<概要>; ガニメデはガリレオ衛星の中で最大であるが比重は比較的小さい。これは半分が氷、半分が珪酸塩から成ることを示している。ガニメデの実像はボイジャー2号によって得られ、太陽系のどの天体にもない複雑な地形が明らかになった。ガニメデの凍結した地表は、表面の半分ずつをはっきりと区分された明と暗の地形が覆っている。明るい地域は平行に並んだ大きな溝(スルキ)が走り、暗い地域(レギオーネ)には隕石によるクレータが集まっている。その組成はどちらも氷である。明るい地域の溝は格子状で幅数キロメートル、長さ数百キロメートルに及ぶ。溝は直線に限らずいろいろな形をしておりその成因は明らかでない。暗い地域のクレータには原型を留めたいろいろな大きさのものがあるが、太陽系の初期の隕石の衝突だと仮定すれば実に40億年以前の姿がそのまま残されていることになる。
これは最初のガニメデとの遭遇のときにガリレオ宇宙船から撮られた自然色カラー写真である。北は上、太陽は右から照らしている。暗いエリアはより古く激しくクレーターされた領域であり、明るいエリアはより若く地殻の構造上形の崩れた領域である。茶色がかった灰色は岩の材質と氷との混合物によるものである。明るい領域は地質学上最近のインパクトクレータとそれらの排出物である。このカラーイメージのために結合したイメージは国際時間1996年6月26日8時46分に撮られた。
Oct 07, 1996
1979年に二つの木星システムを通過したとき、ボイジャー宇宙船はガリレオ衛星の多くの高解像度イメージを撮ったが、これらの遭遇では四つの最も大きな木星の月に関しては不十分にしか見られないいくつかの領域を残した。NASAのガリレオミッションの一次目的の一つは、ボイジャーでは見られなかったエリアのイメージを得ることであった。この写真はガニメデの主要な半球の一部を示したものの一つである。明るい溝の地形、多くのばらばらに壊された暗い地形の領域が表面を覆っている。イメージの中心の近くに1994年に木星に衝突した彗星シューメーカ・レヴィ 9 に似た、ばらばらに壊された彗星のインパクトに起因するのかもしれないクレータのチェーンを含むいくつかの明るい若いクレータが見られる。北は写真の上、太陽は左から表面を照らしている。
July 11, 1998
1996年11月、 NASAはガリレオ軌道船によって作られた氷と鉱物の堆積に焦点を当てた木星の最も大きな月ガニメデのマップを公開した。ボイジャーによる左の写真は可視光による表面を見せている。一方、ガリレオの赤外線光でとられた右の写真は、鉱物の赤と氷の粒の青の分布を示している。これらの鉱物の放射が Montmorillonite(モンモリロン石)および Alunite(みょうばん石)であるという事前の予測を確認しようとしている。
Nov 7, 1996
この円の残りはどこにあるのだろう? ほぼ平行した曲線によってカットされた上に描かれた半円を含み、木星の最も大きな月ガニメデにはいくつかの通常でない地形がある。完全な円はインパクトクレータによって容易に説明できるが、部分的な円は原始の衝撃以来いくつかの地表の再構成が生じたことを意味している。半円の直径は約32kmである。興味はまた半円の上部を横断している密度の濃い直線のクレータチェーンにある。このような不可思議さは一連の自然の出来事を再構築してみることで典型的に解決され、このケースではガニメデの興味深い過去についての一層の良い理解をもたらすかもしれない。
Dec 9, 1997
メンフィスファクラの上に重ねられた二つのインパクトクレータの視界。急な壁、平らなフロア、中央の山頂など他の惑星にもこのような構造の多くの地形がある。これらはインパクトクレータであると考えられている。明るい氷の物質がこれらの形の壁や縁、頂に露出され、より暗い物質がフロアを覆いクレータの内側の壁の下方に流れているのが見られる。暗い物質は衝撃の間にクレータの床に集中したのかもしれない。クレータの縁の近くの暗いラインは持ち上げられた階層基盤の露出かもしれない。これらのクレータはそれらの排出物と周囲の第二クレータフィールドが見えない程度まで下げられた。左のクレータ(Chrysor)は直径約6km、右(Aleyn)は幅約12kmである。小さなクレータにはクレータフロアと周囲のエリアに明るい円が見られる。これらの重ねられたインパクトの形の密度は、科学者達に表面の年齢とクレータの年齢を見積ることを許し数億年の古さと考えられた。メンフィスファクラ、クレータが位置する大きな350km直径の明るい形は、古代の大きな衝突の出来事の間の、明るい水の氷の物質の掘上げから生れたように思われる。
July 11, 1998
<概要>; カリストは比重が1.8でガニメデとほぼ同じであり、おそらく両者の組成は似ているものと考えられる。カリストはガリレオ衛星の中で最も暗く月よりやや明るい程度である。カリストの表面は径100キロメートルほどのクレータによって全面が覆われており、クレータは隕石衝突起源の状態が比較的忠実に保持されているものと見られている。径150キロメートルを超えるクレータはごく僅かでこのような現象は太陽系の中でも珍しい。カリストのみが大きな隕石との衝突から免れたとは考え難いから、おそらくこの衛星の生成初期のクレータは氷の変化で隠され、後からできた小さな隕石によるクレータが表面を覆っているものと考えられる。カリストにはバルハラと呼ばれる径600キロメートルに達する大盆地がある。おそらく大きな隕石の衝突の跡と思われるが、地形は比較的平坦で月の盆地に似ている。但し、月の盆地と異なり50~200キロメートル間隔の同心円状の多重リングが半径1500キロメートルに亙って広がっている。
カリストの表面はその年齢を示している。おそらくイオと同時代に形成された木星のこれらの二つの月の間の表面の違いは大きくはないであろう。イオの表面は若く、インパクトクレータが見られず、多くの大きな火山から噴出する溶岩によって頻繁に再舗装されている。カリストの表面は古く、太陽系システムの中でインパクトクレータの最も高い密度を示し、火山やどんな大きな山でさえも隠すことがない。惑星の破片との衝突の数十億年もの昔から割れ目やクレータで飾り立てられて、カリストの表面は一つの大きな氷原になった。左のモザイクにおける高解像度の垂直の帯の部分はロボット宇宙船ガリレオによってとられた。モザイクの残りは、カリストを1979年に通過したボイジャ宇宙船によってとられた写真から編集された。
December 9, 1996
木星の氷の月カリストがほぼ自然色(左)で示され、微かなカラーの変化を誇張するために疑似カラー(右)が示されている。木星に面するカリストの半球のこのイメージは、イメージの中心に古代のマルチリングインパクト構造のバルハラを示している。恐らくカリストを直撃した大きな小惑星または彗星によって造られたバルハラはこの氷の月の最も大きな地表の特徴である。自然色イメージでは現れない比較的最近のクレータからの排出物を含み、右のイメージの疑似カラーは新しい情報を示している。
May 8, 1998
木星のガリレオ衛星で最も外側のカリストのこれらのイメージは、インパクトクレータを特色とする地表を明らかにしている。左下の広域の視界は、大きな牛の目、さし渡し約 600 km の、明るい内側の領域から成るバルハラマルチリング構造によって支配されている。バルハラの直径 4,000 キロメートルは太陽系で最も大きなインパクトの姿の一つである。カリストは直径 4,800 キロメートルである。
右のイメージはバルハラの一部を示している。この解像度では地表は小さなインパクトクレータがないために幾分滑らかなように思われる。インパクトに起因した外殻の破砕と見られるトラフから成るバルハラの外側のリングが明瞭に見られる。明るい中央の平原はインパクトの後で流体状のものがクレータボールを満たし、地表の下からの“よりきれいな氷または液体の水”の発掘と噴出によって作成されたのであろう。
December 7, 1998
ガリレオ宇宙船によって集められたデータを研究する科学者達によれば、木星の2番目に大きな月カリストは、その氷のクレータの表皮に押し込まれた液体の海を持っているかもしれない。ガリレオの調査結果はカリストと、既に表面下の海に関する強い証拠を示したエウロパの間の類似性を明らかにした。
カリフォルニア大学ロサンゼルス(UCLA)の宇宙物理学教授であり、木星の周りの磁界を測定するガリレオの磁力計機器の主調査者 Margaret Kivelson 博士は、「今まで、我々は、カリストが死んだ退屈な月、単に岩と氷の大きな塊であると考えていた」と言った。「新しいデータは、確かに何かがカリストの表面の下に隠されており、そして、何かしら塩辛い海であるかもしれないということ非常に良くを示唆している。」
この前提はエウロパに磁界の変化を起こさせるエウロパ地表近くの電気の流れを示すガリレオのデータによって呼び起こされた。 Kivelson は「これは、エウロパの氷の表皮の下の液体の海が、電気の導体として役立っているのであろうというアイデアを支持する他のデータと、見事に適合するように思われる」と言った。
この情報は Kivelson と UCLA の同僚達によって理論武装された。「それはその時には無理なように思われたが、」と Kivelson は言った。「チームは、ガリレオの1996年11月のカリストの接近と、1997年6月と9月に得られたデータを調査した」
Kivelson と彼女の同僚は、エウロパと同じく、カリストの表面近くに流れる木星と結合した電流の変化の存在によって説明できる磁界の変化のサインを見いだした。次の挑戦は電流の源を発見することであった。
「カリストの大気が非常に薄く帯電粒子に欠けているので、カリストの磁界を形成するには十分ではないであろう。また、カリストの氷の表皮は良い電導体ではないだろう。しかし、下に非常によく溶けた氷の層があるであろう」と Kivelson は言った。「この液体が地球の海のように塩辛かったなら、磁界を生じさせるために十分な電流を運ぶだろう」
カリストの表面下の海に更なる信頼の前提を与え、ガリレオのデータは、異なる時代には電流が反対の方向を流れていることを示した。「これは、塩の海のアイデアと一致しているキーとなる指標である」 Khurana はつけ加えた、「なぜなら、それはカリストの反応がエウロパのように木星の回転の影響と同期していることを示している」
ジェット推進研究所のガリレオプロジェクトの科学者 Dr. Torrence Johnson によれば、科学者達は、ある点でそこで発展したであろう生命を暗示する一つの要素としてエウロパの海での存在の可能性を考察するが、カリストが生命を抱いていることは疑わしい。
「生命のための -- いわゆる前生命化学 -- 基になる材料は、彗星、小惑星、氷の月のような多くの太陽系オブジェクトに豊富である」 Johnson は説明した。「生物学者達は、実際に生命を支えるのに液体の水とエネルギーが必要であると考える。従って、我々が液体の水を持つ他の場所を発見することは興味がある。しかし、エネルギーはもう一つの重要な問題であり、エウロパは木星への大きな接近から、潮力エネルギーを持ち得るが、現在のカリストの海は放射の要因によってのみ加熱されている」
ガリレオは、1999年5月と9月の間にもう4回カリストに接近して飛ぶので、カリストの海の可能性についてより多くの手掛りをもたらすかもしれない。しかしながら、「科学者達はカリストの解釈をテストするのに理論上のモデルに強く頼るだろう」と Kivelson は言った。
October 21, 1998