ハッブル宇宙望遠鏡
Hubble Space Telescope
Hubble Space Telescope

<最終更新日2002年3月15日>

なぜ宇宙に観測基地を置くのだろうか? 多くの望遠鏡は地上に置かれている。地上ではより重い望遠鏡を展開でき、より簡単にアップグレードできる。地球に据え付けられた望遠鏡で支障になるのは地球の大気を通して見なければならないことである。最初に、地球の大気は電磁気スペクトルの広い範囲をさえぎり地上に届く目に見える狭い帯域のみを通す。コンプトン天文台(γ線)、ASCA衛星(X線)、あるいはハッブル宇宙望遠鏡に積み込まれた新しい紫外線と赤外線装置のように、可視スペクトルを超える光を使って宇宙を探査する望遠鏡は吸収する大気の上に運ばれる必要がある。二番目に、地球の大気は光をにじませる。にじみは多様な空気の密度と連続的な動きによって引き起こされる。地球の大気の上を軌道周回することによってハッブルはより鮮明なイメージを得ることができる。事実、ハッブルは大きな地上の望遠鏡よりも15倍も小さいミラーであるが、ほぼ100倍鮮明に細部を解析できる。

−−−1997年3月6日の記事から−−−



ガリレオが1610年に空に向かって彼の望遠鏡をまわして以来、どのような出来事においても我々の宇宙への理解はハッブル宇宙望遠鏡の展開ほどには変化しなかった。

ハッブルは、宇宙の秘密の錠を開けるために休みなく働きながら592キロメートル上空で地球の周囲を周っている。それは、地上の望遠鏡やその他の衛星を使っては為すことができない宇宙の驚くべき視界を提供するために、優れた指向性の正確さ、強力な光の、そして、最先端の機器を使っている。

ハッブルはもともと1970年代に設計され1990年に打ち上げられた。スペースシャトルの宇宙飛行士による軌道でのサービスによって、ハッブルは2001年度の宇宙望遠鏡でも最先端モデルであり続けている。

写真は2002年3月の改良後宇宙に放出されたハッブル宇宙望遠鏡

ハッブルは、宇宙遊泳する宇宙飛行士によって一定のサービスを提供するように設計された、あらゆる種類の科学ミッションでの最初のものである。それは、宇宙飛行士が分解し、機器を置き換え、装置をアップグレードすることができる先見の明のあるモジュラー設計である。これらの定期的なサービスコールは、ハッブルが最先端の技術を使って一流の科学を生み出すことを確かなものにする。ハッブルの科学機器は、交換されるたびにハッブルの科学的パワーを10倍もしくは更に大きなファクタで増強する。

ハッブル宇宙望遠鏡サービスミッション概要
  1. 第一回(SM1);ハッブル宇宙望遠鏡設置(1990年)
  2. 第二回(SM2);機能不足の大幅な改善(1997年2月)
    これ以前のハッブル宇宙望遠鏡は機能が大幅に不足しており評判が悪かった。ハッブル宇宙望遠鏡の実質的な活動はこの時点から始まったとも言える。
    ゴッダード高精細スペクトログラフ(Goddard High Resolution Spectrograph)、フェイントオブジェクトスペクトログラフ(Faint Object Spectrograph)を撤去し、近赤外線カメラ(Near Infrared Camera)、マルチオブジェクト分光計(Multi-Object Spectrometer)、宇宙望遠鏡画像スペクトログラフ(Space Telescope Imaging Spectrograph)の新設を行った。残された機器は広域惑星カメラ2(Wide Field Planetary Camera 2)、フェイントオブジェクトカメラ(Faint Object Camera)、2.4mミラー望遠鏡。
  3. 第三回A(SM3A);ジャイロスコープの劣化に伴う交換と機能増強(1999年12月)
  4. 第三回B(SM3B);従来の機器の10倍の精度を持つ新型望遠鏡、45%小さく25%多いパワーを生む新型太陽電池パネル、リアクション・ホイールアッセンブリ、パワーコントロールユニット、冷却剤の枯渇のため停止していた近赤外線複合目的観測装置(NICMOS)冷却システムの交換。(2002年3月)


ハッブルの業績

ハッブルの成果は並はずれている。ハッブルの前には遠い銀河達への距離は良く分かっていなかった。どのように急速に宇宙が広がり、どのくらいの期間であるかのような疑問が大きな論争を生み出した。

写真はハッブルが撮った深宇宙。この中におおよそ120億年以前と見られる銀河が隠されている。

ハッブルのデータは、それらの全てを変えた。

ハッブルは毎日3〜5ギガバイトのデータを記録に残し、世界中の天文学者達に10〜15ギガバイトのデータを届けている。2000年3月現在、ハッブルは以下の記録を持っている。

  1. 33万以上の個別の観測がとられた。
  2. 2万5千以上の天体の目標を観測した。
  3. 7.3テラバイトを超えるデータ目録を創り上げた。(これは10年間にわたって、毎日パソコンを完全に満たす量に相当する)
  4. 2,633以上の科学紙にデータを提供した。
  5. 毎97分ごとに地球をまわり、地球から天王星までの距離に相当する約23億8千2百万キロメートルを超える旅をした。
  6. 3回の成功したサービスミッションにおいて、93時間以上の改善を軌道で受けた。




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