1997年7月4日(日本時間7月5日)火星にランディングしたマーズパスファインダ(パスファインダは新路開拓者の意)は、搭載された小型ロボットソジャナーローバーとともに3カ月にわたって火星地表を調査した。その成果には目を見張るものがあり、このページでも一年間にわたって一部始終を掲載してきた。発表されたデータには天文、地質、気象に関する多くの専門的、詳細なものがあり、関連知識に疎い私にはフォローできないものも多かった。このページでは、火星を天空から見るマーズグローバルサーベイヤ軌道船のイメージと地上から見たマーズパスファインダのイメージとを対比して見ていただくことを含めて、マーズパスファインダの活躍のほんの一こまを記録することにした。主体は探査結果のまとめであるが、イメージとして着地点周辺の風景、マーズパスファインダランダ、ソジャナーローバー、さらに特徴的な岩ヨギの写真を付してある。
マーズパスファインダは、1996年12月4日に打ち上げられ、7カ月にわたる旅の後、1997年7月4日に火星に着地し、約3カ月にわたって火星地表を探査した。マーズパスファインダはNASAが新らたに標榜する”より早く、より安く、より良く”を実践した第一号であり、そこにはエアーバッグによる跳ね返り着地や小型ロボット車ソジャナー・ローバーを始め、多くの新しい技術が使われている。
マーズパスファインダは、最低の機能維持期間の設計目標がランダー(着陸船)が1カ月、ローバー(探査車)が1週間であったにも関わらず、これを大幅に超えた9月末までの約3カ月間、火星地表のさまざまな貴重なデータを送ってきた。特筆すべきは小型ロボット車ソジャナーローバーであろう。自らの判断で障害物を避け、地球から指示された目標に到達し、写真を撮り、岩や土の組成を分析する能力は、これまでの宇宙探査ではなかったことであり、毎日送られてくるイメージやデータは、科学者のみならず多くの人達を興奮させた。パスファインダからの通信は、おそらく着地点の気温の降下に基因して9月末に途絶え、関係者の必死の努力にも関わらず回復することがなかった。1997年11月4日NASAが探査の打ち切りを宣言したとき、大勢のファンがこれを悼んだ。
マーズパスファインダはNASAのディスカバリミッションの一つである。
ア メ リ カ | ソ 連 | ||||||
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名 前 | 年 月 | 活動 | 概 要 | 名 前 | 年 月 | 活動 | 概 要 |
マリナー4 | 65/7 | 9800 | 表面のTV写真 | 火星1号 | - | 途中で連絡が途絶えた | |
マリナー6 | 69/7 | 3390 | 76枚の表面写真 | 火星2号 | 71/11 | 着陸 | 着陸機は表面に衝突 |
マリナー7 | 69/8 | 3500 | 159枚の表面写真 | 火星3号 | 71/12 | 着陸 | 着陸後20秒の通信 |
マリナー9 | 71/11 | 1395 | 7,329枚の写真 | 火星4号 | 74/1 | - | 軌道に入りデータを返送 |
バイキング1 | 76/7 | 着陸 | 着陸機は固定 | 火星5号 | 74/1 | - | 軌道に入りデータを返送 |
バイキング2 | 76/9 | 着陸 | 着陸機は固定 | 火星6号 | 74/2 | 着陸 | 写真等データを返送 |
マーズパスファインダは、ケープカナベラルエアーステーションの17B発射台から、1996年12月4日午前1時58分(米国東部標準時)、デルタⅡ打ち上げロケットで打ち上げられ、火星への旅を始めた。マーズパスファインダは、1997年7月に着くように、赤い惑星に向かって直行する旅程をとるだろう。マーズパスファインダは、着陸船(Lander)と小さなロボットの探査車(Rover)ソジャナーを火星の表面に送るだろう。ミッションの最初の目標は、小さなロケットエンジン、パラシュート、エアーバッグ、その他のテクニックの助力による降下・着地で、直接進入の方式を使いながら、赤い惑星の表面に低コストの方法で科学パッケージを配置するデモを行うことである。加えて、将来の着陸船と探査車は、このミッションで最初にテストされた、マーズパスファインダのデザインと技術の遺産を分け与えられるだろう。パスファインダはまた、火星表面についての価値あるデータを集めるだろう。ジェット推進研究所(JPL:The Jet Propulsion Laboratory) は宇宙科学のNASAのためにマーズパスファインダを管理し、マクドウネルダグラスアエロスペースはデルタⅡ打ち上げロケットを構築した。
ケネディ宇宙センター(フロリダ)の記事から
- ジェット推進研究所(JPL:The Jet Propulsion Laboratory)
:- NASAから委託されてパスファインダの開発、運営を行っている機関。カリフォルニア州パサディナにある。
< 火 星 > 1997.6.27
火星、太陽から1億3千7百万マイル、地球と太陽の距離の1.5倍の軌道にある冷たく乾燥した太陽系第4惑星。公転周期は地球の1.9倍。二つの小さな月を持ち、死に絶えた火山がそびえ、広大な深い渓谷、主に二酸化炭素で占められた層の薄い空気、表面気温平均摂氏マイナス63度という極寒の地、極冠にはいくらかの水からなる氷を含んだ永久に融けない炭酸ガス。火星の表面には融けた水がなく、酸化された鉄の粉(さび)が豊富なゆえに赤茶けて見える。小さなそして陸からなる星、地球表面重力の約8分の3。地球で200ポンドの重さなら火星では75ポンド。低い火星重力はNASAのマーズパスファインダが火星に着地するのに好都合である。
マーズパスファインダはロケットとパラシュートとエアーバックを使い、1976年にバイキングがランディングして以来の最初の宇宙船となった。パスファインダには地表探査のためのロボット探査車”マーズソジャナー”が積み込まれている。
マーズパスファインダランダーからビッグクレータ方面を望んだ光景。付せられた解説は省略した。火星の地上の様子が良く分るので取り上げた。マーズパスファインダから見た視野の中にもいくつかのごく小さなクレータがあることがこの写真の視点。
写真はソジャナーローバーが捉えたランダーの裏側。ランダーの写真は何度か出てきたが、これほど鮮明に全貌が見られるのは初めて。写真では左に気象観測用AST/Metマストが見え、ウィンドソックス(風鈴状のもの:風速風向計)の一つがくっきりと見える。この写真には解説はついていない。
以下の記事は7月14日の”Today's Picture”に掲載されたものです。
火星の歴史について学ぶことはまさに岩を調べることである。昨年、ロボットローバソジャナーがそれを行った。上の方に見られるソジャナーは、その過去を見分けようと試みるかように、Moeとあだ名を付けられた岩を分析している。パスファインダミッションの一つの明らかな発見は、過去の流れる水の存在を示す岩の集塊(小さな岩または石が大きな岩に寄生するかのように集まった岩の様を示し、水の流れが小さな岩または石を運んだとされる)であった。そのような水は火星が過去の水に満ちた地球のようであったことを示している。この拡げられたモザイクの手前に見えるのはセーガンメモリアルステーション(マーズパスファインダ)の一部であり、一方、「ツインピークス」とあだ名を付けられた丘が約一キロメートル遠方に見える。
今回の探査ではいくつかの代表的な岩が出てくる。ヨギもその一つで着地点近くの代表的な岩として、この岩は特に詳しく調べられた。 写真は探査の翌年に編集され公表されたものである。
今や火星で有名な玉石 Yogi のこのポートレートは、マーズパスファインダ IMPイメージャによって三日目に撮影された。大きくて優しそうな”さま”は地球のマンガ、熊の「ヨギ」に似ている。ヨギはパスファインダの着地したところで特に目につく形をしている。ヨギとその周りの土はソジャナーロボットローバーによって分析された。ソジャナーのイメージとαプロトンX線分光計からのデータの結果はミッションチームに送られた。
薄く色のついたヨギの周りの濠に似た地形は、古代の氾濫で溜った地表の水が蒸発した結果であると推測される。
以下の記事は昨年7月4日のマーズパスファインダランディングを記念して発表されたものである。地質や天文に疎いためできるだけ原文に忠実に翻訳したが誤訳があるかも知れない。
マーズパスファインダランディング後1年、ミッション科学者達は宇宙船からのデータが火星の水の役割について二つの非常に異なる写真と、ランディングサイトの岩の組成について驚くべき結論を生み出したと言う。
パスファインダプロジェクト科学者 Matthew Golombek博士(ジェット推進研究所: Jet Propulsion Laboratory. Pasadena.CA (JPL))は、「昨年夏着陸後の興奮のときに我々が言った多くのものはよく持続してきた」と言った。「しかし、我々には今データを研究する多くの時間があり、いくつかの新しい結論に達している。」
マーズグローバルサーベイヤからの進行中の科学結果と同様に、パスファインダのデータは30億~45億年前には惑星が水で水面すれすれであったのかもしれないことを示唆している。しかしながら、パスファインダ着陸点のすぐ近くは過去の20億年乾いており、変わらなかったように思われる。
Golombek によれば、パスファインダからのデータのいくつかは火星の湿った暖かい早期の歴史を示している。磁化されたダストの粒子とより小さい岩、小石、土の合成であると思われる岩の存在は遠い過去の豊富な水を暗示している。加えて、ランディングサイトは大量の水によって堆積したように思われ、Twin Peaks として知られている地平線上の丘は水によって形造られた流線型の島のように思われる。しかし、パスファインダイメージはまた、ランディングサイトが20億年前に平原を横断して岩を転がした破滅的氾濫以来本質的に変わらないことを示唆している。彼は「その時以来、この現場は乾いており静かであった」と言った。そのエリアは永く水に触れられなかったように思われ、同時にランディングサイトでは風が着実に岩を浸食してきたように思われる。Golombek は、パスファインダイメージの分析が約3~5cmの物質が風に因って表面から除去されたことを示すことに注目した。 Golombek は「総合的にこの場所は近代に浸食を経験した」と言った。火星には、沈み、または、ダストが堆積されることになる場所がある。例えば、Amazonis Planitia は、踏み入ったならば多分約1~2m沈むであろう明らかな粉末状のダストを持っている。
パスファインダの動き回るソジャナローバのアルファプロトンX線分光計(APXS)によるいくつかの岩の化学分析は、科学者がまだ説明を試みていない予期しない組成を明らかにしている。APXSからのデータの現在の評価では、ダストの層で覆われローバによって調べられた岩の全てが安山岩として地球で知られている高いシリコンを含む火山岩のタイプと似ていることを示唆している。岩の全ては、火星から来たと考えられている地球で発見された隕石と化学的にはるかに異なるように思われる。 Golombek は「APXSはこれらの岩の全てが異なる量のダストで覆われた同じものであると我々に告げている」と言った。「しかし、イメージは異なるタイプの岩があることも示唆している。我々はまだいかにこれを和解させるかを知らない」
外皮の表面で惑星のマントルから溶けたマグマが上ににじみ出るとき、通常地質学者が玄武岩と呼ぶタイプの火成の岩に固まる。これは月、水星、金星の多くの地域の海と同様に地球の大洋の床でも典型的である。対照的に地球では、より高いシリコンを岩に残したまま鉄と豊かなマグネシウムのコンポーネントが再び動かされマグマが表皮の中のポケットに上昇するとき、地殻が活動的な地域で安山岩は典型的に構成される。Golombek は「我々は火星がプレート構造を持っていたからこれらの安山岩が異なるメカニズムによって生じたのだとは考えない」と言った。
パスファインダによって最も密接に調査された岩は、プレートが離れ押されつつある地殻延展の中央、アイスランドとガラパゴス諸島で発見された安山岩と似ている。 Joy Crisp 博士、JPL の分光計実験に関する調査科学者は言う。これらのエリアからの安山岩は、湿った大洋の沈澱物がより多くの水をマントルの下に導くために形成された安山岩と異なる化学的なサインを持っている。「火星ではおそらく水の内容がより低く、我々はアイスランドの安山岩により近い化学的類似を期待した」と Crisp は言った。しかしながら、火星の岩は他の起源を持っているかもしれない。それらは沈殿作用により、そして、水のプロセスによって影響されることもある。つまりそれらは流星インパクトに起因する溶かすプロセスによって形成されることもあり、或いは、三番目の置き換えとしては岩が玄武岩であるのかもしれない。しかし、豊かなシリコンの風化のコーティングによって覆われている。Crisp は「どんなことがあっても我々は更にデータを研究するが、もしそれが実証されるならば、火星上の安山岩の存在は驚きである。」と言った。「火星の大部分の岩はシリコンがより低い玄武岩であると期待される。もしこれらが実際安山岩であるならおそらくあまり沢山ではない」
パスファインダ科学者達は、惑星の表面の化学的な組成について更に明らかにするためのマーズグローバルサーベイヤの Thermal Emission Spectrometer からの、とりわけ1999年春に軌道宇宙船が最初のマッピングミッションを始めるより多くのデータを期待している。
他の最近のパスファインダ科学調査結果において、ネバダ大学の Steven Metzger 博士は、パスファインダの宇宙着陸船からのイメージにおける「ダストデビル」と呼ばれる突風の直接の証拠を発見した。そのようなダストデビルは、バイキングイメージにおいて見られ、そして、パスファインダ着陸船の他の機器によって大気圧と風の測定から推論されたが、Metzger の発見までは現実の表面のイメージにおいては発見されなかった。
JPL の惑星の科学者 Diana Blaney 博士はパスファインダ、他の宇宙船ミッション、火星上で風化を研究するための地表ベースの観測からのデータを使ってきた。彼女の仕事は、火星が、流星インパクト、硫黄が加わった火山ガスを包含する異常なプロセスによって形成されたダストの明らかなコーティングによって一様に覆われていることを示唆する。
NASAの次の火星ミッション、1998年火星 Climate Orbiter と火星 Polar Lander は今12月と1月の打上げの検査を行っている。パスファインダの科学的な焦点がその可動性のロボット地質学にあったので、Polar Lander は惑星の表面の下で水の探査に集中させ、ロボットアームを装備し惑星の南極近くのランディングサイトの土を掘るであろう。
パスファインダは1996年12月4日に打ち上げられ、1997年7月4日に火星に到達した。ランダーとローバを届ける新しい方法の技術デモンストレーションとして惑星の大気に直接入り、ふくらんだエアバッグで弾ませた。ランダーは30日のその設計寿命のほぼ3倍を活動し、ローバは7日の設計寿命の12倍を働いた。ミッションの間に宇宙船は、宇宙着陸船のカメラからの16,500のイメージ、ローバのカメラからの550のイメージ、16の岩と土の化学分析、大気圧、温度、及び、風の850万の測定を含む空前の2.3ギガビットのデータを中継した。
マーズパスファインダからのデータの分析結果は、これまで幾度となく発表されてきたが、新たに地形、天候、磁気などいくつかのカテゴリに分けて掲載された。以下にそのうちの二つほど解説を取り上げて見た。なお、解説中にあるイメージは訳者が加えたものである。
最初のイメージから組み立てられた風景のモザイクは、破滅的洪水によって堆積し、そして、形造られたように思われる、約20パーセントが岩によってカバーされた、岩の多い平原を見せた。
これは、我々が遠隔探査データ、及び、ランディングサイトの位置に基づいて予測したものであった。
<注>ランディングサイトは、北緯19.13度、西経33.22度:クリュッセ・プラニシア(Chryse Planitia)として知られている低いエリアの中のアレス谷(Ares Vallis)の口の下流にある。
バイキング軌道衛星イメージでは、エリアは東部のチャネル・スキャブランド(Channeled Scabland)、また、セントラル・ワシントン・ステートに似ているように見えている。この類推では、数週間の観察されたチャネルで、おおざっぱに五大湖と同量のボリュームの水(数百立方キロメートル)が悲劇的に流れたときに、アレス谷が生じたことを示唆している。この地域のインパクトクレータの密度では、およそ18~35億年前の火星の歴史の中間の時点で生じたことを示している。
パスファインダイメージはこの解釈をサポートしている。それらは、やや丸められた小石、丸石、及び、地球の破滅的洪水によって堆積されたそれらと類似した丸石を示している。ランダー(着陸船)の南西方向の岩の集まり、シャーク(Shark)、ハーフドーム(Half Dome)、モエ(Moe)など我々がロックガーデンと称したところにある岩は、あたかも水が急速に流れることによって堆積されたかのように、傾き、そして、積み重ねられている。イメージにおける0.5mまたはそれ以上の大きな岩は、上面が平らで度々留められ、また洪水による堆積とも一致している。南西の地平線上の一組の丘、ツインピークス(Twin Peaks)は流線型である。 バイキングイメージは、ランダーがツインピークスから北東へ傾斜する広く優しい隆起の側面にあることを示唆している。この隆起はピークの跡に堆積した破片であるかもしれない。光景の中の至る所にある小さいチャネルは、チャネルスキャブランドにおけるそれと類似しており、そこでは洪水の最後の段階における排水がきれいな粒状になった物質を優先的に動かした。
全ての結果を共に受け入れて、科学者達は、以前に評価されたより火星がもう一度地球に似ていたと推論した。ある火星の固い外皮の物質は、シリコンの含有において、地球における大陸的外皮と類似している。その上に、豊富な砂とダストサイズの粒子のように、丸められた小石と岩の集合は以前に水の豊かな惑星であったことを主張する。初期の環境は、おそらく早期の地球のそれと類似して、より暖かく、そして、より湿っていたように思われる。これに反して、18~35億年前に洪水がランディングサイトに生じて以来、火星は地球と全く似ていない場所となった。このサイトでは堆積して以来ほとんど変化していないように思われる。非常に低い浸食率?を示し、それゆえに相対的に最近では水がない。
マーズパスファインダの残した業績には多くのものがあるが、探査前の想定と大きく食い違ったものに岩の成分分析がある。正確な判断は今後の研究を待つ必要があるが、この結果が火星の、場合によっては地球型惑星の生い立ちに大きなテーマを投げかけたことはまぎれもない事実である。
ソジャナーローバのαプロトンX線分光計(Alpha Proton X-Ray Spectrometer)は、九つの岩の組成を測定した。いくつかの岩のシリコンの内容は、火星の隕石とされる我々の唯一の火星の他のサンプル(かって南極に落ちた火星からのものとされる隕石を指す)よりはるかに高かった。火星の隕石は、相対的にシリコンが少なく鉄とマグネシュームが多い火山性の貫入岩である。・・・(一部省略)・・・そのような岩は火星上部マントルの部分的な溶解によって生じると予測される。溶解液は表面の近くで表皮と凝固物を通して上昇する。玄武岩として参考にされた火星の火山性の隕石は、地球では最も一般の岩でありまた月でも発見されている。地球における玄武岩の火山活動によって生成される姿と同様に見える、火星の隕石の組成と平原、山の存在に基づいて、当初地質学者は火星で玄武岩を発見する予定であった。
しかしながら、パスファインダによって分析された岩は玄武岩ではなかった。もしそれらが火山性であるならば、あばたのある表面の模様によって示唆されるように、多分冷却の間に閉じ込められたガスが小さい穴を岩に残したときに形成され、それらはシリコンの内容から安山岩として分類される。安山岩が生じる一つの道は、マントルからの玄武岩の溶解液が表皮の中で深く遮られるときである。表面で噴出するシリコンの豊かな溶解液を残して、鉄とマグネシウムの豊かな結晶が生成され、そして溶解液から分離される。安山岩であることは大きい驚きであった、しかし、我々はこれらの岩がどこから火星の表面に来たかを知らないので、この発見の十分な意味が分っていない。安山岩がハイランドを代表するのならば、それらは火星の古代の表皮が、地球の大陸的な表皮の組成において類似していることをも示唆する。この類似は二つの惑星の非常に異なる地質学上の歴史と調和させにくいであろう。もしそうでなければ、岩は優勢な玄武岩の平原でシリコンの多い少数の岩の断片を表すのであろう。
興味をそそることに、全ての岩ではないが火山性であるように思われる。いくつかの岩は、水の中の岩のより小さい破片の堆積によって形成された陸の堆積した岩の層であるような線状の模様を持っている。実際に、ローバのイメージは地面に多くの丸められた小石と丸石を示している。加えて、いくつかのより大きい岩が、あたかもその形成の間に岩に押しつけられ丸められた小石が穴を残して外へ落下したかのように見える、埋め込まれた小石と光った凹みように見えるものを持っている。これらの岩は液体の水が流れることによって形成された集まりであるかもしれない。水は小石を丸くし、それらを砂地、沈泥、及び、粘土の母岩に堆積した;母岩は、岩を形成し、洪水によって現在の位置に運ばれ、引き続いて押しつけられた。集塊(コングロマリット)が生じるのには長い時間を必要とするので、これらの火星の岩が集塊であるならば、液体の水が一度は安定していたということと、従って気候が現在より暖かかったこと、また、より湿っていたということを示唆している。でこぼこの模様についての、これに代わる可能な説明は、火山の岩における風化した石の破片と結晶である。
おわり