このNASAとヨーロッパ宇宙機関のハッブル宇宙望遠鏡のイメージは、おとめ座にある印象的な渦巻銀河メシエ90(M90、NGC 4569)を示している。2019年、ハッブル宇宙望遠鏡は、設置直後の1994年に撮影された広視野カメラ2(WFPC2:Wide Field and Planetary Camera 2)のデータで作成した M90 のイメージを公開した。その WFPC2 のイメージは、センサーのレイアウトによる特徴的な階段状のパターンを持っている。2009年に広視野カメラ3(WFC3)が WFPC2 に置換えられ、ハッブル宇宙望遠鏡は、2019年と2023年に、 WFC3 を使って、再び M90 をとった。そのデータによってこの驚くべき新しいイメージが得られ、銀河のダストに富んだ円盤、ガス状のハロー、およびその明るいコアのより完全な視界が提供された。 M90 の円盤の内側の領域は星形成の部位であり、ここでは星雲からの赤い H-α 光で見られる。 M90 は比較的近いおとめ座銀河団の銀河の中にあり、その軌道は約3億年前に M90 を銀河団の中心近くの経路に乗せた。内側の銀河団のガスの密度は、強い向かい風のように M90 に重くのしかかり、銀河から大量のガスを剥ぎ取り、銀河の周りに見える拡散したハローを作り出した。このガスは M90 で新しい星を形成するために利用できなくなり、その結果、渦巻銀河は最終的に減光する。 M90 は地球から 5500 万光年離れているが、我々に近づいている数少ない銀河の一つである。おとめ座銀河団を通るその軌道は非常に加速しているために M90 は銀河団から完全に脱出する過程にある。偶然にも、それは我々の方向に動いている。天文学者達は、おとめ座銀河団の他の銀河も同じような速度で、しかし反対方向で測定した。M90 は何十億年にもわたって我々に向かって移動し続け、 レンズ状銀河 にもまた進化するだろう。
Oct 18, 2024 |