距離とダストとの違い
The difference between distance and dust

銀河、クエーサー、銀河団など、真に遠い天体までの距離の測定は、天体物理学において、特に初期宇宙を研究する上で重要な作業であるが、難しい作業でもある。太陽、惑星、近くの星など、いくつかの近くの天体の場合にのみ、それらの距離を直接測定できる。それ以外にも、さまざまな間接的な方法を使用する必要がある。その中でも特に重要なのが Ia 型超新星を調べることであり、NASAとヨーロッパ宇宙機関のハッブル宇宙望遠鏡の出番である。

このイメージに写っている NGC 3810 銀河は、2022年に Ia 型超新星爆発のホストであった。2023年初頭、ハッブル宇宙望遠鏡は、最近の Ia 型超新星を詳しく調べるために、この銀河と他の多くの銀河に焦点を当てた。この種の超新星は、白色矮星が爆発して生じ、非常に一貫した明るさを持っている。 Ia 型超新星の明るさがわかっているので、暗く見えるものからどれだけ離れているかを知ることができる。この方法の不確実性の一つは、地球と超新星の間にある銀河間のダストが、その光の一部を遮ることである。光の減少のうち、どれだけが距離によって引き起こされ、どの程度がダストによって引き起こされるのかをどうやって知ることができるだろう? ハッブル宇宙望遠鏡の助けを借りて、同じ Ia 型超新星を、ダストにほぼ完全に遮られる紫外線と、ダストをほとんど受けずに通過する赤外線光で撮影するという、巧妙な回避策がある。各波長でどれだけの光が透過するかを注意深く記録することによって、超新星の明るさと距離の関係を調整し、ダストを説明することができる。ハッブル宇宙望遠鏡は、この二つの波長の光を同じ装置で非常に詳細に観測することができる。そのために、この実験に最適なツールであり、実際に、 NGC 3810 のこの美しいイメージの作成に使用されたデータの一部は、2022年の超新星に焦点を当てたものだった。銀河核のすぐ下の光の点として、または こちら の注釈付きイメージで見ることができる。

宇宙の距離を測定する方法は数多ある。 Ia 型超新星は非常に明るいために最も有用で正確なツールの一つである。他の距離測定の独立したチェックとして、あるいは、はるかに近い距離またはより遠い距離を測定するために、他の多くの方法も使用する必要がある。銀河にも有効な方法に、銀河の回転速度と明るさを比較する方法がある。この方法に基づいて、NGC 3810 は、地球から 5000 万光年離れていることがわかる。

<イメージの説明>:ほぼ真正面から見た渦巻銀河。その中心から大きな螺旋状の腕が渦巻き、この場面を埋め尽くしている。それらは内部の星からかすかに青く輝き、青とピンクの小さな明るい斑点が星形成の領域を示している。それらは、光を遮断する暗い赤みを帯びたダストの細いフィラメントで覆われている。銀河の中心は白く輝いている。

大判はイメージをクリック。この記事はヨーロッパ宇宙機関の解説から。ヨーロッパ宇宙機関の「今週のイメージ(Week in images)」は、一つのアドレスに複数の記事が表示されます。原典を求めるときは、リンク先から該当する記事(イメージを参照)を捜してください。

July 12, 2024    


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