軌道船 (赤はヨーロッパ宇宙機関) 探査車(ローバー) ヘリコプター 固定型着陸船
オデッセイ エクスプレス リコネッサンス メイブン エクソマーズ キュリオシティ パーサビアランス インジェニュイティ インサイト(終了)

  2024年4月

このページの対象としている探査機、その名称などは、上のイメージを含む表からご覧ください。火星探査に関するこれまでの経緯は トップページ の案内から、また、 'Perseverance' の読みについては こちら をご覧ください。このページは、特別な記事がある場合を除いて、土曜日・日曜日・祝日の掲載は休みます。

   4月30日(火):   火星のインカ・シティで「クモ」の痕跡を発見 (エクスプレス)

<イメージの説明>: 火星の長方形のスライスが茶色と黄褐色の色調で示されている。地形は左に行くほど暗くなり、右に行くほど滑らかで明るくなる。イメージの中央部分には様々な物質の堆積物の渦巻く片が見られる。左端にはインカ・シティと呼ばれる直線的な格子状の尾根と壁の隆起したネットワーク(右図)と、氷の下に「クモ」と呼ばれる特徴が存在することを示す黒い斑点(左下図:トップのイメージの大判で確認)が散在している二つの重要な特徴が見られる。

ヨーロッパ宇宙機関のマーズ・エクスプレスが撮影したこのイメージの黒い斑点は、火星の南極地域に散らばる「クモ」の明らかな兆候である。これらの小さな徴は、炭酸ガスが太陽光で暖められ、上にある氷のスラブを突き破り、枝分かれした溝の表面を彫り、暗い物質を表面に引きずり上げて暗い斑点をつくるときに形成される。このような斑点の多くは、インカシティと呼ばれる火星の一部の郊外にあるフレームの左側の暗い領域内に見られる。この名前の理由は明確であり、直線的で幾何学的な尾根のネットワークがインカの遺跡を彷彿とさせる。

このイメージは、2024年2月27日に、マーズ・エクスプレスの高解像度ステレオカメラ(HRSC)が、軌道 25449 で収集したデータで構成されている。これは、火星の表面に垂直に位置合わせされた真下のチャンネル(nadir channel)、およびカメラのカラーチャンネルからのデータを使用して作成された。地上の解像度は15メートル/ピクセルであり、イメージの中心は東経 300 度/南緯 79 度である。

<ひとこと>: 大判はイメージのリンクから。これは長文の記事の中のごく一部です。

April 24. 2024


   4月26日(金):   火星谷にて (リコネッサンス)

これは流線型の島であり、火星の大きな流出チャネルに観測される多くの島の一つである。この流出チャネルは「火星峡谷(Kasei Valles)」と呼ばれ、火星で最大級の破滅的な流出チャネルである。流線型の島は、水が流れるときに形成されるが、クレータその他の地形などの何らかの障害物によってブロックされている。

このイメージは径5キロメートル未満、探査機の高度は289キロメートルであった。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック。

<参考>:  カセイ峡谷(カセイきょうこく、英: Kasei Valles)は、火星のアキダリウム海地域とルナエ沼地域に跨る巨大な峡谷。全長1,780 kmに達する火星で最大級の大洪水の地形である。名称は日本語の火星に由来する。

March 6, 2024


   4月25日(木):   カプリ・カズマのヘマタイトとキーセライトの可能性 (リコネッサンス)

TES は灰色のヘマタイト(hematite)を検出し、CRISM はこのクレータの壁と床に沿ってキーセライト(kieserite)を検出した。このシーンは、マリネリス峡谷システムの東端にあるカプリ・カズマ(Capri Chasma)にある。

このイメージは径5キロメートル未満、探査機の高度は264キロメートルであった。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック。

March 13, 2024


   4月24日(水):   なぜ火星にメタンが浸透しているのか? (キュリオシティ)

NASAの火星探査機キュリオシティによる最も驚くべき発見は、ゲール・クレーターの表面からメタンが染み出しているというもので、科学者達は頭を悩ませている。

地球のメタンガスのほとんどを生物が生成している。しかし、科学者達は、火星で、現在または古代の生命の説得力のある兆候を発見していないので、火星でメタンが見つかるとは思っていなかった。しかし、キュリオシティに搭載された移動型化学実験室(SAM:Sample Analysis at Mars)は、火星の表面でメタンが検出された唯一の場所であるゲール・クレータの地表付近で、ガスの痕跡を嗅ぎ続けている。科学者達は、その発生源は、地下深くの水と岩石が関与する地質学的メカニズムにあると推測している。

しかし、SAM は、メタンがゲイル・クレータで予期せぬ振る舞いをすることを発見した。夜に現れ日中に消える。季節によって変動し、通常の40倍にもなることもある。ヨーロッパ宇宙機関のエクソマーズ・トレース・ガス・オービタは、大気中のガスを調査するために火星に送られたが、メタンを検出してはいない。

火星のメタンを検知する科学機器と検出しない科学機器があるのはなぜだろう?

何故メタンガスが奇妙な振る舞いをし、ゲイル・クレータでしか検出されないのか? 火星の科学者達は実験室での作業やコンピューター・モデリング・プロジェクトで忙しく働いている。最近、NASAの研究グループが興味深い提起をした。

--- 以下は推測に基づく長文の解説なので省略し、ここでは事実のみを記載します。 ---

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April 22. 2024


   4月23日(火):  火星日 4150-4151:この小さな岩は少し移動した? (キュリオシティ)

最初に目を引いたのは、この写真に関連する危険回避カメラの映像だった。左の車輪の真下に小さな岩があり、周りの砂が他の場所に比べて表面の質感が変わっているのがわかる。これは、この岩が僅かでも動いたことを示す証拠である。また、岩にも小さな傷が見られる。したがって、アームを動かすのは安全ではないと判断し、アームの機器は休憩している。この休憩はマスト計器にとっては利益であり、四つの長距離イメージ、二つの観測、多くの大気調査がある。

<ひとこと>: 記事は一部の要点のみ。大判はイメージをクリック。
付記:危険回避カメラはキュリオシティの低部、左右の車輪の近くから進行方向の危険を監視しているカメラ。

April 08. 2024


   4月22日(月):   火星日 4148-4149:マストカメラのメガ合成 (キュリオシティ)

キュリオシティはゲディス峡谷(Gediz Vallis)の尾根の東端に沿って南下を続け、週末には、360度の美しいモザイクをつなぎ合わせるために、マストカメラが350枚以上の画像を撮影するだろう。ローバーのトラバースに沿った現在の位置は、このイメージの視界に最適な位置を提供している。

加えて、キュリオシティは、「Ahwahnee」という名前の割れ目または破損のある明るい色調のブロックを調査する。ダスト除去ツール(DRT)で「Ahwahnee」の表面を磨き、 APXS と MAHLI のイメージで岩石の特徴を調べる。マストカムは、シャープ山の岩盤とゲディス峡谷の尾根の上部の物質との接触と、科学チームのメンバーが「象の皮」の質感を持つ岩と表現した明るい色調のターゲット「フレミング山」の小さなステレオ合成を収集する。また、小柄ながら「サンダーマウンテン」と名付けられたターゲットである、ワークスペース内の滑らかで暗い岩石の化学的性質を調査する。

--- 以上記事の一部を要約。

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April 08. 2024


   4月19日(金): シンプルなクレータ (リコネッサンス)

時々、入手した最も素敵な写真は長い説明を必要としないこともある。我々は、直径5キロメートル未満の、典型的な大きなクレータの北側に駐車している。

このイメージは径5キロメートル未満、探査機の高度は270キロメートルであった。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック。

March 1, 2024


    4月18日(木):   南極の層状の堆積物の露出 (リコネッサンス)

この南極の層状の堆積物は、グリーンランドや南極大陸の氷冠といくつかの点で類似した、主に水の氷とダストの層の堆積物である。南極の層状堆積物のこれらの基底となる層は、単純な侵食によるものか、あるいは何らかの流れと折り畳みによるものか、おそらく遠い過去に起こったと思われるいくつかの興味深い波状のパターンを示している。

イメージは径5キロメートル未満、探査機の高度は248キロメートルである。

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March 14, 2024


    4月17日(水):   ユートピア平原の同心円状のドーム (リコネッサンス)

この珍しい小さなドームには、コンテキストカメラのイメージで確認できる同心円状の層がある。また、等間隔に四つの「小さなクレータ」がある。西側の小さなクレータは、東側の壁がドームによって改変され若くなったようである。これは水によるものだろうか、火山性によるものだろうか?

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June 17, 2020


    4月16日(火):   アオニア・テラの砂丘の衝突 (リコネッサンス)

アオニア・テラ(Aonia Terra)のこの砂丘地帯には、さまざまな形態の砂丘がある。

これらの複雑な形は、支配的な風が、時間の上でまたは一つの場所から次の場所へ、しばしば方向を変えることを示している。火星のこの領域の砂丘フィールドの多くは、クレータの縁のような地形上の障害に対して積み上がっている。インパクトクレータの中のこの砂丘の場所は平均的なこの地域の風の徴候を与えており、また、スリップ面の方向や重ねられた波紋などの詳細は、現在の地域の風によってコントロールされている。

このイメージは径5キロメートル未満、探査機の高度は249キロメートルである。

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April 15, 2021


    4月15日(月):   アラビア・テラのクレータ内部の周期的な層の可能性 (リコネッサンス)

この観測は、アラビア大地(Arabia Terra)のクレータ内部の周期的な層状の可能性のある露頭をカバーしている。

「周期的な層(Cyclic bedding)」とは、利用可能な堆積物の量が繰り返し変動することによって生じる層状化のパターンを指し、新しい岩石層を形成する。これらの変動は、この地域の気象の長期的な変化によって引き起こされ、数百万年、場合によっては数億年の周期がある。この惑星のぐらつきさえも、この周期的基盤に貢献している要因かもしれない可能性がある。

HiRISE 解像度の画像は、基盤の周期的な性質を評価するだけでなく、地域層序のあり得る相関関係、また、恐らく、より湿潤な過去の環境の兆候をテストするのに役立つ。

このイメージは径5キロメートル未満、高度は275キロメートルからである。

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June 30, 2021


   4月12日(金):   サンプリングした岩石、このローバーが火星に来た理由を体現している(3) (パーサビアランス)

以下は昨日掲載した記事の続きです。

このブンゼン・ピーク(Bunsen Peak)のサンプルは、パーサビアランスが、ジェゼロ・クレータの縁の内側の縁を抱く地質学的領域、「マージン・ユニット(Margin Unit)」を探索しているときに収集した3番目のサンプルである。

「我々は、まだ縁を調査し、データを収集しているが、これまでの結果は、ここの岩石が古代の湖のほとりに沿って形成されたという仮説を支持する可能性がある」と、パデュー大学のパーサビアランス科学者、Briony Horgan は言っている。「科学チームは、マージンユニットの起源について、炭酸塩やシリカを形成する他の方法もあるために、他のアイデアも検討している。」

ローバーは、マージンユニットの最西端に向かって進んでいる。ジェゼロ・クレータの縁のふもとにある「ブライト・エンジェル(Bright Angel)」というニックネームの場所は、クレータの縁を構成するはるかに古い岩石との最初の出会いを提供する可能性があり、科学チームにとっては興味深い。ブライトエンジェルの探索が終わると、パーサヴィアランスは数ヶ月かけてリムの頂上まで登り始める。

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April 03. 2024


   4月11日(木):   サンプリングした岩石、このローバーが火星に来た理由を体現している(2) (パーサビアランス)

以下は昨日掲載した記事の続きです。

クレーターの縁の端

イエローストーン国立公園のランドマークにちなんで「ブンゼン・ピーク(Bunsen Peak)」という愛称で呼ばれるこの岩は、幅約 1.7 メートル、高さ1メートルで、露頭が周囲の地形の中に高くそびえ立ち、その表面の一つに興味深い質感を持っているために、パーサビアランスの科学者達の興味を集めた。また、ブンゼン・ピークの垂直な岩肌は、岩の断面がきれいで、平坦ではないため、ダストが少なく、科学機器が調査しやすいことにも興味を持たれた。

サンプルを採取する前に、パーサビアランスは探査車の SuperCam 分光計とX線分光器 PIXL(Planetary Instrument for X-ray Lithochemistry: Lithochemistr は岩石化学)を使って岩石をスキャンした。次に、ローバーは、ロボットアームの先端にあるローターを使って表面の一部を研磨し、岩石を再度スキャンした。その結果は、このブンゼンピークは、約75%の炭酸塩粒子がほぼ純粋なシリカで固められてできているようである。

「このシリカと炭酸塩の一部は微結晶のように見えるので、かつて、この環境に生息していた可能性のある、微生物の痕跡を捕え保存するのに非常に優れている」と、ストックホルムのスウェーデン研究所(RISE)の Sandra Siljeström は言った。「そのために、このサンプルは、地球に持ち帰られた場合の生物の証(biosignature)の研究に最適であり、さらに、このサンプルは、パーサビアランスがこれまでに収集した古いコアの一つである可能性があり、火星は、その歴史の初期に最も居住可能であったので、これは重要である。これ等の生物の証は過去の生命の証拠となる可能性があるが、生命が存在せずに生成された物質かも知れない。

--- 以下は、明日の記事に続く。

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April 03. 2024


   4月10日(水):   サンプリングした岩石、このローバーが火星に来た理由を体現している(1) (パーサビアランス)

6輪のこの科学者が採取した24番目のサンプルは、ジェゼロ・クレーターと、かつてそこにあったかもしれない湖に関する新たな手がかりを与えてくれる。

NASAの火星探査機「パーサビアランス」に搭載された機器による分析によれば、探査機が撮影した最新の岩石のコアは、遠い昔、おそらく古代の火星の水辺の一部として、長期間にわたって水に浸かっていたことが示されている。3月11日に採取されたこのサンプルは、探査車の24番目のもので、その中には、岩石のコアで満たされた21本のサンプルチューブ、レゴリス(砕けた岩石とダスト)で満たされた2本、火星の大気で満たされた1本のサンプルチューブが含まれている。

「これは、ジェゼロ・クレータの調査を決めた時に期待した岩石である」と、カリフォルニア工科大学の Ken Farley は言った。「この岩石は火星が形成されたときの気候条件についても教えてくれる。」

これらの特殊鉱物の存在は、火星の古代の居住可能な環境の豊富な記録を保存する上で有望であると考えられている。このような鉱物の収集は、科学者達を、火星サンプルリターンキャンペーンで最終的に地球に持帰るための最も価値のあるサンプルに導くために重要である。

火星のサンプルの紹介:間欠泉彗星(サンプル24): 「パーサビアランス」が採取した24番目の火星のサンプル「コメット・ガイザー(Comet Geyser)」は、居住可能性に関連する鉱物である、炭酸塩を特に豊富に含むジェゼロ・クレータの地域から採取されたサンプルである。ビデオを見よう。

--- 以下は、明日以降の記事に続く。

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April 03. 2024


   4月5日(金):   ナビゲーションカメラを使って自画像をとる (キュリオシティ)

NASAの火星探査ローバーキュリオシティは、火星日 4,086 の2024年2月3日に、マストに取り付けられた左の白黒ナビゲーションカメラを使って、この自撮りの写真を撮った。自撮りの写真は、地球に送り返された後につなぎ合わされた36枚の画像で構成されている。

この歪んだ視界は、キュリオシティが過去にマーズ・ハンド・レンズ・イメージャー(MAHLI)と呼ばれるロボットアームの先端に取り付けたカメラを使って撮影したカラー自画像とは異なる。アームは一種の自撮り棒として機能するために、キュリオシティは自分の体と周囲をより多く見せることができる。

その代わり、マストのナビゲーションカメラからのイメージは極の投影として表れる。中央の黒い穴はローバーのマストがある場所であり、ローバーでは撮像できない。

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March 29. 2024


   4月4日(木):   斜面を振り返る (キュリオシティ)

NASAの火星探査ローバーキュリオシティは、火星日 4,084 日の2024年2月1日に、左の白黒ナビゲーションカメラを使ってゲディス・バリス・チャネルに到達するために昇ってきた領域を示すこのパノラマを撮った。このパノラマは、地球に送り返された後につなぎ合わされた10枚のイメージで構成されている。

中央にはキュリオシティが登った斜面があり、堆積岩の暗い帯と明るい帯が交互に縞模様になっている。斜面をさらに下ると、左手に「チェナパウ(Chenapau)」、右手に「オリノコ(Orinoco)」の二つのビュート(参考:侵食によって形成された孤立した丘)がある。さらに遠くにはゲイル・クレータの底部があり、クレータの縁が遠くに見える。右側には「クケナン(Kukenán)」という愛称で呼ばれる縞模様のビュートがそびえ立っている。

2014年以降、キュリオシティは、ゲイル・クレータ(Gale Crater)のフロアから5 km の高さにあるシャープ山の麓を登ってきた。この山の下部の層は、火星の気候の変化の下で何百万年にもわたって形成され、科学者達に、生命に必要な水と化学成分の存在が時とともにどのように変化したかを研究する方法を提供してきた。

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March 29. 2024


   4月3日(水):   ゲディス谷のチャンネルに到着 (キュリオシティ)

NASAの火星探査機キュリオシティは、2024年2月3日 4,086 火星日に、白黒ナビゲーションカメラの一つを使って、この360度のパノラマを撮った。このパノラマは、地球に送り返された後につなぎ合わされた36枚のイメージで構成されている。

2014年以来、キュリオシティはゲイル・クレータフロアから5 km の高さのシャープ山の麓を登っている。この山の下部の層は、火星の気候の変化の下で何百万年にもわたって形成され、科学者達に、生命に必要な水と化学成分の存在が時間とともにどのように変化したかを研究する方法を提供した。

この場所は、キュリオシティが数か月間探索する予定のエリア、ゲディス谷(Gediz Vallis)のチャネルにある。宇宙から見ると、曲がりくねった乾いた川底のように見える。科学者達は、キュリオシティの機器を使ってこの地域を間近で調査し、チャネルが土石流または風によって削られたのか、それとも岩石や堆積物を運ぶ古代の川によって削られたのかを確認しようとしている。

チャネルが形成された後、それは岩や瓦礫で満たされた。科学者達は、この物質が土石流によって運ばれたのか、乾燥した雪崩によって運ばれたのかも知りたいと考えている。

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March 29. 2024


   4月2日(火):   ヨーロッパ探査車にとっての火星の最適な地質図 (エクソマーズ)

ヨーロッパの科学者達のチームは、ヨーロッパ宇宙機関の火星探査機ロザリンド・フランクリンの着陸地点であるオクシア平原(Oxia Planum)の最も詳細な地質図を発表した。この地域の地理と地質学的な歴史を徹底的に調べることは、ローバーがかつて水が豊富だった地形を偵察し、過去と現在の生命の痕跡を探すのに役立つ。

このマップは、ロザリンド・フランクリンが2030年に着陸する前に、科学者達が有利なスタートを切ることができる。4年の歳月をかけて作成されたこのマップは、ローバーが地域を探索し、その周辺を解釈し、原始的な生命の証拠を収集しようとする方法を決定するのに役立つ、特徴的な地質学的特徴を持つ15のユニットを特定する。

オクシア平原は火星の赤道近くに位置し、約40億年前の堆積物が含まれている。地質学的には、火星探査車が訪れる最古の着陸地点となる。この地域は、水の存在の下で形成された粘土鉱物が豊富である。これらの岩石は、最古の生命体の証拠を保存するのに理想的である。そのため、火星にかつて生命が存在していたかどうかの手がかりを探すのに最適な場所である。

マッピング・サイエンス・コミュニティ

コロナ禍のロックダウン中、ロザリンド・フランクリンの科学チームは、約80人のボランティアを対象に、着陸地点の地図作成のためのオンライン・トレーニング・プログラムを開始した。

この作業は1平方キロメートルを134のエリアに分け、チームは、推定着陸エリアを完全にカバーすることができた。科学者達は、誰もが並行してマップ上で作業できる Web ベースのシステムを使った。このソフトウェアは、NASAのジェット推進研究所から提供され、ヨーロッパ宇宙機関でセットアップされた。

オクシア平原の接写 このデータは、ヨーロッパ宇宙機関のエクソマーズガス追跡軌道船に搭載されたカラー・ステレオ地表面画像システム(CaSSIS)と、NASAのマーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)に搭載された、火星軌道からピクセルあたり25センチのイメージを返す HiRISE カメラを含むいくつかの機器から得られたものである。

<ひとこと>: イメージのリンク先は全て動画、右上は .gif 、左は .mp4 、右下は Youtube です。

March 26. 2024


   4月1日(月):   マーズ・エクスプレス、2万5千周を祝う  (マーズ・エクスプレス)

ヨーロッパ宇宙機関のマーズ・エクスプレスは、最近、火星の周りを 25,000 周し、これを記念して火星の壮大な景色を捉えた。

新しい高高度の視界が、マーズエクスプレスの高解像度ステレオカメラ(HRSC)によって撮影された。火星にそびえ立つ火山の多くが特徴であり、火星最大の衛星フォボスのサプライズ登場も含まれている。

マーズ・エクスプレスは2003年後半に火星に到着し、2023年10月19日に 25,000 回目の周回を完了した。この探査機が誕生してから20年経ち、この惑星に対する理解は一変した。かつてないほど大気を完全にマッピングし、火星表面の水の歴史をたどり、火星の二つの小さな衛星を前例のないほど詳細に調査し、火星の息を呑むような3次元の景色を取り戻した。

この新しいイメージも例外ではない。火星の表面の約4分の一をカバーし、火星の有名な巨大な火山があるタルシス地域に焦点を当てている。ここには、オリンポス(Olympus)、アルシア(Arsia)、パボニス(Pavonis)、アスクラエウス(Ascraeus)・モンス、ジョヴィス(Jovis)、ビブリス(Biblis)、ユリシーズ・トールス(Ulysses Tholus)など、多くの火山がある。オリンポス・モンス(Mons は山の意)は最大で、標高は、エベレストの 8.8 キロメートルと比較して、約22キロメートルに達する。

峡谷と雲

火星の火山は、ここに見られるのが唯一の興味深い特徴ではない。興味深いことに、マーズ・エクスプレスは、火星最大の衛星フォボス(Phobos)を予期せぬ訪問者として捉えた(左下を通過する暗い塊のように見える)。フォボスは太陽系の基準では火星に非常に近く、火星の表面から僅か6千キロメートルのところを周回している。比較として、地球の月は地球の表面から約 385,000 キロメートル離れている。

ノクティス・ラビリンサス(Noctis Labyrinthus)の亀裂が入った谷がフレームの下方に見える。オリンポス・モンスのすぐ北には、オリュクス・スルチ(Lycus Sulci:Sulci は溝)の大きな地すべりがあり、右上にはタンタラス窩(Tantalus Fossae)の谷がある。これらの特徴は、以前にもマーズ・エクスプレスによって調査されたことがある。

フレームの下部には、いくつかの魅力的な気象の特徴が見え、この砂色のシーンでは青みがかっている。色とりどりの帯は雲であり、右側には小さな明るい雲の帯、左側には波打つ「リー・ウェーブ(lee wave)」雲がある。リーウェーブ雲は、隆起した尾根のように、下の地形にある障害物の上を空気の塊が流れ、その過程で一気にスピードが上がるときに発生する。その後、空気は尾根の保護された(風下)側に波のような特徴を形成する。

大判はイメージをクリック。

Mar 27. 2024



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