8月20日(火):
塩の火星のマーメイド (エクソマーズ)
紫がかった鱗のような波が、ラテン語で「セイレーンの海」を意味する火星のテラ・シレナム(Terra Sirenum:シレナム大地)の上空を飛ぶヨーロッパの宇宙船の注目を集める。
- セイレーン(Siren)
- ギリシャ神話:シシリ島の近くに住み, 美しい歌声で近くを通る船人を誘い寄せて難破させたという半女半鳥の海の妖精
それは、ただの目の錯覚である。今日の火星の世界には、神話上の人魚や海はない。火星は、約35億年前に、川、湖、また、恐らく海に覆われていた、今は砂漠の世界である。寒冷時代が始まり、火星は磁場を失い、自身の大気を保持できなくなり、水が蒸発したり、凍結したり、地下に閉じ込められたりした。
ヨーロッパの軌道船は、カラーおよびステレオ地表画像システム(CaSSIS)を使って、シレナム大地のクレータ領域に、塩化塩(chloride salt)の堆積物を明らかにした。おそらく、これらの塩の堆積物は、太陽の下で蒸発した浅い水または塩水の池から形成された。人々は同様な方法を使って、地球上の塩水プールで人間が消費する塩を生産する。
非常に塩分の強い水は、生命の避難所、火星の居住可能な場所の目印になった可能性がある。水は、高濃度の塩分によって、摂氏マイナス40度という低い温度で液体のままでいることができる。この写真の塩化物堆積物と液体の水との直接的な関係によって、シレナム大地のような地域は、生命の兆候を探す将来のロボットミッションに適したターゲットになる。
塩化物を含む地形は、通常の白黒画像では目立たないが、カラーの赤外線イメージでは、はっきりとした紫色の色合いとして現れるので、 CaSSIS は火星全体の塩の分布を研究するためのユニークなツールとなっている。
先週、この研究は、ネイチャーのサイエンティフィック・データ・ジャーナル(Scientific Data journal)に掲載された。この新しい論文には、火星の遠い過去の水の分布をよりよく理解するのに役立つ、これまでにないデータが含まれている。
この軌道船 TGO は、火星の過去と居住可能性を理解するために、軌道から火星を画像化し続けている。この探査機は、壮大な画像を送り返すだけでなく、大気のガスの最良の在庫を提供し、水が豊富な場所の惑星の表面をマッピングしている。
火星の水の歴史と、かつてそれが生命の繁栄を可能にしたかどうかを理解することは、ヨーロッパ宇宙機関のエクソマーズミッションの核心である。
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Aug 08, 2024