NASAの研究者達は、「ひっくり返った」ように見える、周囲の銀河に対して予想外の方向に回転している不可解なブラックホールの例を発見した。NGC 5084と呼ばれるその銀河は何年も前から知られているが、その中心にあるブラックホールの横向きの秘密は古いデータ目録に隠されていた。この発見は、エイムズ研究センターで開発された新しい画像分析技術によって可能になった。これは、NASAのチャンドラX線天文台からの目録を新たに見るためだった。 新しい方法を使って、エイムズの天文学者達は、NGC 5084から発せられる4つの長いプラズマ・プルーム(高温の荷電ガス)を予期せず発見した。この対のプルーム(噴煙)は、銀河の平面の上下に広がっている。驚くべきことに、最初のペアと「X」字型を形成する2番目のペアは銀河面自体にある。高温のガスの噴煙は銀河ではあまり見られず、通常は1つまたは2つしか存在しない。 銀河NGC 5084のこのような予想外の特性を明らかにする方法は、ベイエリア環境研究所の研究科学者であり、エイムズに拠点を置くアレハンドロ・セラーノ・ボルラフ(Alejandro Serrano Borlaff)氏らによって、世界で最も強力なX線望遠鏡のデータから低輝度X線放射を検出するために開発された。彼らがチャンドラのデータで見たものは非常に奇妙に思えたので、彼らは、すぐにそれを確認しようと他の望遠鏡のデータ目録を掘り下げ、2つの強力な地上天文台に新しい観測を依頼した。<図の解説>: ハッブル宇宙望遠鏡によるNGC 5084銀河のコアのイメージ。中心付近の暗い垂直の線は、コアを周回するダストの円盤の曲線を示しており、その存在は内部に超大質量ブラックホールがあることを示唆している。円盤とブラックホールは同じ向きを共有しており、銀河の水平方向から完全に傾いている。 驚くべき2番目のプルームのセットは、この銀河が超大質量ブラックホールを収容している強力な手がかりだったが、他の説明があったのかも知れない。ハッブル宇宙望遠鏡とチリのアルマ望遠鏡(ALMA)の目録データから、NGC 5084の別の傾向、銀河の中心を回転する小さなダストの内側の円盤が明らかになった。これもまた、そこにブラックホールが存在することを示唆しており、驚くべきことに、それは銀河全体の回転に対して90度の角度で回転している。円盤とブラックホールは、ある意味で、それらの側面に横たわっている。 NGC 5084のフォローアップ分析により、研究者達は、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した可視光線から、アルマ望遠鏡やニューメキシコ州ソコロ近郊の国立電波天文台の拡張超大規模アレイで観測された長波長まで、電磁スペクトルの広い範囲を使用して同じ銀河を調べることができた。 全ての写真をまとめると、NGC 5084は最近大きく変化していることがわかった。 通常、天文学者達は、大きな銀河から放出されるX線エネルギーが、一般的に球状に均等に分布していると予想している。そうでない場合、例えばX線のプルームのセットに集中している場合などは、ある時点で大きな出来事が銀河を乱したことが分かっている。 NGC 5084のブラックホールの倒壊と二重のプルームを説明できる劇的な瞬間として、別の銀河との衝突や、銀河面の上下から過熱ガスの煙突が形成されたことなどが挙げられる。 この銀河の現在の奇妙な構造につながった出来事を特定するには更に多くの調査が必要になる。しかし、NGC 5084のこれまでにない構造は、約30年前のアーカイブデータと新しい分析技術の組み合わせによってのみ発見できたことはすでに明らかである。 この研究を発表した論文は、12月18日にアストロフィジカルジャーナルに掲載されました。同チームが開発した画像解析法「Selective Amplification of Ultra Noisy Astronomical Signal(SAUNAS)」は、2024年5月にThe Astrophysical Journalに掲載された。Jan 06, 2025 |