James Webb Space Telescope

ウェッブ、初期宇宙における貪欲な超大質量ブラックホールを発見
Webb spots greedy supermassive black hole in early Universe

NASA、ヨーロッパ宇宙機関、カナダ宇宙機関のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を用いる研究者達は、ビッグバンからわずか5億7千万年後の銀河内で、活発に成長する超大質量ブラックホールを確認した。CANUCS-LRD-z8.6は、天文学者達を困惑させてきた非常に遠い小銀河のクラスの一部であり、このパズルの重要な一角を示し、初期宇宙における銀河やブラックホールの形成に関する既存の理論に挑戦している。この発見は、初期のブラックホールと現在観測されている光のクエーサーを結びつけている。

ウェッブの初期宇宙の調査は、最初の3年間で、小さく非常に遠く、鮮やかな赤色の天体が増え続けている。これらのいわゆるリトルレッドドット(LRD:小さな赤い点)は、予想外の豊富さにもかかわらず、天文学者達にとって依然として魅力的な謎を残している。CANUCS-LRD-z8.6の発見は、Webbの卓越した能力によって可能となり、この答え探しに役立った。ウェッブ近赤外分光器(NIRSpec)によって、研究者達は、この遠い銀河からの微弱な光を観測し、降着中のブラックホールの存在を示す重要なスペクトルの特徴を検出した。

この研究の筆頭著者は次のように説明した。「この発見は本当に驚くべきものである。ビッグバンから6億年も経たない銀河を観測したが、そこには超大質量ブラックホールがあるだけでなく、ブラックホールは急速に成長しており、この時期に想像するよりもはるかに速く成長している。これは初期宇宙におけるブラックホールや銀河形成の理解に挑戦し、これらの天体がどのようにして生まれたのかを研究する新たな道を開く。」

チームは、銀河のスペクトルを分析し、高エネルギー放射線によって高度にイオン化されたガスが示され、中心の源の周りで急速に回転していることが示唆された。これらの特徴は、降着する超大質量ブラックホールの重要な特徴である。正確なスペクトルデータはブラックホールの質量を推定し、宇宙の初期段階としては異常に大きいことを明らかにし、CANUCS-LRD-z8.6がコンパクトでまだ多くの重元素を産出していないことを示した。これは進化の初期段階にある銀河である。この組み合わせは研究対象として非常に興味深いものとなっている。

さらに、ウェッブ分光法によって、チームは、異なる波長でどれだけのエネルギーが放出されているかを測定でき、銀河の物理的特性を特徴づけた。これによって、銀河の星の質量を測定し、ブラックホールの質量と比較することが可能になった。源のスペクトル解析に携わった科学者は付け加えた。ウェッブが明らかにしたスペクトルの特徴は、銀河の中心に降着中のブラックホールの明確な兆候を示しており、従来の技術では観測できなかったものだった。さらに説得力のあるのは、銀河のブラックホールが星の質量に比べて大きいことである。これは、初期宇宙のブラックホールがそれを宿す銀河よりもはるかに速く成長していた可能性を示唆している。

天文学者達は、以前、超大質量ブラックホールとそのホスト銀河の質量が結びついていることを観察している。銀河が大きくなるほど、中心ブラックホールも大きくなる。CANUCS-LRD-z8.6は、これほど早い時期に知られている最も質量の大きいホスト銀河であるが、その中心のブラックホールは予想以上に質量があり、通常の関係を覆している。この結果は、ブラックホールが比較的小さな銀河であっても、初期宇宙で形成され、加速したペースで成長し始めた可能性を示唆している。

この発見は、宇宙における最初の超大質量ブラックホールの形成を理解するための刺激的な一歩である。この銀河におけるブラックホールの予想外の急速な成長は、これほど巨大な天体がこれほど早く出現した過程について疑問を投げかける。データを分析し続ける中で、CANUCS-LRD-z8.6のような銀河をさらに発見し、ブラックホールや銀河の起源についてさらに深い洞察が得られることを期待している。

チームはすでにアタカマ大型ミリメートル/サブミリメートルアレイ(ALMA)とウェッブとのさらなる観測を計画しており、銀河中の冷たいガスとダストをさらに調査し、ブラックホールの性質の理解を深めている。このLRDに関する継続的な研究は、初期の宇宙に関する重要な疑問、特にブラックホールと銀河が宇宙の最初の10億年にわたる共進化の過程にどのように作用したかに答える準備を整えている。

天文学者達がジェームスウェブ望遠鏡で初期宇宙を探査し続ける中で、さらなる驚きが明らかになり、最初の超大質量ブラックホールがどのように成長・進化したかの詳細な全体像が明らかになり、今日宇宙を照らす光るクエーサーの形成の舞台が整うだろう。

--- 以下略。

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Nov 20, 2025    


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