このページではNASAの各機関が発表する科学記事を中心に、欧州宇宙機構(ESA)、国内関連機関などの主要な科学記事を掲載しています。国内記事を除きリンク先は英文です。
なお、人名・地名・機器の名前などの固有名詞の“日本語読み”には誤りがあるかもしれません。

 
<10月7日(月)>
  1. NASAの航空機を介して、科学者達、嵐の雲で新しいガンマ線放射を見つける

    雷雲には、雨や稲妻以上のものがある。雷雲は、可視光線の放出に加えて、最もエネルギーの高い光であるガンマ線の強力な爆発を生む可能性があり、それは100万分の1秒続く。雲はまた、一度に数秒から数分の間、ガンマ線で着実に光ることもある。

    NASAの空中プラットフォームを使用している研究者達は、定常の光よりも持続時間が短く、マイクロ秒爆発よりも長い新しい種類のガンマ線放射を発見した。彼らはそれを「ちらつくガンマ線フラッシュ(flickering gamma-ray flash)」と呼んでいる。この発見は、科学者達の雷雲の放射について理解を埋め、雷を発生させるメカニズムに関する新たな洞察を提供する。この洞察は、ひいては、人、航空機、宇宙船のより正確な雷リスクの推定につながる可能性がある。

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  2. NASAの TESS、記録破りの恒星三つ子を発見

    プロとアマチュアの天文学者が人工知能とチームを組み、NASAの TESS (Transiting Exoplanet Survey Satellite)が捉えた宇宙の「ストロボライト」のおかげで、 TIC 290061484 と呼ばれる比類のない恒星のトリオを見つけた。

    このシステムには、1.8 日ごとに互いの周りを回る双子の星のセットと、わずか25日でペアを一周する3番目の星が含まれている。この発見は、1956年に設定されたこのタイプのシステムの最小外側軌道周期の記録を破るものであり、3番目の星が33日間で内側のペアを周回していた。

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  3. ゲートウェイ、ストレステストのために立ち上がる

    ゲートウェイ宇宙ステーションの居住および物流前哨基地は、イタリアのトリノで静的負荷試験を成功裏に完了した。このストレステストのフェーズが完了すると、モジュールは月周回軌道への打上げに先立って、最終的な艤装に一歩近づく。

    <ひとこと>: 大判イメージは省略。

  4. Hera の打ち上げ (Hera)

    ヨーロッパ宇宙機関のヘラ小惑星ミッションがまもなく打上げられる。 Hera は、米国フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から、スペースXのFalcon 9 ロケットで打上げられる。打上げウィンドウは10月7日に開き、大西洋の両側のチームは、現在、打上準備に取り組んでいる。

    ヨーロッパ宇宙機関は、 ESA WebTVESA YouTube で打上げを中継する。

    Hera は、ヨーロッパ宇宙機関初の小惑星ミッションである。地球には、現在、35,000 個以上の小惑星が接近していることが分かっており、我々は注意深く監視している。 Her ミッションは、「衝突のコースで発見されたら、何かできることがあるのか」という疑問に答えるための国際的な取り組みの一環である。

    <付記>:  Hera ミッションの詳細は 「今日の宇宙(10月7日)」から。

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  5. 雲エアロゾル放射ミッション「EarthCARE」衛星(はくりゅう)に関する記者説明会 (JAXA)

    リンク先からご覧ください。EarthCARE は、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)主導による共同ミッションです。

    <ひとこと>: イメージは省略。

 
<10月5日(土)>
  1. NASA、木星の月へのエウロパ・クリッパー打上放送を設定 (Europa Clipper)

    NASAは、木星の氷の衛星エウロパを探査するミッション、エウロパ・クリッパー(Europa Clipper)の打上前および打上活動のライブ中継を提供する。NASAは、東部夏時間10月10日木曜日午後12時31分(日本時間10月11日午前1時31分)に、フロリダ州のケネディ宇宙センタの発射施設39Aから、 SpaceX の Falcon Heavy ロケットで打上げることを目標としている。

    地球以外では、木星の衛星エウロパが、太陽系で最も有望な生物の居住可能な環境の一つと考えられている。約18億マイルの旅の後、エウロパ・クリッパーは、2030年4月に木星の周りの軌道に入り、探査機はエウロパの詳細な調査を行い、氷の世界が生命に適した条件を持っているかどうかを判断する。エウロパ・クリッパーは、NASAが惑星ミッションのためにこれまでに開発した最大の宇宙船である。この宇宙船には、九つの機器と、科学者達が地球の海の2倍の液体の水が含まれていると考えているエウロパの表面下の海を調査する重力実験が搭載されている。

    <放送開始>:東部夏時間10月10日木曜日午前11時30分(日本時間10月11日午後12時30分)
    <視聴先>: YueTube または NASAプラス(NASA+)

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  2. 月の氷の堆積は広範囲に広がっている (LRO)

    NASAの(LRO:Lunar Reconnaissance Orbiter)ミッションからのデータの新しい分析によると、月の塵や岩石(レゴリス)の氷の堆積は、これまで考えられていたよりも広範囲に及んでいる。氷は将来の月面探検のための貴重な資源となるだろう。水は、放射線防護や人間の探検家を支援するために使用したり、水素と酸素の成分に分解してロケットの燃料、エネルギー、呼吸可能な空気を作ったりすることができる。

    以前の研究では、カベウス、ハワース、シューメーカー、ファウスティニ・クレータ内の領域を含む、月の南極近くのより大きな恒久的な影のある領域(PSR)で氷の兆候が見つかっていた。新しい研究では、南極の外側、少なくとも南緯77度に向かった PSR 内に水の氷の広範な証拠があることを発見された。

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  3. ベピコロンボ (BepiColombo)

    ベピコロンボは、2024年6月のフライバイで水星を高速で通過したとき、この小さな惑星の磁場でさまざまな特徴に遭遇した。これらの測定は、ミッションが太陽系の最も内側の惑星の周りの軌道に到着したときに調査するように設定されている謎の、興味をそそる味覚を提供している。

    <ひとこと>: ベピコロンボはヨーロッパ宇宙機関(ESA)と日本(JAXA)の共同探査宇宙船です。大判はイメージをクリック(タップ)。

  4. 衝突銀河 NGC 5366 & PGC 49574 (すばる望遠鏡)

    銀河の衝突は実に多様です。画面の上、正面から見ている銀河(フェイスオン銀河)NGC 5366と、その下、横から見ている銀河(エッジオン銀河)PGC 49574が衝突している、めずらしい銀河ペアです。おとめ座の方向にあります。銀河の向きが違うおかげで両者の色合いが対照的で、NGC 5366 では星形成領域が青く輝いているのに対し、PGC 49574では銀河円盤を真横から見た暗い帯状のダストレーンが赤っぽいのが印象的です。さらに、両者の重力相互作用によって引き伸ばされた細長い尾のような構造も広がっており、これも見どころの一つです。

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  5. アルマ望遠鏡、惑星誕生の現場で重力不安定性の「揺らぎ」を捉える (アルマ望遠鏡:国立天文台)

    アルマの干渉計技術による詳細な観測で、若い星周辺に形成される息を飲むような美しい渦巻き状の腕構造が重力の影響で生じていることが明らかになり、惑星誕生の過程を理解する手がかりが得られたことになります。

    従来、惑星の形成は、若い星をとり巻く円盤(原始惑星系円盤)の中で、塵の粒子が数千万年の長い時間をかけて徐々に集まり、より大きな塊へと成長を続けて惑星になるという「ボトムアップ」過程で理論的に説明されていました。数マイクロメートルの塵粒子が成長して、センチメートルサイズ、メートルサイズ、キロメートルサイズの塊へと大きくなっていきます。一方、別の理論では、惑星は原始惑星系円盤で起こる重力不安定性のために渦巻き構造の腕が分裂して「トップダウン」の過程で短期間に形成されるという考え方もあります。

    <ひとこと>: 大判イメージを含む詳細はヘッドラインから。

 
<10月4日(金)>
  1. NASAの装置、地球の放射線帯の最も鮮明な画像をとらえる

    ヨーロッパ宇宙機関の Juice (Jupiter Icy Moons Explorer)ミッションは、8月19日から20日にかけて、大胆な月-地球フライバイと二重重力支援で歴史を作った。宇宙船が月と故郷の惑星を通り過ぎるとき、ジュースの機器は、木星に到着したときに何をするかの予行演習のためにオンラインになった。その間、NASAの搭載機器のうち2台は、地球の放射線帯(地球の磁気シールド、磁気圏に閉じ込められた荷電粒子の帯)の史上最も鮮明な画像を撮影するという、初めての試みを行った。

    <ひとこと>: イメージのリンク先は動画(Youtube)です。

  2. NASA、記録破りの恒星三つ子を発見 (TESS)

    プロとアマチュアの天文学者が人工知能とチームを組み、NASAの TESS (Transiting Exoplanet Survey Satellite)が捉えた宇宙の「ストロボライト」のおかげで、TIC 290061484 と呼ばれる比類のない恒星のトリオを見つけた。

    このシステムには、1.8 日ごとに互いの周りを回る双子の星のセットと、わずか25日でペアを一周する3番目の星が含まれている。この発見は、1956年に設定されたこのタイプのシステムの最小外側軌道周期の記録を破るものであり、3番目の星は33日間で内側のペアを周回していた。

    <ひとこと>: イメージのリンク先は動画(Youtube)です。

  3. すばる望遠鏡25周年と GALAXY CRUISE (すばる望遠鏡)

    すばる望遠鏡は今年2024年に初観測から25周年を迎え、様々な記念事業が進められています。その中から、GALAXY CRUISEメインクルーが大活躍の事業をご紹介いたします。

    <ひとこと>: 大判イメージを含む詳細はヘッドラインから。

  4. 二重小惑星探査計画(Hera)に関する記者説明会 (JAXA)

    <ひとこと>: イメージは省略。ビデオはヘッドラインから。リンク先は JAXA Youtube です。

 
<9月24日(火)>
  1. チャンドラ、小川を横切る銀河団を発見 (Chandra)

    NASAのチャンドラX線天文台を使用している天文学者達は、銀河団に二つの過熱ガスの流れが交差しているのを発見した。この結果は、川を横断する新しい構造が作られる可能性があることを示している。

    研究者達は、 Zwicky 8338 と呼ばれる銀河団内の銀河の後ろに、160万光年以上の長さに及ぶ巨大な彗星のような高温ガスの尾を発見した。この尾では、銀河が突き進んでいる高温のガスによって、ガスの一部が剥ぎ取られたときに発生し、二つつの流れに分かれている。

    これは、このシステム内の銀河の後ろに引きずられる、2番目の尾のペアである。以前、天文学者達は、この最新の銀河の近くにある別の銀河から、短い一対の尾を発見した。この新しく長い尾のセットは、チャンドラの深い観察によって、より暗いX線が明らかになったためだけに見られた。

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  2. NASA、非常に正確な日食マップを作成するプロセスを開発

    NASAの新しい研究が、月が地球の表面を横切るときの月の影の予測経路をプロットする、非常に正確な日食マップを生成するプロセスを明らかにしている。日食の計算では、伝統的に、全ての観測者達が地球の海面にいて、月はその重心を中心に完全に対称的な滑らかな球体であると仮定している。そのため、これらの計算では、地球上のさまざまな高度や、クレータ状の不均一な表面は考慮されていない。

    更に正確な地図を作るために、人々は月の縁(地球から見た月の可視面の端)の標高の表とプロットを採用できる。今では、NASAの月探査軌道船(LRO:Lunar Reconnaissance Orbiter)観測によるデータを取り入れることで、日食の計算精度がさらに向上している。

    ゴダード宇宙飛行センターの研究者は、LRO の標高マップを使用して、月の影が地球上を通過するときに連続的に変化する月の縁のプロファイルを作成した。月の円盤の端に沿った山や谷は、皆既日食のタイミングと持続時間を数秒影響する。また、NASAのデータセットを使って地球の標高マップを提供し、日食観測者の位置が実際の高度で描かれるようにした。

    その結果、これまでに見たことのない、正確な月の縁と地球の地形の両方の影響を伴う、時間の変化を伴う、月の影の真の形が明らかになった。

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  3. 渦巻銀河 NGC 521 (すばる望遠鏡)

    くじら座の方向にあるこの棒渦巻銀河は、真正面を向いており、中心からバルジ、ダストリング、棒構造、そして外に大きく広がる渦巻構造がはっきり見えます。渦巻構造の中には、ダスト(ちり)が銀河円盤内に集積して濃くなっているダストレーン(暗黒帯)もよく見えています。中心部のバルジや棒構造は赤っぽく、若い星々が多い渦巻は青っぽく、色の違いも見られます。私たちが住む天の川銀河(銀河系)も棒渦巻銀河だと考えられていますが、外から見たらこんな風に見えるのでしょうか。

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<9月17日(火)>
  1. NASA、探査イニシアチブのための月面標準を開発

    NASAは、4月のホワイトハウスからの政策指示を受けて、米国政府の利害関係者、パートナー、国際標準化団体と協力して、調整された月時(LTC)を確立する。同機関の宇宙通信・航法(SCaN)プログラムは、調整された時間を作り出す取り組みを主導しており、これにより、太陽系の他の場所に拡張可能な将来の月面生態系が可能になる。

    月の時間は、科学者達が地球の世界的に認められた協定世界時(UTC)を計算する方法と同様に、月の原子時計の加重平均によって決定される。現在の分析では、月の表面に置かれた原子時計が1日あたりマイクロ秒ずつ速く「時を刻む」ように見えることが示されているために、月の正確な場所はまだ決定されていない。マイクロ秒は100万分の1秒である。NASAとそのパートナーは、現在、月の時間を確立するためにどの数学的モデルが最適かを研究している。

    <ひとこと>: 大判は省略

 
<9月12日(木)>
  1. ボイジャー1号チームがトリッキーなスラスター交換を実現 (Voyager 1)

    双子のボイジャーは1977年から飛行し、太陽系の外側の領域を探査している。宇宙船は推進装置を使って地球を向けているが、宇宙で47年が経過した今、一部の燃料チューブが詰まってしまった。ボイジャー1号探査機に取り組んでいるエンジニア達は、宇宙船の推進装置の問題を軽減した。推進装置は、遠方の探査機を地球に向け、コマンドを受信し、エンジニアリングデータを送信し、収集している独自の科学データを提供できるようにしている。

    47年後、推進装置内部の燃料チューブは、燃料タンクのゴム製ダイヤフラムから経年劣化とともに現れる副産物、二酸化ケイ素で詰まっている。目詰まりは、推進力を生成する効率を低下させる。何週間にもわたる慎重な計画の後、チームは宇宙船を別のスラスターセットに切り替えた。

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  2. 15年前:日本が初の宇宙ステーション補給ミッション「HTV-1」を打ち上げる

    2009年9月10日、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、初の貨物輸送機である H-II 補給機1号機(HTV-1)を国際宇宙ステーションに向けて打上げた。 HTV 貨物船は「こうのとり」とも呼ばれ、「きぼう」日本実験棟のメンテナンスだけでなく、宇宙ステーション全体に与圧・非与圧の貨物やペイロードを供給した。宇宙ステーションとのランデブーに続いて、第20次長期滞在の宇宙飛行士達は、9月17日に HTV-1 を補足して接続し、翌月、 9,900 ポンドの内外の貨物を宇宙ステーションに移し、 HTV-1 をゴミや不要な機器で満たした。宇宙船は10月30日に切り離され、地上管制官は11月1日に破壊的な地球大気への再突入を命じた。

    HTV は、2011年に引退するまで、NASAのスペースシャトル、ロスコスモスのプログレス、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の自動搬送宇宙船(Automated Transfer Vehicle)などとともに、当時の貨物船の一部を形成した。

    --- 以下略。

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  3. SUNRISE-Ⅲ/SCIP観測結果およびデータ回収について (国立天文台)

    2024年7月10日にエスレンジ宇宙センター(スウェーデン)から打ち上げられたSUNRISE-Ⅲは、6日間にわたって高度35kmの成層圏を飛翔し、7月16日にカナダ北西部に無事に着陸しました。成層圏の安定した環境により、SCIPを含む3つの観測装置全てで非常に高品質な太陽観測データの取得に成功しました。

    24時間体制で科学運用を実施するため、マックスプランク研究所(ドイツ)の運用拠点に加え、国立天文台三鷹キャンパスにリモート運用室を設置しました。太陽黒点から太陽フレアまで様々なターゲットを観測することに成功し、膨大な観測データは回収チームにより確保され、既に国立天文台に輸送されています。1年後には世界中の研究者が科学データを活用できるように、今後データ処理および較正が行われる予定です

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<9月9日(月)>
  1. 明かされつつある太陽系外縁の構造 -すばる望遠鏡とニューホライズンズの20年の挑戦- (すばる望遠鏡)

    地上からカイパーベルト天体を観測すると、小さい太陽位相角(太陽―天体―観測者を挟む角)でしか観測できません。一方、カイパーベルトにいる探査機からカイパーベルト天体を観測すると、さまざまな位相角で同じ天体を観測し、その反射特性を調べることで、天体の表面状態を推定することができます。これはニューホライズンズにしかできないことです。

    しかし、探査機に搭載されている視野の狭いカメラでは、探査機自らがカイパーベルト天体を発見することはできません。ここで活躍するのがすばる望遠鏡です。すばる望遠鏡が広視野のカメラでカイパーベルト天体をたくさん見つけ出し、その中から、探査機がフライバイできる天体と探査機から観測できる天体を絞り込んでいきます。このニューホライズンズとすばる望遠鏡の協力は 2004年に始まりました。

    2004年から 2005年にすばる望遠鏡の主焦点カメラ Suprime-Cam(シュプリーム・カム)による観測を行った時、探査機の軌道の関係から、カイパーベルト天体を探す視野は天の川銀河の中心方向にありました。背景星が多い中での天体探しは困難を極めましたが、24 個のカイパーベルト天体を発見することができました。

    残念ながら、この観測で見つかったカイパーベルト天体は、探査機の燃料の制限によりフライバイの候補にならなかったのですが、もっと遠くにある新しい天体ならば、ニューホライズンズの残りの燃料で到達できるかもしれません。2020年からはすばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ Hyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム;HSC)を使ったより深い観測が始まり、2023年までの観測で 239 個のカイパーベルト天体が発見されました。

    <ひとこと>: この記事は重要な記事なので「今日の宇宙」にも掲載してあります。大判イメージを含む詳細はヘッドラインから。

  2. くらげ銀河 NGC 3312 & NGC 3314 (すばる望遠鏡)

    うみへび座銀河団に属するふたつのくらげ銀河 で、中央やや上にあるのが NGC 3312 で、やや下にあるのが NGC 3314 です。いずれの銀河も、くらげの触手のような淡いフィラメント状の構造が右下に向かって出ています。これは、これらの銀河が銀河団ガスの中を運動する際に受ける「風」によって、渦巻銀河の円盤からガスが剥ぎ取られてできた構造です。珍しいくらげ銀河がふたつ並んで写っている、貴重な画像です。

    実は下の NGC 3314 は、ふたつの渦巻銀河が衝突しているように見えますが、距離の異なる銀河が地球から見てたまたま視線上に重なっているだけで、重力相互作用していません。「くらげ銀河」として見えているのは、手前にあり正面を向いている NGC 3314a で、斜めに見えているもうひとつの渦巻銀河 NGC 3314b は後ろ側にあります。

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  3. Discovery×JAXA「スペースラボ2024」 全国5都市開催 (JAXA)

    iscovery×JAXA 「スペースラボ2024」は、全国5都市、合計2,000名の親子が無料で参加できるイベントです。

    未来に活躍する子どもたちとその保護者を対象に Discovery×JAXA 「スペースラボ2024」を今年9月から翌年1月にかけて全国5都市(東京・大阪・愛知・北海道・福岡)で開催します。

    主催:ディスカバリー・ジャパン合同会社
    共催:JAXA 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
    協力:株式会社 帯広シティーケーブル(札幌会場協力)
    協賛:株式会社ヤクルト本社

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<9月2日(月)>
  1. NASA、念願の地球の電場を発見する

    科学者達の国際チームは、NASAの弾道ロケットからの観測を使って、地球にとって重力と磁場と同様に基本的であると考えられている惑星全体の電場の初めての測定に成功した。科学者達は、60年以上前に、地球の大気がどのように地球の北極と南極から逃げるかという仮説を立てた。NASAのロケットからの測定によって両極場の存在が確認され、その強度が定量化され、大気圏の脱出を促進し、電離層(上層大気の層)をより広く形成する役割が明らかになった。

    地球の大気の複雑な動きと進化の理解は、その歴史への手がかりを提供するだけでなく、他の惑星の謎についての洞察も提供し、どの惑星が生命にとって住みやすいかを判断するのに役立つ。

    この論文は、8月28日のネイチャーに掲載された。

    <ひとこと>: イメージのリンク先は動画 YueTube です。

  2. 太陽軌道船、太陽風が磁気を押す方法を示す

    ヨーロッパ宇宙機関の太陽軌道船が、太陽風を熱し加速するためにエネルギーがどこから来るのかという数十年にわたる疑問に答えるための重要なデータを提供した。NASAのパーカー太陽探査機と連携して、この軌道船は、この流出のために必要なエネルギーが、太陽の磁場の大きな変動から来ていることを明らかにした。

    太陽風は、太陽大気(コロナと呼ばれる)から逃げて地球を通り過ぎて流出する荷電粒子の絶え間ない流れである。「高速の」太陽風は、時速500 km、つまり時速180万キロメートルを超える速度で移動する。不思議なことに、この風は太陽のコロナからゆっくりと出るので、遠ざかるにつれて何かが加速する。100万度の風は、山に登るときの地球上の空気のように、より大きな体積に拡大して密度が低くなるにつれて自然に冷える。それなのに、この効果だけでは予想以上に冷え込んでしまう。

    速い太陽風は、秒速500キロメートルを超える速度で移動し、なんと、時速では180万キロメートルに相当する。不思議なことに、この風は太陽のコロナからゆっくりと出るので、遠ざかるにつれて何かが加速する。100万度の風は、山に登るときの地球の空気のように、より大きな体積に拡大して密度が低くなり自然に冷える。それなのに、この効果だけでは予想以上に冷え込んでしまう。

    では、太陽風の最速の部分を加速し、加熱するために必要なエネルギーを提供するものは何なのだろう?? ヨーロッパ宇宙機関の太陽軌道船とNASAのパーカー太陽探査機からのデータは、その答えがアルベン波として知られる太陽の磁場の大規模な振動であるという決定的な証拠を提供した。

    <ひとこと>: 大判はイメージをクリック(タップ)。kuria

  3. ブラックホールに吸い込まれる降着円盤の乱流構造を解明 ─ 最先端スパコンによる超高解像度シミュレーションで実現 ─ (国立天文台)

    ブラックホールは降着円盤と呼ばれる回転するガスに取り囲まれており、このガスは複雑な乱流状態にあります。しかし、その性質は長年謎に包まれていました。
    東北大学学際科学フロンティア研究所(FRIS)の川面洋平助教(現・宇都宮大学データサイエンス経営学部准教授および東北大学大学院理学研究科客員研究員)とFRISの木村成生助教(同大学院理学研究科兼務)は、理化学研究所の「富岳」や国立天文台の「アテルイII」などのスーパーコンピュータを駆使して従来にない極めて高解像度のシミュレーションを実施し、降着円盤の乱流が持つ物理的性質を明らかにしました。
    特に注目すべきは、大きな渦と小さな渦をつなぐ「慣性領域」において「遅い磁気音波」と呼ばれる縦波が支配的に存在することを発見したことです。この発見により、降着円盤内でなぜ電子よりプラス電荷のイオンの方が効率的に加熱されるのかという観測事実の理論的説明が可能になりました。この研究成果は、2019年4月にブラックホールの影の撮影成功を発表したイベント・ホライズン・テレスコープによる観測データの解釈にも重要な示唆を与えるものです。
    本研究成果は科学誌Science Advancesに2024年8月28日(米国東部夏時間)付で掲載されました。研究成果の詳細は東北大学プレスリリースをご覧ください。(2024年8月29日掲載)

    <ひとこと>: 記事の詳細はヘッドラインからご確認ください。

  4. 宇宙の夜明けに踊るモンスターブラックホールの祖先 (すばる望遠鏡)

    愛媛大学や国立天文台などの研究者から成る研究チームは、すばる望遠鏡の超広視野カメラ HSC を用いた宇宙の大規模探査データを詳しく解析しました。すばる望遠鏡の大集光力を発揮したこの探査(HSC-SSP)は、他の望遠鏡による大規模探査に比べて格段に高感度で、暗い天体まで検出することができます。その結果、およそ 128 億光年彼方、すなわち宇宙年齢がまだ9億歳の「宇宙の夜明け」と呼ばれる時代において、非常に低光度なクエーサー(同じ時代の高光度クエーサーに比べて数 10 倍〜 100 倍程度暗い)が2つ隣り合って並んでいる領域を発見したのです(2024年6月17日 ハワイ観測所 観測成果)。これは、このような「ペアクエーサー」の最遠方記録です。また、とても暗いため、超巨大ブラックホールの成長が本格化する前段階、つまり銀河合体の前段階の天体だと期待されました。

    今回、アルマ望遠鏡を用いてこの天体を観測し、クエーサーを含む銀河の状態を調べたところ、2つの銀河は互いに影響し合っており、近い将来に確実に合体して1つの銀河になることが分かりました。銀河が持つ星間物質が大量であるため、合体後に爆発的な星形成を起こすことや、星間物質を飲み込んだ超巨大ブラックホールが高光度クエーサーとして輝くことが可能です。高光度クエーサーと、それを持ち爆発的に星形成を起こす銀河となる前段階の天体を、初めて同定したことになります。

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