軌道船 (赤はヨーロッパ宇宙機関) 探査車(ローバー)
オデッセイ エクスプレス リコネッサンス メイブン エクソマーズ キュリオシティ パーサビアランス

  2025年4月

このページの対象としている探査機、その名称などは、上のイメージ(現在活動中の軌道周回機、地上探査車)からご覧ください。火星探査に関するその他の経緯は トップページ から、また、 'Perseverance' の読みについては こちら をご覧ください。

   4月23日(水):   火星の行方不明の炭酸塩の謎を解いたかもしれない (キュリオシティ)

<イメージの説明>: NASAの火星探査車キュリオシティは、2023年4月30日に、「ウバジャラ(Ubajara)」と名付けられた場所で、その軌跡が遠くに後退するのを見ている。このサイトは、キュリオシティが惑星の厚い古代の大気の運命を説明するのに役立つ可能性のある鉱物、菱鉄鉱(siderite)を発見した場所である。

NASAの火星探査車キュリオシティ(Curiosity)による新たな発見は、火星の古代の大気に何が起こったのか、そして火星が時間とともにどのように進化してきたのかという謎に答えを提供する可能性がある。

研究者達は、長い間、火星は、かつて、その表面に濃厚で二酸化炭素が豊かな大気と液体の水を持っていたと考えてきた。その二酸化炭素と水は火星の岩石と反応して炭酸塩鉱物を作り出したはずである。しかし、これまで、ローバーミッションや、火星を周回する衛星からの近赤外線分光分析では、この理論が予測した火星表面の多量の炭酸塩は見つかっていなかった。

サイエンス誌の4月の論文で報告された、キュリオシティの3つの掘削現場からのデータは、火星のゲールクレータにあるシャープ山の硫酸塩に富んだ岩石層内に、炭酸鉄鉱物である菱鉄鉱(siderite)が存在することを明らかにした。

この炭酸塩鉱物の地下の岩石での発見は、近赤外線衛星分析で炭酸塩が他の鉱物によって隠されている可能性があることを示唆している。もし火星の他の硫酸塩に富む層にも炭酸塩が含まれているとすれば、貯蔵される二酸化炭素の量は、液体の水を支えるのに十分な温度を作り出すために古代の大気で必要とされる二酸化炭素の量のほんの一部だろう。残りは他の鉱床に隠されているか、時間の経過とともに宇宙に失われた可能性がある。

将来的には、火星の他の硫酸塩が豊富な地域のミッションや分析によって、これらの発見が確認され、火星の初期の歴史と、大気が失われたときにどのように変化したかをよりよく理解するのに役立つ可能性がある。

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April 17, 2025


   4月21日(月):   クレータの縁の岩石の山を調査 (パーサビアランス)

<イメージの説明>: ジェゼロ・クレータの外側の火星の表面を示すこの合成は、2024年12月25日に、NASAのパーサビアランスによって撮影されたものであり、火星の最も初期の地質時代に形成されたと思われる岩石から、探査車が「シルバーマウンテン」と呼ばれるサンプルを採取した場所で撮影された。

ジェゼロ・クレーターの縁に沿った多様な岩石の種類からは、火星の歴史を垣間見ることができる。

NASAのパーサビアランス・ローバーの科学者達は、ジェゼロ・クレータの縁にある興味深い岩の露頭で満たされた、彼らが考える真の火星の宝庫を探索している。岩や石の露頭の調査は、科学者達が地球の歴史、進化、過去または現在の居住可能性を理解するのに役立つ。1月以降、ローバーは、縁の5つの岩石を掘り、そのうち3つのサンプルをサンプルチューブに密封した。また、7つの岩石をクローズアップ分析し、さらに83の岩石をレーザーでザッピングして遠くから分析した。これは、4年以上前にローバーが火星に着陸して以来、ミッションの最速の科学収集テンポである。

パーサビアランスは、ジェゼロ・クレーターの西壁を3カ月間登り、2024年12月12日に縁に到達し、現在、科学チームが「ウィッチ・ヘーゼル・ヒル(Witch Hazel Hill)」と呼ぶ高さ135メートルの斜面を探索している。そこで見つけた岩石の多様性は、彼らの予想をはるかに超えていた。

<イメージの説明>: パーサヴィアランスのハザードカメラの1台が、火星日1441(2025年3月10日)に、「ウィッチ・ヘーゼル・ヒル」で「メインリバー」の岩石サンプルを収集しているローバーのコアリングドリルをとらえた。

ジェゼロ・クレータの西の縁には、数十億年前に1つ以上の隕石の衝突によって地下の家から掘り出された、かつての溶けた断片的な岩石が大量に存在しており、その中にはジェゼロ・クレータを生み出したものも含まれている可能性がある。パーサビアランスは、これらのかつての地下の岩を、数十億年前にクレータの縁となる場所で「生まれた」保存状態の良い層状の岩と並べて見つけている。車のすぐ近くには、過去にほとんど水がなかった岩のそばに、水によって改変された痕跡を示す岩がある。

これまでで最も古いサンプル?
パーサビアランスは、1月28日に、「シルバーマウンテン」と名付けられたクレータ縁の最初の岩石サンプルを収集した。---NASAの科学者達は、火星の地形を非公式にニックネームで呼んでおり、岩石や岩石のサンプルなど、それらを追跡するために役立てている。--- 「浅い湾」と呼ばれる岩石は、少なくとも39億年前の火星の最も初期の地質時代であるノアキアン(Noachian)に形成された可能性が高く、古代の隕石の衝突で砕けて再結晶した可能性がある。

そのサンプリングサイトから約110メートル離れたところに、火星の地殻の奥深くにあるマグマから結晶化した火成鉱物が含まれているために科学チームの目を引いた露頭がある。火成岩は、マグマや地表の火山活動から地下深くで形成される可能性があり、特にその中の鉱物結晶が形成された正確な瞬間についての詳細を保持しているので優れた記録保持者である。しかし、2月4日と2月8日の2回の掘削の試みが岩がもろいために失敗した後、ローバーは北西に約160メートル走行し、「テーブルランド(Tablelands)」と呼ばれる別の科学的に興味深い岩にたどり着いた。

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April 09, 2025


   4月14日(月):   移動する火星の岩石 (マーズエクスプレス)

欧州宇宙機関(ESA)のマーズ・エクスプレス(Mars Express)が撮影したこの新しいスナップショットは、火星の2つの異なる顔、すなわち隆起した険しい顔と滑らかでマークされていない顔を巧みに捉えている。

火星は驚くほど多様な地形に覆われている。実際に、惑星は大まかに2つに分かれている。火星の半分は、クレータその他の、年齢と活動の兆候が散りばめられた古代の地面に包まれているが、残りの半分は、時間の経過とともに溶岩によって再表面化されており、はるかに滑らかである。

マーズ・エクスプレスの高解像度ステレオカメラ(HRSC)からのこの新しいスナップショットには、どちらの地形も見ることができる。アケロン・フォッセ(Acheron Fossae:フォッセは窪み・穴)地域として知られるこの火星の一部は、いずれもフレームの外にある、南に約1200km離れたところにあるオリンポス・モンス(左)と北東に同じ距離にあるアルバ・モンス(右下)という2つの巨大な火山に比較的近い場所にある。

地殻の動きによって引き起こされるねじれた張力と相まって、これらの火山は、火星が今日我々が見るよりもはるかに活発な惑星であったときに、この地域を形成した。フレームの右3分の1を覆うトラフのような地形はグラーベン(graben:地溝、正の断層で限られた地塊が両側より深く陥没した地帯)として知られている。それらは約40億年前に、地殻の平行なブロックが引き伸ばされ、引き離されたときに形成された。長い塊が断層して落ちて溝を引き起こし、その間に高い塊が残された。尾根は約800km続き、これはドイツのおおむねの長さに相当する。

イメージの中央下にある滑らかでしわのない片は、アケロン・フォッセから伸びる若い平原の始まりである。地溝に近づくと、平原には流れる岩の氷河の兆候がある(流れる氷の中に捕らえられた岩の破片、岩だらけのガレ場に覆われた氷の流れ、またはその中間の何か)。この流れる岩が崖から離れて、浜辺に打ち寄せる波を彷彿とさせる柔らかな蛇行線を形成し、崖から離れて緩やかに傾斜する岩の堆積(「破片のエプロン:debris aprons」)で最高潮に達した場所を見ることができる。

以下の 3D 透視図は、氷河の流れの兆候、地溝、地溝が滑らかな平野と出会う場所など、メインイメージの一部の要素を拡大している。

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April 09, 2025


   4月7日(月):   火星のダストデビルが別のダストデビルを食するのを見る (パーサビアランス)

<イメージの説明>: 2025年1月25日、パーサビアランスがジェゼロ・クレータの縁で撮影したイメージで構成されたこの短いビデオでは、火星のダストデビル(dust devil)が小さな友人を食い尽くしている様子を見ることができる。

NASAの火星探査車「パーサビアランス」に搭載されたナビゲーションカメラで撮影したイメージで作られたこの短いビデオでは、火星のダストデビルが小さなダストデビルを飲み込む様子を見ることができる。これらの渦巻き模様の、時にはそびえ立つ大気とダストの柱は火星では一般的である。この小さなダストデビルの終焉は、火星の大気に作用する力をよりよく理解するためにパーサビアランスの科学チームが実施した画像実験中に捉えられた。

ローバーが約1キロメートル離れた場所からこれらの画像を撮影したとき、大きなダストデビルの幅は約65メートルであり、小さなダストデビルの幅は約5メートルだった。他の2つのダストデビルも左と中央の背景に見ることができる。パーサビアランスは、火星のジェゼロ・クレータの西縁にある「ウィッチ・ヘーゼル・ヒル」と呼ばれる場所を探検した1月25日に、このシーンを記録した。

<ひとこと>: 大判はイメージをクリック。右下のイメージのリンク先はダストデビルの英語概説 YouTube

April 03, 2025


   4月1日(火):   オクシア平原の地図を飛ぶ (エクスプレス)

火星のオクシア平原を飛ぶ。

ヨーロッパの科学者達のチームは、予想されるヨーロッパ宇宙機関の火星探査機ロザリンド・フランクリンの着陸地点、オクシア平原の最も詳細な地質図を公開した。この地域の地理と地質学的歴史を徹底的に調べることで、ローバーは、かつての水が豊かなこの地形を偵察し、過去と現在の生命の兆候を探すのに役立てる。

このマップによって、2030年にロザリンド・フランクリンがそこに着陸する前に、科学者達が有利なスタートを切ることができる。オクシア平原は火星の赤道近くに位置し、約40億年前の堆積物を含んでいる。

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Mar 29, 2025



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