3月10日(月):
NASA:火星が赤い理由に関する新しい研究、居住可能な過去を裏付ける
<イメージの説明>: 火星のマリネリス峡谷の半球のこの合成は、宇宙船から見るのと同様の視界に投影されている。距離は惑星の表面から2500キロメートル、縮尺は0.6km /ピクセルである。この合成は、火星の102枚のバイキング軌道船イメージで構成されている。この場面の中央(緯度-8、経度78)は、長さ2000キロメートル以上、深さ8キロメートルまでのマリネリス渓谷システム全体を示しており、西側の地溝の弓形のシステムであるノクティス・ラビリンサスから東側の混沌とした地形まで伸びている。多くの巨大な古代の川のチャネルが、中央北の峡谷の混沌とした地形から始まり、北に流れている。西側には、それぞれ約25キロメートルの高さにある3つのタルシス火山(暗赤色の点)が見える。マリネリス峡谷の南には、多くのインパクトクレータで覆われた非常に古い地形がある。
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NASAが一部資金提供した、火星の象徴的な赤色の由来に関する新たな国際研究は、火星が太古の昔に冷涼ながらも湿潤で居住可能な気候を持っていたという証拠を補強している。
現在の火星の大気は、生命に不可欠な成分である液体の水を長期間その表面で支えるには、冷た過ぎまた薄すぎる。しかし、NASAや国際的なさまざまなミッションが、数十億年前の火星表面の水が豊富であったことを示す証拠を発見しており、例えば、干上がった川や湖に似た特徴や、液体の水が存在する場合にのみ形成される鉱物などを発見している。
この証拠に加えて、2月25日にNature Communications誌に掲載された研究の結果は、水が豊かな鉄鉱物の フェリヒドライト(ferrihydrite) が火星の赤みを帯のダストの主な原因である可能性があることを示唆している。火星のダストは、酸化鉄を含むさまざまな鉱物の寄せ集めであることが知られており、この新しい研究では、それらの酸化鉄の1つであるフェリヒドライトがこの惑星の色の原因であることを示唆している。
この発見は、火星の湿潤で潜在的に居住可能な過去についての興味深い手がかりを提供している。これは、フェリヒドライトが冷たい水の存在下で、ヘマタイトなどの他の鉱物よりも低い温度で形成されるためである。このことは、火星が数十億年前に湿潤な環境から乾燥した環境に移行する前に、液体の水を維持することができる環境を持っていた可能性があることを示唆している。
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火星がなぜ赤いのかという根本的な疑問は、何千年とは言わないまでも、何百年も前から考えられてきた。分析からは、フェリヒドライトはダストのいたるところにあり、おそらく岩石層にも存在すると考えている。火星が赤い理由として無水鉄鉱を挙げたのは以前からあるが、今では観測データと新しい実験室の方法を使用してこれをより適切にテストし、実験室で火星のダストを本質的に作成することができる。
<イメージの説明>: 模擬火星のダストを示す実験室サンプル。黄土色は、鉄分を多く含むフェリヒドライトの特徴であり、火星の古代の水の活動や環境条件について重要な洞察を与えてくれる。この微粉末の混合物は、フェリヒドライトと粉砕された玄武岩からなり、粒子のサイズは1マイクロメートル(人間の髪の毛の1/100の直径)未満である。サンプルのスケールは直径1インチである。
研究者達は、NASAのマーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)、ヨーロッパ宇宙機関のマーズ・エクスプレス、ガス追跡軌道船の機器からの軌道観測と、キュリオシティ、ソジャーナー、オポチュニティなどのNASAのローバーによる地上レベルの測定値を組み合わせて、複数の火星ミッションのデータを分析した。軌道船とローバーの機器は、惑星のダストの多い表面の詳細なスペクトルデータを提供した。次に、これらの知見を実験室での実験と比較し、火星の模擬条件下で光がフェリヒドライト粒子やその他の鉱物とどのように相互作用するかを試験した。
チームが提案した形成モデルが正しいかどうかは、火星からのサンプルが分析のために地球に運ばれた後に決定的にテストされる必要性がある。
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Feb 25, 2025