火星2020パーサービアランス(Perseverance:忍耐)ローバーは、火星の過去の居住性の探求を進める古代の微生物の生命の兆候を探す。このローバーは、火星の岩と土壌のコアサンプルを収集し、将来のミッションで詳細な分析のために地球に持帰る、密閉したチューブに保存するためのドリルを持っている。ローバーはまた、火星の将来の人間の探査への道を開くのに役立てる技術もテストする。マーズヘリコプター、インジェヌイティ(Ingenuity:独創性)は、赤い惑星で初めての動力飛行をテストする。
火星2020パーサビアランスローバーは、火星の過去の居住性を調べるために、NASAが進める古代の微生物の生命の兆候を探すことを最終的な使命としている。ローバーは、火星の岩と土壌のコアサンプルを収集し、詳細な分析のために地球に持帰る将来のミッションのために、密閉したチューブに保存するドリルを持っている。このローバーはまた、火星の将来の人間の探査への道を開くのに役立つ技術のテストも行う。また、付帯のマーズヘリコプター、インジェニュイティは、特定の技術調査のためのデモンストレーションを行う。
大判はイメージをクリック。活動の概要を紹介するビデオは こちら(Youtube:英語解説付き) から。
パーサビアランスは米国東部標準時間2021年2月18日木曜日午後3時55分(日本時間2月19日午前5時55分)ごろに火星に着陸する。着陸時、ローバーは薄い火星の大気を突き抜け、最初に時速 12,000 マイル(約 20,000 キリメートル)超で降下する。パラシュートと降下機はローバーを時速約2マイル(毎秒3/4メートル)まで減速させる。その後、大きなスカイクレーンが、柔らかく着陸させるために三つのブライドルコードでローバーを吊り下げる。詳細は大判イメージ参照。
シミュレーション動画は こちら(Youtube) から。
このイメージの中心近くの白い円は、ローバーが2021年2月18日(日本時間19日)に着陸する予定の場所を表している。着陸楕円は 7.7 キロメートルX 6.6 キロメートル)であり、ローバーは、化石化した微生物の生命の徴を有する可能性がある古代の川デルタのサイトに降下する。この画像には、クレーターの縁とともに、デルタの扇のような形が示されている。この火口はかつて数百フィートの深さの湖で満たされていた。
この合成図は、火星2020ローバーがかつて居住可能であった可能性のあるいくつかの古代の環境を調査する際に、ジェゼロクレーターを横断する可能性のあるルートを描いている。そのルートは、かつてクレーターを満たした湖に流れ込んだ川によって生成されたデルタの底を定義する崖から始まる。その後、デルタを横切って古代の海岸線の堆積物に向かって進み、高さ610メートルのクレーターの縁を登り、周囲の平原を探索する。このトラバースの約半分は、ローバーの初期ミッション(火星年1年:地球年2年)で完了する。参考までに、画像の中心付近の顕著なクレーターは、全体で約1キロメートル)である。
ここで言うインジェニュイティ(独創性)とは、技術デモンストレーションと呼ばれるもので、範囲が限られた新しい機能を初めてテストするプロジェクトを指している。これまでの画期的な技術デモンストレーションには、マーズパスファインダーのローバーソジャーナーと、2018年に火星に飛んだ小さな火星キューブワン(MarCO)キューブ衛星がある。今回のインジェニュイティは、地球上の旅客機よりも何倍も速い、約 2,400 rpm で反対方向に回転する二つのローターに配置された四つの特別に作られた炭素繊維ブレードを備えている。また、革新的な太陽電池、電池、その他の部品を備えている。インジェニュイティは科学機器を運んでおらず、パーサービアランスローバーとは別の実験である。 ヘリコプターが火星を飛ぶ難しさには、火星の薄い大気が十分な揚力を得ることが困難になる可能性がある。火星の大気は地球よりも99%密度が低いため、インジェニュイティは軽く、地球上の同じ質量のヘリコプターに必要なものよりもはるかに大きく回転するローターブレード(回転翼)を持つ必要がある。また、インジェニュイティが着陸するジェゼロ・クレーターは、夜は摂氏マイナス90度まで下がる。地球のインジェニュイティチームは火星の温度でヘリコプターをテストし、意図した通りに火星で動作する必要があると考えているが、寒さはインジェニュイティの多くの部分の設計限界を押し広げるだろう。さらに、フライトコントローラは、惑星間距離を越えた宇宙船との通信の遅延から、地上からヘリコプターを制御することはできない。このため、インジェニュイティは、自身の温度の維持を始め、あらゆる面で自律性を持つ必要がある。
アニメーション動画は こちら(Youtube) から。