5月8日(水):
複数の宇宙船が語る1つの巨大な太陽嵐の物語
2021年4月17日、まばゆい閃光が噴き出した。このような太陽からの爆発は珍しいことではないが、この爆発は異常に広範囲に及び、光速に近い速度で陽子や電子を投げつけ、太陽系内の複数の宇宙船に衝突した。
実際に、太陽高エネルギー粒子(SEP:solar energetic particles)と呼ばれるこのような高速の陽子と電子が、初めて、太陽と地球の間の五つの異なる場所にある探査機や火星を周回する探査機によって観測された。そして、今、太陽嵐に関するこれらの多様な視点が、潜在的に危険な SEP が、太陽現象によって様々な方向の宇宙空間に吹き飛ばされ、広がる可能性を明らかにしている。
科学者達のチームをは、各宇宙船にどのような粒子がいつ衝突したかを分析し、その成果を「Astronomy & Astrophysics」に発表した。
現在、水星に向かっているベピコロンボ探査機は、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)と日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)の共同ミッションであり、爆風の直接の放射線に最も近く、最も強い粒子で叩かれた。そのとき、NASAのパーカー太陽探査機(Parker Solar Probe)とヨーロッパ宇宙機関の太陽軌道船(Solar Orbiter)はフレアの反対側にいたが、パーカー太陽探査機は太陽に近かったために、太陽軌道船よりも大きな打撃を受けた。NASAの二つの太陽地球観測所(STEREO)探査機の一つ STEREO-A で、NASAとヨーロッパ宇宙機関の太陽圏観測所(SOHO)とNASAのウィンド宇宙船が続いたが、これらは地球に近く、爆風から遠く離れていた。火星を周回するNASAのメイブン(MAVEN)とヨーロッパ宇宙機関のマーズエクスプレス(Mars Express)宇宙船が、この出来事からの粒子を最後に感知した。
全体として、粒子は縦210度(太陽のほぼ3分の2)の空間で検出されたが、これは通常の太陽の爆発によってカバーされるよりもはるかに広い角度である。さらに、各探査機は、その場所で異なる電子と陽子の洪水を記録した。さまざまな探査機によって記録された粒子の到着と特性の違いは、 SEP が何時、どのような条件で宇宙に放出されたかをつなぎ合わせるのに役立った。
これらの手がかりは、この SEP が単一の発生源によって一度に吹き飛ばされたのではなく、異なる方向に、異なる時期に、異なるタイプの太陽噴火によって推進された可能性があることを示唆した。
研究チームは、電子は最初の閃光(太陽フレア)によって急速に宇宙空間に押し出され、陽子はよりゆっくりと、おそらく太陽物質の雲からの衝撃波、またはコロナ質量放出によって押し出された可能性が高いと結論付けました。
電子と陽子の加速源が異なっていると推測されたのはこれが初めてではなく、この測定は、複数の視点から科学者達が多様なプロセスをよりよく分離し、電子と陽子が異なるプロセスに由来する可能性があることを確認できるという点でユニークだった。
フレアとコロナ質量放出に加えて、探査機は、イベントの中で太陽からの電波の爆発を四つのグループで記録し、異なる方向への四つの異なる粒子爆発を伴った可能性がある。この観察は、粒子がどのようにしてこれほど広範囲に広がったかを説明するのに役立つかもしれない。
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April 29. 2024