10月9日(水):
NASA:火星が居住不可能になった経緯に関する新たな洞察
NASAの探査機キュリオシティは、現在火星のゲール・クレータを探査しており、地表面に液体の水が広がっているという証拠とともに、古代の火星の気候が生命にとって潜在的に適していたものから、陸生生物にとって住みにくい地表にどのように変化したかについて、新たな詳細を提供している。
火星の表面は極寒であり、今日の生命にとって不適であるが、火星のロボット探査機は、火星が遠い昔に生命を支えていたかどうかについての手がかりを探している。研究者達は、キュリオシティに搭載された機器を使用して、ゲイル・クレータで発見された炭素に富む鉱物(炭酸塩)の同位体組成を測定し、火星の古代の気候がどのように変化したかについての新たな洞察を発見した。
これらの炭酸塩の同位体値は、極端な量の蒸発を示しており、これらの炭酸塩は、一時的な液体の水しか支えられない気候で形成された可能性が高いことを示唆している。ただし、これは地下の生物圏、または、これらの炭酸塩が形成される前に始まり終わった地表面の生物圏の可能性を排除するものではない。
水が蒸発すると、炭素と酸素の軽い同位体は大気中に逃げる可能性が高くなり、重い同位体は取り残され、より豊富に蓄積され、この例では、最終的には炭酸塩の岩に取り込まれる。科学者達が炭酸塩に興味を持つのは、気候の記録として機能することが証明されている能力があることにある。これらの鉱物は、水の温度や酸性度、水や大気の組成など、形成された環境の特徴を保存することができる。
この論文では、ゲイルクレータで発見された炭酸塩の二つの形成メカニズムが提案されている。第一のシナリオでは、炭酸塩はゲイル・クレータ内の一連の湿潤-乾燥サイクルを通じて形成される。二つ目は、ゲイル・クレータの冷たい氷の形成(極低温)条件下で、非常に塩の多い水で炭酸塩が形成される。
古代の火星のこれらの気候のシナリオは、特定の鉱物の存在、地球規模のモデリング、および岩石層の同定に基づいて以前にも提案されてきた。この結果は、シナリオを裏付ける岩石サンプルからの同位体の証拠を追加した初めての結果である。
火星の炭酸塩に含まれる重同位体の値は、地球上の炭酸塩鉱物よりも大幅に高く、火星の物質で記録された最も重い炭素と酸素の同位体の値である。実際に、チームによれば、重炭素と酸素が非常に豊富な炭酸塩を形成するためには、湿潤した乾燥の気候と寒い塩の気候がともに必要である。
これらの炭素と酸素の同位体の値が、地球や火星で測定された他のどのものよりも高いという事実は、そのプロセスが極端に行われていることを示していると研究者達は言う。蒸発は地球上で酸素同位体に大きな変化を引き起こす可能性があるが、この研究で測定された変化は2〜3倍大きかった。これは、1,極端な蒸発の程度がこれらの同位体の値を非常に重くしたため、2,これらの重い値が保存されたために、より軽い同位体値を作成するプロセスは、その規模が著しく小さかったに違いない、という二つのことを意味している。
この発見は、キュリオシティ・ローバーに搭載された火星サンプル分析(SAM)とチューナブル・レーザー分光計(TLS)機器を使って行われた。
<ひとこと>: 以上は記事の要点のみ。大判はイメージをクリック。
Oct 07, 2024