- NASA、念願の地球の電場を発見する
科学者達の国際チームは、NASAの弾道ロケットからの観測を使って、地球にとって重力と磁場と同様に基本的であると考えられている惑星全体の電場の初めての測定に成功した。科学者達は、60年以上前に、地球の大気がどのように地球の北極と南極から逃げるかという仮説を立てた。NASAのロケットからの測定によって両極場の存在が確認され、その強度が定量化され、大気圏の脱出を促進し、電離層(上層大気の層)をより広く形成する役割が明らかになった。
地球の大気の複雑な動きと進化の理解は、その歴史への手がかりを提供するだけでなく、他の惑星の謎についての洞察も提供し、どの惑星が生命にとって住みやすいかを判断するのに役立つ。
この論文は、8月28日のネイチャーに掲載された。
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- 太陽軌道船、太陽風が磁気を押す方法を示す
ヨーロッパ宇宙機関の太陽軌道船が、太陽風を熱し加速するためにエネルギーがどこから来るのかという数十年にわたる疑問に答えるための重要なデータを提供した。NASAのパーカー太陽探査機と連携して、この軌道船は、この流出のために必要なエネルギーが、太陽の磁場の大きな変動から来ていることを明らかにした。
太陽風は、太陽大気(コロナと呼ばれる)から逃げて地球を通り過ぎて流出する荷電粒子の絶え間ない流れである。「高速の」太陽風は、時速500 km、つまり時速180万キロメートルを超える速度で移動する。不思議なことに、この風は太陽のコロナからゆっくりと出るので、遠ざかるにつれて何かが加速する。100万度の風は、山に登るときの地球上の空気のように、より大きな体積に拡大して密度が低くなるにつれて自然に冷える。それなのに、この効果だけでは予想以上に冷え込んでしまう。
速い太陽風は、秒速500キロメートルを超える速度で移動し、なんと、時速では180万キロメートルに相当する。不思議なことに、この風は太陽のコロナからゆっくりと出るので、遠ざかるにつれて何かが加速する。100万度の風は、山に登るときの地球の空気のように、より大きな体積に拡大して密度が低くなり自然に冷える。それなのに、この効果だけでは予想以上に冷え込んでしまう。
では、太陽風の最速の部分を加速し、加熱するために必要なエネルギーを提供するものは何なのだろう?? ヨーロッパ宇宙機関の太陽軌道船とNASAのパーカー太陽探査機からのデータは、その答えがアルベン波として知られる太陽の磁場の大規模な振動であるという決定的な証拠を提供した。
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- ブラックホールに吸い込まれる降着円盤の乱流構造を解明 ─ 最先端スパコンによる超高解像度シミュレーションで実現 ─ (国立天文台)
ブラックホールは降着円盤と呼ばれる回転するガスに取り囲まれており、このガスは複雑な乱流状態にあります。しかし、その性質は長年謎に包まれていました。
東北大学学際科学フロンティア研究所(FRIS)の川面洋平助教(現・宇都宮大学データサイエンス経営学部准教授および東北大学大学院理学研究科客員研究員)とFRISの木村成生助教(同大学院理学研究科兼務)は、理化学研究所の「富岳」や国立天文台の「アテルイII」などのスーパーコンピュータを駆使して従来にない極めて高解像度のシミュレーションを実施し、降着円盤の乱流が持つ物理的性質を明らかにしました。
特に注目すべきは、大きな渦と小さな渦をつなぐ「慣性領域」において「遅い磁気音波」と呼ばれる縦波が支配的に存在することを発見したことです。この発見により、降着円盤内でなぜ電子よりプラス電荷のイオンの方が効率的に加熱されるのかという観測事実の理論的説明が可能になりました。この研究成果は、2019年4月にブラックホールの影の撮影成功を発表したイベント・ホライズン・テレスコープによる観測データの解釈にも重要な示唆を与えるものです。
本研究成果は科学誌Science Advancesに2024年8月28日(米国東部夏時間)付で掲載されました。研究成果の詳細は東北大学プレスリリースをご覧ください。(2024年8月29日掲載)
<ひとこと>: 記事の詳細はヘッドラインからご確認ください。
- 宇宙の夜明けに踊るモンスターブラックホールの祖先 (すばる望遠鏡)
愛媛大学や国立天文台などの研究者から成る研究チームは、すばる望遠鏡の超広視野カメラ HSC を用いた宇宙の大規模探査データを詳しく解析しました。すばる望遠鏡の大集光力を発揮したこの探査(HSC-SSP)は、他の望遠鏡による大規模探査に比べて格段に高感度で、暗い天体まで検出することができます。その結果、およそ 128 億光年彼方、すなわち宇宙年齢がまだ9億歳の「宇宙の夜明け」と呼ばれる時代において、非常に低光度なクエーサー(同じ時代の高光度クエーサーに比べて数 10 倍〜 100 倍程度暗い)が2つ隣り合って並んでいる領域を発見したのです(2024年6月17日 ハワイ観測所 観測成果)。これは、このような「ペアクエーサー」の最遠方記録です。また、とても暗いため、超巨大ブラックホールの成長が本格化する前段階、つまり銀河合体の前段階の天体だと期待されました。
今回、アルマ望遠鏡を用いてこの天体を観測し、クエーサーを含む銀河の状態を調べたところ、2つの銀河は互いに影響し合っており、近い将来に確実に合体して1つの銀河になることが分かりました。銀河が持つ星間物質が大量であるため、合体後に爆発的な星形成を起こすことや、星間物質を飲み込んだ超巨大ブラックホールが高光度クエーサーとして輝くことが可能です。高光度クエーサーと、それを持ち爆発的に星形成を起こす銀河となる前段階の天体を、初めて同定したことになります。
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