軌道船 (赤はヨーロッパ宇宙機関) 探査車(ローバー) ヘリコプター 固定型着陸船
オデッセイ エクスプレス リコネッサンス メイブン エクソマーズ キュリオシティ パーサビアランス インジェニュイティ インサイト(終了)

  2023年10月

このページの対象としている探査機、その名称などは、上のイメージを含む表からご覧ください。火星探査に関するこれまでの経緯は トップページ の案内から、また、 'Perseverance' の読みについては こちら をご覧ください。
なおこのページは、特別な記事がある場合を除いて、土曜日・日曜日・祝日の掲載は休みます。

   10月31日(火):   火星全球の氷の露出

これらの火星のグローバルマップは、惑星の表面の上部1メートルに埋もれている可能性のある水の氷の分布を示しており、地下水の氷マッピングプロジェクト(SWIM)の最新データを表している。 SWIM は、NASAの三つの軌道ミッションに搭載された科学機器によって取得されたデータを使って、氷が地下のどこに隠れているかを推定している。火星儀に重ね合わせているのは、氷が露出している隕石の衝突の位置であり、マッピング結果をテストするための独立した手段を提供している。

この氷が露出したインパクトは、NASAのマーズリコネッサンス軌道船に搭載された、高解像度画像科学実験(HiRISE)カメラによって発見された。火星の他の機器は、埋もれた水の氷がどこにあるかを示唆することしかできないが、氷を露出させるインパクトの HiRISE イメージは、氷が存在する場所を確認することができる。

これらのクレータのほとんどは直径10メートル以下であるが、2022年に、 HiRISE は、幅150メートルのインパクトクレータをとらえ、地下に隠れていた氷の母体を明らかにした。このクレータは、図の右端の球の左上に円で示されている。

科学者達は、このようなマッピングデータを使って、火星の最初の宇宙飛行士達が何処に着陸するかを決めることができる。 埋もれた氷は、火星に最初に足を踏み入れる人々にとって重要な資源であり、飲料水およびロケット燃料の重要な成分として機能する。宇宙飛行士やロボットは、いつの日か科学者達が地球上で行うように氷のフロアのコアを掘削し、火星の気象の歴史を明らかにし、過去または現在の微生物の潜在的な生息地を探すことができる。

地下の氷を探す必要性は、火星の表面では液体の水が安定していないことによって生じる。大気が非常に薄いので水はすぐに蒸発する。火星の極には多くの水の氷があり、二酸化炭素やドライアイスも見つかる。しかし、これらの地域は宇宙飛行士(またはロボット)が長く生き残るには寒過ぎる。

蛇足ではあるが--- 
隕石等によるクレータでは衝突による衝撃で地下の氷を含んだ土壌などが地表に現れることがある。これらはしばらくすると蒸発して消え去るが、新鮮なクレータにはしばらく水または水の氷が残る。この例の詳細は明日の記事で掲載する。
なお、"ice" という言葉には二酸化炭素の氷(ドライアイス)も含まれるので、「水の氷(water ice)」という言葉が限定的に使われる。

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Oct 26. 2023


   10月30日(月):   NASA、新しい地図で火星の氷を位置づける

火星に最初に足を踏み入れる人々にとって、埋もれた氷は重要な資源であり、飲料水やロケット燃料の重要な成分として働く。宇宙飛行士やロボットは、いつの日か科学者達が地球上で行うように氷床のコアを掘削し、火星の気象の歴史を明らかにし、過去または現在の微生物の生命の潜在的な生息地を探すことができる。

地下の氷を探す必要性は、液体の水が火星の表面で安定していないことによって起きる。大気が非常に薄いために水はすぐに蒸発する。火星の極には多くの氷があり、ほとんどが水でできている。二酸化炭素やドライアイスも見つかるが、これらの地域は宇宙飛行士(またはロボット)が長く生き残るには寒過ぎる。

そこで、NASAが資金提供する地下水の氷マッピングプロジェクト(SWIM:Subsurface Water Ice Mapping project)が登場する。 SWIM は、最近、2017年にプロジェクトが開始されて以来最も詳細な、4回目のマップのセットを発表した。

アリゾナ州ツーソンの惑星科学研究所が主導し、南カリフォルニアにあるNASAのジェット推進研究所が管理するこの SWIM は、マーズリコネッサンスオービタ(MRO:火星偵察軌道船)、2001年のマーズオデッセイ、過去のマーズグローバルサーベイヤなど、いくつかのNASAミッションからのデータをまとめている。科学者達は、それらのデータセットを組合わせて使用し、将来のミッションで地表からアクセス可能な火星の氷を見つける可能性が最も高い場所を特定した。

これらの宇宙船の機器は、火星の中緯度に沿って地下の凍った水の塊のように見えるものを検出した。北の中緯度は、この惑星の他のほとんどの地域よりも大気が厚く、降下する宇宙船の速度を落としやすいために特に魅力的である。理想的な宇宙飛行士の着陸地点は、この地域の最南端にあるスイート・スポットであり、氷が存在するのに十分な北側にあり、宇宙飛行士にとって可能な限り暖かい温度を確保するためにも十分に赤道に近い。(この記事はリコネッサンス宇宙船からの解説を別途掲載します)

多角形の地形に囲まれた氷の露出するインパクトクレータ(右図):このイメージの中央にある氷が露出するインパクトクレータは、将来の宇宙飛行士達が火星に着陸する場所をマッピングするときに科学者が探すものの一例である。

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Oct 26. 2023


   10月27日(金):   ブンゲ・クレータの砂丘 (オデッセイ)

写真の上から吹く風に反応して、暗い砂丘の扇とリボンが、ブンゲ・クレータ(Bunge Crater)のフロアを横断してゆっくりと進んでいる。このフレームの幅は約14キロメートルである。

このイメージは、2006年1月に、NASAのマーズオデッセイ軌道船の熱放射画像システムによって撮られ、オデッセイが歴史上最も長く稼働する火星宇宙船になる機会を記念する2010年12月の特別なセットに掲載された。写真の火星の位置は南緯 33.8 度、東経 311.4 度である。

大判はイメージをクリック。ここしばらくクレータ錯視に伴う凹凸の異常なイメージを見てきたが、このイメージでは、いくつかの小さなクレータを含めて、凹凸が正常に見えている。

April 01, 2012


   10月26日(木):   シャルバタナ峡谷 (オデッセイ)

このイメージは、シャルバタナ峡谷(Shalbatana Vallis)の合流地点のすぐ東にある二つの小さな支流を示している。緯度は 2.71399 経度: 316.959 である。

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これは、NASAの火星のコーナーで多用されているイメージであるが、クレータ錯視によって凹凸が逆に見える代表的な例である。いくつかのクレータが窪み(凹)でなく盛り上がって(凸)見えているなら峡谷も凹凸が逆である。

April 01, 2012


   10月25日(水):   谷の合流点 (オデッセイ)

疑似カラーのこの合成イメージでは、火星の峡谷が合流して深さ 4,000 メートルの窪地を形成している、ノクティス・ラビリンサスの一つの合流点に焦点を当てている。

このイメージを正しく理解するのは大変難しい。何故ならクレータ錯視による誤った思い込みを吹き払うことができないからである。図に見えるいくつかの小さなクレータが窪みでなく盛り上がって見えるなら凹凸が逆に見えている証拠である。
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April 01, 2012


   10月24日(火):   テラ・シレナム (オデッセイ)

タルシスの広大な火山地帯の南西端では、その巨大な火山からの溶岩が流れ落ち、テラ・シレナム(Terra Sirenum)の古いクレータのある風景に出会う。科学者達には流れが流れを巻き込んだ地形から何年経っているかを語ることはできないが、二つの関係は複雑な物語を表している。

この疑似カラーの合成イメージは、NASAのマーズオデッセイの特殊カメラ、熱放射画像システム(THEMIS)によって撮影された別々のフレームを組み合わせたものである。

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April 01, 2012


   10月23日(月):   カズマ・ボレアーレ (オデッセイ)

カズマ・ボレアーレ(Chasma Boreale)は、火星の北極の氷冠に深く切り込む長い平らなフロアの谷である。その壁は、床から約 1,400 メートル上っている。氷冠の端が後退したところでは、初期の氷のない気象サイクルの間に堆積した砂のシートが現れている。氷から吹き飛ばされる風が緩い砂を砂丘に押し込み、我々の視点に向かって西方向に峡谷を下って追いやった。

この場面は、NASAのマーズオデッセイ軌道船の熱放射画像システムによって2002年12月から2005年2月までの間に撮られたイメージを組み合わせたものである。これは、オデッセイが歴史上最も長く稼働する火星の宇宙船になる機会を示す特別な画像セットの一部である。火星の写真の位置は北緯 84.9 度、東経 359.1 度である。

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December 08, 2010


   10月20日(金):   二重クレータ (オデッセイ)

もし隕石が地面に衝突する直前に二つに割れると、一つのインパクトクレータの典型的なボウルの形は二重になる。この二つの円形の爆発領域は、二つのクレータを分離する直線的な壁をつくって交わっている。同時に、放出された破片の「翼」が側面に突き出ている。このイメージは幅13キロメートルのエリアを覆っている。

この写真は、2005年5月にNASAのマーズオデッセイ軌道船の熱放射イメージングシステムによって撮られ、オデッセイが歴史上最も長く稼働する火星宇宙船になる機会を記念して2010年12月の特別なセットとして掲載された。

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December 08, 2010


   10月19日(木):   アラビア砂丘 (オデッセイ)

青黒い炎のような形をした砂丘が、火星のアラビア東部にある名前のない幅120キロメートルのクレータの中の中央丘の隣にある。この疑似カラーは地表の性質を表し、青みがかった色合いの領域は表面に細かい砂があり、赤みがかった色はより硬い堆積物と岩の露頭を示している。

この場面は、NASAのマーズオデッセイ軌道船の熱放射画像システムによって2003年2月から2004年8月までの期間に撮影された画像を組み合わせたものである。これは、オデッセイが歴史上最も長く稼働している火星宇宙船になる機会を示す特別な画像セットの一部である。火星の写真の位置は北緯 26.7 度、東経 63 度である。

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December 08, 2010


   10月18日(水):   ノクティスの視界 (オデッセイ)

合間を見てマーズオデッセイの過去の観測を取上げています。

マリネリス峡谷の西には、火星の地殻が伸びて割れたときに形成されたノクティス・ラビリンサスと呼ばれる市松模様がある。断層が開くと、それらは地下の氷と水を放ち地面を崩壊させる。この西に向いた視界は、NASAのマーズオデッセイ軌道船の熱放射画像システム機器によって2003年4月から2005年9月までの間に撮影されたイメージを組み合わせている。これは、オデッセイが歴史上最も長く稼働している火星宇宙船になる機会を示す特別なイメージのセットの一部である。火星の写真の位置は南緯 13.3 度、東経 263.4 度であった。

2010年12月の記事です。この記事の大判はイメージをクリック。ノクティス・ラビリンサスについては一昨日のマーズエクスプレスのビデオを参照。

December 08, 2010


   10月17日(火):   アレス峡谷 (オデッセイ)

しばらく合間を見てマーズオデッセイの観測を取上げる。

マーズオデッセイ(Odyssey)は、2001年4月7日に打上げられ、同年10月24日に火星軌道に入った、既に20年以上を経過している長命な探査機である。

その主なミッションは、
1、地表の元素の組成を広域に調査し図示する
2、地表の鉱物と浅い地下の水素の存在の調査し、水素を通して水の存在を測る。
3、火星の地表の構造上、それを引き起こしたかもしれない地質学的プロセスに関して調査する。
4、将来の明減の滞在に備えて火星の放射線環境を測定する。
であった。

オデッセイは、その前の探査が失敗したこともあって、確実な実践が得られるよう比較的軽負荷で計画された。
現在のオデッセイは、各種軌道船の地球との中継基地として、特に火星の地表にいるローバー(探査車)との中継基地として大きな役割を果たしている。しばらく掲載するのは、オデッセイが送り返した火星の地表の一部である。

アレス峡谷(Ares Vallis)の涙型のメサ(teardrop mesa)達が、インパクトクレータの後ろにペナント(長い旗)のように伸び、隆起した岩が洪水を逸らし、地面を侵食から保護した。科学者達は、洪水のピーク量は今日のミシシッピ川の流れの何倍にもなると推定している。
--- クレータ錯視によって凹凸が逆に見えることがあることに注意! 中央部に細長い窪み(涙)が見えたらそれは隆起(凸)であり、所謂 メサ である。

こ火星の写真の位置は、北緯 15.9 度、東経 330 度である。

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<付記>: アレス峡谷は火星最大の峡谷システム、マリネリス峡谷の支流の一つであり、かって膨大な量の水が流れていたと考えられている。この峡谷には、かって、世界で初めての探査車ソジャナー・ローバーを積んだ母船マーズ・パス・ファインダ(打上 1996/12、到着 1997/07)が着陸した。それらの観測からもかっての火星の膨大な水の存在が確信されるようになった。

December 08, 2010


   10月16日(月):   「夜の迷宮」を飛ぶ (マーズエクスプレス)

巨大な火星の「グランドキャニオン」(マリネリス峡谷)と太陽系で最も高い火山の地域(タルシス地方)の間に位置するノクティス・ラビリンサス(Noctis Labyrinthus)は、地球のイタリアの長さとほぼ同じ約 1190 キロに広がる深く急な谷の広大なシステムである。

このビデオは、マーズエクスプレスの高解像度ステレオカメラ(HRSC)から見たノクティス・ラブビリンサスの東部の飛行を視覚化している。それは、この魅力的な風景を見下ろす透視図を提示し、独特の「地溝(graben)」、つまり周囲との関係で沈下した地殻の一部を示している。近くのタルシス地域の激しい火山活動が、これらの特徴の形成の原因である。この火山活動によって、火星の地殻の広い領域が上向きにアーチ状になり、引き伸ばされて構造的にストレスがかかり、間伐され、断層をつくり、沈下した。

ここに見られる最も高い高原は、表面の塊が落ちる以前の、元の表面レベルを表している。交差する峡谷と谷(canyons and valleys)は、幅30キロ、深さ6キロである。多くの場所で谷の斜面とフロアを覆う巨大な地滑りが見られるが、他の谷の斜面は、火星の風によって、下り坂と上り坂の両方に、吹き飛ばされた砂によって作られた大きな砂丘地帯を示している。

ヨーロッパ宇宙機関は、2006年と2015年に、ノクティスラビリンサスのマーズエクスプレスイメージを強調した。マーズエクスプレスは2003年から赤い惑星を周回し、火星の表面をイメージ化し、その鉱物をマッピングし、その希薄な大気を調査し、その地殻の下を調べ、火星の環境でさまざまな現象がどのように相互作用するかを調査している。

--- 以下略。

動画(.mp4)はイメージをクリックしてご覧ください。

<参考>: ヨーロッパ宇宙機関のマーズエクスプレスは3D(立体)写真を撮るように準備された宇宙船であり、その意味では、このビデオはその目的に沿った成果を見せています。但し、その精細度が低いために、滑らかな地表として現れています。

Oct 10. 2023


   10月13日(金):   赤い惑星の紫外線の視界に驚く(2) (MAVEN)

この2番目のイメージは火星の北半球であり、火星がその軌道で太陽から最も遠い点を通過した後の2023年1月に撮影された。北極地域の季節の急激な変化は多くの白い雲を引き起こす。マリネリス峡谷の深い谷が、多くのクレータとともに、左下に黄褐色で見ることができる。この紫外線の視界でマゼンタに見えるオゾンは、北の冬の寒い極夜の間に蓄積された。その後、この時期の大気の低い高度に限られる水蒸気との化学反応によって、北の春に破壊される。

MAVEN は2013年11月に打ち上げられ、2014年9月に火星軌道に入った。そのミッションの目標は、火星の上層大気、電離層、太陽および太陽風との相互作用を調査し、火星の大気が何故失われたかを調査することである。大気の喪失を理解することによって、科学者達は、火星の大気と気象、液体の水、惑星の居住可能性の歴史についての洞察を得ることができる。

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June 22. 2023


   10月12日(木):   赤い惑星の紫外線の視界に驚く(その1) (MAVEN)

NASAの MAVEN (火星大気と揮発性EvolutioN)ミッションは、火星の軌道に沿って異なるポイントで撮られた二つの紫外線イメージに、火星の素晴らしい景色を得た。科学者達は、この惑星を紫外線波長で見ることで、火星の大気への洞察を得、表面の特徴を見ることができる。

MAVEN の紫外線画像分光計(IUVS)は、この惑星が楕円軌道の両端近くにあった2022年と2023年に、火星のこれらの全球の視界を得た。

IUVS 装置は、可視スペクトル外の110〜340ナノメートルの波長を測定する。これらの波長を人間の目に見えるようにし、解釈しやすくするために、イメージは疑似カラーで編集され、三つの紫外線波長の範囲のさまざまな輝度レベルが、赤、緑、青として表されている。この配色では、大気中のオゾンは紫色に見え、雲や霞は白または青に見える。表面は、コントラストを高めて詳細を表示するために、イメージがどのように最適化されているかに応じて黄褐色または緑色に見える場合がある。

この最初のイメージは、火星が太陽の近くを通過する南半球の夏のシーズンの2022年7月に撮影された。夏の季節は、地球上の季節と同様に、惑星の自転軸の傾きによって引き起こされる。火星の最深のクレータの一つであるアルギレ盆地(Argyre Basin)は、大気のもやで満たされ左下に現れている(ここでは淡いピンクで描かれている)。マリネリス峡谷の深い谷が、このイメージでは黄褐色で、雲で満たされた左上に現れている。南極の氷冠が下部に白く見え、夏の比較的な暖かさから縮小している。南の夏の温暖化と砂嵐は水蒸気を非常に高い高度まで駆り立て、MAVEN が、この時期に、火星からの水素の損失の増加を発見したことを説明している。

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June 22, 2023


   10月11日(水):   キュリオシティ、2021年12月12日に漂う雲を捕らえる (キュリオシティ)

NASAのキュリオシティ・ローバーに搭載されたナビゲーション・カメラからのイメージを使って創られた8フレームのムービーの中で、雲が、火星の空を漂っているのを見ることができる。これらの雲の影が大地を横断して漂っているのが見られる。これらのイメージは、2021年12月12日(火星日 3,325 日)にとられ、秒8フレームのムービーが左に示してある。これらのイメージは、同じナビゲーション・カメラを使ってとられた、雲が直接キュリオシティの上を漂っているのを示している。科学者達は、これら二つを比較することによって、雲がどれくらい速く、また高くを動いているかを計算することができる。これらの雲は非常に高く、地表上ほぼ80キロメートルである。それは、典型的に低い高度で発見される水の氷の雲と対照的に、これらの雲が二酸化炭素の氷から成ることを示唆してその高さで極めて冷たい。火星の大気圏では雲は非常に薄く、それらを見るには特別な映像技術が必要である。これら複数のイメージは、くっきりした、静かな背景を得ることができ、撮ることができた。

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February 15, 2022

   10月10日(火):   火星の謎のメタン (キュリオシティ)

NASAのキュリオシティ・ローバーは、ゲイルクレータにおける大気のメタンの季節的変化を検出するために、 SAM (Sample Analysis at Mars:火星サンプル分析装置)と呼ばれる機器を使った。このメタンの信号は、ほぼ3火星年(地球年でほぼ6年)観測され、それぞれの夏にピークに達した。

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June 07. 2018


   10月6日(金):   火星のダストデビル (リコネッサンス)

パーサビアランスの観測に始まった今週は、引続きダスト・デビルについて、その特性を示す記事を連載する。この記事は2009年10月に、リコネッサンスが軌道から見た、ダストデビルによって巻き上げられた土埃の跡である。

NASAのマーズ・リコネッサンス・オービターによるこの観測は、火星のニリ・フォッセ(Nili Fossae)地域の砂丘地帯を示している。砂丘の表面に渦巻く暗い線はダスト・デビルの跡である。

このエリアは、以前に2009年8月(約2火星年前)にも撮られたが、そのイメージにもダストデビルの跡は見えた。しかしながら、今見る跡は、以前のものと完全に異なっている。このことは、それ以後に、古い轍を消す少なくとも一つのダストの嵐があり、 そして、新しい跡をつくる多くのダストデビルの活動があったことを物語っている。

また、砂丘の斜面を下る暗い線状の縞模様をも見ることができる。これらの特徴は、砂丘の斜面を下るある種の流れによって引き起こされ、ダストの軽い表層を取り除いた。2009年には、砂丘の斜面でも同様の縞が観察されが、現在観察されているものとは異なっていた。

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なお、解説はないが、分かり易い例として、2020年12月に撮られたダストデビルの足跡の例を下に挙げて置く。

October 14, 2009


   10月5日(木):   火星の蛇のダストデビル (リコネッサンス)

パーサビアランスの観測に始まった今週は、引続きダスト・デビルについて、その特性を示す記事を連載する。この記事は2012年3月に、リコネッサンスが軌道から見たダストデビルであり、巻き上げられた土埃が火星特有の弱い風で蛇行している。

NASAのマーズリコネッサンス軌道船の高解像度画像科学実験(HiRISE)カメラによって取得されたこのイメージで、そびえ立つダストデビルが火星の地表に曲がりくねった影を落としている。

この場面は火星北部のアマゾニス・プラニシア(Amazonis Planitia)地域の晩春の午後である。この視界は幅約644メートルの領域をカバーしている。北は上。ダストの影は高さ800メートル以上に達し、噴煙の直径は数メートルである。

ダストデビルの高さの途中まで西風が吹き、煙は繊細な弧を描いている。このイメージは、この惑星が太陽から最も遠い火星年に撮影された。地球と同様、火星の風も太陽熱を動力源としている。この季節の間に太陽光への露出は減少するが、それでも、ダストデビルは、堆積したダストを少しずつ吹き払う。

このイメージは、2012年2月16日に、北緯 35.8 度、東経 207 度でとられた。

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March 07, 2012

   10月4日(水):   ダストデビルの誕生 (リコネッサンス)

パーサビアランスの観測に導かれたダストデビルについて、引続きその特性を示す記事を連載する。この記事は2021年2月に、リコネッサンスが軌道から見たダストデビルであり、比較的大型のものである。

暖かい風は密度が薄く、冷たい空気より上に昇る。その空間を満たすために新しい空気が地表に沿って動くので、コリオリの力によってドライブされ、回転を始めて空気の渦をつくる。入って来る空気が柱の中を昇るとき、回転するアイススケータが彼らの腕を身体に近づけるように、その回転はスピードを上げる。土の表面近くのこの高速で動く大気は、発達する渦の中に砂粒を持ち上げ、ダストを蹴り上げる。このようにしてダストデビル(dust devil:ダストの旋風)が生まれる。ダストデビルの調査は、それらが支配的な風の方向と速度を示すので重要である。それらは、また、大気から徐々に落ちるダストの表面を周期的に吹き払う。それは、時には、太陽電池板がダストに覆われるのを防ぐので、インサイトやキュリオシティのようなロボット・ミッションにとって極めて役に立つ。このマップはピクセルあたり25センチメートルのスケールで投影されており、北は上である。

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Feb 26. 2021


   10月3日(火):   キュリオシティ、丘でダストデビルを見る (キュリオシティ)

--- 昨日の記事、パーサビアランスが捉えたダストデビルがかなり遠方だったので、2020年の、比較的近い、キュリオシティローバーが捉えたダストデビルを取上げます。

NASAのキュリオシティローバーは、2020年8月9日(火星日 2,847 日)のローカル火星時間午前11時35分ごろに、そのナビゲーションカメラの一つでこのダストデビルを見た。この GIF フレームは4分15秒であり、「メアリー・アニング(Mary Anning)」ドリルサイトでとられた。このダストデビルは、シャープ山のキュリオシティの上の小さな丘を通って通過しているように見える。このダストデビルは、1/3~1/2キロメートルの距離にあり、径約5メートルと見積もられる。このダストの噴煙はフレームの上部で消えているので、正確な高さは分からないが、少なくとも高さ50メートルと推定される。

大判はイメージをクリック。

August 26, 2020


   10月2日(月):   火星のダスト・デビルを捉える (パーサビアランス)

2023年8月30日(火星日899日)に、NASAのパーサビアランスローバーによって、火星のダスト・デビルの下部が、火星のジェゼロ・クレータの西の縁に沿って移動するのが捕らえられた。20倍に高速化されたこのビデオは、ローバーのナビゲーションカメラ(Navcam)の一つによって4秒間隔で撮られた21のフレームで構成されている。

地球の竜巻よりもはるかに弱く一般的には小さなダストデビルは、火星の周りのダストを移動して再分配するメカニズムの一つである。科学者達は火星の大気をよりよく理解し、気象モデルを改善するためにそれらを研究している。

<参考>: ダスト・デビル(dust devil)
火星の地表にしばしば起きる旋風。悪魔の小旋風(ダスト・デビル)を意味する。多くのダストデビルは左程強くなく、地球での「つむじ風」程度と考えると良いかも知れない。太陽によって熱せられた地面に起き、地上のダスト(土埃)を巻き上げ、線形の跡を残す。

イメージのデータを使用して、ミッション科学者達は、この特定のダストデビルが約4キロメートルの、「ソロフェア・リッジ(Thorofare Ridge)」と呼ばれる場所で、時速約19キロメートルで東西に移動していると判断した。彼らはその幅を約60メートルと計算した。また、渦の下部118メートルのみがカメラフレームに表示されているが、科学者達はその影から高さを推定することもでき、約2キロメートルと推測している。

地球上でも発生するダストデビルは、暖かい空気の上昇するセルが冷たい空気の下降する柱と混ざり合うときに形成される。火星のものは、地球に見られるものよりもはるかに大きくなる可能性がある。これらは春と夏の間に最も顕著になるが---パーサビアランスが位置する火星の北半球は現在夏、科学者達は、それらが、何時、何処に現れるかを予測することはできない。そのため、パーサビアランスともう一つの探査車キュリオシティは、地球に送信されるデータの量を減らすために白黒で画像を撮影しつつ、定期的にあらゆる方向を監視している。

なお、イメージの大判は こちら から。

Sept 29. 2023



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