宇宙進化早期公開科学調査
(Cosmic Evolution Early Release Science (CEERS) Survey)

宇宙進化早期公開科学調査(CEERS)の一部(近赤外線カメラコンパス・イメージ)
Portion of Cosmic Evolution Early Release Science (CEERS) Survey (NIRCam Compass Image)

これは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡に搭載された NIRCam (近赤外線カメラ)からの、いくつかの近赤外線ポインティングで構成される宇宙進化早期公開科学(CEERS:Evolution Early Release Science)調査の一部である。これらの観測は、ハッブル宇宙望遠鏡が調査しているのと同じ領域内にあり、拡張グロスストリップ(Extended Groth Strip)として知られている。

<注>: 進化早期公開科学(CEERS:Evolution Early Release Science)調査の訳が適切か否かは分かりません。

北と東のコンパス矢印は空でのイメージの向きを示す。下から見た空の北と東の関係は、上から見た地上の地図の方向に対して反転していることに注意。

このイメージは、目に見えない近赤外光の波長を可視光の色に変換したものである。カラーキーは、光の収集時に使用された NIRCam フィルターを示している。各フィルターの色は、そのフィルターを通過する赤外線光を表すために使用される可視光の色である。

スケール・バーは空の角距離の尺度である秒角でラベルがつけられている。1秒角は 1/3600 度の角測定値に相当する。60分角と60秒角があり、満月は約30分角の角直径を持っている。空での秒角をカバーするオブジェクトの実際の大きさは望遠鏡からの距離に依存する。

 

ウェッブが検出した早期の銀河の形(アーティストのコンセプト)
Early Galaxy Shapes Detected by Webb (Artist Concept)

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、何十年にもわたって続けられてきた解析に、すでに研究者達が遠方銀河の分類を微調整するのに役立っており、大幅なスピードと詳細さをもたらしている。

ニューヨークのコロンビア大学のハッブル・フェロー Viraj Pandya が率いる研究では、宇宙が6億年から60億年だった頃に存在したウェッブの進化早期公開科学(CEERS)で数千の銀河に焦点を当てた。研究チームは、ほとんどの遠方銀河が、地球に近い渦巻銀河や楕円銀河のようには見えないことを発見した。

Pandya のチームは、上に示した四つの主要な分類を、3Dオブジェクトと断面の両方で特定した。頻度の低いものから高いものの順に並べられている。

左上のウェッブの調査は、初期の宇宙では稀だが今日では一般的な分類、つまり球体やバレーボールのような形をした銀河を示している。

右上には平らな円形の円盤やフリスビーがあり、これはほんの僅かに一般的である。

この初期に支配的な銀河の形は、左下のサーフボードや右下のプールヌードルのように平らで細長く見える。この二つの分類は、それらがこれまでに研究したすべての遠方銀河の約50〜80%を占めているが、これらの形状は近くでは珍しいので驚くべきことである。

天文学者達の分類の進歩は、ウェッブの感度、高解像度イメージ、および赤外線の専門化によるものである。また、天文学界は、ウェッブ望遠鏡や他の望遠鏡から得られた、はるかに大きなサンプルサイズを持つ、より遠い銀河を完全に分類してから確固たるグループを決定する必要がある。

「この研究を続けることによって、我々や他のチームは、宇宙の歴史の、現時点における銀河の本質的な構造についての理解を深めることができるだろう」と、共著者コルビー大学の准教授 Elizabeth McGrath は説明している。「最終的には、複数のデータセットからの情報を組み合わせることで、宇宙時間全体の銀河の形をよりよく理解できるようになる」。

 

ウェッブの CEERS 調査における遠方銀河の3次元分類(NIRCamイメージ)
3D Classifications for Distant Galaxies in Webb’s CEERS Survey (NIRCam Image)

これらは、NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が CEERS 調査で捉えた、遠方銀河の例である。

ニューヨークのコロンビア大学のハッブル・フェロー Viraj Pandya が率いる CEERS 分野の最近の研究では、銀河がプールヌードルやサーフボードのように平らで細長く見えることが多いことが示された(最上段)。

フリスビーに似た薄い円盤状の銀河は続く主要なグループである(左下と中央)。

最後に、球体やバレーボールのような形をした銀河が、検出のごく一部を占めている(右下)。

これらの銀河は、宇宙誕生の6億年から60億年頃に存在していたと推定されている。

これらの結果は、研究チームが銀河のイメージを類似した特徴に基づいて大まかに分類したものであり、まだ暫定的なものと考えられている。個々の外観を分類しなかったのは、スペクトルと呼ばれるデータからの詳細な情報が必要になるためである。初期宇宙にどのような銀河の形や組成が存在していたのかを完全に解明するには、さらに多くの遠方銀河の解析が必要である。

 

ウェッブの CEERS 調査で同定された遠方銀河のサンプル形状(近赤外線カメラ(NIRCam)イメージ)
Sample Shapes of Distant Galaxies Identified in Webb’s CEERS Survey (NIRCam Image)

一世紀以上もの間、天文学者達は、銀河の形を目で比較したり、スペクトルと呼ばれるデータで銀河の性質を正確に測定したりして、銀河の近傍と遠方の銀河を分類してきた。たとえば、エドウィン・ハッブルは、多くが渦巻と楕円であることを示す近くの銀河達の形と大きさを分類するために、1926年にハッブルチューニングフォーク(「ハッブルの音叉図」)をつくった。

望遠鏡の機器の感度が一層高くなるにつれて、その形状をより正確に分類することが容易になった。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡からの新しいデータは、天文学者達の分類に微妙なニュアンスを加えた。ウェッブは赤外線で観測するために、そのイメージにはさらに多くの非常に遠い銀河が写している。さらに、イメージは精緻に描かれているために、研究者達が星形成の領域が他にもあるかどうかを特定したり、存在しないことを確認したりすることができる。

ニューヨークのコロンビア大学のハッブルフェロー Viraj Pandya が率いるチームは、ウェッブの CEERS 調査で数百の遠方銀河を分析した。 CEERS では、ハッブル宇宙望遠鏡の拡張グロスストリップ(Cosmic Assembly Near-infrared Deep Extragalactic Legacy Survey:CANDELS)の作成に使用された五つのフィールドのうちの一つである拡張グロスストリップとほぼ同じ領域を意図的にカバーしている。これによって、望遠鏡の観測が重なるウェッブの結果を再確認することができた。

「ウェッブ宇宙望遠鏡の銀河の分析は、ハッブル宇宙望遠鏡のカタログにある銀河と非常に一致していた」とパンディアは確認した。「二つのデータセットによって、分析を行いながらモデルを完全に吟味し、ウェッブだけが検出した銀河をよりよく理解し、分類することができた」。研究チームは、銀河を類似した特徴に基づいて大まかなクラスに分類することから分析を始めた。それぞれの銀河の個々の外観を分類しなかったのは、スペクトルと呼ばれるデータからの詳細な情報を得る必要があるためである。

彼らは、宇宙が6億年から60億年だった頃の奇妙な形の配列を発見した。支配的な銀河の形は、プールヌードルやサーフボードのように、平らで細長く見える。この2種類の銀河は、彼らが研究した遠方銀河の約50〜80%を占めているが、これらの形は身近なところでは珍しいので驚きである。

ウェッブが検出した他の銀河は丸く見えるが、フリスビーのように平らにも見える。最も少ないカテゴリーは、球体やバレーボールのような形をした銀河で構成されている。

ウェッブ宇宙望遠鏡のデータは、数十年前にハッブル宇宙望遠鏡の観測によってもたらされた謎を解き明かした。遠くの銀河が何故長い線のように見えるのだろうか? 銀河には、そのイメージに写っていないものがもっとあったのだろうか? ウェッブはこれに即座に答えた:ハッブルは何も見逃していない。

「ウェッブ宇宙望遠鏡は、ハッブル宇宙望遠鏡が長い間我々に示してきたことを、赤外線でより詳細に確認した」と Pandya は言う。「それらの観測を総合すると、初期の宇宙では、さらに多くの銀河が平らで細長く見えることが分かった。なぜなら、我々は、通常、我々のミルキウェイ銀河のような銀河が円盤として始まったと思い込んでいるからであるが、そうではないかもしれない。

宇宙の歴史の初期に、なぜ銀河はこれほどまでに異なる形をしているのだろう? この疑問は今のところ答えられていないが、銀河が宇宙時間全体にわたってどのように進化してきたかをよりよく理解するための研究が進んでいる。

ウェッブの CEERS から得られた銀河のサンプルを更に調べ、それらの3Dの形状をより具体的に比較しよう。

 

ジェームスウェッブ宇宙望遠鏡の開発目的の一つは初期宇宙の観測を深めることでした。その意味で、この記事は早期の観測として重要です。先進的であり、難しいテーマなので、訳が正しいか否かは分かりませんが、真相が一層深まることを期待したいと思います。大判はそれぞれのイメージをクリック。

Jan 17, 2024    



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