軌道船 (赤はヨーロッパ宇宙機関) 探査車(ローバー) ヘリコプター 固定型着陸船
オデッセイ エクスプレス リコネッサンス メイブン エクソマーズ キュリオシティ パーサビアランス インジェニュイティ インサイト(終了)

  2024年2月

このページの対象としている探査機、その名称などは、上のイメージを含む表からご覧ください。火星探査に関するこれまでの経緯は トップページ の案内から、また、 'Perseverance' の読みについては こちら をご覧ください。
なおこのページは、特別な記事がある場合を除いて、土曜日・日曜日・祝日の掲載は休みます。

    2月29日(木):   西ガンジス川のカズマに沿った層 (リコネッサンス)

この観測は、ガンジス・カズマ(Ganges Chasma)の壁に沿って露出した層状の堆積岩の連続を示している。

層状の連続は、一般的に、水平かつ横方向に続く多くの床に構成されている。より顕著な層のあるものは、風化して大きな岩を形成しているようである。壁の上部付近には多くの薄い層が見られる。

この拡張されたカットは上から下まで1キロメートル未満、探査機の高度は地表から262キロメートルであった。

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January 17, 2024


   2月28日(水):   メリディアニ平原の砂と岩 (リコネッサンス)

この観測は、火星探査ローバー「オポチュニティ」の着陸地点であるメリディアニ平原の岩石の露頭を示している。イメージの中心は、平坦な平野から突き出た急峻な側面を持つ、侵食の残骸であるビュートの集団である。イメージには、二つの大きなカテゴリー、明るい色の堆積岩と風に吹き飛ばされた砂と思われる暗い色の物質がある。

明るい色調の物質は恐らく風や水によって運ばれ堆積した。オポチュニティはエオリア(風で堆積した)砂岩の露頭を発見した。これはこのイメージの領域にも当てはまる可能性がある。暗い領域は、風に吹かれた物質(おそらく玄武岩質の溶岩から侵食された砂粒)によって形成された波紋を示している。

イメージは直径5キロメートル、探査機の高度は275キロメートルであった。

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January 12, 2024


    2月27日(火):   明るい縞模様と暗い扇 (リコネッサンス)

非公式に「イサカ(Ithaca)」と呼ばれる南極の地域では、毎年春に多数の暗い霜が降りる。明るい縞模様は、通気口から出るガスから凝縮した細かい霜であると考えている。明るい霜が結露するには、条件があう必要がある。

イメージは径5キロメートル未満、探査機の高度は247キロメートルである。

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January 11, 2024


    2月26日(月):   太古の火星の流れる川 (リコネッサンス)

このアイオリス平原(Aeolis Planum)の尾根のイメージは、古代の川と火星の物語を語っている。

河床は砂利で埋め尽くされることが多く、周囲の地形は川の氾濫による細粒の泥でできていることがよくある。砂利のような川底と細かな環境は、地質学者達が逆になったチャネル(inverted channel)と呼ぶ奇妙な現象を引き起こすことがある。川が消えた後、きめの細かい環境が容易に侵食され、重々しい川床が高い尾根として残る。

これらの尾根は、火星の遠い昔の古い川床の位置を示している。尾根が合流する角度は、これらの川が右上から左下(南西)に流れていたことを示している。

このマップはピクセルあたり50センチメートルのスケールで投影されており、北は上である。

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January 31, 2024


    2月22日(木):   アシダリア平原の溝 (リコネッサンス)

このクレータはアシダリア平原(Acidalia Planitia)にある。細長いマウンドのまばらなクレータエリアに位置し、東、北、西の内陸斜面には様々な形の峡谷がある。この観測はクレータの西側の斜面を中心として、アルコーブ(alcove:凹んだ所)、岩、露頭が目立つ峡谷を捉えている。

切り込まれた谷の水路は様々な扇状地で終わっている。端や輪郭が指のようで明るい色調の堆積物があるものもあれば、ローブの形をしているものもある。多くは斜面の途中に亀裂があり、峡谷を横切っているように見え、かつては氷河のプルセスが活発であったことを示唆している可能性がある。このような亀裂は、地球上の「氷河のクレバス」として知られているものに似ている。

クレーターの底を覆っている線状の点状領域は、地下の氷の昇華の領域を表しているのかも知れない。

このマップはピクセルあたり50センチメートルのスケールで投影されており、北は上である。

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January 31, 2024


    2月21日(水):   暗いクレータ (リコネッサンス)

この HiRISE 画像は、イリジウム平原(Elysium Planitia)とアサバスカ渓谷(Athabasca Valles)の北の地形をサンプリングするために撮影された。HiRISE は火星のごく一部しか画像化できないため、ほとんどのイメージは特別に選択された対象物を目的としている。ただし、通常の地形を理解し、他のデータで十分に明らかでなく、かつターゲットをマークするのに十分なほど明白でないものを探すためには他の場所もサンプリングする。

このイメージは興味深いものを捉えた。表面の大部分は滑らかなレゴリスであり、小さなクレーターが点在している。ただし、一部のクレータは、イメージ内の他のクレータと比較して著しく暗くなっている。

フル解像度にズームインすると暗いクレータには小さな波紋があり、色は濃い青色で、通常は活性的な砂がダストの覆いを蹴っている特徴がある。なぜ砂がこれらの特定のクレータで動いていて、他のクレーターでは動いていないのかは定かではないが、砂の硬さ(硬化)や、クレータの年代や地形に関連しているのかも知れない。

このマップはピクセルあたり50センチメートルのスケールで投影されており、北は上である。

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January 31, 2024


    2月20日: ワトソンカメラ、細部を撮る (パーサビアランス)

これはパーサビアランスマーズローバーが火星に着陸後間もなくの記事を編集したものです。ロボットアームの先端の SHERLOC 装置の WATSON カメラを使った、このローバーの重要な調査の一つを見ていただくために、敢えて古い記事を編集して取り上げたものです。

NASAのパーサビアランスマーズローバーは、2021年5月10日(火星日78日)に、フォーカステストを行うために、ロボットアームの先端のワトソン(WATSON)カメラを使った。 WATSON(Wide Angle Topographic Sensor for Operations and eNgineering:オペレーションとエンジニアリングのための広角地形センサー)は、パーサビアランスのロボットアームの終端の SHERLOC(Scanning Habitable Environments with Raman and Luminescence for Organics and Chemicals:有機物質と化学のためのラマンと発光による生物居住環境調査)装置にある。

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May 11. 2021


   2月19日(月):   搭載された SHERLOC 装置を評価する (パーサビアランス)

NASAの火星探査機「パーサビアランス」のデータとこのイメージは、 SHERLOC(Scanning Habitable Environments with Raman & Luminescence for Organics and Chemicals:有機体・有機化学のためのラマンと発光による生物居住可能環境調査)の光学システムにダストが溜まらないようにする二つのカバーのうちの一つが部分的に開いたままであることを示している。この位置では、カバーは科学データ収集操作を妨げる。ローバーのロボットアームに搭載された SHERLOC は、カメラ、分光計、レーザーを使用して、過去の微生物の痕跡である可能性がある水の環境下で変化した有機化合物や鉱物を探索する。

1月6日、この探査機は、カバーが、一部の作動モードがうまく作動しない位置に向けられていると判断された。エンジニアリングチームは、根本原因と可能な解決策を特定するために調査を行っている。最近カバーは部分的に開いた。カバーのモーターの挙動をよりよく理解するために、チームは機器に供給される電力量を変更するコマンドを機器に送信している。

カバーが現在の位置にあると、機器は、岩石のターゲットにレーザーを使用できず、分光データを収集できない。しかし、画像顕微鏡は、岩石の粒や表面の模様のクローズアップ画像を撮影するために使用される SHERLOC のカラーカメラ WATSON で取得することはできる。 WATSON (Wide Angle Topographic Sensor for Operations and eNgineering:オペレーションとエンジニアリングのための広角地形センサー:明日掲載)は、異なる開口部を介して動作する。

SHERLOC はパーサビアランスの七つの機器の一部である。ミッションの開発中、チームは、機器の能力が重複していることで、一つの機器が故障した場合でもローバーが科学目標を達成できるように機器一式を設計した。 SHERLOC の他に、 PIXL (Planetary Instrument for X-ray Lithochemistry:X線岩石化学のための惑星装置)や SuperCam (スーパーカメラ)も分光を行っている。

この探査車は、今、「ビーハイブ間欠泉(Beehive Geyser)」の愛称で親しまれているエリアへの道にあり、2023年12月12日に火星日1千日に達した。 SHERLOC は、2021年2月18日のローバーの着陸以来、34の岩石のターゲットをスキャンして豊かなデータを提供し、それらのターゲットの合計261のハイパースペクトルマップを作成した。

放射性同位元素発電システムを搭載したパーサヴィアランスのデザインは、火星に11年間(火星日で4千日)以上滞在した後もなお活躍している火星探査機キュリオシティをモデルにしている。

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Feb 14. 2024


   2月16日(金):   脳地形におけるインパクト構造 (リコネッサンス)

この中緯度で見られる複雑な流れの模様は、人間の脳の大脳皮質に似ているために、我々は「脳の地形」と呼んでいる。

この地形には明確なインパクトクレータはほとんどなく、地質学的に最近のものであることを示している。しかし、ここには比較的大きな(直径280メートル)の円形の構造があり、おそらく緩んだインパクトクレータである可能性が高い。脳の地形と緩んだクレータは、氷が多い地面と一致している。

このクレータは、より若い脳の地形に重ね合わされているように、あるいは、恐らく古く、その存在がその後の脳の地形の形成を阻害したように見える。このような曖昧さは、インパクトクレータの統計を用いて地質活動に年代制約を課すことを困難にしている。

このマップはピクセルあたり50センチメートルのスケールで投影されており、北は上である。

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January 31, 2024


    2月15日(木):   ヘイル・クレータから発せられる筋 (リコネッサンス)

このイメージは、岩盤の領域 (明るいエリア) が均一な方向に掘られたように見える領域を示している。これに低地が重なり合っているのは、掘られた岩盤とは反対方向に傾斜する小さな尾根からなる暗い領域である。暗い領域は砂とダストで、平均約100〜300メートルの直線的な砂丘のように見える風によって生じた小さな尾根が画像を横断している。

イメージは径5キロメートル未満、探査機の高度は253キロメートルである。

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November 9, 2023


    2月14日(水):   暗い砂丘の恵み (リコネッサンス)

北極の層の堆積物(NPLD:North Polar layered deposits)は、地球上の氷冠が気候の変動を記録するのと同じように、過去の火星の気候に関する情報を記録していると考えられるダストの富んだ水の氷の層の積み重ねである。これらの火星の層は、堆積物に浸食された谷や崖の壁に見られる。暗い砂の層の浸食が、このイメージの中間を横断する線形の例のような砂丘に集まる砂の素材を見せている。

イメージは径5キロメートル未満、探査機の高度は315キロメートルである。

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November 9, 2023


   2月13日(火):   損傷したローターブレードの影 (インジェニュイティ)

2024年1月18日、 火星の薄い大気圏での72回目の飛行中、自律型火星ヘリコプター・インジェニュイティは高度12メートルまで上昇し、赤い惑星の上を 4.5 秒間ホバリングした 。しかし、インジェニュイティの72回目の着陸は厳しいものだった。 降下中、火星の表面から約1メートル上空で、パーサビアランス・ローバーとの交信が途絶えた。 インジェニュイティは、その通信が再確立された後に、このイメージを送ることができた。 その着陸時に回転翼が損傷した可能性がある。 そして、その後、1千日を超える火星探査で期待を大きく上回る成果を上げ、 歴史に残るインジェニュイティが運航は終了した。 ジニーの愛称で親しまれたマーズ・ヘリコプター・インジェニュイティは、2021年4月19日に、他の惑星での動力制御飛行を達成した初めての航空機である。

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Feb 10. 2024


   2月9日(金):   迷宮に戻る (エクスプレス)

太陽系の何処の場所とも違う、火星の「夜の迷宮(labyrinth of night)」という場所を旅しよう。

2023年10月、ヨーロッパ宇宙機関のマーズ・エクスプレスのデータを使って、火星のこの部分の上空を撮影した映像を特集した。このイメージは高解像度ステレオカメラ(HRSC)からの同じデータを使って作成された。これは大きく詳細であり、いくつかの重要な地形にラベルを付けてある。ズームインし、クリックして深く探索しよう。

このノクティス・ラビリンサス(Noctis Labyrinthus)は本当に魅力的な地域である。巨大な地滑り、風に吹かれた広大な砂丘があり、幅30キロメートル、深さ6キロメートルのドラマチックな峡谷が交差している。この地域は長さ約 1190 キロメートルに及び、イタリアとほぼ同じであり、タルシスの火山の中心地とマリネリス峡谷の間にある。

台地の頂上には元々の地面の高さが残っているが、大きな地面の塊は無造作にすくい取られているようである。これは、タルシスの近隣地域での過去の火山活動によるものであり、地殻が上向きにアーチを描き、薄くなり、落下した。また、この迷宮には水和塩や粘土鉱物の痕跡があり、かつてここに水があったことを示している。

マーズ・エクスプレスは2003年から火星を周回し、火星の表面を撮影し、鉱物をマッピングし、大気を調査し、地殻の下を探査し、火星の環境でさまざまな現象がどのように相互作用するかを探っている。この軌道船によるノクティス・ラビリンサスの眺望は2007年と2016年にも取り上げた。

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Jan 24. 2024


   2月8日(木):   最後の飛行場のインジェニュイティを披露 (パーサビアランス)

NASAの火星探査車「パーサビアランス」は、2024年2月4日に、最後の飛行場でのマーズ・ヘリコプター「インジェニュイティ」を示す合成写真を撮影した。同ヘリは1月18日に、72回目の飛行で着陸する際に、ローターブレードを損傷した。インジェニュイティ・チームは、ヘリコプターが最後の飛行を完了した場所を、「ロード・オブ・ザ・リング(The Lord of the Rings)」三部作を含む J.R.R.トールキンのファンタジー小説の架空の場所にちなんで「バリノール・ヒルズ(Valinor Hills)」と名付けた。

この合成を構成するためにつなぎ合わされた6枚のイメージは、ローバーの Mastcam-Z によって約450メートル離れた場所から撮影された。このスライドは、この場面の微妙な色の違いを誇張して詳細を示す拡張したカラーの視界である。

インジェニュイティ・マーズ・ヘリコプターは、NASAのジェット推進研究所によって製造された。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック。明確ではありませんがインジェニュイティは画面中央やや右に小さく見えています。インジェニュイティの最終記事は 1月29日 、30日の記事参照。

Feb 06. 2024


   2月7日(水):   火星のエウメニデス・ドルスム (マーズ・エクスプレス)

この透視図は、メデューサ・フォッセ構成(MFF)の一部であるエウメニデス・ドルサム(Eumenides Dorsum)を示している。 MFF は、幅数百キロメートル、高さ数キロメートルの一連の風の彫った堆積物で構成されている。火星の高地と低地の境界にあるこの堆積物は、おそらく火星で最大のダストの源であり、この惑星の最も大規模な堆積物の一つである。

しかし、このダストには秘密が隠されているようである。15年以上前にヨーロッパ宇宙機関のマーズ・エクスプレスが MFF を調査し、ダストが深さ 2.5 キロメートルまでの巨大な堆積物を覆っていることを明らかにした。これらの初期の観察からは、堆積物が何でできているかは不明だった。調査チームは、今回、マーズ・エクスプレスの新しいレーダーデータを使って MFF を再び探査し、堆積物がこれまで考えられていたよりもさらに厚く、最大 3.7 キロメートルの厚さであることを発見した。そして、今、これらのレーダー信号が、水の氷に富んだ層状の堆積物から予想されるものと一致することが明らかになった。

もしこれが溶ければ、 MFF に閉じ込められた氷は、火星全体を 1.5 〜 2.7 メートルの深さの水の層で覆うことになり、火星のこの地域でこれまでに発見された中で最も多くの水であり、地球の紅海を埋めるのに十分である。

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Jan 18. 2024


   2月6日(火):   火星の赤道にある可能性のある水の氷 (マーズエクスプレス)

このイメージの上の図の火星の表面の白い線は、 MARSIS によってスキャンされた陸地を示している。下のグラフは、陸地の形状と地下の構造を示しており、乾燥下堆積物(おそらくダストまたは火山灰)の層は茶色、氷に富んでいると思われる堆積物の層は青である。グラフを見ると、氷の堆積物の高さは数千メートル、幅は数百キロメートルに上る。

メデューサ・フォッセ構成(MFF)に含まれていると思われる水の氷がすべて溶けると、火星は最大 2.7 メートルの深さの水の海で覆われることになる。

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Jan 18. 2024


   2月5日(月):   レーダー信号、火星の赤道の水の氷の山を示す (マーズエクスプレス)

火星の赤道近くにはメデューサ・フォッセ構成(MFF:Medusae Fossae Formation)があり、火星で最大のダストの源であるかもしれない魅力的な風によって彫られた領域がある。

マーズ・エクスプレスが MARSIS レーダー測深機を MFF に向けると驚きの事実が明らかになった。反響したレーダー信号は、水の氷に富んだ層状の堆積物と予想されるものと一致している。

このイメージの火星表面の色付き高さマップ(図の上)の白い水平線は、 MARSIS によってスキャンされた狭い陸地を示している。下のポップアウトは、機器によって収集されたレーダーデータを示しており、地下を明らかにしている。エリアが明るいほど、そのエリアから受信するレーダーのエコーは強くなる。

白い線は、谷で区切られた二つのマウンドをカバーしている。これらのマウンドは、下のレーダーデータにはっきりと見える。レーダ・データの分析は、乾燥した物質(おそらくダストまたは火山灰)の厚い層の下のマウンドが水の氷で満たされていることを示唆している。

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Jan 18. 2024


   2月2日(金):   火星の赤道にあると思われる氷の地図 (マーズエクスプレス)

火星のメデューサ・フォッセ構成(MFF:Medusae Fossae Formation)は、直径数百キロメートル、高さ数キロメートルの一連の風が彫んだ堆積物で構成されている。火星の高地と低地の境界にあるこの地形は、おそらく火星で最大のダストの源であり、地球上で最も大規模な堆積物の一つである。

しかし、この乾燥した層には秘密が隠されているらしく、研究チームは、マーズ・エクスプレスのレーダ・データを使って地表の下を覗いた。彼らが見つけたのは、水の氷に富んだ厚い堆積物の層と思われるものを覆うダストの最上層であった。このマップは、この構成を形成するマウンドの中の氷の推定量を示しており、氷に富む堆積物が最大 3000 メートルの厚さであることを示している。

研究者達は、氷を覆う乾燥物質(おそらくダストまたは火山灰)の層の厚さ 300 〜 600 メートルであると推定している。この地図は、ダストの厚さが 300 メートルと仮定した場合の氷の厚さを示している。この例では、 MFF の堆積物に含まれる水の氷の総量は 400,000 立方キロメートルとなり、溶ければ火星を水深 2.7 メートルの水の海で覆うのに十分である。

ダストの層の厚さが 600 メートルであれば、水の氷層は薄くなり、 MFF 堆積物に含まれる水の氷の総量は 220,000 立方キロメートルとなり、融解すれば火星を深さ 1.5 メートルの水の海で覆うのに十分である。

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Jan 18. 2024


   2月1日(木):   火星のメデューサフォッセ形成の位置 (マーズエクスプレス)

昨日の掲載(概説)に続く、ヨーロッパ宇宙機関のマーズエクスプレスの、「火星の赤道付近の水の検出」に関連する記事の一つで、その位置を説明しています。具体的な記事は今後数日間連載します。

このイメージは、火星の表面の高さのマップを示しており、最も低い陸地は青、最も高い陸地は白で示されている。高さ22キロメートルのオリンパス・モンスは、太陽系で最も高い火山である。

メデューサ・フォッセ構成(MFF:Medusae Fossae Formation)は赤道に近い興味深い地域である。それは、幅数百キロメートル、高さ数キロメートルの一連の巨大な風の堆積物で構成されている。火星の高地と低地の境界にある MFF は、おそらく火星で最大のダストの源であり、この惑星で最も広い堆積の一つである。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック。

Jan 18. 2024



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