特集: NASA、科学にとって完璧な嵐に遭遇する
NASA Encounters the Perfect Storm for Science

以下の解説は、NASAの記事を中心に、いくつかの記事を集めて編集しています。多少読みにくい点があるかも知れませんがご容赦ください。

以下、 weather com news の記事 から。

火星は嵐の季節にある。6月10日、キュリオシティ・ローバーのマストカメラは、東北東のクレータ縁の方を見たイメージ(次項のイメージ)を捕えた。一方 2,000 キロメートル以上離れたオポチュニティ・ローバーは、エンデバー・クレータの西の縁の嵐が厚くなったので科学オペレーションを中止し、通信を中断した。キュリオシティは放射性同位元素熱電発電機でパワーを供給されているが、オポチュニティ・ローバーはバッテリを充電するために太陽電池板を使っている。オポチュニティにとって、ますますひどくなる日光の不足は、そのバッテリ昨日が低下する原因になった。マーズローバー・オポチュニティは停止している。NASAの技術者達は6月12日にオポチュニティに連絡しようとしたが、15年以上を経たローバーからは通信がなかった。巨大なダストの嵐が、オポチュニティが働いていた覆われた忍耐の谷(Perseverance Valley)にある。

NASAの火星偵察軌道船からのこのシーケンスは嵐の進行を示している。巨大なダストの雲は赤で焦点を当てられている。この雲は、5月31日に現れて間もなく、オポチュニティをのみ込むように南から渦巻き、今、ダストは忍耐の谷でとても厚く、昼は夜に変えられ、太陽電力に頼るローバーから日光を奪っている。オポチュニティの沈黙は、恐らく、それが低電力切断モードに落ちたことを意味している。このモードではミッションの時計以外のローバーのサブシステムの全てはオフにされる。ミッションの時計は、ある間隔で出力レベルをチェックするようにオポチュニティを起動させ、バッテリがまだ低いならば睡眠に戻るようにプログラムされている。日光が戻ったとき、バッテリは充電されなければならない。そして、オポチュニティは再び完全に起きるだろう。

以下、 NASAの記事 から。

これまでに火星で観測された最も厚いダストの嵐の一つが、前週と週の半分に広がった。この嵐はNASAのオポチュニティ・ローバーが科学オペレーションを中止する原因になったが、また、4機の他の宇宙船にとって渦巻くダストから学ぶ窓をも提供している。

<訳者注>: 軌道船(3機)は、オデッセイ、火星偵察軌道船(MRO)、メイブン。ローバー(探査車2機)はオポチュニティ、キュリオシティ。上の図のように2機は互いに火星のほぼ反対側にある。現在ダストの雲の大きな影響を受けているのはオポチュニティであるが、キュリオシティの側でも影響が出始めている。

NASAは赤い惑星を回る3機の軌道船を持ち、それぞれが特別なカメラと他の大気の装置を備えている。加えて、NASAのキュリオシティ・ローバーは、ゲイルクレータでのダストの増加を見始めた。これは火星科学にとっての理想的な嵐でもある。今、我々は赤い惑星で歴史的な数の宇宙船を持っており、それぞれがユニークな観察を提供している。ダストの嵐がどのように生じ振る舞うかは、将来のロボットや人間のミッションにとって不可欠な知識である。ダストの嵐は火星で頻繁に、また、全ての季節に起きる。時折、それらは地域の嵐の中に数日で急増することがあり、時々は惑星を包むまで拡大することさえある。これらの大規模な惑星スケールの嵐は、3から4年(地球年で6~8年)ごとに起こると推測されている。最近のものは2007年であった。それらは数週間または最も長いもので数ヵ月間続くことがある。依然として成長しているオポチュニティの上空の現在の嵐は、今(6月14日)、この惑星の約4分の一の、火星の地表の 3,500 万平方キロメートルを覆っている。

 

NASAのキュリオシティ・ローバーからの二つの視界

嵐と離れたゲイルクレータ内部のダストの量を計ったNASAのキュリオシティ・ローバーからのこれらの二つの視界は、主要な火星のダストの嵐が3日間で増加したことを示している。左のイメージは、ゲイルクレータの東北東にある縁の火星日2074日(3018年6月7日)を、右のイメージは火星日2077日(2018年6月10日)を示している。このイメージはローバーのマストカメラによってとられた。

<訳者注>: 火星日はその宇宙船が火星に着陸してからの火星の日付での日数。火星の一日は地球の一日より約20分長い。

大きさに関係なく、全てのダスト出来事は火星の地表を形づくるのに役立っている。嵐は砂を巻き上げることがあるが、地球に起きる嵐と異なり、火星の薄い大気は、最も強力な地表の風でも宇宙船には影響することはない。

 

暗い火星の空のシミュレーションされた視界

このイメージのシリーズは、2018年6月のオポチュニティの現在の視界をシミュレーションした広域なダストの嵐の、太陽を覆う暗くなって行く火星の空を示している。

NASAの二つの他の軌道船、2001年マーズ・オデッセイ、および火星大気不安定性探査(MAVEN:メイブン)軌道船もまたユニークな科学の視界を提供している。オデッセイは、その下のダストの量を計ることができる THEMIS (熱放射画像システム)と呼ばれる赤外線カメラを持っている。メイブンは超高層大気の働きと宇宙へのガスの消失を調査するように設計されている。

もちろん地上でも科学は起きている。惑星の他の側ではダストの嵐が進んでいるが、NASAのキュリオシティ・ローバーは、嵐の間の日光を消すダストの霞のベールの基準、増加する「不透明度タウ(tau)」の検出を始めている。6月12日火曜日現在、ゲイルクレータの内側のタウは、ダスト・シーズンの平均、 1.0 と 2.0 の間を変化していた。

幸運にも、キュリオシティは原子力で動くバッテリを持っている。これは、ソーラーパワーのオポチュニティと同じ危険に直面しないことを意味している。

2007年以降、火星科学者達は、正確には火星の全球を覆うものではないが、惑星を囲むダストの嵐を根気よく待った。1971年に、これらの嵐の一つが、火星のタルシス火山の頂をダストの上に残した。

 

チームワーク

火星のNASAの宇宙船「ファミリー」のメンバーはしばしば他の多くのために役立っている。NASAの軌道船は、通常NASAのローバーが地球に送るデータを中継している。軌道船とローバーは火星の地域の異なる眺望を提供し、お互いを補う科学の場を提供している。火星偵察軌道船(MRO)は、最近の嵐のような気象の出来事の早期警戒システムの働きをする特別な役割を持っている。それは、オポチュニティ・チームに頭上を提供する、火星カラー画像装置(Mars Color Imager)と呼ばれる軌道船の広角カメラがある。このサンディエゴのマリン宇宙科学システムによって造られ管理されている画像装置は、どのように嵐が進化するか、この惑星の毎日の広域なマップをつくることができる。

このグラフは、2018年5月30日に始まった火星のダストの嵐の間の、NASAのローバーと軌道船の現在の貢献を示している。

最も最近のダストの嵐は、火星の北半球で、これまでで最も早く観測された。しかし、嵐が惑星を囲むかどうかを語るにはいく日か掛かるかもしれない。もしそれが「広域に」なれば、嵐は火星の気象の新しい観察を提供するだろう。4機の宇宙船は科学を集める準備を整えている。

 

このグラフは、タウと呼ばれる値で測定された大気がどれくらい透明か不透明かによって、NASAのオポチュニティ・ローバーが火星でどのようにエネルギー(ワット時)を利用できるかを示している。タウの値(青)が高いとき、ローバーの出力レベル(黄)は下がる。

 

以下、 weather com news の記事 から。

これは珍しい大きさのダストの嵐である。それは、今、火星の4分の一以上を覆っている。このグラフはオポチュニティの記録を他の年と比較している。垂直の軸は大気の不透明度を示し、数値は1(ほとんどダストがない)から10(夜のように黒い)にわたっている。水平軸は360度が一年の各年の時間を記している。緑の線で示された今年の嵐はチャートを超えている。

オポチュニティの沈黙は、恐らく、それが低電力切断モードに落ちたことを意味している。このモードではミッションの時計以外のローバーのサブシステムの全てはオフにされる。ミッション時計は、ある間隔で出力レベルをチェックするようにオポチュニティを起動させ、バッテリがまだ低いならば睡眠に戻るようにプログラムされている。

 

<訳者補足>: 火星の地表の風は一般的には地球上の“そよ風”程度であるが、時折太陽からの熱を受けて「ダストデビル」(右図) と呼ばれる地域的な“つむじ風”程度の旋風を起こす。この 「ダストデビル」は砂を巻き上げ地上にその足跡を残す。一方、一定の季節に規則的な広域なダストの雲が生じる。これはかなり広域な嵐となり外からの視界を覆い隠す。後者の詳しい原因は必ずしも明らかでなく研究上の話題である。
これらの火星の風はダスト(砂)を巻き上げ、着陸船またはローバーの太陽電池パネルに少しづつ積もり発電を阻害するようになる。これらのダストは、幸運にも宇宙船の上を「ダストデビル」が通過することによって吹き払われ、発電量を回復することができる。オポチュニティも何回かこの恩恵を受けてきた。2004年1月までに火星に着いたオポチュニティを含む着陸船は全て太陽電池パネルを通して動力を得てきたが、2012年8月に到着したキュリオシティからは太陽電池パネルを外し、核燃料から動力を得るように変更された。現在オポチュニティとは音信不通であるが、広域なダストの季節が終わった後ローバーと交信できるか否かは不明である。

大判はそれぞれのイメージをクリック。

June 18, 2018    


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