<図の解説>: この図は、2024年7月現在の、NASAの太陽物理学部門のミッションを示している。
NASAの太陽物理学宇宙船の艦隊を使用して、科学者達は、我々の太陽を監視し、太陽系全体への影響を調査している。しかし、常に見守る艦隊やユニークな視点で、時には誰も予想していなかった発見をする機会が生まれ、太陽系やその先の謎を解くのに役立っている。
ここでは、NASAの太陽物理学ミッションが他の科学分野でもたらしたブレークスルーの五つの例を紹介する。
1、何千もの彗星
ヨーロッパ宇宙機関とNASAの共同ミッションであるSOHO(Solar and Heliospheric Observatory)ミッションでは、太陽のかすかな外部大気、またはコロナを見るために太陽を遮断するコロナグラフがある。このコロナグラフは、太陽に非常に近い彗星、つまり他の天文台が我々の星の明るさに対して見ることができない彗星を見つけるのも容易であることがわかった。
1995年12月にSOHOが打ち上げられる前には、知られている太陽をかすめる(sungrazing)彗星は20個未満だった。以来、SOHOは、5,000 以上を発見した。
SOHOを使用して発見された膨大な数の彗星によって、科学者達は、これらの彗星についてさらに学び、はるか昔に分裂した祖先の彗星の子孫である彗星の、その家族を特定することができた。
2、超巨星の調光
2019年後半、超巨星ベテルギウスが予期せず減光し始めた。世界中の望遠鏡が、数か月後にベテルギウスが太陽に近すぎて観測できないようになるまで、これらの変化を追跡した。そんな時、NASAのSTEREO(Sun-watching Solar Terrestrial Relations Observatory)が救いの手を差し伸べた。
<図の解説>: 背景のイメージは、STEREOに搭載された太陽圏画像装置で見たベテルギウス星を示している。挿入された図は、2018年後半から2020年後半にかけて、様々な天文台で行われたベテルギウスの明るさの測定値を示している。STEREOの観測は赤でマークされており、2020年半ばにベテルギウスが太陽に近すぎて他の天文台が見ることができないという予期せぬ減光が明らかになった。
2020年半ばの数週間、STEREOはベテルギウスを見ることができた唯一の天文台だった。当時、STEREO-A宇宙船は地球の後ろを追っており、ベテルギウスはまだ太陽から十分に離れていて見晴らしの良い場所にあった。これにより、天文学者達は、地球から見えない間も星を監視することができた。
STEREOの観測では、2020年の6月から8月にかけて、地上の望遠鏡では見ることができなかった別の予期しない減光が明らかになった。
天文学者達は、後に、これらの減光は、ベテルギウスからの質量の放出によって引き起こされたと結論付けた。これは、太陽からのコロナ質量放出に似ているが、質量は約400倍である。
3、最も明るいガンマ線爆発
<図の解説>: 天文学者達は、GRB 221009A が、崩壊しつつある星の中心に形成された新しいブラックホールの誕生を表していると考えている。このアーティストのコンセプトでは、ブラックホールは光速近くを移動する粒子の強力なジェットを駆動している。ジェットは、宇宙に流れ込むときにX線とガンマ線を放出する。
これは2022年10月9日に発見されたガンマ線バーストである。
ガンマ線バーストは、宇宙空間でのガンマ線の短いながらも激しい噴出であり、数秒から数時間続く。
GRB 221009A と名付けられたこの星は、いて座で約10分間鮮やかに輝き、その後ゆっくりと減光した。
この爆発は、太陽からの粒子の永続的な流れを調査する、数十の宇宙船によって検出された。
これは、NASAのフェルミガンマ線宇宙望遠鏡とともに GRB 221009A の明るさを測定し、これまでに人間が記録した他のガンマ線バースト爆発よりも70倍も明るいことを示した。
4、輝く金星の表面
NASAのパーカー太陽探査機は、太陽のコロナを飛行することで、太陽のコロナを間近で調査している。太陽の外側の大気圏に潜るために、探査機は金星を数回通過し、金星の重力を利用して太陽に近づいている。
2020年7月11日、パーカーの3回目の金星フライバイの際、科学者達は、パーカーの広視野画像装置「WISPR」を使用して、金星の表面を覆い隠す雲の速度を測定しようと試みた。驚くべきことに雲を観測しただけでなく、雲を通り抜けて下の表面までも見抜いた。
そのフライバイと次の2021年のフライバイでは、金星の高温の表面からの近赤外線と、山岳地帯、平野、高原などの特徴的な特徴をマッピングする長い波長の赤色(可視)光のかすかな輝きが明らかになった。
科学者達は、パーカーの7回目のフライバイである2024年11月6日に、以前のフライバイとは異なる惑星の部分を観測した。これらの画像を使って、彼らは、金星の表面の地質学、鉱物学、進化について更に学びたいと考えている。
5、火山が宇宙へ吹き飛ぶ
<図の解説>: 2022年1月15日に発生した、フンガ・トンガ・フンガ・ハアパイ噴火は、世界中、さらには宇宙空間まで多くの影響を引き起こした。極端な風や異常な電流など、これらの影響の一部は、NASAのICON(Ionospheric Connection Explorer)ミッションと、ヨーロッパ宇宙機関のSwarmによって検出された。
NASAのICONは、地球の天気が宇宙からの天気とどのように相互作用するかを研究するために、2019年に打ち上げられた。2022年1月15日にフンガ・トンガ・フンガ・ハアパイ火山が噴火したとき、この宇宙船は、火山が火山灰や津波以上のものを生み出し、その影響が宇宙の果てまで及んでいることを示した。
噴火から数時間後、ICONは電離層でハリケーン並みの風を検出した。風速を最大時速450マイルで記録し、ミッションがこれまでに測定した高度120マイル未満の最も強い風となった。
Swarmミッションは、これらの極端な風が赤道エレクトロジェットと呼ばれる電離層の電流を変化させることを明らかにした。噴火後、赤道儀のエレクトロジェットは通常のピーク電力の5倍に急上昇し、方向が劇的に反転した。
科学者達は、火山が、これほど深刻な影響を与える可能性があることに驚いた - それは彼らが太陽からの噴出によって引き起こされた強い地磁気の嵐の間にしか見たことのなかったものである。
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<出典>: Vanessa Thomas (著者名です)