2003年マーズエクスプレス(ヨーロッパ宇宙機構)

このページでは2003年に打ち上げられたヨーロッパ宇宙機構の火星探査衛星マーズエクスプレス軌道船による火星軌道からのイメージをご紹介しています。マーズエクスプレスからのデータはNASAの軌道船に比べて精度では劣りますが、搭載されている高精細ステレオカメラ(HRSC;High-Resolution Stereo Camera)にはNASAの軌道船には見られない特徴があります。このページでは立体画像を中心に掲載します。なお、掲載は不定期です。



<吹きさらしの火星のカラフルな砂丘> 10月10日

クレータの砂丘フィールド、透視図
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ヨーロッパ宇宙機関のマーズエクスプレスによって5月16日に撮られた火星のクレータ・フロアに見られるように、砂丘は支配的な風の際立った指標である。

クレータの砂丘フィールド、平面図
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インパクトクレータのような窪地は、強風によって打たれた様々なパターンが積もる、堆積物をつくる罠の働きをすることがある。火星の南の高地のこの無名の幅48キロメートルのインパクトクレータの砂丘フィールドは、バルハン(barchan)として知られる三日月形の砂丘と、横断(transverse)砂丘と呼ばれる平行した隆起の砂丘を含んでいる。滑らかに配られた砂のシートが、砂丘とクレータの西の壁の間に伸びている。

砂丘で満ちたクレータ(概観図)
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バルハンは火星で発見される最も一般的な砂丘のタイプであり、地球の砂漠でもまた一般的である。この浅い斜面は、風が吹く方向を指す個々の砂丘の“ホーン”、風下に鋭く曲がった斜面を持ち、この風に向かっている。この例では砂丘形成時点の南東の風が想定される。この領域の多くの近隣のクレータもまた砂丘を持ち、南東からの均一な風向きのクレータ中央と比較して、それらの砂丘フィールドは北西への移動を示している。

砂丘で満たされたクレータの地形
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大きなクレータの砂丘フィールドの南方に、一つの細長い横の砂丘が、数キロメートルの主フィールドを越えて伸びている。おそらく、下に横たわる地形は、ここに積もった堆積物によって、地表近くの風と結ばれて、あるいは、時とともに小さなバルハンが結び付いた。

3Dの砂丘で満たされたクレータ
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この場面は、火星で最も大きな火山地域またオリンパス山のホーム、タルシスの南にある。タルシスの過去の火山活動は、恐らく今日これらのクレータに観測される、暗い砂丘の素材に源を提供するこの領域を横断して掃いた微細な火砕性の堆積と灰、玄武岩の膨大な量を作り出した。

Oct 05, 2017   

大判サイズはそれぞれのイメージをクリックしてESAのサイトから。


<火星の泥の中に衝突する!> 9月18日

透  視  図
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氷の豊かな地表をたたいたインパクターが、この火星の古代のクレータの周りに複雑な流れの形をつくり出した。彗星や小惑星のインパクトは、太陽系の46億年の歴史で岩の惑星と月の表面を形づくり、その形成時の環境条件を明らかにする。

火星の水の豊かなインパクトクレータ
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インパクトの間に地表に移されたエネルギーは地面から膨大な量の素材を掘り出し、周囲の地形に破片の覆いを投げ、インパクターと地表の一部を融かしまた蒸発させる。放出された素材の特性は惑星の地表とその一般的な環境条件に関する手掛かりを提供する。このイメージの幅32キロメートルのクレータに見られるセンターステージは、水または氷が地表の近くに存在したときに明らかに形成された。このインパクトのエネルギーは、排出物の覆いの流動化の性質に結びつく、流れをより容易にするように水の豊かな地下を熱した。

火星のクレーターされた領域の地形
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掘り出された素材の突出部の周辺は、流れが減速し、その後破片を積み上げ、その周辺の壁に素材を押し上げ、多くの場合持ち上げられた隆起を表している。

ヘラス平原と周囲の概観
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火星の多くのクレータはこのパターンを示し、時には排出物の複数の層を持つ。ここでは3枚までの層の排出物の塊が認められ、それらのいくつかは壁で終わっている。複数の層の排出物の堆積は、水の豊かな地面の埋込まれた層と、大気に放出された素材の相互作用のインパクトの結合から生じたのだろう。この場面は、太陽系全体で最も大きなものの一つである 2,300 キロメートルのヘラス・インパクト盆地の北に位置している。この領域は以前の湖の排水域であると考えられる。主イメージ(左)の南に小さなチャンネルを見ることができ、この領域の水の過去のより多くの証拠を提供している。

ヘラスの北のクレータの3Dの視界
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Sept 14, 2017   

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<火星の火山上昇のストレスを保持する> 8月18日

サウマシア山塊
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火星の古代の山脈は、水と氷の相互作用のサインが残された複雑な火山と地殻構造の過去を保存している。

サウマシア山塊の概要
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ヨーロッパ宇宙機関のマーズエクスプレスの高解像度ステレオカメラで4月9日にとられたこのイメージは、南からの巨大なソリス平原火山地帯(Solis Planum volcanic plateau)の外辺のサウマシア(Thaumasia)山脈とコラキス(Coracis)地溝帯を示している。この領域は、広大なマリネリス峡谷システムと、そびえ立つタルシス火山達との南に横たわり、35億年以上前の形成の間の地殻構造上のストレスに強くリンクしている。この惑星の最初の10億年の間にタルシスの隆起がマグマで膨張したとき、この周囲の地殻は引き伸ばされ、引き裂かれ、最終的にトラフの中に崩れた。マリネリス峡谷は最も極端な結果の一つであるが、その影響は、このイメージに見られるコラキス地溝帯領域のように数千キロメートル離れてさえもまだ見られ、そこでは、ほぼ平行な南北の断層が左に見られる。

サウマシア山の地勢
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このような地殻構造は、熱水の活動と鉱物の生産に至る、マグマの動きと地下の熱と水をコントロールするだろう。

サウマシア山脈のクレータの透視図
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このカラーイメージの右の部分と大きなクレータの縁で、水の存在によって形成される粘土鉱物かもしれない明るい色の堆積が目立っている。類似した堆積が近くのランプランド(Lampland)クレータに確認された。また、活動的な地殻構造がこの光景を形づくったときに同時に起きた、地下水の浸食と地表の流れによる谷の形成の証拠がある。この図をベースとした浸食はこのトラフが部分的に埋められ激しく変形したことを意味する。この領域は後に氷河のプロセスによって変形され、大きなクレータの平らなフロアに流れのような線形のパターンが見られる。この領域は、火星の古代の高地の典型として、赤い惑星の地質の歴史に関する豊かな情報を保っている。

サウマシア山脈の3D
 

 

 

 

Aug 10, 2017   

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<火星の湿った時代の支流> 7月17日

リビア山塊のカラーの視界
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ヨーロッパ宇宙機関のマーズエクスプレスによって捕えられた赤い惑星のこの最近の視界に、多数の支流を持つ乾燥した谷が見られる。

概要マップ
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南の高地と北の低地の境界の赤道に位置するリビア山塊(Libya Montes)領域のこの部分は、2017年2月21日に宇宙船の高解像度ステレオカメラで撮られた。火星で最も古い領域の一つ、リビア山塊のハイランドは、図の北に見られる約39億年以前の幅 1200 キロメートルのイシディス・インパクト盆地の形成の間に隆起した。この広い領域全体に見られる地形は、火星の初期の歴史に存在した湖または海のような流れる川と水を示している。南から北へ走る顕著な川のチャネルは、およそ36億年前にこの領域を通して左から右へ切ったと考えられる。それは明らかに南のインパクトクレータから始まり、クレータ壁を破って北に向かって流れ、この地の地形の凹凸の山脈に結ばれている。

地形図
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この谷は高所から低い領域まで広範囲な雨量と地表の流れを示す多数の支流によって注ぎ込まれている。また、地下水の浸出が谷を形づくる際に貢献したと考えられる。同様のチャンネルがこの場面の右下全体で曲がりくねっている。

透視図
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このリビア山塊領域の鉱物は、軌道を周る宇宙船によって明らかにされたように非常に多様である。水で形成され化学的に変化させられた鉱物は、過去の熱水の活動を証明し、イシディス・インパクト盆地の形成にリンクしているかもしれない。

立体図
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様々な状態の崩れた多数のクレータが、この領域の長い歴史の証拠として、全ての光景に点在している。最も目立つクレータは、恐らく、この場面の中央近くある並んだ二つである。他の興味深いクレータが凹凸の山脈の側面の左に横たわっている。その縁は、必然的に谷のフロアに崩れている。

July 13, 2017   

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