このページではNASAの各機関が発表する科学記事を中心に、欧州宇宙機構(ESA)、国内関連機関などの主要な科学記事を掲載しています。掲載の内容はそれぞれの記事に準拠していますが編集方式は本サイト独自です。日付は本サイトでの掲載月日を示します。原則として発表の翌日に掲載しています。掲載期間はおよそ一ヵ月です。

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<7月22日(月)>
  1. エンケラドゥスとエウロパの地表付近で生命の兆候が生き残る可能性

    木星の衛星エウロパと土星の衛星エンケラドゥスには、氷の地殻の下に海がある証拠がある。NASAの実験では、もしこれらの海が生命を支えているのであれば、有機分子(アミノ酸、核酸など)の形でその生命の痕跡が、これらの惑星の過酷な放射線にもかかわらず、表面の氷の直下で生き残ることができることを示唆している。もし、ロボット着陸船が生命の兆候を探すためにこれらの衛星に送られれば、例え放射線によって変化したり破壊されたりしても、生き延びたアミノ酸を見つけるために左程深く掘り下げる必要はないだろう。

    これらのほとんど空気のない衛星の極寒の表面は、主惑星の磁場に閉じ込められた高速粒子からの放射線や、星の爆発などの深宇宙での強力な出来事が原因で、居住できない可能性はある。しかし、何れも氷の表面の下には海があり、主惑星と隣接する衛星の引力による潮汐によって加熱されている。これらの地下の海には、エネルギー供給や生体分子に使用される元素や化合物など、他の必需品があれば、生命が生息している可能性がある。

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  2. 月面の洞窟網を示唆する新たな証拠を発見 (LRO)

    NASAの月探査軌道船(LRO:Lunar Reconnaissance Orbiter)データを使った国際科学者達のチームが、月面下に洞窟がある証拠を発見した。

    2010年に LRO の Mini-RF (Miniature Radio-Frequency)装置によって収集されたレーダーデータを再分析したところ、チームは、ピットの底から200フィート(約61メートル)以上に伸びる洞窟の証拠を発見した。この穴は、人類初の月面着陸地点である静かの海(Mare Tranquillitatis)から北東に 230 マイル(360キロメートル)のところにある。洞窟の全貌は不明であるが、このの地下に何マイルも広がっている可能性がある。

    科学者達は、何十年もの間、地球と同じように月にも地下の洞窟があるのではないかと推測してきた。この洞窟につながる可能性のある穴は、NASAのアポロ有人着陸の前に月の表面をマッピングした、NASAの月周回衛星からのイメージに示唆されていた。その後、2009年に、 JAXA(日本宇宙航空研究開発機構)の「かぐや」探査機が撮影した画像から穴が確認され、その後、 LRO が撮影した月面のイメージや熱測定により、月面で多くの穴が発見されている。

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  3. くらげ銀河 (JO204) (すばる望遠鏡)

    ろくぶんぎ座の方向にあるこの銀河は、2024年7月4日に公開したもうひとつのくらげ銀河のように、銀河同士の重力相互作用で形を乱しあう姿ではありません。

    銀河が集まった銀河団の中には大量の高温ガスが存在していることが知られています。銀河がこのガスの中を運動する際に受ける「風」によって、銀河円盤からガスが剥ぎ取られた結果、この、青く見えるくらげの触手のような構造ができたと考えられています。

    <ひとこと>: 大判イメージを含む詳細はヘッドラインから。

 
<7月19日(金)>
  1. 発見警報:六つの新しい世界で、 5,500 の発見の里程標を超える!

    太陽系外の惑星が初めて確認されてから30年以上が経ち、2023年8月24日、科学者たちは六つの新しい太陽系外惑星を発見し、その数は 5,502 個に増えたと発表した。太陽系外惑星の発見がゼロだったのが、わずか数十年で 5,500 以上に増えたこの新たなマイルストーンは、太陽系外の世界を理解するための旅の大きな一歩となる。

    31年前の1992年、パルサー PSR B1257+12 を周る双子の惑星ポルターガイストとフォベトール(Poltergeist and Phobetor)が発見され、最初の太陽系外惑星が確認された。2022年3月、科学者達は太陽系外惑星の発見が 5,000 個を突破したことを祝った。

    HD 36384 b は、巨大なM型巨星を回るスーパー・ジュピタである。--- この惑星は、軌道を回る惑星の重力の引きによって引き起こされる遠くの恒星の「ぐらつき」を測定する視線速度法を使用して発見された。太陽の約40倍の大きさの恒星の周りを回っている。
    TOI-198 b は、M型矮星の周りのハビタブルゾーンの最内縁部を公転する岩石惑星である可能性がある。--- この惑星は、太陽系外惑星が軌道上の恒星の表面を横切り、恒星が一時的に暗くなるときに検出するトランジット法を使用して発見された。
    TOI-2095 b と TOI-2095 c は、M型矮星の周りを同じ系内を公転する巨大で高温のスーパーアースである。

    <ひとこと>: 以上要点のみ。大判はイメージは省略。

  2. NASAの宇宙ミッションのためのロボットの組み立てと装備

    NASAは、モジュラーロボット建設技術の現状を使用または強化するためのアイデアや設計について、コミュニティの 3D モデリングの専門家に目を向けている。宇宙空間でのロボットによる構造物の組み立ては、NASAの活発な研究分野であり、持続可能でスケーラブルな宇宙探査への道筋となる可能性がある。この技術は、電力/通信塔、研究ステーション、居住地の放射線遮蔽など、重要な長期軌道および月面インフラの確立に不可欠である。
         賞: 賞金総額2,000ドル   公開日:2024年7月15日   締切日:2024年9月9日

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<7月10日(水)>
  1. アリアン6打上げ

    ヨーロッパ宇宙機関のアリアン6が7月9日に打上げられる予定である。

    このロケットは、宇宙への自律的なアクセスを保証し、それに伴う科学、地球観測、技術開発、商業的可能性のすべてを保証するために、ヨーロッパにとって大きな瞬間となる。アリアン6には新しい機能が多数搭載されているので、より多くのものを運び、より遠くまで運ぶことができると同時に、打上機の上段を宇宙ゴミにならないように持続可能な方法で処分することができる。

    <ひとこと>: 以上要点のみ。大判はイメージをクリック(タップ)。

  2. NASAのミッション、太陽の電波の起源の謎を調査

    NASAの電波干渉法実験(CURIE)キューブサットが、太陽から来る電波の未解決の起源を調査するために、7月9日に打上げられる。

    科学者達は数十年前にこれらの電波に初めて気づき、長年にわたってこの電波が太陽フレアや太陽の巨大噴出に由来することを突き止めてきた。しかし、電波がどこから発信されているのかは誰にもわかっていない。

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<7月8日(月)>
  1. 天文・科学情報スペース企画展「進化を続けるすばる望遠鏡—25年の歩みとその先へ—」 (すばる望遠鏡)

    ハワイ島マウナケア山頂域にある「すばる望遠鏡」は、今年ファーストライトから25周年を迎えました。

    すばる望遠鏡は、口径8.2メートルという世界最大級の一枚鏡と多彩な観測装置を組み合わせ、数々の成果を生み出しています。宇宙はどのように進化し、その未来はどうなっていくのか——。果てしない宇宙、その疑問を解き明かすため天文学の最前線に立ち続けてきた「すばる望遠鏡」。企画展では、宇宙の謎に挑み続けたすばる望遠鏡の25年の歴史と観測成果、さらにこれから活躍する予定の観測装置などを、映像や、ポスターで紹介します。また、模型や実寸大ポスターで、すばる望遠鏡の動きや観測装置の大きさを体感できるコーナーもあります。

    期間中は、簡単な分光器工作の「ワークショップ」や、研究者による展示紹介「ギャラリートーク」の開催も予定しています。詳しくは、すばる望遠鏡 X(旧ツイッター) でご案内します。ぜひお楽しみください。

    <ひとこと>: イメージのリンク先は「すばる望遠鏡 X(旧ツイッター)」です。

 
<7月5日(金)>
  1. NASAの惑星レーダー、二つの大きな小惑星の接近を追う

    ディープ・スペース・ネットワーク(Deep Space Network)のゴールドストーン惑星レーダーが、小惑星 2024 MK と 2011 UL21 が地球を無事に通過する様子を観測し、数日間忙しく過ごした。

    NASAのジェット推進研究所の科学者達は、最近、地球上を飛ぶ二つの小惑星を追跡した。一つは小さな月がその周りを回っていることが判明し、もうひとつは地球に最接近するわずか13日前に発見された。どちらの地球近傍天体も地球に衝突する危険性はなかったが、これらの接近中に行われたレーダー観測は、惑星防衛のための貴重な練習を提供するだけでなく、それらのサイズ、軌道、回転、表面の詳細、およびそれらの組成と形成に関する手がかりに関する情報を提供している。

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  2. 持ち上げられるオリオン

    2024年6月28日、技術者達が、NASAのオリオン宇宙船を最終組立およびシステム試験室から持ち上げている。月周回軌道を周るアルテミスⅡミッションに使用される統合宇宙船は、サブシステムのエンドツーエンドの性能検証や推進システムの漏れのチェックなど、最終段階のテストと組み立てが行われている。

    探査機は今後、空気を除き真空に近い環境に露出し、圧力が極端に低い空間を作る一連のテストを受ける。これらのテストで記録されたデータは、アルテミスⅡの宇宙飛行士達が宇宙の過酷な環境を安全に飛行するための、探査機の認定に使用される。

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  3. NASAの ECOSTRESS 、フェニックスの通り全体の火災リスクをマップ

    NASAのジェット推進研究所の研究者達が、フェニックスの灼熱の舗装路をマッピングし、転倒などによる皮膚との接触が重度の火傷を引き起こす可能性がある場所をマッピングした。このイメージは、道路と隣接する歩道の碁盤の目状の地表面温度を示しており、暑い時期に都市空間がいかに危険に変わるかを示している。

    米国で5番目に人口の多い都市フェニックスエリアのこの視覚化のデータは、現地時間2024年6月19日午後1時2分に、国際宇宙ステーションに搭載されたNASAの機器によって収集された。 ECOSTRESS(Ecosystem Spaceborne Thermal Radiometer Experiment on Space Station)と呼ばれるこの機器は、地表からの熱赤外線放射を測定する。

    このイメージは、何キロにもわたるアスファルトとコンクリートの表面 (ここでは温度に基づいて黄色、赤、紫色で色付けされている) が熱を閉じ込める様子を示している。表面は少なくとも摂氏49度あり、数分から数秒で接触火傷を引き起こすのに十分な温度であった。

    また、このイメージは、公園や樹木が少ない地表温度の上昇とは対照的に、緑地の冷却効果をも示している。

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  4. ハリケーン・ベリルを宇宙から調査

    2024年7月1日、国際宇宙ステーションは、カリブ海で発生したハリケーン・ベリルのイメージを撮り、Xに投稿した。カテゴリ4のハリケーンは、風速約時速215キロだった。

    ハリケーンは、大西洋や東太平洋で発生する熱帯低気圧で、暖かく湿った空気を燃料として使用する。海上の暖かく湿った空気は、海面近くから上昇し、下の気圧が低下する。気圧の高い周辺からの空気は、低圧領域に押し込まれ、その「新しい」空気も暖かく湿り気を帯びて上昇する。暖かい空気が上昇し続けると、周囲の空気が渦を巻いてその場所を取り囲む。暖められた湿った空気が上昇して冷やされると、空気中の水分が雲を形成します。雲と風のシステム全体は、海面から蒸発する海の熱と水によって供給され、回転して成長する。

    NASAは、このような写真や人工衛星からの観測を通して、宇宙からのハリケーンを研究している。

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<7月3日(水)>
  1. NASAのネオワイズの赤外線遺産、生き続ける (NEOWISE)

    NASAの 地球近傍天体探査ミッション「ネオワイズ(NEOWISE)」 が終わりに近づいている。しかし、その調査は、次世代赤外線ミッションであるネオ・サーベイヤー(NEO Surveyor)に引き継がれる。

    NASAのネオワイズ(NEOWISE:Near-Earth Object Wide-field Infrared Survey Explorer)ミッションは、14年以上にわたって宇宙で成功を収めてきたが7月31日に終了する。しかし、ミッションが終わりに近づく一方で、これまでに得た経験を活かして、危険な地球近傍天体の探索に特化した初の赤外線宇宙望遠鏡、NASAのネオ・サーベイヤー(NEO Surveyor:Near Earth Object Surveyor)が具体化している。2027年後半に打上げられる予定であり、NASAの惑星防衛戦略の大きな一歩となる。

    <ひとこと>: この探査衛星は、当初、広視野赤外線探査機(WISE:Wide-field Infrared Survey Explorer)、通称ワイズ(WISE)として、宇宙の赤外線探査のために2009年に打上げられ、大きな実績を残してきた。2011年に一旦運用は終了したが、その後2013年に運用再開が承認され、その後は主に危険な地球近傍天体の探索に使われてきた。大判イメージはイメージをクリック(タップ)。

  2. カッシーニ、土星を見る (Cassini-Huygens)

    2004年3月27日、探査機カッシーニ・ホイヘンスは、その軌道入りに向かう途中、土星とそのリングの最後の「目」を捉えた。この自然色のイメージは、土星の南半球の大気の帯と特徴の、色の変化、土星の中央のBリング全体の微妙な色の違い、そして北半球の明るい青色の光のスライバー(土星の環のカッシーニ分割を通過し、雲のない上層大気によって散乱される太陽光)を示している。

    カッシーニミッションは2015年に終了し、オペレーターは将来の探査のために土星の衛星を手付かずの状態に保つために、意図的に探査機を土星に突入させた。

    <ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。カッシーニとその グランドフィナーレについては こちら から。

  3. H3ロケット3号機による先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)の 打上げ結果 (JAXA)

    2024年(令和6年)7月1日      
    国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

    宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、種子島宇宙センターから2024年7月1日12時6分42秒(日本標準時)に、先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)を搭載したH3ロケット3号機を打ち上げました。
    ロケットは計画どおり飛行し、打上げから約16分34秒後に先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)を正常に分離したことを確認いたしました。
    今回のH3ロケット3号機の打上げ実施にご協力頂きました関係各方面に深甚の謝意を表します。

    <ひとこと>: イメージはありません。

 
<6月29日(土)>
  1. NASA、国際宇宙ステーション(ISS)の軌道離脱機を選ぶ

    NASAは、人類に利益をもたらすために、地球低軌道での、継続的な科学的、教育的、技術的開発を促進するとともに、月と火星での深宇宙探査を支援している。国際宇宙ステーションが商業的宇宙施設に移行するにあたって、2030年に国際宇宙ステーションの運用寿命が終えた後の、管理された方法で安全かつ責任ある軌道離脱に備えることが重要である。

    NASAは、宇宙ステーションを軌道から離脱し、人口密集地へのリスクを確実に回避する能力を提供する米国の軌道離脱機の開発と納入に SpaceX を選んだと発表した。

    同社が軌道離脱宇宙船を開発し、開発後の所有権はNASAが取得し、ミッション全体を通じて運用する。宇宙ステーションとともに、再突入の過程で破壊的に分解されると予想されている。

    国際宇宙ステーションは、1998年から CSA (カナダ宇宙庁)、ESA (欧州宇宙機関)、JAXA (日本宇宙航空研究開発機構)、NASA (アメリカ航空宇宙局)、ロスコスモスの五つの宇宙機関が運用しており、各機関がハードウェアの管理・制御を担っている。このステーションは相互依存するように設計されており、機能するためにパートナーシップ全体からの貢献に依存している。米国、日本、カナダ、ヨーロッパの参加国は、2030年までステーションを運用することを約束している。ロシアは、少なくとも2028年までステーションの運用を継続することを約束している。国際宇宙ステーション(ISS)の安全な軌道離脱は、五つの宇宙機関すべての責任である。

    この1契約は、8億 4,300 万ドルの潜在的価値を持っている。米国の軌道離脱ロケットの打上げサービスは将来の調達となる。

    <ひとこと>: 大判イメージは省略。

  2. 天の川銀河に予測を超えた多くの衛星銀河を発見! (すばる望遠鏡)

    国立天文台、東北大学、法政大学、プリンストン大学などのメンバーからなる国際共同研究チームは、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラが撮像した最新データの中から、私たちの住む銀河系に付随する衛星銀河を新たに2個発見しました。研究チームが以前に発見した衛星銀河も合わせると、天の川銀河の周りには、理論予測の倍以上の衛星銀河が存在することが明らかになりました。銀河の形成史とそれを左右するダークマターの性質に対して新たな問題を投げかける発見です。

    <ひとこと>: 大判イメージを含む詳細はヘッドラインから。

 
<6月28日(金)>
  1. NASAのOSIRIS-REx小惑星サンプルにおける驚くべきリン酸塩の発見 (OSIRIS-REx)

    科学者達は、昨年秋に地球に届けられて以来、NASAの OSIRIS-REx(Origins, Spectral Interpretation, Resource Identification, and Security – Regolith Explorer)ミッションによって収集された 121.6 グラムの、手付かずの小惑星ベンヌのサンプルを掘り下げる機会を待ち望んでいた。彼らは、この物質が太陽系の過去と、地球上の生命の起源につながったかもしれないプレ・バイオティクスの化学の秘密を保持していることを期待した。6月26日に Meteoritics & Planetary Science 誌に掲載されたベンヌのサンプルの初期分析は、この興奮が正当化されたことを示している。

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  2. ジュノ、木星の衛星イオの溶岩湖をクローズアップ (Juno)

    NASAのジュノ探査機による新たな発見は、木星の衛星イオに溶岩湖がどれほど広がっているかの全体像を示しており、そこで働いている火山活動プロセスに関する初めての洞察も含まれている。これらの結果は、イタリア宇宙庁が寄贈したジュノの木星赤外線オーロラマッパー(JIRAM)装置によるものであり、赤外線を「見る」ものである。研究者達は6月20日、ジュノの最新の火山発見に関する論文を学術誌「Nature Communications Earth and Environment」に発表した。

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  3. 雲エアロゾル放射ミッション「EarthCARE」衛星(はくりゅう)搭載 雲プロファイリングレーダ(CPR)の初観測イメージを公開
    ~世界初、宇宙から雲の上下の動きを測定~
     (JAXA)

    国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構、国立研究開発法人情報通信研究機構は、欧州宇宙機関と共同で開発し、2024年5月29日7時20分(日本標準時)に打ち上げられた雲エアロゾル放射ミッション「EarthCARE」衛星(和名:はくりゅう)搭載雲プロファイリングレーダ(Cloud Profiling Radar)の初観測イメージを取得しましたのでお知らせします。CPRは、W帯(94GHz)における世界初の衛星搭載ドップラーレーダで、JAXAとNICTが共同で開発を行いました。現在CPRの初期機能確認運用を実施しており、6月12日および13日に初観測を行いました。日本の東海上にある梅雨前線上の雲域を観測し、雲の内部を捉え、世界で初めて、宇宙から雲の上下の動きを測定することに成功しました。以下のイメージは、レーダ観測によって得られた測定データを雲の断面として可視化したものです。

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<6月24日(月)>
  1. NASA・パートナー、5回目の小惑星インパクトの演習・サマリの発表を行う。

    すべての人の利益のために、NASAは、木曜日に、第5回隔年惑星防衛省庁間机上演習の概要を発表した。NASAの惑星防衛調整局は、連邦緊急事態管理庁(FEMA)と提携し、米国国務省宇宙局の支援を受けて、潜在的に危険な小惑星や彗星の脅威に効果的に対応する国家としての能力を知らせ、評価するための机上演習を開催した。

    予見可能な将来において、小惑星の衝突の重大な脅威は分かっていないが、仮定の演習は、ほとんど警告のない軽微な地域的被害から、数年または数十年後に予測される潜在的な地球規模の大災害まで、さまざまなシナリオによってもたらされるリスク、対応オプション、および協力の機会を探ることで、貴重な洞察を提供する。

    <ひとこと>: 大判は省略

  2. NASAのチャンドラ、最も密度が高く、最も奇妙な星を覗き込む (Chandra)

    超新星残骸 3C 58 の中心には、 PSR J0205+6449 として知られる回転する中性子星が含まれている。天文学者達は、この中性子星やそれに類する他の星を調査し、これらの非常に密度の高い天体の中の物質の性質を調べた。NASAのチャンドラX線天文台とヨーロッパ宇宙機関の XMM-Newton を使って行われた新しい調査は、中性子星の内部に、宇宙の他のどこにも見られないタイプの超高密度物質が含まれている可能性があることを明らかにした。

    この 3C 58 のイメージでは、低エネルギーX線は赤、中エネルギーのX線は緑、高エネルギーのX線の高エネルギー帯は青で示されている。X線データは、デジタル化された天体サーベイの黄色の光学画像と組み合わされている。チャンドラのデータは、中心にある高速回転する中性子星(パルサーとも呼ばれる)が、X線放射のトーラスと数光年にわたって伸びるジェットに囲まれていることを示している。光学データは、野外の星を示している。

    この新しい研究チームは、中性子星から以前に公開されたデータを分析して、いわゆる状態方程式を決定した。これは、中性子星の内部のさまざまな部分の圧力と温度を含む中性子星の基本的な性質を指す。

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  3. NASAの SLS ロケット:ブロック1とブロック1Bの構成

    NASAの SLS(スペース・ローンチ・システム)ロケットは、アルテミスⅣから初めて打上げられる。このアップグレードされたより強力な SLS ロケットによって、 SLS は、NASAのオリオン宇宙船とその乗組員を含む38トン以上を月に送ることができ、深宇宙へのより野心的なミッションのための重いペイロードも搭載される。すべての SLS ロケットはコアステージ、ブースター、RS-25 エンジンの設計を保持しているが、ブロック 1B は、宇宙推進用の四つの RL10 エンジンと、より大きな貨物能力と容積のための新しいユニバーサルステージアダプターを備えた、より強力な探査上段を備えている。

    NASAとそのアルテミス計画のパートナーは、科学的発見と将来の火星ミッションの準備のために月を探査することを目指しているので、 SLS ロケットの進化したブロック 1B 設計は、アルテミス計画の、宇宙飛行士、モジュール、その他の長期調査用探査機、およびゲートウェイ月面宇宙ステーションの主要コンポーネントを打上げる際の鍵となる。

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  4. NASAの地球科学プロジェクトオフィスと世界各地の空中ラボをコーディネート

    広範囲にわたる有害な大気汚染物質の拡散を追跡するには、航空機、衛星、および多様な科学者達のチームが必要である。大気汚染の脅威に対するNASAの世界的な関心はアジアにまで及び、アジアの大気質の空中および衛星調査(ASIA-AQ)で、パートナーと協力している。この国際ミッションは、衛星データと航空機の測定を、アジア全域の地域の大気質の地上監視とモデリングの取組と統合する。

    この規模のミッションを指揮するには、国家間の複雑な協定、航空機と科学機器の調整、世界中からの科学者達の動員が必要である。これを可能にするために、ARC の地球科学プロジェクトオフィス(ESPO)は、サイトの準備、航空機の配備から機密データの管理、一般への働きかけまで、キャンペーンの各段階を促進した。

    <ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。大判イメージを含む詳細はヘッドラインから。イメージのリンク先は動画(Youtube)です。

 
<6月21日(金)>
  1. 太陽軌道船、太陽が猛威を振るう様子を映し出す (Solar Orbiter)

    2024年5月10日から12日にかけての週末、過去20年間で最大の太陽嵐が地球を襲った。これによって、強烈な地磁気の嵐が生じ、通常よりもはるかに低緯度の空を照らす美しいオーロラが発生した。

    これは AR3664 と呼ばれる太陽黒点領域によるものであり、5月14日頃に地球の視界から遠ざかる回転をし、これまでで最も強いフレア(クラス X8.79 )を放出し、地球に大規模な電波遮断を引き起こした。しかし、地球から見えなくなったからといって、この怪物が眠りについたわけではない。

    5月20日、太陽の裏側を観測した太陽軌道船は X12 と推定されるクラスの巨大なフレアを観測した。これは、現在の太陽周期の中でこれまでで最も強いフレアであり、1996年以降のトップ10のフレアであった。

    <ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。今の記事の詳細は近日中に 「今日の宇宙」に掲載します。

  2. 「宇宙の夜明け」に合体する双子の巨大ブラックホールを発見 (すばる望遠鏡)

    愛媛大学、国立天文台などの研究者からなる研究チームが、すばる望遠鏡の観測により、合体中の2つの巨大ブラックホール(クェーサー)を発見しました。このクェーサーのペアは、これまでに知られている中で最も遠方にあるだけでなく、「宇宙の夜明け」と呼ばれる時代でその存在が初めて確認された合体中の巨大ブラックホールです。

    <ひとこと>: 大判イメージを含む詳細はヘッドラインから。

  3. NGC 6822 (不規則銀河) (すばる望遠鏡)

    NGC6822はいて座の方向にある不規則銀河です。私たちが住む天の川銀河 と同じ局所銀河群に属しています。アメリカの天文学者エドワード・エマーソン・バーナードが発見したことにちなみ、バーナード銀河とも呼ばれています。

    たくさん見られる赤い光は、この銀河にある大質量星形成領域です。天の川銀河内にあるオリオン大星雲 (M42) 内のトラペジウムのように、生まれたばかりの大質量星が放つ紫外性によって水素ガスが電離して赤く光っています。

    この画像は、2021年に起ち上がった、すばる望遠鏡超広視野主焦点カメラハイパー・シュプリーム・カム (HSC) の新しいデータアーカイブ Hyper Suprime-Cam Legacy Archive (HSCLA) のひとつとして公開されました。 HSCLAでは、共同利用観測の生データを処理し、どなたでもそのままの状態で研究に資料できるデータを公開しています。

    <ひとこと>: 大判イメージを含む詳細はヘッドラインから。

 
<6月17日(月)>

  1. ハッブル、新しいポインティングモードで科学を再開

    NASAは、ハッブル宇宙望遠鏡の運用を、一つのジャイロを使用する代替動作モードに移行することに成功し、金曜日に、探査機を日常の科学運用に戻した。望遠鏡とその機器は安定しており、正常に機能している。

    ハッブル宇宙望遠鏡は、5月24日、望遠鏡のスルーレートを測定し、望遠鏡が向いている方向を決定し制御するシステムの一部であるジャイロスコープ(ジャイロ)の一つに問題が発生したため、セーフモードに入った。ジャイロは過去6カ月間、誤った測定値を返すことが増え、科学活動を何度も中断していた。これにより、ハッブル宇宙望遠鏡のチームは、三つのジャイロの運用モードから一つのジャイロのみによる観測に移行し、より一貫性のある科学観測を可能にし、別のジャイロを将来の使用に利用できるようにした。

    チームは、問題のあるジャイロが安定し、将来再び使用できるかどうかを確認するために、引き続き監視する。一つのジャイロモードでの観測には若干の限界はあるものの、ハッブル宇宙望遠鏡は、科学観測のほとんどを継続することができる。チームがワンジャイロモードでより多くの経験を積むにつれて、操作を最適化するためのさらなる改良が期待される。

    <ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。

  2. NASAのチャンドラからの新しい外観で「スーパー」星団が輝く (Chandra)

    ウェスタールンド1(Westerlund 1)は、地球に最も近い最大かつ「スーパー」星団である。NASAのチャンドラX線天文台からの新しいデータは、NASAの他の望遠鏡と組み合わせることによって、天文学者達が星が活発に生産されているこの銀河の工場をより深く掘り下げるのに役立でている。

    これは、イタリア国立天体物理学研究所の天文学者達が率いるEWOCS(Extended Westerlund 1 and 2 Open Clusters Survey)と呼ばれるプロジェクトから公開された最初のデータである。 EWOCS の一環として、チャンドラは、ウェスタールンド1を合計で約12日間観測した。

    今、我々の銀河系では毎年ほんの一握りの星しか生まれていないが、かつてはこの状況は異なっていた。ミルキウェイ銀河は、かつてはもっと多くの星を生み出していたが、約100億年前に年間数十個から数百個の星を大量生産するピークに達し、その後徐々に減少していったと思われる。天文学者達は、この星形成の大部分は、ウェスタールンド1のような「スーパー星団」として知られる巨大な星団で起こったと考えている。これらは太陽の 10,000 倍以上の質量を持つ若い星団で、ウェスタールンド1は、約300万年から500万年前のものである。

    この新しいイメージは、NASAのハッブル宇宙望遠鏡から以前に公開されたデータとともに、新しいチャンドラ深部データを示している。チャンドラが検出したX線は、ほとんどが白とピンクで表される若い星と、銀河団全体に拡散する加熱されたガス(温度が高い順にピンク、緑、青)を示している。ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた星の多くは、黄色と青の点で現れている。

    我々の銀河システムにはまだごく少数の超星団しか存在しない、銀河システムの星のほとんどが形成された初期の時代についての重要な手がかりを与えてくれる。ウェスタールンド1は、ミルキウェイに残るこれらの超星団の中で最大の星団であり、5万から10万個の太陽の質量を含んでおり、地球の約 13,000 光年の距離にある最も近い超星団でもある。

    これらの特質から、ウェスタールンド1は、超星団の環境が恒星や惑星の形成過程に及ぼす影響や、幅広い質量の恒星の進化を研究するための優れたターゲットとなっている。

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  3. 、地球の色とりどりの景色で全国海洋月間を祝う (PACE)

    今年の全米海洋月間に向けて、NASAの、プランクトン、エアロゾル、雲、海洋生態系(PACE:Plankton, Aerosol, Cloud, ocean Ecosystem)衛星は、地球のユニークな姿を見せてくれる。2月8日に打上げられた人工衛星のデータで作成された視覚化では、すでに海と空の見方を向上させている。

    PACE 衛星は、毎日地球全体を観測し、科学者達が、雲の形成、エアロゾルの動き、微視的な海洋生物の経時的な違いなど、急速に変化する大気と海洋の追跡および監視できる頻度でデータを送り返す。

    この視覚化は地球の帯状の視界から始まる。オーシャンカラー機器は、紫外線、可視光、近赤外光で地球を観測する。このレベルの詳細により、科学者達は、宇宙から、植物プランクトンの特定のコミュニティを定期的に特定できるようになった。植物プランクトンの種類が異なれば、海洋生態系や健康に果たす役割も異なるので、これは大きな進歩である。

    <ひとこと>: イメージのリンク先は動画(Youtube)です。

  4. 商業デブリ除去実証フェーズI「定点観測」の画像を公開 (JAXA)

    「定点観測サービス」は、CRD2フェーズIにおいてJAXAが契約相手方企業に求める4つの「サービス」のうちの1つで、対象デブリの軌道座標系上の定点から対象デブリを観測し、所定の画質・データ量のターゲット連続撮像画像を提供する内容です。

     5月23日、株式会社アストロスケールが運用するADRAS-Jは、「定点観測サービス」を、JAXAが定める安全要求(JERG-2-026 軌道上サービスミッションに係る安全基準)を遵守しつつ、ターゲットとの距離約50mで実施し、図1に示す連続画像の撮影に成功しました。

    <ひとこと>: 大判イメージを含む詳細はヘッドラインから。

 
<6月10日(月)>
  1. NASA、アルテミスⅡ月面ロケットステージの搬出にメディアを招待 (Artemis)

    NASAは、7月中旬に、ニューオーリンズのミシュー組立施設から、初めての有人アルテミス計画を打ち上げる SLS (スペース・ローンチ・システム)ロケットのコアステージを搬出する。この高さ212フィートのステージは、ケネディ宇宙センターに配送するために、NASAのペガサス・バージに積み込まれる。

    メディアは、ロケットステージをペガサスバージに移動する際に、イメージやビデオを撮影し、政府機関や業界のリーダーからの発言を聞き、NASAとそのアルテミス業界のパートナーの専門家と話す機会がある。

    <ひとこと>: この記事はアルテミス計画の進捗をお知らせする意味で取上げています。大判はイメージをクリック(タップ)。

  2. NASAと世界の天文学者達、珍しい新星爆発を待つ

    この夏、世界中のプロ天文家達・アマチュア天文家達が、夜空の奥深くにある小さな星座に釘付けになるだろう。しかし、そのような魅力を呼び起こしたのは、コロナ・ボレアリスの七つの星、「北の王冠」ではない。その中で地球上で肉眼で見えるほど明るい新星の出来事が間近に迫っている暗い場所なのです。

    「ブレイズ・スター(Blaze Star:燃える星)」と呼ばれ、天文学者の間では単に「T CrB」として知られている T Coronae Borealis は、地球から約 3,000 光年離れた北の王冠に位置する連星システムである。このシステムは、太陽に匹敵する質量を持つ死んだ星の地球サイズの残骸、白色矮星と、飢えた隣の容赦ない引力によってゆっくりと水素を奪われていく古代の赤色巨星で構成されている。

    赤色巨星からの水素は白色矮星の表面に降着し、圧力と熱の蓄積を引き起こす。やがて、その降着物を吹き飛ばすのに十分な大きさの熱核爆発を引き起こす。 T CrB の場合には、この事象は平均して80年ごとに繰り返されるようである。

    これは、新星と超新星、つまり死にゆく星を破壊する最後の巨大爆発と混同してはいけない。この新星の出来事では、矮星は無傷のままであり、蓄積された物質を目もくらむような閃光で宇宙に飛ばす。このサイクルは通常、時間の経過とともに繰り返され、このプロセスは数万年から数十万年続く可能性がある。

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  3. 成功のための群れ:スターリング主要ミッションを完了  (Starling)

    軌道上で10ヶ月を過ごした後、スターリング(Starling)宇宙船の群れは、その主要なミッションの主要な目的を成功裏に実証し、群れの構成能力において重要な成果を示した。

    これらの衛星の群れは、いつの日か深宇宙探査に使われるかもしれない。宇宙船の自律的なネットワークは、群れと地球の間の通信の大幅な遅延という負担を負うことなく、自律航行し、科学実験を管理し、環境変化に対応するための操作を実行することができる。

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  4. NASAの科学者達、大気質を研究するために海に出る

    人工衛星が地球の観測のために軌道上から継続的に下を覗き込み、今週、科学者達のグループが、これらのデータポイントのいくつかを検証するために出航した。

    6月2日、衛星沿岸・海洋大気汚染実験(SCOAPE)調査チームは、米国内務省海洋エネルギー管理局と共同で、メキシコ湾海域での大気汚染物質の測定を行う2回目のキャンペーンを実施した。

    <ひとこと>: 大判イメージは省略。

  5. KKR 25(矮小銀河) (すばる望遠鏡)

    KKR 25 は、天の川銀河に付随する大・小マゼラン銀河のような、矮小銀河とよばれる小さな銀河です。画面中央に天の川銀河内の明るい恒星が斜めに並んでいますが、真ん中の星の左上に向かってぼんやりと広がっているのが矮小銀河 KKR 25 です。明るい恒星上に水平方向にスパイク状に見える線は、星の強い光が、他の CCD 画素にあふれ出したことによって見える人工的なものです。

    矮小銀河は巨大銀河の衛星銀河として存在することが多い中、この銀河は孤立しており、どの銀河群にも属していないと考えられています。

    <ひとこと>: 大判イメージを含む詳細はヘッドラインから。

 
<6月7日(金)>
  1. NASA、地球の両極を調査する2番目の小型気象衛星を打上 (PREFIRE)

    NASAの PREFIRE (Polar Radiant Energy in the Far-InfraRed Experiment) の2機目の衛星が、米国東部夏時間6月4日に打上げられた。これら二つの靴箱サイズのキューブ衛星からのデータは、温暖化が進む世界で、地球の氷、海、気象がどのように変化するかをより正確に予測し、変化する情報を提供する。

    キューブ衛星は、5月25日に打上げられた最初の PREFIRE キューブ衛星に続くものである。30日間の点検の後、エンジニアと科学者達が二つのキューブ衛星が正常に動作していることを確認した後、このミッションは10か月間運用される予定である。

    PREFIRE は、NASAの宇宙空間におけるユニークな視点を利用して、太陽から入ってくる熱エネルギーと地球の両極から放出される熱のバランスを理解するのに役立つ。北極と南極は、自動車のエンジンのラジエータのようなもので、熱帯地方で最初に吸収された熱の多くを宇宙に放出する。その熱の大部分は遠赤外線として放出される。大気中の水蒸気含有量は、雲の存在、構造、組成とともに、両極から宇宙空間に逃げる放射線の量に影響を与える。

    PREFIRE ミッションは、北極と南極の環境から宇宙空間に遠赤外線エネルギーが放射される場所と時間に関する情報を研究者に提供する。また、このミッションでは、2機のキューブサットを非同期の近極軌道で使用し、雲の形成、水蒸気の変化、氷床の融解などの比較的短命な現象が、時間の経過とともに遠赤外線放射にどのように影響するかを調査する。これら二つの衛星は、地球の同じ場所を異なる時間帯に通過し、研究者達に変化する状況に関する情報を提供する。

    <ひとこと>: 1機目の記事は 5月27日(月)の記事 参照、 PREFIRE ミッションについては こちら にも記事があります。大判はイメージをクリック(タップ)。

  2. 天の川を高速で通過した暗黒物質サブハローの痕跡を発見 (国立天文台)

    慶應義塾大学大学院理工学研究科の横塚弘樹(2022年修士課程修了)と同大学理工学部の岡 朋治教授の研究チームは、天の川の比較的静穏な領域において、異常に広い速度幅 (約40 km s–1) をもった分子雲 (CO 16.134–0.553) を発見しました。この分子雲は膨大な力学的パワーを有し、過去に強い衝撃波を受けた痕跡が見られるにもかかわらず、明確なエネルギー供給源が付随していません。過去の広域データを精査した結果、CO 16.134–0.553がやや大きな分子ガスの膨張球殻状構造 (シェル) の一部を構成すること、天の川の当該領域には巨大な原子ガスの「空洞」が存在し、天の川下方には長大な直線状「フィラメント*2」が存在していることが分かりました。これらの空間構造は、天の川銀河のハロー部から降ってきた何らかの天体が天の川銀河円盤部を高速で通過したことを意味しています。フィラメントの先端に明るい天体が存在しないことから、ハロー部から降ってきた天体は矮小銀河*3や球状星団になり損ねた「暗黒物質サブハロー」である可能性が高いと考えられます。本研究成果は、2024年3月14日発行の米国の天体物理学専門誌『The Astrophysical Journal』に掲載されました。

    <ひとこと>: 大判はイメージを含む詳細はヘッドラインから。

 
<6月3日(月)>
  1. NASAのハッブル宇宙望遠鏡、科学を一時的に停止 (ハッブル宇宙望遠鏡)

    NASAのハッブル宇宙望遠鏡は、ジャイロスコープの問題が続いているために、5月24日にセーフモードに入り、科学運用を中断した。望遠鏡機器は安定しており、健全である。

    望遠鏡は、三つのジャイロスコープのうちの一つが誤った読み取り値を示すと、自動的にセーフモードに入った。ハッブルのジャイロは、望遠鏡が向いている方向を正確に決定し、制御するシステムの一部である。NASAは、6月の第一週の初めに、より多くの情報を提供する予定である。

    NASAは、ハッブル宇宙望遠鏡が今後10年間、また恐らく次の10年間も、人類の利益のために、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などの他の天文台と協力して、発見を続けると予想している。

    1990年に打上げられたハッブル宇宙望遠鏡は、30年以上にわたって宇宙を観測しており、最近34周年を迎えた。

    <ひとこと>: ハッブル宇宙望遠鏡は、最近ジャイロスコープの問題でしばしば運用を中断しています。大判イメージは省略。

  2. NASA、高品質でほぼリアルタイムの大気質データを発表

    NASAは、前例のない解像度で、個々の地域の規模までの大気汚染の観測を提供できる新しいデータを利用できるようにした。ほぼリアルタイムのこれらのデータは、科学者達が、宇宙から大気質を観察する方法に革命を起こすことで地球上の生活を改善するために、昨年立ち上げられた IAEA の TEMPO(対流圏排出量:汚染のモニタリング)装置から得られたものである。この新しいデータは、NASAのラングレー研究センタの大気科学データセンタから入手できる。

    <ひとこと>: イメージのリンク先は動画(.mp4)です。


  3. NASAのルーシー画像、小惑星ディンキネシュが驚くほど複雑であることを明らかにする (Lucy)

    2023年11月にNASAの探査機ルーシー(Lucy)が小惑星ディンキネシュ(Dinkinesh)をフライバイした際のイメージには、小惑星の約4分の一にあたる大きな破片が突然移動した、ディンキネシュのトラフ、海嶺、また現在はセラムとして知られている別の接触連星衛星が写っている。科学者達は、この複雑な構造は、ディンキネシュとセラムが大きな内部強度と複雑でダイナミックな歴史を持っていることを示していると言っている。

    研究者達は、ディンキネシュがストレスにどのように反応したかによって、その内部構造を明らかにすると考えている。

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  4. NASA、未来のハビタブル・ワールド・ミッションのための先進技術賞を授与

    NASAは金曜日に、将来の大型宇宙望遠鏡の技術開発と、太陽系外生命を探索するために設計された最初の宇宙望遠鏡となる可能性のあるハビタブル・ワールド・オブザーバトリー(Habitable Worlds Observatory)ミッションコンセプトの計画を支援するために、三つの業界提案を選定したと発表した。

    このミッションは、太陽のような恒星の周りの地球に似た惑星を直接撮影し、その大気の、生命の化学的特徴を調査し、太陽系や宇宙に関する他の調査を可能にする。NASAは、現在、このミッションコンセプトの初期段階にあり、コミュニティ全体のワーキンググループが基礎科学の目標と、それを追求する最善の方法を模索している。また、NASAのゴダード宇宙飛行センターに、ハビタブル・ワールド・オブザーバトリー・テクノロジー・マチュレーション・プロジェクト・オフィスを設立する手続きも進めている。

    <ひとこと>: イメージは省略。

  5. NASAの OSIRIS-APEX 、太陽の焼け付くような通過後も無傷 (OSIRIS-APEX)

    ミッションエンジニアは、 NASAのOSIRIS-APEX (Origins, Spectral Interpretation, Resource Identification – Apophis Explorer)探査機が、2024年1月2日に太陽の最接近通過を乗り切ることができると確信していた。彼らのモデルは、当初の設計よりも太陽の熱に 2500 万マイル近づいたにもかかわらず、船体とそのコンポーネントは安全であると予測していた。

    ミッションチームは、3月中旬に保存されたテレメトリーデータをダウンロードした後、探査機が実際に無傷で体験から抜け出したことを確認した。また、探査機が太陽から十分に離れ、通常の運用に戻れるようになった4月上旬には機器のテストも行った。2023年12月から3月までの間、OSIRIS-APEX は非活性とされ、地球のチームが利用できるデータは限られていた。

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  6. 最先端のシミュレーションによって明らかになった中間質量ブラックホール形成過程 (国立天文台)

    ブラックホールの進化を理解する上でのミッシングリンクが、新しいシミュレーション技術と天文学専用スーパーコンピュータ「アテルイII」によって、解き明かされようとしています。星団内での星同士の合体が、その鍵を握っているかもしれません。

    現在観測されているブラックホールの多くは、太陽質量の100倍以下の小さなものか、10万倍以上の巨大なものかに分類されています。これらの中間にあたる、質量が太陽の数百倍から数万倍の「中間質量ブラックホール」の存在が、長年にわたり議論となっています。中でも太陽の数千倍の質量の中間質量ブラックホールは観測的な証拠が乏しく、宇宙のどこでどのように形成されるのかは多くの謎に包まれています。

    <ひとこと>: 大判イメージを含む詳細はヘッドラインから。


 
<5月29日(水)>
  1. NASAのマゼランデータで発見された活動中の金星の火山

    マゼランのレーダーからのデータを分析したところ、1990年代初頭に二つの火山が噴火したことが判明した。これは、2023年にマゼランのデータで別の活火山が発見されたことに加えるものである。

    金星の最近の火山活動の直接的な地質学的証拠が2度目に観測された。イタリアの科学者達は、NASAのマゼランミッションのアーカイブデータを分析し、探査機が惑星を周回している間に噴火した火山に関連する溶岩流から新しい岩石が形成されたことを示す表面の変化を明らかにした。NASAのジェット推進研究所によって管理されたマゼランは、1990年から1992年にかけて、この惑星の表面の98%をマッピングした。

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  2. 探査機の軌道推定はなぜ必要? 何を測る? (国立天文台)

    探査機が飛行する太陽系には中心に太陽があり、木星、土星などの巨大惑星や、惑星のまわりの衛星(月)が存在します。このような環境の中を探査機が飛行すれば、色々な力を一身に受けるため解析的には運動は解けなくなります。

    また、天体は質点ではなくて偏平な形であることや、天体を構成する物質が場所ごとに異なる事による追加の力や、小天体であれば太陽光により熱せられた面からの再輻射による力(Yarkovsky効果、YORP効果)なども加わります。さらに天体のサイズに比べてずっと小さい探査機には太陽光による圧力もじわじわと働いたりします。 従って、明確な答えは解析では求まらず、観測量を定期的に取得して物理モデルを作り、そのモデルを観測データに合わせこむような作業が必要になります。軌道推定はこのような作業のことを言います。

    <ひとこと>: 以上記事の要点を抽出。イメージを含む詳細はヘッドラインから。

  3. Earthcare 特設サイト (JAXA)

    EarthCARE はヨーロッパ宇宙機関と JAXA の共同開発の探査機です(昨日の記事参照)。そこには JAXA からの四つの観測センサーが積まれています。この記事は、JAXA からの観測機器を説明するコーナーです。

    <ひとこと>: 動画を含む詳細はヘッドラインから。

 
<5月28日(火)>
  1. EarthCARE 打上中継を見よう (EarthCARE)

    欧州宇宙機関(ESA)の地球の雲エアロゾル・放射線探査機(EarthCARE)ミッションが、カリフォルニア州のバンデンバーグから、スペースXのファルコン9で、2024年5月28日以降の打上げを目標に準備が進められている。 ESA WebTV または ESA YouTube を通して打上中継を見よう。

    <参考>: EarthCAREは、欧州宇宙機関(ESA)と日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)による共同開発であり、雲やエアロゾルが太陽の放射を宇宙空間に反射させたり、地表から放射される赤外線を閉じ込めたりする役割を調査する。打上時刻は日本時間5月29日午前6時20分が予定されている。

    <ひとこと>: 大判イメージは省略。



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