年代以降、北極圏のオゾン濃度が高かったことを考えると、2024年3月の記録的な高い値は、将来の北極オゾン層のポジティブな先駆けと考えられるだろう。」

一連の地球規模の波が大気中を上向きに伝播し、北極圏を周回する成層圏のジェット気流を遅くさせた。そうなると、中緯度からの空気が北極に収束し、オゾンが北極の成層圏に送り込まれる。オゾンの流入に加えて、塩素などの物質による典型的なオゾン層の破壊はほとんどなかった。北半球では非常にダイナミックで活発な冬だった。

成層圏のオゾンの量が多いほど地球上の生命にとってプラスになる。成層圏のオゾン層は天然の日焼け止めであり有害な紫外線を吸収する。紫外線が少ないことは、植物の DNA へのダメージが少なく、人間や動物の白内障、皮膚がん、免疫系の抑制のリスクが低いことを意味する。
2024年4月から7月にかけて、紫外線指数は北極圏で6〜7%、北半球の中緯度で2〜6%低かったと計算される。

2024年3月の活動は、成層圏のオゾン濃度が極端に低いレベルに達した2020年3月とは対照的である。安定した極周辺の風は、また、上層大気からの混乱なしに、他の緯度からのオゾンの北極の成層圏への補充を防いだ。

左上の図は、2020年3月(左)と2024年3月(右)の北極圏のオゾン濃度を示しており、北極圏で起こりうる大きな変動を示している。月平均はNASAのオゾンウォッチチームによって計算され、NASAとNOAAのスウオミNPP衛星(Suomi-NPP satellite)によって得られたデータに基づいている。

一方、オゾンホールが毎年形成される南極大陸とは異なり、北極圏のオゾン濃度は非常に変動し、対流圏と成層圏の天候の「年ごとの変動」の影響を受けやすい。

2023年12月下旬から2024年3月上旬にかけての強い波により、右のグラフに見られるオゾン濃度の増加が見られた。オゾンレベルは、通常どおり3月にピークに達し、その後は平均を大きく上回る水準で推移した。また、5月、6月、7月、8月は、月平均オゾン濃度で新記録を樹立した。

成層圏の異常な天候の原因については、著者たちはさまざまな要因を調べたが、明確な答えは見つからなかった。

--- 以下略。

<参考>: オゾンは主に、日射量の多い赤道上の熱帯成層圏下部で最も活発に生成されている。生成されたオゾンは赤道から両極に向かうブリューワー・ドブソン循環によって高緯度の成層圏に運ばれるので、中〜高緯度地域の方が熱帯地域よりもオゾンが多くなる。ブリューワー・ドブソン循環は成層圏下部にあたる高度20 km付近で1年中続いているため、オゾン輸送は年中途切れない。しかし、冬に当たる成層圏には極付近に極渦というジェット気流帯があり、その南北をまたぐ熱や物質の輸送が起こりにくいので、熱の輸送が遮断されて低温になり、南極では冬の間に大量の極成層圏雲 (PSC) が生成される。春〜初夏にかけて、この氷の雲が融解すると同時に塩素原子が大量に発生する。PSCの表面ではオゾンの分解反応が促進され、オゾン濃度が急低下し春季にオゾンホールが発生する主因となる。一方、北極ではロスビー波の影響で極渦が南北に乱されるため、PSCの生成に至るほど気温は低下せず、オゾン濃度の低下も起こりにくい。 以上、ウィキペデイア「オゾン層」 から。

<ひとこと>: 記事は概要です。大判はイメージのリンクから。

<出典>: Earth Observatry

10月17日(木)
NASA・NOAA、太陽は11年間の太陽周期で最大の位相に達する

火曜日の記者団との電話会議で、NASA、米国海洋大気庁(NOAA)、および国際的な太陽周期予測パネルの代表者達は、太陽が太陽活動極大期に達したと発表した。太陽周期は、太陽が活動が小さいものから高いものに移行する自然なサイクルである。約11年ごとに、太陽周期の最盛期には、太陽の磁極が反転し、太陽は低迷から活動へと移行する。

太陽活動極大期として知られる最も活発なときは、太陽は光、エネルギー、太陽放射の巨大な爆発を解き放つことがある。2024年5月の太陽活動は、ここ数ヶ月のオーロラの視認性を高め、衛星やインフラへの影響をもたらした。

<左図の解説>: NASAのソーラーダイナミクス観測所からの可視光線イメージ。太陽活動極小期(左、2019年12月)と太陽活動極大期(右、2024年8月)の太陽の姿を強調している。太陽活動極小期の間は、太陽はしばしばきれいではなく、黒点は太陽活動に関連しており、太陽周期の進行を追跡するために使用される。

2000年以前2020年以降

<ひとこと>: 以上は記事のポイントのみを示しました。下記リンク先では様々なイメージなども提供しています。

<出典>:  Abbey A. Interrante(著者名です)

10月16日(水)
エウロパ・クリッパー、木星の海の月に向けて打上

NASAのエウロパ・クリッパー(Europa Clipper)は、木星への長い航海に乗り出し、生命を維持する可能性のある巨大な地下の海を持つ衛星エウロパを調査する。宇宙船は、NASAのケネディ宇宙センターの発射台39Aから、スペースXのファルコン・ヘビーロケットで、米国東部夏時間月曜日午後12時6分(日本時間火曜日午前1時6分)に打上げられた。

NASAが他の惑星に向かうミッションのために建造した最大の宇宙船であるエウロパ・クリッパーは、海洋の世界の調査に特化したNASA初めてのミッションでもある。この宇宙船は、最初は4か月で火星に達し、その後2026年に再び重力支援フライバイのために地球に戻り、重力支援を活用する軌道で約29億キロメートルを移動する。2030年4月に木星を周回し始めた後、エウロパを49回通過する。

ミッションの主な目標は、エウロパが生命を維持できる条件を持っているかどうかを判断することである。エウロパは、我々の月とほぼ同じ大きさであるが、その内部は異なる。1990年代のNASAのガリレオミッションからの情報は、エウロパの氷の下には、地球のすべての海を合わせたよりも多くの水を含む巨大な塩の海が横たわっているという強力な証拠を示した。科学者達は、また、エウロパがその表面の下に有機化合物とエネルギー源を保持している可能性があるという証拠をも発見した。

このミッションが、エウロパが居住可能性があると判断した場合、我々の太陽系内およびそれを超えて、想像以上に居住可能な世界が存在することを意味するかも知れない。

<図の解説>: NASAのエウロパ・クリッパー宇宙船を搭載したスペースXのファルコンヘビーロケットが、東部夏時間2024年10月14日月曜日午後12時6分に、NASAのケネディ宇宙センタの発射施設39Aから打ち上げられる。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。

<出典>:  Jessica Taveau(著者名です)

10月15日(火)
古代の彗星現れる

NASAの宇宙飛行士マシュー・ドミニクは、2024年9月28日の日の出直前に、ニュージーランドの南太平洋南東上空272マイルを周回する国際宇宙ステーションから、彗星 C/2023 A3(Tsuchinshan-ATLAS)のタイムラプス写真を撮影した。当時、この彗星は地球から約 4400 万マイルにあった。

この彗星は非常に古い彗星であるが、2023年に発見されたばかりで、人類史上初めて、その楕円の軌道で、太陽系内惑星システムの、その高度に接近した。2024年10月中旬から、この彗星 C/2023 A3 は、日没後、西の低い空に見えるようになる。彗星の尾が日光によく照らされていれば、肉眼で見える可能性もある。10月14日から24日は、双眼鏡や小さな望遠鏡を使用して観察するのに最適な時期である。

この彗星はオールトの雲から来ており、科学者達は、オールトの雲を、太陽系を囲む巨大な球形の殻であると考えている。それは、山ほどの大きさ、時にはそれ以上の、宇宙の氷のかけらでできた、大きな厚い泡の壁のようなものである。冥王星とカイパーベルトの最も遠い端をはるかに超えたオールトの雲には、数十億、さらには数兆の天体が含まれている可能性がある。

<ひとこと>: イメージは一部を切り出しています。大判はイメージをクリック(タップ)。

<出典>: Monika Luabeya (著者名です)

10月14日(月)
氷の月に生命は存在で切るだろうか?
        エウロパクリッパー、その解明を目指す

間もなく宇宙船が打上げられるこのミッションは、エウロパの氷の地殻の下の海に生命に適した成分があるかどうかという疑問に答えようとしている。

木星の衛星エウロパは、その氷の殻の下の海の奥深くにあり、温暖かつ栄養豊富で、科学者達が「居住可能」と呼ぶ何らかの生命にとって理想的な環境かも知れない。NASAのエウロパクリッパー・ミッションは、それを見つけることを目的としている。

NASAは今、ケネディ宇宙センターの発射施設39Aから、スペースXのファルコンヘビー(Falcon Heavy)ロケットで、10月14日(月)以前に打上げることを目標としている。

エウロパ・クリッパーの細長いループ軌道は、木星の周りを回る宇宙船の強い放射線への露出を最小限に抑え、エウロパへの接近通過のために潜ることができる。ミッションの49回のフライバイのそれぞれに手ごわい一連の機器を使用することで、科学者達は月の氷の殻の厚さを「見て」、その下の広大な海についてより深く理解することができる。彼らは、下から浮かび上がってきた可能性のある表面の物質を調査し、生命の構成要素を形成する有機化合物の指紋を探し、月から放出されたガスをサンプリングして居住可能性の証拠を探す。

ミッションサイエンティスト達は、月が凍った殻の下に生命を維持できる水の世界を示す兆候を探して、結果を分析する。

<ひとこと>: エウロパクリッパー・ミッションは、フロリダ半島付近へのハリケーンの到来で、打上が延期されてきました、新しい打上の視聴は日本時間15日午前0時、 NASAプラス(YueTube) から。大判はイメージのリンクから。

<出典>: Jet Propulsion Laboratory

10月13日(日)
SOHO、明るい彗星を夜空に初公開

NASAとヨーロッパ宇宙機関の太陽圏天文台(SOHO)は、探査機の約29年間のキャリアの中で2番目に明るい彗星の画像を撮った。

この明るい彗星は C/2023 A3 Tsuchinshan-ATLAS であり、9月下旬から10月上旬にかけて、夜明け前の空に長いダストの尾を見せ、最近の空の観察者から大きな注目を集めている。2007年に観測されたマックノート(McNaught)彗星は、SOHOが観測した中での最も明るい彗星として記録を保持している。

10月7日から11日にかけて、この彗星は、SOHOの LASCO(Large Angle and Spectrometric Coronagraph Experiment)機器の視界を通り抜けた。これは、円盤を使用して太陽の明るい光を遮断し、太陽の近くの細部や物体を簡単に見ることができる。このイメージは、10月10日にSOHOが撮影したもので、彗星とその明るい尾が左上から右に流れている様子が写っている。水星が左側に明るい点として表れている。

SOHOの視野を横切った後、彗星は10月12日(土)の日没直後から、世界中の空の観察者向けの夜のショーを開始する。この彗星は、10月中に、太陽から遠ざかるにつれて、西の空で徐々に高く昇る。しかし、それにつれてますます暗くなる。鋭い目を持つ観察者は、数日間は肉眼で見つけることができるかもしれないが、その後、空が暗くなるにつれて双眼鏡または望遠鏡が必要になる可能性がある。

この彗星を自分で見つけることができなくても、SOHOが他の彗星を探すのを手伝うことができる。科学者達や一般の人々がSOHOの画像で 5,000 個以上の彗星を発見しているが、 サングレイザー・オブジェクト(Sungrazer Project) を訪れると、さらに多くの彗星を見つけることができる。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Vanessa Thomas(著者名です)

10月12日(土)
マウナケアから見えた部分日食

2024年10月2日(現地時間)、イースター島、チリ、アルゼンチンなどで金環日食が、ハワイでは部分日食が見られました。ハワイ諸島はアメリカ合衆国内でこの日食が見られた唯一の場所で、日の出前から食が始まり、東の空に欠けた太陽が昇りました。

ハワイ観測所(すばる望遠鏡)サポートアストロノマーのベラ・マリア・パッセガー(Vera Maria Passegger)さんは、マウナケア山頂域でその様子を写真に収めました。「日の出を迎えた時には、月が太陽の右上を覆って食が始まっていました。午前6時46分に食の最大となり、約 50 パーセントが欠けました。通常の朝に比べて著しく暗く、風景がぼんやりと見えました」とパッセガーさんは語ります。この朝は、麓の街ヒロでもわずかな雲があるだけで晴天に恵まれ、日食を楽しんだ方がいたことでしょう。

次回ハワイで見られる部分日食は、2031年11月14日に起こります。

 

<ひとこと>: 大判はそれぞれのイメージをクリック(タップ)。

<出典>: すばる望遠鏡

10月11日(金)
マウナケアに現れた紫金山・アトラス彗星

紫金山・アトラス(ツーチンシャン・アトラス)彗星(C/2023 A3)が見ごろを迎えつつあります。北半球では、1997年のヘール・ボップ彗星以来の明るい彗星になるかもしれないと期待されているこの彗星を、ハワイ観測所の職員が撮影しました。

ハワイ観測所(すばる望遠鏡)サポートアストロノマーのベラ・マリア・パッセガー(Vera Maria Passegger)さんは、2024年9月27日と10月2日の夜明け前(午前5時頃)にマウナケアで紫金山・アトラス彗星を撮影しました。「彗星の尾が長くてびっくりしました。空に向かって 10 度以上伸びており、この長さは満月 20 個分に匹敵します」とパッセガーさんは語ります。

<右図の解説>: 2024年10月2日、日の出約 45 分前にマウナケア山頂域、天文台群の向こうに姿を見せる紫金山・アトラス彗星。望遠鏡は左から順に、NASA 赤外線望遠鏡施設(IRTF)、カナダ-フランス-ハワイ望遠鏡(CFHT)、ジェミニ北望遠鏡、ハワイ大学 2.2 メートル望遠鏡、UK 赤外線望遠鏡(UKIRT)。(Canon EOS 600D, 18mm, f/3.5, 40s, ISO 800)

紫金山・アトラス彗星は 2023年1月に発見され、2024年9月27日(ハワイ時)に近日点を通過(太陽に最接近)しました。10月12日に地球へ最接近しますが、この頃から夕方の西の低い空で観察できるようになります。しし座の一等星レグルスと同じくらい明るくなり、肉眼で観察できるかもしれません。(ただし、彗星の位置する西の低空は、薄明が残って空が明るく、観察が容易でない可能性があります。)10月15〜19日頃(ハワイ時)、彗星の高度がやや上がり、明るさもまずまずで、最も観察しやすくなると予想されています。詳しくは国立天文台のサイトをご覧ください。

<付記>: 紫金山・アトラス彗星については 国立天文台の記事(紫金山・アトラス彗星の観察チャンス) に詳しい記載がありますので参照してください。以下はその冒頭部分です。

2023年1月に発見された彗星(すいせい)、Tsuchinshan-ATLAS彗星(C/2023 A3 (Tsuchinshan-ATLAS)、記事では「紫金山・アトラス彗星」と表記)が、2024年10月に見ごろを迎えます。この彗星は、発見当初、とても明るい彗星となることが期待されていました。その後彗星の状況は変化し、当初の期待のようには明るくならないものの、暗い空であれば肉眼でかすかな姿を観察できそうです。位置や予想される明るさの情報を紹介します。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。

<出典>: すばる望遠鏡

10月10日(木)
NASAのボランティアにちなんで名付けられた四つの小惑星

NASAの市民科学プロジェクト「The Daily Minor Planet」に取り組んでいる4人のアマチュア天文学者達が、火星と木星の間の小惑星帯にある小惑星を名付けたことで、天文学と惑星科学への貢献を称えられた。これらのボランティアは、新しい小惑星を探すために膨大な量の画像データを確認し、プロジェクトのオンライン掲示板「トーク」でモデレータを務めた。これらの新しく命名された小惑星は、この夏、国際天文学連合(IAU)によって承認された。

(91333) ロベルト・ゴレッリ(Robertogorelli)はイタリアのアマチュア天文学者。彼は、小惑星に焦点を当てた多くの市民科学プロジェクトに貢献しており、多数の小惑星を発見している。彼はまた、中世の彗星に関するいくつかの記事と本を共同執筆している。

(91335) スヴェトスラフ・アレクサンドロフ (Alexandrov) はブルガリアの植物生理学者であり、地球の初期進化と生命の起源を研究しているアマチュア天文学者。彼は小惑星に焦点を当てたいくつかの市民科学プロジェクトに貢献し、多数の小惑星を発見した。

(91389) ダビッドサエワート(Davidsaewert)はアメリカのソフトウェアエンジニア、アマチュア天文学者。彼は小惑星に焦点を当てたいくつかの市民科学プロジェクトに貢献し、多数の小惑星を発見した。

(91212) ヴィルジリオゴナノ(Virgiliogonano)はイタリアのアマチュア天文学者、地質学者。彼は多くの市民科学プロジェクトに多大な貢献をしており、多くの活動的な小惑星で観測された活動の共同発見者である。彼はまた、小惑星に関する多くの記事を共同執筆している。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。

<出典>: NASA Science Editorial Team

10月9日(水)
NASA、第44回アルテミス協定の署名国としてドミニカ共和国を歓迎する

ドミニカ共和国は、アルテミス合意に署名した最新の国であり、NASAとともに、月、火星、およびその先の安全で透明性があり、責任ある探査のための原則を推進するというコミットメントで他の43か国に加わった。

ドミニカ共和国の駐米大使は、10月4日、ドミニカ共和国を代表してアルテミス合意に署名した。また、同国は、10月14日の国際宇宙会議中に開催されるアルテミス合意署名国のハイレベル会議への参加を確認する予定であり、そこでは、さらなる原則の実施が議論される。

2020年、米国と他の7カ国は、人類にとって宇宙の有益な利用を促進する初期の原則を特定したアルテミス合意に最初に署名した。この協定は、宇宙条約や登録条約、救助・帰還などの協定、NASAとそのパートナーが支持してきた科学データの公開など、責任ある行動のベストプラクティスと規範に基づいている。

アルテミス合意のコミットメントと、これらの原則の実施を進めるための署名国による努力は、安全で持続可能な宇宙探査を支援するものである。今後数週間から数か月で、更に多くの国が署名する予定である。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Jessica Taveau(著者名です)

10月8日(火)
10月の夜空ノート:アンドロメダの上昇をキャッチ!

銀河を思い浮かべるなら、頭の中のイメージはおそらくアンドロメダ銀河だろう! この巨大な隣接する銀河(M31)の研究は、現代の天文学を形作る上で非常に重要な役割を果たしてきた。スター観察者のボーナスとして、アンドロメダ銀河も美しい光景である。

<図の解説>: アンドロメダ銀河を見つけよう! M31 のより一般的な名前は、北半球に秋が到来すると目立つようになる親の星座に由来している。暗い空の場所から見ると、肉眼で驚くほどのディテールを観察できる。このヒントは、光害のある地域からでさえ可能である。ペガサスの大広場またはカシオペア座をガイドとして使用してそれを見つけよう。

夜に見るすべての星は、ミルキウェイ銀河の一部であると聞いたことがあるだろうか? それはほとんど真実であるが、アンドロメダ座とカシオペア座の境界近くに位置する一つの星のような天体は、肉眼ではぼやけて見える。それは、それが星ではなく、アンドロメダ銀河であり、その1兆個の星達が我々の目には 3.4 等級の霞の塊として見えるからである。なぜこんなに暗いのだろう? 距離? それは我々の銀河の外側にあり、約2千5百万光年離れており、我々の最も初期の祖先が石器を見つけ出したときに、我々が見ている光が M31 の星を離れるほど遠く離れている。双眼鏡はより詳細に示すだろう。 M31 の明るいコアは、そのかすかな円盤とともにやや際立っている。望遠鏡は更に詳細に引き出すが、多くの場合、銀河全体を一度に見ることはできない。空の質と倍率によっては、個々の球状星団、構造、および、その周回する矮小銀河の少なくとも二つ(M110とM32)を確認できる場合がある。光害や薄い雲、煙、または霞は、「かすかなぼやけた」場合と同様に、詳細の観察を著しく妨げる。驚くべきことに、しつこい観察者は、空が澄んでいる限り、中程度の光害の地域からも M31 のコアを見つけることができる。

現代の天文学は、アンドロメダ銀河の研究によって大きく形つくられた。100年前、我々の銀河以外にも銀河があるという考えは広く受け入れられなかった。このために M31 は「アンドロメダ星雲」と呼ばれていた。 M31 の観測がますます詳細になるにつれ、天文学者達は、 M31 が我々の宇宙におけるその位置付けに疑問を抱くようになった。 M31 はそれ自体が「島宇宙」であり、我々のミルキウェイ銀河の一部ではないだろうか? ハーロウ・シャプレーとヒーバー・カーティスは、その性質をめぐって1920年の「大論争」に参加した。カーティスは、予想よりも暗い新星、ダストレーン、その他の奇妙なものの観察から、この「星雲」は、実際には、我々の銀河とはまったく異なる銀河であると強く主張した。数年後、エドウィン・ハッブルは、ヘンリエッタ・リービットの研究を基礎に、距離測定の「標準的なろうそく」としてのケフェイド変光星を基に、アンドロメダの写真によってケフェイドを観察し、 M31 の距離を私たちの銀河の境界からはるかに外側に推定し、 M31 が確かに別の銀河であると結論付けた。そして、アンドロメダ星雲はアンドロメダ銀河として知られるようになった。

<図の解説>: 科学者達がアンドロメダのガス状のハローを探査するために使用した43個のクエーサーの位置を示している。これらのクエーサー(ブラックホールを動力源とする活動銀河の非常に遠くの輝かしいコア)は、ハローのはるか後ろに散らばっているために、科学者達は、複数の領域を調べることができる。クエーサーの光を巨大なハローを通して観察し、この光がハローにどのように吸収されるか、そしてその吸収がさまざまな領域でどのように変化するかを観察した。背景のクエーサーからの光の吸収を追跡することによって、科学者達はハローの物質を調べることができる。

これらの発見は、今日まで天文学者達を鼓舞し、彼らは我々の宇宙の性質に関するヒントを求めて M31 や他の多くの銀河を観測し続けている。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。

<出典>: Kat Troche(著者名です)

10月7日(月)
ヘラ地球防衛ミッション:小惑星の謎を解く

2022年9月26日、NASAの DART 宇宙船は秒速 6.1 km で移動しつつ小惑星ディモルフォスに衝突した。この衝突によって親小惑星の周りのピラミッドサイズのディモルフォスの軌道が縮んだ。

この壮大な実験は、小惑星の接近の際に、宇宙船で叩いてそらすことによって、地球を守ることができることを証明するために行われた。 DART は成功した。しかし、それでも、科学者達が知らないことが多くある。ディモルフォスの正確な質量と構成はどれくらいだろう? 衝突は小惑星に何をしたのだろう? DART の衝突によって残されたクレータの大きさはどれくらいだろう? それとも、ディモルフォスは完全にバラバラになり、自身の弱い重力によってのみ保持されているのだろうか?

ヨーロッパ宇宙機関の Hera ミッションでは、探査機は、ディモルフォスを再訪し、偏向した天体に関する重要なクローズアップデータを収集し、 DART の大規模な実験をよく理解し、再現可能な地球防衛技術に変える予定である。

このミッションでは、連星システムでのこれまでで最も詳細な探査も行われる。連星は既知の小惑星全体の15%を占めているが、詳細に調査されたことのない小惑星もある。

Hera はまた、メインミッションよりも近くに進出し、最終的に着陸する靴箱サイズの宇宙船、ヨーロッパ宇宙機関初の深宇宙「キューブサット」の展開や、ビジョンベースのナビゲーションに基づくメイン宇宙船の「自動運転」の野心的なテストなど、技術実証実験も行う。

ヘラの観測が終わる頃には、ディモルフォスは歴史上最も研究された小惑星となるだろう。これは、もしこの大きさの天体が地球に衝突すれば、都市全体を破壊する可能性があるので極めて重要なことである。

<ひとこと>: イメージのリンク先は動画 mp4 です。打上に関する記事は 「アストロサイエンス(10月7日)」 から。

<出典>: Space Safety (ESA)

10月6日(日)
ハリケーンヘレーン、メキシコ湾岸の海域をかき混ぜる

2024年9月26日、ハリケーン「ヘレーン(Helene)」がフロリダ州ビッグベンド地方に上陸し、複数の州で壊滅的な被害をもたらした。陸地に影響を与えた大雨、強風、高潮も海に痕跡を残した。このイメージ(右上)は、ヘレーンが上陸した数日後の、9月29日のメキシコ湾を示している。比較のために、左下のイメージは、より典型的な条件での9月22日の同じ領域を示している。これらのイメージは NOAA-21 衛星によってとられた。

ヘレーンの風と波は、浅い沿岸地域に沿って海底からの堆積物をかき混ぜた。この微粒子からの光が反射し、水が鮮やかな青色に見える。高潮、河川の氾濫、鉄砲水の発生と流出が陸面を侵食し、さらに多くの粒子を海に運び色を増した。

9月28日、浮遊堆積物がさらに広い範囲で水を彩った。その日は雲が多かったが、海面の一部がまだ見えていた。この影響は嵐が過ぎ去った後もずっと見ることができ、ヘレーンがフロリダ州に上陸してから1週間後の10月3日にも広く分布している。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。なお、左上の比較のイメージを見るときは出典欄の原典から。

<出典>: Earth Observatry

10月5日(土)
運命の星イータ・カリーナ

イータ・カリーナは爆発しようとしているのかもしれない。しかし、それが来年か、今から百万年後か誰も知らない。イータ・カリーナの質量は、それを完全なふくれた超新星の優れた候補にする、我々の太陽より約100倍の大きさである。歴史の記録は、約150年前に、イータ・カリーナが、南の空で最も明るい星の一つになった、変わった爆発を起こしたことを示している。鍵穴星雲のイータ・カリーナは、現在自然のレーザー光を発していると考えられる唯一の星である。1996年にとられたこのイメージは、この危険な星を囲む変わった星雲における、新しい詳細をもたらした。今、この鮮明な視界には、二つの明白なローブ、熱い中心領域と奇妙な放射状の筋が見えている。このローブは、中央近くで発せられる青と紫の光を吸収する、ガスとダストのレーンで満たされている。この筋はまだ説明できていない。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

10月4日(金)
ポルフィリオン:知られている最長のブラックホールのジェット

ブラックホールジェットはどこまで伸びるだろう?
つい最近、数十億年前に活動していたブラックホールから 2300 万光年の長さのジェットのペアが発見され、新しい記録が見つかった。

神話上のギリシャの巨人にちなんでポルフィリオン(Porphyrion)と名付けられたこの印象的なジェットは、落下するガスから放射線を生成するのに忙しい、一般的には長いジェットをつくらないタイプのブラックホールによってつくられた。

この注目のアニメーションビデオは、この強力なブラックホールシステムの周りを旋回する様子を描いている。

ポルフィリオンは高エネルギー粒子の速い流れとして示され、明るい領域はこれらの粒子が周囲のガスに影響を与えている場所である。これらのジェットの存在は、ブラックホールがそれらの故郷の銀河だけでなく、周囲の宇宙のはるか彼方に影響を与える可能性があることを示している。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

<出典>: Astronomy Picture of the Day

10月3日(木)
大気汚染と戦うために月のダストを測定

月の塵またはレゴリスは、本棚や卓上に集まる地球上の粒子とは異なり、研磨性があり、あらゆるものにまとわりつく。NASAのアポロ計画による月へのミッションを通して、これらのレゴリスは、宇宙飛行士や貴重な宇宙のハードウェアに課題をもたらした。

アポロ17号のミッションの中で、宇宙飛行士のハリソン・シュミットは、塵を吸い込んだときの反応を「月の花粉症」と表現し、くしゃみ、涙目、喉の痛みを経験した。症状は消えたが、人間の健康への懸念は、月のあらゆる形態の土壌に関する広範なNASAの研究の背後の原動力となっている。

宇宙飛行士達の健康と重要な技術を保護するために塵を管理する必要性は、大気汚染との闘いにおいて、地球上でも既に有益である。

NASAの計画への貢献者として、月前線社(Lunar Outpost Inc)は、地球上の汚染物質も検出する、大気中の月の土壌の量を検出および測定する大気質センサーシステムを開発した。

Canary-S とブランド名を変更したこのセンサーは、現在、地球の低コストでワイヤレスの大気質および気象監視のニーズに応えている。粒子状物質、一酸化炭素、メタン、二酸化硫黄、揮発性有機化合物など、さまざまな汚染物質を測定できる。

石油・ガス業界では、このセンサーを使って漏洩ガスの排出を継続的にリアルタイムで監視し、米国森林局では森林火災の排出を監視している。

<図の解説>: 宇宙飛行士のジーン・サーナンが、アポロ17号のミッションで月面にいたとき、彼の宇宙服は大量の月の塵を集めた。灰色の粉末状の物質が布地に付着してカプセルに入り込み、「月の花粉症」と呼ばれる、目、鼻、喉の炎症を引き起こした。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。記事は要点のみ。

<出典>: Margo Pierce(著者名です)

10月2日(水)
若い星の集団 NGC 1333

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡からのこの壮大な合成イメージは、 若い星団 NGC 1333 の中心を覗いている。英雄的なペルセウス座から僅か 1,000 光年の距離にあるこの近くの星団は、大きなペルセウス座の分子雲の端にある。ジェームスウェッブ宇宙望遠鏡は、低質量の褐色矮星や自由浮遊惑星を特定するためにこの地域を深く探査し、その一環である宇宙望遠鏡のこの視界は、ダストの多い星団の乱流の星座を横断して約2光年にわたって広がっている。

実際に、 NGC 1333 は、100万年未満の星を宿していることが知られているが、そのほとんどは、広く分布する星屑によって光学望遠鏡から隠されている。この混沌とした環境は、45億年以上以前に我々の太陽が形成された環境と似ているかも知れない。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。ジェームスウェッブ宇宙望遠鏡から発表された記事(ヨーロッパ宇宙機関)は こちら

<出典>: Astronomy Picture of the Day

10月1日(火)
ゲートウェイ:エネルギッシュな探索

人類初の月面宇宙ステーションであるゲートウェイを支える最先端技術を紹介しよう。

技術者達は、これまでに飛行した中で最も強力な太陽電気による宇宙船となる月面宇宙ステーション、ゲートウェイの主要な動力要素を組み立てるために熱心に取り組んでいる。

ゲートウェイのパワーと推進エレメントは、アメリカン・フットボールのフィールド・エンドゾーンとほぼ同じ大きさの、これまでに建設された中で最大のソーラーアレイを使用し、太陽エネルギーを深宇宙探査に利用する。

これには、ゲートウェイを地球から月周回軌道に送り、アルテミスIV、V、VI ミッションでは、それを維持するために必要な推力を生成するためにキセノンガスにエネルギーを供給する。これらのミッション以降、宇宙飛行士の国際チームは、追加の居住スペースと作業スペースでゲートウェイを拡大し、ゲートウェイから月の南極地域への旅をする。

パワー&プロパルジョンエレメントは、ゲートウェイのサブシステムに電力を供給し、月面、宇宙ステーション、地球、そしてその逆の間の通信を可能にしする。このモジュールは、プシュケ(Psyche)や DART(Double Asteroid Redirection Test)などの過去の成功した電気推進ミッションからの技術の進歩に基づいており、NASAが深宇宙で可能な境界を広げるのに役立つ。

<ひとこと>: 大判はそれぞれのイメージのリンクから。

<出典>: Dylan Connell(著者名です)


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