10月31日(火):
火星全球の氷の露出

これらの火星のグローバルマップは、惑星の表面の上部1メートルに埋もれている可能性のある水の氷の分布を示しており、地下水の氷マッピングプロジェクト(SWIM)の最新データを表している。 SWIM は、NASAの三つの軌道ミッションに搭載された科学機器によって取得されたデータを使って、氷が地下のどこに隠れているかを推定している。火星儀に重ね合わせているのは、氷が露出している隕石の衝突の位置であり、マッピング結果をテストするための独立した手段を提供している。
この氷が露出したインパクトは、NASAのマーズリコネッサンス軌道船に搭載された、高解像度画像科学実験(HiRISE)カメラによって発見された。火星の他の機器は、埋もれた水の氷がどこにあるかを示唆することしかできないが、氷を露出させるインパクトの HiRISE イメージは、氷が存在する場所を確認することができる。
これらのクレータのほとんどは直径10メートル以下であるが、2022年に、 HiRISE は、幅150メートルのインパクトクレータをとらえ、地下に隠れていた氷の母体を明らかにした。このクレータは、図の右端の球の左上に円で示されている。
科学者達は、このようなマッピングデータを使って、火星の最初の宇宙飛行士達が何処に着陸するかを決めることができる。 埋もれた氷は、火星に最初に足を踏み入れる人々にとって重要な資源であり、飲料水およびロケット燃料の重要な成分として機能する。宇宙飛行士やロボットは、いつの日か科学者達が地球上で行うように氷のフロアのコアを掘削し、火星の気象の歴史を明らかにし、過去または現在の微生物の潜在的な生息地を探すことができる。
地下の氷を探す必要性は、火星の表面では液体の水が安定していないことによって生じる。大気が非常に薄いので水はすぐに蒸発する。火星の極には多くの水の氷があり、二酸化炭素やドライアイスも見つかる。しかし、これらの地域は宇宙飛行士(またはロボット)が長く生き残るには寒過ぎる。
蛇足ではあるが---
隕石等によるクレータでは衝突による衝撃で地下の氷を含んだ土壌などが地表に現れることがある。これらはしばらくすると蒸発して消え去るが、新鮮なクレータにはしばらく水または水の氷が残る。この例の詳細は明日の記事で掲載する。
なお、"ice" という言葉には二酸化炭素の氷(ドライアイス)も含まれるので、「水の氷(water ice)」という言葉が限定的に使われる。
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Oct 26. 2023