このページでは、NASA、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)、国内関連機関などが発表した
今週の主要な科学記事を掲載しています。国内記事を除きリンク先は英文です。
人名・地名・機器の名前などの固有名詞の“日本語読み”には誤りがあるかもしれません。

<9月12日(金)>
  1. アルテミスIIミッションで、2026年に月の周りにあなたの名前を打上げよう

    NASAは、4人の宇宙飛行士が月周りを冒険し、深宇宙探査に必要なシステムとハードウェアをテストする中で、アルテミスIIテストフライトに参加するよう一般の人々を招いている。「アルテミスIIとともにあなたの名前を送ろう」の取り組みの一環として、1月21日までにサインアップすれば、誰でも自分の名を主張できる。

    参加者は、NASAの宇宙飛行士リード・ワイズマン、ビクター・グローバー、クリスティーナ・コッホ、カナダ宇宙機関のジェレミー・ハンセンとともに、オリオン宇宙船、およびSLS(宇宙発射システム)ロケットに乗せて名前が打上げられる。

    集められた名前は、打上前にオリオンに搭載されたSDカードに入れられる。その見返りとして、参加者達は、自分の名前が書かれた搭乗券を収集品としてダウンロードできる。

    <ひとこと>: 名前を登録し、英語版の搭乗券を受け取るには こちら(英語) から。

  2. NASAとのパートナーシップにより、人工知能が太陽現象を予測できるようになる

    2024年の夏、オーロラが故郷の夜空を照らしたときに北米中の人々は驚いたが、オーロラを作るのと同じ太陽活動が、地球上のシステムに不可欠な衛星に混乱を引き起こす可能性がある。これらの太陽現象を予測し、衛星オペレーターに警告する解決策が、人工知能によって実現される可能性がある。

    カリフォルニア州マウンテンビューのフロンティア開発ラボは、NASAと商用AI企業との間で継続的なパートナーシップを結んでおり、NASA内外にとって重要な問題に高度な機械学習を適用している。2016年以来、フロンティア開発ラボは、NASAに代わって、惑星防衛、太陽物理学、地球科学、医学、月探査にAIを適用してきた。

    KX Systems というこの会社との協力を通じて、このラボは、実績のあるソフトウェアを革新的な新しい方法で使用することを検討した。kdb+ と呼ばれる同社の主力データ分析ソフトウェアは、通常、金融市場動向の急速な変化を追跡するために金融業界で使用されているが、同社は、それを宇宙でどのように使用できるかを模索していた。

    2017年から2019年にかけて、KXシステムズは、NASAのエイムズ研究センターを通じてフロンティア開発ラボパートナーシップに参加した。KXは、NASAの科学者達と協力して、kdb+の機能を太陽系外惑星の探索と宇宙気象の予測に適用し、AIモデルで改善できる領域を適用した。フロンティア開発研究所が答えようとした疑問の1つは、kdb+がオーロラを作り出すような宇宙気象を予測し、GPS衛星が太陽による信号遮断を経験する時期を予測できるかどうかということだった。

    <ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。

 
<8月29日(金)>
  1. アルテミスIIオリオン宇宙船を追跡するボランティアを募集

    NASAは、アルテミスIIオリオン宇宙船を追跡するボランティアを募集している。

    アルテミスII試験飛行では、NASAのSLS(宇宙発射システム)ロケットによって、NASAの宇宙飛行士4名とともにオリオン宇宙船を打上げ、約10日間の月周回ミッションで送り込まれる。

    遅くとも2026年4月までに予定されているこのミッションでは、打上、軌道上、再突入全体を通して、主要な通信と追跡サポートをNASAの近宇宙ネットワークと深宇宙ネットワークに依存している。しかし、商業化への注目が高まる中、NASAは業界の追跡能力をさらに理解したいと考えている。

    この協力の機会は、アルテミス I ミッション中に NASA の SCaN (宇宙通信航法) プログラムが発表した以前の要請に基づいており、2022 年に 10 人のボランティアが、無人のオリオン宇宙船の月を数千マイル離れて往復する旅の追跡に成功した。

    <ひとこと>: イメージはありません。

  2. H3ロケット7号機による新型宇宙ステーション補給機1号機(HTV-X1)の打上げ (JAXA)

    2025年(令和7年)8月22日
    国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

    宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、H3ロケット7号機による新型宇宙ステーション補給機1号機(HTV-X1)の打上げについて、下記のとおり実施することをお知らせいたします。

                記

    打上げ予定日 : 2025年10月21日(火)
    打上げ予定時刻 : 10時58分頃(日本標準時、24時間表記)
    打上げ予備期間 : 2025年10月22日(水)~2025年11月30日(日)
    打上げ場所 : 種子島宇宙センター 大型ロケット発射場

    打上げ日及び時刻については、国際宇宙ステーションの運用に係る国際調整により決定する。

    <ひとこと>: 新型宇宙ステーション補給機HTV-Xは、国際宇宙ステーション(ISS)への物資輸送を担ってきた、かっての、こうのとり(HTV)の後継機として開発された次世代の補給機です。 従来のこうのとり(HTV)の優位性を維持しながら、輸送能力や運用性を向上させ、さらに将来の様々なミッションに対応可能なシステムを備えています。

    <参考>: 国際宇宙ステーション補給船の歴史
    ヨーロッパ宇宙機関 ATV:2015年2月退役
    NASA スペースシャトル:2003年、コロンビア号の事故によりスペースシャトル計画が廃止
    JAXA こうのとり(HTV):2020年退役
    現行:
    プログレス(ロシア)
    「ドラゴン」および「シグナス」(米国:商業補給船)

 
<8月22日(金)>
  1. セレスは居住可能性を促進するためのエネルギーを持っていた可能性がある

    新しい研究により、セレスは、過去に、居住可能な条件を維持していた可能性のある、深く長寿命のエネルギー源をホストしているという状況を描いている。

    NASAの新しい研究により、セレスには永続的な化学エネルギーの源、つまり微生物の代謝を促進するために必要な適切な種類の分子があった可能性があることが判明した。セレスに微生物が存在したという証拠はないが、この発見は、火星と木星の間の主要な小惑星帯で最大の天体であるこの興味深い矮惑星が、かつて単細胞の生命体を支えるのに適した条件を持っていた可能性があるという理論を裏付けている。

    2018年に終了したNASAのドーンミッションの科学データは、セレスの表面の明るく反射する領域のほとんどが、地下から浸透した液体から残った塩でできていることを示していた。その後の2020年の分析では、この液体の供給源は地表下の塩水、つまり塩水の巨大な貯蔵庫であることが判明した。他の研究では、ドーンミッションでは、セレスが炭素分子の形で有機物質を持っているという証拠も明らかになった。

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  2. Psyche、地球と月のイメージを捉える

    金属が豊かな同名の小惑星に向かったプシュケ宇宙船は、そのホームの方を向いてカメラのキャリブレーションに成功した。

    2029年に小惑星プシュケに到着する予定のプシュケ宇宙船は、最近、その故郷を振り返り、約2億9,000万キロメートル離れた場所から、地球と月の画像を撮影した。この画像は、ミッションチームが宇宙船の科学機器を定期的にチェックしているときに取得された。

    7月20日と7月23日、宇宙船のツインカメラは、牡羊座の星空に反射した太陽光できらめく点として見える2つの天体の複数の長時間露光(最大10秒)写真を撮影した。

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  3. ウェッブ望遠鏡を使って、天王星を周回する新しい衛星を発見

    新たに発見された月は、天王星の他の小型衛星と同様の反射率(アルベド)を持っていると仮定すると、直径わずか10キロメートルと推定される。その小さなサイズにより、ボイジャー2号や他の望遠鏡には見えなかった可能性がある。

    天王星ほど多くの小さな内衛星を持つ惑星は他になく、リングとの複雑な相互関係は、リングシステムと衛星システムの境界を曖昧にする混沌とした歴史を示唆している。さらに、この新しい月はこれまで知られていた内衛星の中で最も小さいものよりも小さく、はるかに暗いために、さらに複雑なことが発見されていない可能性がある。

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  4. 北極気象衛星が予報に力を加える

    ヨーロッパ宇宙機関の小型北極気象衛星は、EPS-Sternaと呼ばれる将来の編隊のデモンストレータとして建設されたが、欧州中期天気予報センターは、今、そのデータを運用中の天気予報システムに組み込み、記録的な速さで配信される小型衛星が、大きな成果を上げることができるという事実を強調している。

    わずか3年で、限られた予算内で構想、構築、打上げられたこの北極気象衛星は、コンパクトなプラットフォームから価値の高い大気の湿度と温度のデータを提供する。

    欧州中期天気予報センター(ECMWF)は、これらの新しい観測を運用上使用した最初のセンターであり、予報の大幅な改善につながっている。

    このデータは、他の多くの観測とともに、以前の測定値に基づいて行われる短距離予報と統合され、地球の現在の状態の可能な限り正確なスナップショットが生成される。この分析は、天気予報を生成するための出発点として機能する。

    北極の気象衛星のマイクロ波放射計からの情報は、欧州気象衛星開発機構(Eumetsat)、米国海洋大気庁(NOAA)、中国気象局(CMA)などの組織から提供された、はるかに大きな衛星の同様のセンサーからのデータを補完する。

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  5. X線とラジオが新しい画像で「手を取り合って」 (Chandra)

    2009 年、NASA のチャンドラ X 線天文台は、パルサーとその周囲の手のような形をした星雲という魅力的な画像を公開した。

    以来、天文学者達は、チャンドラやその他の望遠鏡を使って、この天体を観測し続けてきた。現在、オーストラリア望遠鏡コンパクトアレイ(ATCA)からの新しい電波データがチャンドラのX線データと組合わされて、この爆発した星とその環境の新鮮な視界を提供し、その独特の特性と形状を理解するのに役立っている。

    この新しい画像の中心には、直径わずか約 12 マイルの高速回転する中性子星であるパルサー B1509-58 がある。この小さな天体は、150光年以上、つまり約900兆マイルに及ぶ複雑な星雲(MSH 15-52と呼ばれる)を生成する役割を果たしている。高エネルギー粒子によって生成されるこの星雲は、X線では右上を指す手のひらと伸びた指を持つ人間の手に似ている。

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<8月18日(月)>
  1. 小惑星(18805)ケリーデイ

    このGIF動画には、2025年7月19日にヨーロッパ宇宙機関のヘラ(Hera)宇宙船によって行われた小惑星(18805)ケリーデイ(Kellyday)の観測が含まれており、ヘラは小惑星から約600万キロメートル離れていた。イメージは処理されて位置合わせされており、ケリーデイがフレームの中心を下向きに移動している様子が示されている。---動画です。リンク先から確認してください。

    小惑星ケリーデイは小惑星オテロの約40倍暗く見え、これらの観測はヘラの小惑星フレーミングカメラによる微弱な物体検出の限界を推し広げた。このような困難な条件下でもケリーデイを検出できることは、カメラができるだけ早く小惑星を検出し、接近中に小惑星をヘラの視野の中心に保つ必要があるヘラのディディモス到着にとって良い前兆である。

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  2. 誕生直後の銀河は予想以上に粒々だった:「宇宙ぶどう」が破った銀河誕生の常識 (ALMA:国立天文台)

    これまでに進められてきた宇宙初期の銀河の観測は、大きく明るい銀河が主な対象でした。宇宙初期の銀河進化の全体像をつかむためには、より数の多い一般的な銀河の姿を明らかにすることが必要ですが、そうした銀河は小さく、星もガスも少なく暗いため、従来の観測では調べることが困難でした。

    本研究で観測されたのは、重力レンズ効果によって拡大された宇宙初期の銀河を探索するアルマ望遠鏡の大規模掃天観測プログラム(ALMA Lensing Cluster Survey: ALCS、https://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/ALCS/)で、ビッグバンからわずか約9億年後の宇宙初期に見つかっていた若い銀河です。強い重力レンズ効果を受け、増光・拡大されて見える天体ですが、これまでのハッブル望遠鏡やジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用いた観測では、細かい構造までは分解されておらず、滑らかな円盤状に見えていました。

    研究グループは、JWSTとアルマ望遠鏡を用いて、100時間以上の観測時間を費やして重点的に観測を行いました。重力レンズによる拡大効果も相まって、かつてない高感度・高解像度観測を異なる波長で実現しました。

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  3. 「いぶきGW」(GOSAT-GW)搭載 温室効果ガス観測センサ3型(TANSO-3)の初観測結果(JAXA)

    国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、環境省及び国立研究開発法人国立環境研究所(NIES)が、共同で開発してきた温室効果ガス・水循環観測技術衛星「いぶきGW」(GOSAT-GW)※1は、2025年6月29日に打ち上げられ、現在初期機能確認運用※2を実施しています。7月14日から7月20日にかけて、同衛星に搭載したセンサのうち「温室効果ガス観測センサ3型(TANSO-3)」の初観測を行い※3、TANSO-3が正常に動作していることを確認しました。

     TANSO-3は、「いぶき」(2009年打上げ)と、その後継衛星である「いぶき2号」(2018年打上げ)による長期間の温室効果ガス観測を引き継ぐセンサです※4。TANSO-3では温室効果ガスなどが固有の波長の光を吸収する性質を利用して、温室効果ガスの濃度や二酸化窒素のカラム量※5を算出します。  TANSO-3の特徴としては回折格子型イメージング分光方式※6を採用したことで、フーリエ変換分光方式※7を採用した「いぶき」や「いぶき2号」に対し、空間方向にも連続的な分光データを取得可能であるとともに、観測点数の大幅な増加が可能となりました。また、広域観測モード※8と、精密観測モード※9の2つの観測機能を切り替えて運用することにより、全球観測と大規模排出源等の詳細観測を両立する世界で唯一のセンサです。

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  4. 誕生直後の銀河は予想以上に粒々だった:「宇宙ぶどう」が破った銀河誕生の常識 (国立天文台)

    宇宙初期の若い銀河に、これまでの観測や数値シミュレーションでは予測されていなかった複雑な内部構造が見つかりました。トロント大学の藤本征史氏を中心とする研究グループは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡やアルマ望遠鏡などの高解像度の観測によって、宇宙誕生から9億年後に存在した暗く若い回転銀河が、少なくとも15個以上のコンパクトな星団に粒々と分裂した「ぶどうの房」のような構造を持つことを明らかにしました。宇宙初期における銀河形成の理解を大きく見直す契機となる可能性があります。

    これまでに進められてきた宇宙初期の銀河の観測は、大きく明るい銀河が主な対象でした。宇宙初期の銀河進化の全体像をつかむためには、より数の多い一般的な銀河の姿を明らかにすることが必要ですが、そうした銀河は小さく、星もガスも少なく暗いため、従来の観測では調べることが困難でした。

    本研究で観測されたのは、重力レンズ効果によって拡大された宇宙初期の銀河を探索するアルマ望遠鏡の大規模掃天観測プログラム(ALMA Lensing Cluster Survey: ALCS、https://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/ALCS/)で、ビッグバンからわずか約9億年後の宇宙初期に見つかっていた若い銀河です。強い重力レンズ効果を受け、増光・拡大されて見える天体ですが、これまでのハッブル望遠鏡やジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用いた観測では、細かい構造までは分解されておらず、滑らかな円盤状に見えていました。

    研究グループは、JWSTとアルマ望遠鏡を用いて、100時間以上の観測時間を費やして重点的に観測を行いました。重力レンズによる拡大効果も相まって、かつてない高感度・高解像度観測を異なる波長で実現しました。

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<8月1日(金)>
  1. 国際宇宙ステーションでの人類の継続的な滞在の25周年を祝う

    NASAとそのパートナーは、2000年11月以来、宇宙で生活し、働く人類を支援してきた。世界的な取り組みである国際宇宙ステーションには、23か国から280人以上の人々が、さまざまな国際宇宙船や商業宇宙船で訪れてきた。このユニークな微小重力研究所は、110か国以上の5,000人以上の研究者達による4,000以上の実験を主催してきた。宇宙ステーションは、また、研究、技術開発、乗組員と貨物の輸送のための地球低軌道での商業市場の成長を促進している。

    NASAは、この歴史的な成果を象徴する専用のロゴを作成した。このロゴは、この 2025 年 7 月 17 日の、宇宙ステーションのキューポラが見える。中心的な宇宙飛行士達は、25年間にわたって人類が継続的に存在してきた。宇宙飛行士達を取り囲む宇宙の暗い空には、軌道上の研究所を支える15のパートナーの国を象徴する15の星がある。

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