天王星の20年間のハッブルの研究、新たな大気の洞察を生む
20-Year Hubble Study of Uranus Yields New Atmospheric Insights

太陽の周りを横向きに回る氷の巨星「天王星」は、奇妙で神秘的な世界である。現在、20年にわたる前例のない研究で、NASAのハッブル宇宙望遠鏡を使用している研究者達は、この惑星の大気の組成とダイナミクスに関する新しい洞察を発見した。これは、ハッブルの鮮明な解像度、スペクトル能力、および寿命によってのみ可能になった。

このチームの結果は、天王星の大気がどのように機能し、変化する太陽光に反応するかを天文学者達が理解するのに役立つ。これらの長期の観測は、この遠方の氷の巨人の大気の力学を理解するための貴重なデータを提供し、同様のサイズと組成の系外惑星を研究するための代理として役立つ可能性がある。

1986年にボイジャー2号が天王星を通過したとき、横向きの惑星のクローズアップ・スナップショットを提供した。それが見たものは、当たり障りのない青緑色のビリヤード・ボールに似ていた。それに比べて、ハッブル宇宙望遠鏡は、2002年から2022年までの20年間の季節変動の物語を記録してきた。その期間中、チームは、同じハッブル望遠鏡のSTIS(Space Telescope Imaging Spectrograph)を使用して、天王星の大気の構造を正確に描き出した。

天王星の大気は主に水素とヘリウムで、少量のメタンと微量の水とアンモニアが含まれている。メタンは、太陽光の赤い波長を吸収することによって、天王星にシアンの色を与える。

ハッブル宇宙望遠鏡のチームは、2002年、2012年、2015年、2022年の20年間で4回、天王星を観測した。彼らは、巨大ガス惑星である土星や木星の条件とは異なり、メタンは天王星全体に均一に分布してはいないことを発見した。それどころか、極の近くでは強く枯渇している。この枯渇は、20年間にわたって比較的一定であった。しかし、エアロゾルと霞の構造は劇的に変化し、2030年の北極の夏至に近づくにつれて、北極地域で大幅に明るくなった。

天王星は、太陽の1周を完了するのに84地球年強かかる。この20年以上にわたって、ハッブル宇宙望遠鏡のチームは、主に北の春しか見ていない。2030年にほぼ北極を照らすようになり、太陽が天王星の赤道の真上を照らすことから、ハッブル宇宙望遠鏡の観測は、この期間の天王星の複雑な大気循環パターンを示唆している。メタンの分布に最も敏感なデータは、極域での下降と他の地域での湧昇を示している。

チームは、いくつかの方法で結果を分析した。イメージの列は、STISが天王星を観測した、20年間における4回の天王星の変化を示している。その間、研究者達は天王星の季節を観察し、南極地域(左)が暗くなり、冬の影になり、北極地域(右)が明るくなり、北の夏が近づくにつれてより直接的に見えるようになった。

一番上の行は可視光線で、天王星の色がアマチュア望遠鏡を通して人間の目にどのように見えるかを示している。

2行目では、可視光と近赤外光の観測から惑星の疑似カラー画像が組み立てられている。色と明るさは、メタンとエアロゾルの量に対応している。これらの量は、2002年にハッブルのSTISが初めて天王星に向けられるまでは区別できなかった。一般に、緑の領域は青色の領域よりもメタンが少ないことを示し、赤色の領域はメタンがないことを示している。赤い領域は、天王星の成層圏にメタンがほとんどない縁にあたる。

下の2行は、可視赤外から近赤外までの1,000の異なる波長(色)から推定されるエアロゾルとメタンの緯度構造を示している。3行目では、明るい領域は曇りの状態を示し、暗い領域は明るい状態を示している。4行目では、明るい領域はメタンが枯渇したことを示し、暗い領域はメタンの全量を示している。

中緯度と低緯度では、エアロゾルとメタンの枯渇は、20年間の観測でほとんど変化しなかった独自の緯度構造を持っている。しかし、極地では、エアロゾルとメタンの枯渇は非常に異なる振る舞いをする。

3列目では、北極付近のエアロゾルが劇的に増加し、北極の春先に非常に暗く見え、近年は非常に明るくなる。エアロゾルは、太陽の放射が消えたために、左肢でも消えるようである。これは、太陽の放射が、天王星の大気中のエアロゾルのもやを変化させる証拠である。一方、メタン層の破壊は、観測期間中、両極域でかなり高いままであると思われる。

天文学者達は、惑星が北の夏に近づくにつれて、天王星の観測を続けるだろう。

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Mar 31, 2025    


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