3月8日(金):
火星の北極で積み重なった氷と砂丘が出会う (エクスプレス)
ヨーロッパ宇宙機関のマーズ・エクスプレスは、広大な砂丘がこの惑星の極を覆うダストの氷のいくつもの層と出会う場所を描く、火星の北極付近の興味深い景色を捉えた。
ボリウム平原(Planum Boreum)として知られる火星の北極を囲む地形は魅力的である。極そのものは、細かいダストと水の氷の層で覆われている。これらは数キロメートルの厚さで、フランスの幅とほぼ同じの約千キロメートルに伸びている。
素材のほとんどはここには見えないが、フレームの右側にこの平原の始まりが見え、素材の層が積み重なり始めている場所を示す微妙な皺がある。また、地盤は階段状に明瞭に形成されており、この地域の地形図に最もはっきりと見ることができる。最も標高の低い地域は青/緑で、最も高い地域は赤/白/茶色で示されている。
これらの層は、ダスト、水、氷、霜が混ざり合って形成され、時間の経過とともに火星の地面に堆積した。各層には、火星の歴史に関する貴重な情報が含まれており、過去数百万年の間に火星の気象がどのように変化したかを物語っている。
火星の冬には、層の上に厚さ数メートルのドライアイス(二酸化炭素の氷)の薄いキャップが覆う。この覆いは毎年火星の夏に大気圏に完全に消える。
このイメージは、マーズ・エクスプレスの高解像度ステレオカメラ (HRSC) でとられた。二つの急峻な土手、または断崖がフレームを垂直に切り裂いている。これらは、右の極に向かってフレームから伸びる、前述の層状堆積物と、オリンピア平原(Olympia Planum)の低地(左)を覆う広大な砂丘地帯との境界を示している。
イメージの左側は波打つ砂丘の広大かつ細長い帯に支配されており、このフレーム内だけで150キロメートル以上にわたって広がっている。この皺の多い乱れた外観は、右側に見える滑らかで手付かずの地形と大きく異なっている。
この平坦な地域は侵食の明確な兆候がなく、宇宙から飛来する岩石との衝突を免れており、地表が非常に若く、毎年若返っている可能性が高いことを示している。
この両極端の間には二つの半円形の崖があり、大きい方の崖は幅約20キロメートルである。これらの崖のカーブの中には霜に覆われた砂丘がある。崖の壮大なスケールは、眼下の地表に落とす暗い影から明らかであり、その険しい氷の壁は高さ1キロメートルにも達している。
この二つの崖は、風が地表に押し寄せて削り取る、いわゆる極トラフに位置している。これらはこの地形に波打つ尾根として現れ、この地域では一般的であり、極地の独特の渦巻き状のパターンを作り出しているーーー 下のこの地域のより広いコンテキストの視界はっきりと見られる。
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Feb 28. 2024