ウェッブ、宝石をちりばめた指輪を賞賛する
Webb admires bejewelled ring

NASA、ヨーロッパ宇宙機関、カナダ宇宙機関のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した今月のこの新しい写真は、地球から約60億光年の距離にあるクレータ座にある RX J1131-1231 として知られるクエーサの重力レンズを特徴としている。このクエーサは、前景の銀河が背景のクエーサの像を明るい弧に塗りつけ、天体の四つのイメージを作成している、これまでに発見された最高のレンズ付きクエーサの一つと考えられている。

アインシュタインが最初に予言した重力レンズは自然の望遠鏡として働き、これらの光源からの光を拡大することで、遠くのクエーサのブラックホールに近い領域を研究する貴重な機会を提供している。宇宙のすべての物質は、それ自身の周りの空間を歪め、質量が大きいほど強い効果を生み出す。銀河のような非常に重い天体の周りでは、近くを通過する光がこの歪んだ空間をたどり、元の経路からはっきりと見える量だけ曲がって見える。重力レンズ効果の一つは、遠くの天体を拡大できるようになり、天文学者達が、暗いまたは遠い天体を、研究できるようになる。

このクエーサからのX線放射の測定は、中心のブラックホールがどのくらいの速さで回転しているかを示すことができ、これは、研究者達に、ブラックホールが時間の経過とともにどのように成長するかについての重要な手がかりを与える。例えば、ブラックホールが銀河同士の衝突や合体によって成長する場合、ブラックホールは安定した円盤に物質を蓄積し、円盤から新しい物質が安定的に供給されることで、高速回転するブラックホールが誕生する。一方、ブラックホールが小さな降着を繰り返して成長した場合は、ランダムな方向から物質が蓄積される。観測によれば、このクエーサのブラックホールは光速の半分以上で回転しており、このブラックホールは、さまざまな方向から物質を引き寄せるのではなく、合体によって成長したことを示唆している。

このイメージは、暗黒物質を研究するための観測プログラムの一環として、ウェッブの MIRI (中間赤外線装置)で撮影された。暗黒物質は、宇宙の質量の大部分を占める目に見えない物質である。ウェッブの、クエーサの観測によって、天文学者達はかつてないほど小さなスケールで暗黒物質の性質を調べることができる。

<画像の説明>:  重力レンズによって歪んだ銀河の小さな画像が薄暗いリングになっている。リングの頂上には、回折スパイクのある三つの非常に明るい場所が隣り合っているが、これらはレンズ銀河内の一つのクエーサーのコピーであり、重力レンズによって複製されている。リングの中心には、レンズを生んでいる楕円銀河が小さな青い点として現れている。背景は黒で空(から)である。

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July 05, 2024    



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