火     星

火星、太陽から2億2千キロメートルの星、地球と太陽の距離の1.5倍の軌道にある冷たく乾燥した太陽系第4惑星。赤く見えるところから古くは異様な星と怖れられ、ギリシャ神話の軍神、マーズからその名前がとられた。公転周期は地球の1.9倍、地軸の傾きが地球に似て四季があるが、一つの季節は地球のほぼ2倍。二つの小さな月を持ち、死に絶えた火山がそびえ、広大な深い渓谷、主に二酸化炭素で占められた層の薄い大気、表面気温平均摂氏マイナス63度という極寒の地、極冠にはいくらかの水からなる氷を含んだ永久に融けない二酸化炭素。火星の表面には融けた水がなく、酸化された鉄の粉(さび)が豊富なゆえに赤茶けて見える。小さなそして陸地のみからなる星、しかし古くは大きな海が広がっていたと考えられている。地球表面の重力の約8分の3。低い火星重力は宇宙船が火星に着地するのには好都合であるが、一方大気の薄さがパラシュートの効果を抑制する。近年、NASAを中心とする火星探査が進み、正確な地図や詳細な地表の写真が得られ、また、火星の地表下には凍土があり、時折融けた水が滲み出しているのではないかとする徴候も発見された。タイトルの背景は火星で最も有名な地形の一つマリネリス峡谷。左上の動画はマーズグローバルサーベイヤが撮った写真から創られた。右の写真は同じくサーベイヤが撮った極の二酸化炭素の霜。この霜のエリアは季節に応じて拡張と縮退を繰り返す。

<参考>:ウィキペディアの火星データと解説は こちら から。


<これまでの火星探査の歴史>

  1. 火星探査は他の天体観測の比して失敗が多く、米ソ併せて表とほぼ同数の失敗例があり、火星探査にはツキがないと言われた。最近でも1999年のNASAのマーズクライマット軌道船とマーズポラーランダ着陸船、2003年の日本の「のぞみ」、欧州宇宙機構の「ビーグル2」が失敗し失われている。
  2. 概要欄( )内の数字は最接近距離
米      国 米 国 以 外
名 前区  分概  要 名 前区  分概  要
マリナー41965通 過表面のTV写真(9800km) 火星1号(ソ連)
途中で連絡が途絶えた
マリナー61969通 過76枚の表面写真(3390km) 火星2号(ソ連)1971着陸固定着陸機は地表に衝突
マリナー71969通 過159枚の表面写真(3500km) 火星3号(ソ連)1971着陸固定着陸後20秒間通信
マリナー91971通 過7,329枚の写真(1395km) 火星4号(ソ連)1974軌道周回軌道に入り後データを返送
バイキング11976着陸固定着陸に成功、固定位置から探査 火星5号(ソ連)1974軌道周回軌道に入り後データを返送
バイキング21976着陸固定着陸に成功、固定位置から探査 火星6号(ソ連)1974着陸固定写真等データを返送
パスファインダ1997着陸固定初めての探査車併用、
約3ヵ月間本格的な探査
    
グローバルサーベイヤ1997軌道周回軌道からの本格的な探査
打上後10年2006秋活動停止、
    
クライマットオービタ1999軌道周回軌道入りに失敗 のぞみ2003軌道周回日本:軌道入り断念
ポーラーランダー1999着陸固定着陸に失敗 ビーグル22003着陸固定欧州:着陸に失敗通信不能
オデッセイ2001軌道周回活動中 エクスプレス2003軌道周回活動中:欧州
スピリッツ2003探査車2011年5月通信途絶     
オポチュニティ2003探査車2019.02廃止決定 マンガラヤーン2013軌道周回インド:試験衛星(2014.9.24 軌道入り)
リコナッサンス2003軌道周回活動中 エクソマーズ2016ガス追跡・着陸試験活動中:欧州・ロシア
フェニックス2007着陸固定北極付近探査、2008年11月
寒さのため通信停止。氷を確認
ホープ2020軌道周回活動中;アラブ首長国連邦
キュリオシティ2011探査車活動中:地表調査 祝融2020探査車活動中:中国:地表調査
メイブン2013軌道周回活動中:大気圏調査     
インサイト2018着陸固定活動中:地殻調査     
パーサビアランス2020探査車活動中:地表調査     


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